yumaさんの映画レビュー・感想・評価

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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

5.0

 この世の限りの称賛の言葉をもっても尚、満足に評価することすら適わない作品である。
 如何なる批判や評論、幾年の歳月も本作を前に何も意味をなさず、常に是とし、映像という概念が失われる日までこれからも
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血は渇いてる(1960年製作の映画)

3.7

 改)大島渚のせいで憂き目にあった隠れた良作である。吉田喜重にしては珍しく脚本から胸踊る作品。大きなポスター広告として貼られ、剥がされるアイコンは未だに通用するだろうということに驚く。

女のみづうみ(1966年製作の映画)

3.6

 改)ある崖のシーンで左から唐突且緩慢に小舟が出てきた時、それをまさに恍惚とした目で眺め、ラストの絶妙な間に胸を鷲掴みにされた時、前で知らねえおっさんが「なんだこのつまんねぇ映画は!」って言ってた。

さらば夏の光(1968年製作の映画)

3.2

 改)「トゥー・ザ・ワンダー」日本語版である。ルベツキが高評価の現在よりも遥か昔に日本にもこのような映画が作られたことを誇りに思う。ニューローマもでてきたりとすっかり旅行気分を味わえる。一つ一つのカッ>>続きを読む

戒厳令(1973年製作の映画)

4.1

 改)脚本はなんと不条理劇作家の第一人者、別役実。主役は三國連太郎。元々の吉田喜重の鋭いカットは健在で、岡田茉莉子はなんと不在。異色の名作である。「右」も「左」もよく分からないが、この映像は、脚本は、>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

2.8

 改)ヘイトフルな8人はまだ結構だが、広告まで嘘をつくのは如何なものか。密室劇もクソもない。「事の始まり」までの緊張感は流石だが、タランティーノこんなんで満足すんなよ。

ブリングリング(2013年製作の映画)

2.3

 改)たしかに良いカットも沢山あったはずで、犯罪シーンの疾走感もあったはずで、小悪魔的なエマワトソンに幾度となく胸を撃ち抜かれたはずなのだが、後半の脚本・カメラワーク含めた無意味なグダグダで全てがぶち>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

4.2

 改)恐らくタチの中で最もポピュラーな作品。出てくるもの全てがなんともオシャレであり安藤忠雄が影響を受けたと言うのもわかる気がする。しかし、こんなにもオシャレでこんなにも面白くあるのに関わらず、いたっ>>続きを読む

十三人の刺客(2010年製作の映画)

2.6

 改)リメイク元鑑賞済み。
 吾郎ちゃんのハマり具合と松方弘樹の本気が良かった。が、それ以外は数年すると忘れてしまうレベルのものであった。CGの牛と岸部一徳・伊勢谷友介の絡みは完全な蛇足。

ノーカントリー(2007年製作の映画)

5.0

 改)原作「血と暴力の国」既読。
 今作はノーベル賞候補コーマック・マッカーシーとコーエン兄弟という巨匠が織り成した作品であり脚本映像共にケチのつけようもない傑作であると恥も気にせず言うことができる。
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聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)

3.1

 改)高尚な説法のような語りかけと極めて世俗的な場面。寡黙な男と感情を爆発させる女たち。大きな展開のないストーリーと絶えず揺れ動く画面。
好みならいざ知らず、その評価ですらかつてこれ程分かれる監督がい
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裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

4.3

 改)ホッブズ原作既読。 「ヨブ記」、「ミヒャエルコールハースの運命」未読。
 2016年、鑑賞した中で1番良かった。ストーリー、カメラ、演者全てのレ ベルが高くまさに珠玉の作品と言っていいだろう。「
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ヴェラの祈り(2007年製作の映画)

4.5

 改)原作ウィリアム・サロヤン「どこかで笑っている」未読。
舞台に現れた銃は必ず発射されねばならない、と言ったとはチェーホフである。
 この映像を撮るために用意されたストーリーである、とすら思えてしま
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サウンド・オブ・ノイズ(2010年製作の映画)

3.0

演出、演者、脚本、カメラ。予想外に良かった。残念ながら、「音楽テロ」が進めば進むほど'楽器"なるものは大掛かりな物になり、冒頭の様々な小道具、アイデアの詰まった音楽がスカスカな物へとなっていく。車>>続きを読む

バニーマン/鮮血のチェーンソー(2009年製作の映画)

1.8

光る物はあるが、それを埋め尽くす埃によりその光はかなり微弱な物にしか見えない。残念極まりないのがバニーマンの姿を見ることのない冒頭が1番良いということ。

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

4.1

傑作 「プレイタイム」、遺作 「パラード」の狭間の作品。
またまたなんとも洒落た映画であった。時たま、タチのショットではあまりないクローズもしくはバストショットが散りばめられている。主に渋滞中
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.3

「絵が綺麗」と言われるが、それは正しくない。ピンクのホテルや真っ赤なエレベーターなど、美術がとても良いのであり、カメラは小洒落た程度に良いだけだ。話はシンプルかつテンポ良く進むため、気軽に見ること>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

3.5

原作既読。
ある年代にとってはまさに青春映画代表ではないだろうか。そしてそれは自らにとっても例外ではない。
原作も非常に良いが、映画自体も負けず良かった。脚本もカメラも悪くなかった。キャス
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.0

イリャリトゥ好きとして正直、期待外れである。悪い作品でもないが、「名作!オススメ!」などと気軽に言える作品ではない。
拘っただけあり、映像は非常に綺麗ではあるが、残念ながら 綺麗な映像=名作
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悪の法則(2013年製作の映画)

3.5

原作脚本既読。
ノーベル賞候補、コーマック・マッカーシーが自ら脚本を売り込んだ。これだけで必見だ。マル(仏語で 悪)の世界でチーター、タトゥー、ナマズ(cat fish)とやたら猫を彷彿させる
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鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.5

まず監督・製作陣の熱意に賞賛の拍手を送らなければならない。そもそも予算が足りなければ工夫するしかなく、それを言い訳に作品の質を下げるなど言語道断だ。
ストップモーションや手作り感満載の美術が醸
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柘榴坂の仇討(2014年製作の映画)

1.2

原作未読。
何故このような作品が完成したのか、到底理解が及ばぬ程の作品であった。
まず、演者が演技というものを何も理解していない。皮肉なことに、藤竜也という良い演者を出すことで他の演者との決定
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犬神家の一族(1976年製作の映画)

3.6

娯楽サスペンスの金字塔。相も変わらずのシリーズ通しての俳優陣が素晴らしい。
日本一有名な死体を是非貴方も。

ヴィジット(2015年製作の映画)

2.6

流行りのPOVホラーである。怖がらせるべきところはきちんと見せ、恐れさせるべきところはきちんと不気味な絵にする。良くも悪くも教科書通りの普通のホラー映画であった。しかし、(脚本に捻りを加えている作>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

3.0

アラスカ・白夜・不眠・内務調査etc。話の種は非常に面白いが出来上がった脚本は妙にチグハグである。ストレートな脚本の中に種が多すぎるのだ。
霧・ゴミ捨て場・氷河etc。いかにも良い絵が撮れそう
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グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)

1.8

こんなフルCGマジック映画を見るのならば、Mr.マリックのDVDを見た方が良かったんじゃないかと後悔してしまった。CGで豪華なマジックが出来るからといって、あんな演出じゃ否が応でも観客は第四の壁を>>続きを読む

Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!(2007年製作の映画)

2.3

これはこれとしてある意味「正統派」なのだろうが、ジャック・タチのオマージュはもっと徹底的にやらねば、ただのパクりと言われても仕方がないだろう。エマ・ドゥ・コーヌの健康的な役柄は見ていて清々しかった>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

3.5

原作未読。
ヘレナ・ボナム・カーターがとても良かった。ブラピもノートンもそこまで演技が上手くなかったのもあり(ラストシーンなんて本当に見ていて腹が立ってしまった...)、完全にもってかれている。素
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.2

ダルデンヌはドキュメンタリー出身というこもあってか、常に社会問題を取り上げる。だが、描くのは政府や大企業ではなく常に主人公とその家族である。今作は父と子、子と母をある種のテーマにしている。オシャレ>>続きを読む

八つ墓村(1996年製作の映画)

3.1

原作未読。
日本家屋を撮らせると右に出る者がいない市川崑。全体的に彼のカットが抑制されているのが個人的には残念。そしてトヨエツはドヤ演技が多くそれもまた個人的には残念。しかし、脇を固める俳優陣は良かっ
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セッション(2014年製作の映画)

3.4

猿でも楽しめるのではないか。それほど世間は迎合するであろう作品だ。良い点は主人公の楽器が「ドラム」であることに尽きる。このことに比べて仕舞えば、講師が鬼かどうかなど最早どうでも良いのだ。ドラムが選>>続きを読む

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

1.6

ただノーランのバットマンが好きだっただけで、なんの予備知識も持たずに映画館に行った自分が悪いのです。ごめんなさい。にしても、まるで名義貸しのような 製作総指揮 とかいうポスト、そろそろやめませんか>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

5.0

「エドワード・ヤンの遺作」ただそれだけでも個人的には傑作というレッテルを貼りたいぐらいだ。カットも構図も、そして相変わらずのガラスの使い方、スパイスとしてのゾッとさせる演出もエドワード・ヤンが表現>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

5.0

傑作だ。本作を見る以前の人生を無駄に感じる程に。その他の芸術と同じように、世に完璧な物など存在しないのかもしれない。しかし、その前提をもってしてもこの作品は完璧としか形容できないのである。全てのカ>>続きを読む

罪の手ざわり(2013年製作の映画)

4.1

「こう来たか、ジャ・ジャンクー!」というのが初見の印象。インタビューでの武侠映画を撮りたいの言葉通り、「その箇所」ではそれまでの長回しを忘れ、物凄く早いカット、演者たちのそれを意識した演技など、い>>続きを読む

トニー滝谷(2004年製作の映画)

4.0

最近巷で腐る程目にする○○原作という映画の1つ。大抵こういった類の映画は原作の良し悪しに限らず、原作ありきの映画であり、原作に沿ってただ猿がカメラを回すものばかりだ。私自身酷く嫌悪し、毛嫌いする。>>続きを読む

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