豚肉丸さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.2

バッハの妻視点で語られるバッハの生涯についてのお話

大学図書館にて。
マジで永遠と音楽を演奏してるだけで凄すぎる。バッハの生涯、事件、家族の死などの出来事は殆ど資料とナレーションのみで語られ、それ以
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Yannick(原題)(2023年製作の映画)

4.6

つまらない演劇に激怒した観客が自らの手で面白い演劇に変えていこうとするお話

変なシュールギャグ映画ばかり作ってるカンタン・デュピュー監督の最新作。本作は荒唐無稽なシュールギャグとは一線を画し、観客と
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

普通に面白かったけどオッペンハイマーが原爆を作るまでの経緯とそこから赤狩りによる没落を描いただけの映画でかなり普通。特に印象的な演出や映像も無く、ただただ半生を映すだけ。時系列の交差も序盤中盤は裁判か>>続きを読む

The Mirror(英題)(1997年製作の映画)

4.5

学校帰りに迎えに来てくれるはずの母親が居ないことに気づいた少女が、母を探して街中を駆け巡るお話......しかし途中で少女を演じている主演の子が撮影を放棄して逃げ出してしまう。

『友だちのうちはどこ
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Dream Scenario(原題)(2023年製作の映画)

4.3

何故か冴えない大学教授の男がみんなの夢に現れるようになり一躍有名人になってしまうお話

監督の前作である『シック・オブ・マイセルフ』が個人的にかなり消化不良感があって微妙に感じていて、本作もその消化不
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吸血鬼(1932年製作の映画)

4.5

オカルトについて調査している男が田舎町を訪れるが、その町には吸血鬼が出る噂があって...というお話

ストーリーはかなりコンパクトで説明不足で唐突感も否めないものの、代わりに映像表現がとてつもなく凄す
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.8

写真家であるナン・ゴールディンの作品と人生を振り返りながら、中毒症状により何百万人もの死者を出した薬の利益を得ている大富豪に対するデモを行う彼女の姿を追うドキュメンタリー映画。

大傑作!彼女の作品と
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.6

突然母親が失踪した子供達が生き延びようとするお話

是枝監督のトーク付き上映にて。
凄すぎて圧倒。噂には聞いてたけど徐々に限界に近づいていくのに抵抗せずに受け入れようとする様がかなり心に来る。基本ドキ
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檻の中の楽園(2012年製作の映画)

4.1

動物園に住んでいる動物たちの生態を捉えたドキュメンタリー映画。

固定ショットで動物が入れられた檻、職員達の労働作業、動物園に来た客達の様子をただ淡白に積み重ねていく。ドゥニ・コテ監督の『Joy of
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怪物(2023年製作の映画)

4.6

ある一人の男の子の不審な行動がきっかけで大変な事態が起こってしまうお話

初是枝裕和監督。
序盤の小学校での謝罪場面が面白すぎて凄い。明らかに何かを覆い隠しながら謝罪している空気感が笑ってはいけないけ
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.5

父の死をきっかけに故郷に戻ってきた男が、彼の記憶に現れる謎の女を追いかけて夢と現実が混同する世界に入っていくお話

映像は良いんだけど全く合わず...
シーンとシーンの繋がりが希薄な前半で男性の背景や
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開拓者たち(2023年製作の映画)

4.8

白人と先住民の混血の男が白人に連れられ開拓の旅に出ることになるが、その目的は先住民族を虐殺することで...というお話

面白すぎる!
乾いた空気感の西部劇ロードムービー。まず画作りと手持ちカメラの緊張
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Sambizanga(原題)(1972年製作の映画)

3.8

反植民地体制運動により逮捕された夫を探すために妻が歩き回るお話

ドキュメンタリータッチで妻が歩き回る場面と「仲間の一人が逮捕された」ことが運動の仲間に伝わり動揺が広がっていく様を描写しているのは面白
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.3

夫の不審な転落死の真相を巡って裁判が進んでいくうちに夫婦関係の歪みが明らかになっていくお話

普通に面白い。特に捻りがある訳でもなく淡々と裁判が進行していき、夫婦関係の歪みが明らかになっていく様子を描
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.4

東日本大震災の非被災者である若者4人が被災者の話を聞き、話を語り直そうとするお話

若者たちが被災者達の元に訪れ、生活を共にし話を聞いて、その聞いた話をカメラの前で語り直す...という、手法としてはよ
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Silence Is a Falling Body(英題)(2017年製作の映画)

4.6

父の死後、父が遺したビデオテープから今まで知らなかったゲイの社会活動家として生きていた父の過去を知っていくドキュメンタリー映画。

父が記録していた100時間以上に渡るビデオテープと当時の父と関わって
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ドライヴ(2011年製作の映画)

4.6

二つの顔を持つドライバーが愛した人妻とその家族を守るために行動するも、全て裏目に出てしまうお話

初レフン。
緩急使い分けられたテンポ感が日常と暴力の世界の境界をハッキリ際立たせていているのが良い。「
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駅馬車(1939年製作の映画)

4.7

駅馬車がアパッチ族に襲撃されるお話

初ジョン・フォード。
古典中の古典という印象であまり見る気になれなかったが、いざ見てみたら純粋なエンタメ映画で驚いた。『マッド・マックス 怒りのデスロード』などの
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のら犬(2023年製作の映画)

4.5

幼馴染の友人同士である男二人の片方に彼女ができたことにより、友情関係が徐々に崩壊していくお話

暴力的で抑圧的な友情関係が冒頭から映し出されて多分この暴力的な友情関係を批判する映画なんだろうなと思いき
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熱波(2012年製作の映画)

4.5

変なことを口走る老婆の過去には、若い頃に男と不倫した悲劇的なことがあり...というお話

第一部は現在、第二部は過去の構成で進んでいく。単なる恋愛映画かと思いきやちゃんとミゲル・ゴメス監督らしい演出や
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.4

歌手と不倫している男が彼女に接近するため、彼女の夫に運び屋業を依頼して二人きりになろうとするお話

タル・ベーラ監督の原型が垣間見えて面白い。途方もない長回しとバチバチにキマった画作り、終末感や厭世的
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ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

4.3

フランス大統領選の決着日、シングルマザーのテレビレポーターの前に彼女の元夫が子供の面会を求めて現れて......というお話

フランスの大統領選の様子がそのまま収められたドキュメンタリーと夫婦喧嘩のフ
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あしたの空模様(2022年製作の映画)

3.8

哲学専攻の教授である東ドイツ出身の女性が実家に帰省したことで、自分の生き方を見つめ直すことになるお話

東西ドイツの格差、世代間の格差、都会と地方の格差...など、様々な格差による障害が浮き彫りにされ
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青春神話(1992年製作の映画)

4.3

予備校に通う受験生の少年と不良少年が夜の台湾の街で生きるお話

最初に見たツァイ・ミンリャン監督作が『日子』だったこともあり、『日子』のようなクソ長い長回しは無く固定ショットを中心に淡々と描いていく感
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100人の子供たちが列車を待っている(1988年製作の映画)

4.3

ピノチェト軍事独裁政権下のチリで映画に触れたことない子供達に向けて映画制作のワークショップを行うお話

映画の原初的な体験が思い起こされて面白い。「映画」がどのようにして作られたのかについて映画史を中
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トランストリップ(2013年製作の映画)

4.5

「従姉妹の友達」に囲まれて気まずい旅をすることになるも、周囲との関係は次第に悪化していき、精神が不安定になっていくお話

セバスチャン・シルヴァ監督作の中で唯一日本上陸している本作。「気まずい関係性の
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宇宙へのフロンティア(1988年製作の映画)

4.7

アポロ計画のアーカイブ映像を繋ぎ合わせたドキュメンタリー

原題の『For All Mankind』とジャケ写がカッコ良すぎて痺れる。「全ての人類のために」って言葉と月面を歩く人間!これだけでもカッコ
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歩みつつ垣間見た美しい時の数々(2000年製作の映画)

5.0

ジョナス・メカス監督が撮り溜めた映像を繋ぎ合わせた映像集

大学に合格したので4月から「受験終わったら絶対に見るぞ!」と心に決めていた本作を鑑賞。
ジョナス・メカス監督による5時間の映像日記。映される
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

独身童貞全裸中年男性のボーが母親が亡くなったという知らせを受けて家に帰ろうとするお話

日本上陸前から散々「普通につまらん」「退屈」と聞いていたおかげからなのか、予想以上に普通に楽しめた。
中盤からの
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.2

大ベストセラーのスパイ小説の物語が現実でもそのままの形で起こっており、小説の作者はスパイから命を狙われるようになるのだが...というお話

物語の導入、そして二転三転する展開は面白く最後まで楽しめるの
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ある日、ピナが…(1983年製作の映画)

4.1

ある劇団のリハーサルと本番をシャンタル・アケルマン監督が撮影したドキュメンタリー映画

「ピナ」は初めて見たのだが、普通に面白くて驚いた。リハーサルの場面の間髪入れない反復の動作が最高。身体表現を美し
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.2

自作で主人公を演じた子役の生存確認をするために大地震直後のイランに訪れるお話

ドキュメンタリー的なフィクション映画。カメラの映し方や物語は劇映画のロードムービーなのだが、映画の舞台は実際に大地震が発
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.9

前作で誤ってマルチバースの扉を開いてしまい大変なことになるお話

マジで面白すぎて圧倒。アニメーション表現の暴力。前作スパイダーバースの続編としても完璧であり、しかも何度も何度も繰り返し語られ続けるス
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.6

不良少年が家族や教師に反抗しながら非行を繰り返すお話

初トリュフォー。リアリズム溢れる日常的な舞台(家、学校)と情趣溢れる映像で描かれる舞台(遊園地、夜中のパリ、海)の対比がバチバチにキマっていて滅
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.4

仕事をするのに不可欠な自転車が盗まれてしまったので自転車を探し回るお話

普通に面白い。国全体が病んでいることが痛切に伝わってくる。
「自転車が盗まれる」ことをわかっているからこそ、序盤の主人公が自転
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