hineさんの映画レビュー・感想・評価

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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

世界のどこか、あるいは心や頭のどこかにあるかもしれない本当に秘密の場所に触れるような体験だった。アナが駆けていく遠景が美しかった。

怪物(2023年製作の映画)

4.0

全員怪物だったし、人間だった。だけど、大人は皆、経験を重ねて知識や見識を拡げていってるはずなのに、とても視野が狭くなってしまうのだなと思った。
子供達の自由で、揺らぎのある視点に希望があった。美しかっ
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

悲劇がクライマックスではなく、それを受け止めていく物語なのが良かった。そして少年たちの遊びやふざけてるかんじの自然さ、表情だけで伝えるかんじがすごかった。
でも、死んでしまわなくてもよかったような気が
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.7

歌と演奏が、いちいち良くて笑った、小躍りした
各所の悲壮感のあるBarなどがカウリスマキ

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.4

ラストよすぎて声出た!
本当に、ただただ人としての失礼を詫びてほしいだけなのですよ…!、ということに尽きるのだけど、なんでそんな普通のことが、たかが性別の違いだけでこんなにも伝わらないのか。
性差を軽
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

ローファイな映像が好きだからとても癒されつつも、きっと悲しいことが起こるのだろうという不穏な予感で、終始ドキドキ、ビクビクしながら観ていた。
カラオケの痛々しさ、初日の窓越しの所作と最終日のダンスのチ
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あえかなる部屋 内藤礼と、光たち(2015年製作の映画)

3.5

内藤礼さんの言葉、人となりが作品そのもので、美しいと思った。

ある男(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

出演者はもちろん、カメラワークも素晴らしく、全く隙のない映画だった。
ただほんとに最後の蛇足があることで、重要なことすべてがぼやけてしまっている、というか、反転してしまってさえいると思った。
城戸の抱
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オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

5.0

自分てきに映画のなかのベストダンスシーンがこの冒頭のニナ。最高すぎる。
最後の長回しの美しさは、ありとあらゆる後悔や逡巡を描き出して抜け殻にしていくようだった。あまりに素晴らしくて頭を射抜かれたような
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.5

二度目の視聴。こんなにも、人生はままならないんだっけ、って、ガツンと殴られてしまったかんじ。
ある種観察的なカメラの視線が、時々とても冷たい。その距離感が良いのだけど。
実際の時代の空気が詰め込まれて
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ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド(2021年製作の映画)

3.0

スミスの楽曲や差し込まれたインタビューは楽しめた。実際の出来事(その出来事は超アツいのだけど)を元にしたらしいフィクションの部分はそこまでハマらず。
事実があまりに美しくユニークで、一見映えそうなのだ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.4

フィルムで撮られた明方の、あるいは夕暮れの、夜の、都会の曇り空の、街の明かりや遠景の電車、その空気の色がとても美しくて、映像が語ることの豊かさを思った。すごく耳を澄まして観る体験、ケイコのおそろしく静>>続きを読む

一番美しく(1944年製作の映画)

3.6

戦時下での国策のプロパガンダ映画とのことだけど、意図してか否か、人の可笑しみかわいさ美しさをドキュメントすることにフォーカスしたことで、この映画を戦争のものにさせない強さを感じた。
出演者は実際に作業
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.2

母が1人の人間であり女性であることに、あるとき気づき、関係性がかわることは自分にも経験がある。この映画ほど、素敵なことではなかったけど。
関係に変化が起きるときに信頼関係が揺らいで不安定になる。その繊
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もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.7

出来るようにしてきたんだよ、根性で!(うろ覚え)みたいなセリフに泣けてしまった。テンションとかつなぎ方がすごいので違和感は帳消しにされてる。スカッとする台詞いっぱいあってよかったし、結末への劇的な力技>>続きを読む

母性(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

淡々としているのがよかった。ルミ子は果たして幸福だったことのある人生だったのか、孫ができたら変わるのか。(報告の電話のトーン、ヒっ!って声出たくらい怖かった)
キティちゃんのくだりの勘違いはすごく切な
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.0

ご両親が最高だった。途中まではただ美しいなあ〜って一歩引いて見ていたけど、両親の目配せを感じ始め、父との話、そしてラストはとっても素晴らしかった。恋や愛の揺らぎや深さ、多様さ、変化を感じる奥行きがあっ>>続きを読む

ポルト(2016年製作の映画)

3.0

エンドロールがすんごく素敵だった。スペシャルサンクスシャンタルアケルマン。
時間が経って色々込み上げそうな映画だなと思うけど、男性の魅力が乏しすぎたので、いまのところ一晩の過ちってことだとしか。

万引き家族(2018年製作の映画)

4.6

安藤サクラさんがとんでもなく良くて思い出すだけで泣けるシーンがある。

宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.2

原作が好きだし、この監督の描く暴力、痛みは真摯で好き。
キャスティングも素晴らしかった。

ただ、ただただ原作に遜色ない印象だった。

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

3.0

ああこんなにも生きづらくこんなに血を流してたんだったね、ってなった。かつての自分への嫌悪や、ままならなさへの共感とかいろいろ相まって結構ハード。
尿漏れのシーンはさいこう。
家父長制が性別に依るものと
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.6

静かで優しく、何もない映画。何もないというのは、誰かをひどく傷つける悪意とかスリリングな秘密の暴露とか、そういうものがなく、ただ淡々と走馬灯のようにAIヤンが見た景色、音、光を、追体験する。劇映画的な>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

4.0

禿げの双子がトラウマになる。まじで最悪。すごく落ち込んだ。
でも、観賞後に調べてたら主演のコンユさんが企画して制作され、社会に作用した映画らしく、本当にすごいと思った。フィクションの力、映画の力を想う
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ゾディアック(2006年製作の映画)

3.1

実話をベースに、どこかにあるはずの真実に固執して狂っていってしまう人たちの話。わからないこと、解明できないこと、決着をつけられないことの求心力はすごいなと思った。恐れ入った、そして長い!

ファーザー(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

すべての葉が散っていくようにって言ったラストでどうしよもなくグワって泣いてしまって、最後の最後のカメラワークが素晴らし過ぎた
静かですごくよくできた映画だと思った。
赤ん坊が成長し、歳をとり、時間をか
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.0

人生が、どこまでも煮え切らず、ビビッドに最悪ってわけでもないのが最悪ってことか。
いろいろな問題などを示唆しながらも、物語が恋愛に収束していくのは少しもったいなかったように感じてしまった。
忍び込んだ
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さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

3.8

キャラクターの奇天烈さと、悲壮な物語のアンバランスさが不思議な映画だった。
ジーナの屈託ない笑顔が輝いてた。
親子の関係性においての"普通さ"(盲目的に親を信頼したり子供にプレゼントをあげたり)が揺さ
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I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)

4.2

素晴らしかった。どこも重なるところはないけど、どこを切ってもわたしだし私たちだしあなただしあなたたちでもあるなって思えてすごい。
音楽が先行でも音楽が干渉しすぎず、感傷的すぎず、ときどきちゃんとただの
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20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.5

トーキングヘッズのレコードで踊るシーンが最高だった。
ジュリーのオーガズムの質問への答えが痛々しくてでもものすごく若く、圧倒的にキラキラしてて、すごかった。(そういうことを好きな異性に聞けるジェイミー
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人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

3.8

花火、フロイトの仮装、ローラースケート、真夜中の落書き行為(ヴァンダリズムは好き?って、なんてわくわくする誘い文句!)向かい合わせて行う電話のシュミレーションなど、絵になるカットが多くて観ていて楽しか>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

すごく良かった。
ジョニーはジェシーとヴィヴの関係を通して、自分と母の関係についても追体験しているように見えた。
人間みな、宇宙の迷子なんだよなーって改めて思えて、自分も子供の頃に感じたあの、必要な寂
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オーファンズ・ブルース(2018年製作の映画)

4.5

日本映画(というくくりでいいのかわからないけど、少なくとも日本の大学の卒制で撮られた)を観てこんな気持ちになれるなんて最高すぎた。
どこでもないアジアのどこかで、関わり合うひとたちがちゃんと傷ついて、
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

この物語はある種のファンタジーではあるけど、監督が繰り返し描いてる、掛け替えなさと、しかし取り替えることで取り返しが効くかもしれない「家族」の在り方への期待について、観覧車のシーンで、代わりに許す、と>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.5

ヘンテコな映画。走って走ってすれ違ってまた走って、鈍臭くて惨めで不完全な私たちはそれでもまた走っていつか出会うのかなーとか思った、ボーイミーツガールを通して歴史、時代との巡り合わせを描いているようで素>>続きを読む

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