DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

『「戦場のメリークリスマス」は俺だけになってしまいました。』

北野武さんのこんな言葉を聞いたら再鑑賞せずにはいられない。ボウイ、教授、ビートたけしという中学生当時の自分のヒーロー揃い踏み。もちろん観
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

5.0

素晴らしすぎた。実は「デヴィッド・ボウイ」というキャラクターを終わらせただけでボウイ本人は生きていて、この作品のディレクションをしたのではと思ってしまうほどに「デヴィッド・ボウイ総仕上げ」だった。>>続きを読む

小さな中国のお針子(2002年製作の映画)

3.8

1968年中国。「再教育」のため、山深い村へ送られたマーとルオ。村の美しいお針子との出会い。青年2人に美女1人とくれば物語が生まれるのは必然ですが、終始詩的で俗っぽさは皆無。

まるで山水画のような雄
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北京の自転車(2000年製作の映画)

3.6

北京へ出稼ぎにやってきた17歳の少年グイ。配達便の会社から支給された大切な自転車を盗まれてしまう。

グイの大切な自転車を盗んだ犯人と思しき高校生のジェンを憎々しく思っていると、ジェンの方にも切なすぎ
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.6

傑作。メインターゲットは主人公ブリジットと同世代の30代女性かと思うのですが男性こそ観るべき。妊娠、出産、育児においてはやはり心身ともに女性の負担が圧倒的。男性のお気楽さ、身勝手さ、無神経さが良く伝わ>>続きを読む

在りし日の歌(2019年製作の映画)

5.0

大傑作。一人っ子政策が進む1980年代の中国。一人息子を事故で失った夫婦を巡る30年。乗り越えるにはあまりにも辛い出来事。しかし人生は進む。どんな時も救いは自分の中から生み出すものなのかも知れない。>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

なんせ前作が「無人島に流れ着いた一人の男が水死体を便利機能満載の十徳ナイフのように使い脱出を試みる」という常軌を逸した作品だった「ダニエルズ」の新作なのでアカデミー最多7部門受賞はかなり驚いた。しかし>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

5.0

開始約5分のほんの何気ないシーンで涙が出そうになり、自分でも何故?と思いつつ観進めると徐々にその理由が明らかになり鳥肌。からの嗚咽。以降ラストまでぞわぞわが止まらなかった。「燃ゆる女の肖像」も素晴らし>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.1

このところ立て続けに著名監督が自伝的作品を公開していますがついにスピルバーグ監督も。

夢に向かって一直線的エンタメに振ってくるかと思いきや「家族」にフォーカスした滋味深い成長譚。そしておそらくとても
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.8

原作がずっと気になっているのですがなかなか読めないので先に鑑賞。

思いの外恋愛ものだなと呑気に鑑賞しているととんでもないところに連れて行かれた。横暴な父、身勝手な彼氏等フェミニズムを描きつつ、味わい
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

5.0

「知ってるつもりで知らない物語だ」

デル・トロ監督のこの一言につきる大傑作。知ってるつもりの「ピノキオ」がこんなにも深い物語だったとは。この作品を撮れるのはティム・バートン監督かデル・トロ監督しかい
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バビロン(2021年製作の映画)

4.5

1920年代のハリウッド。サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。

冒頭からとんでもない映像と怒涛の展開。前席の「『ラ・ラ・ランド』大好きだしバレンタインデーだから来ましたぁ」みたいな
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

1923年アイルランドの孤島。長年の親友コルム(ブレンダン・グリーソン)に突然絶縁宣言されるパードリック(コリン・ファレル)。

なんという切なさ。島民全員が顔見知りの孤島、内戦の続くアイルランド本島
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

4.5

長らく公開延期となっていたロウ・イエ監督待望の新作をようやく。面白かった!いや実話ベースと考えると面白いというのは不適切なほどの地獄絵図。

時間軸を巧みに操り緊張感が途切れない展開、ドローン撮影大量
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

4.0

初めて観た映画に魅了されたチャイ売りの少年サマイ。映写技師ファザルと親しくなり映写室からこっそり見せてもらう。

少年と映写技師の物語といったら真っ先にあの名作を想起しますが、パン・ナリン監督自身の経
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

5.0

敬愛してやまない音楽家エンニオ・モリコーネのドキュメンタリーを同じく敬愛する映画監督ジュゼッペ・トルナトーレが撮るのですから初日鑑賞するしかない。とても丁寧で愛情に満ちた仕上がり。音楽家の末席を汚す者>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.5

奔放な30歳ユリヤの恋愛とキャリア。

劇場に行きそびれてしまった作品をようやく。128分間毎秒が面白かった。人生において恋愛はとても大切だけど軸にはならないというかしてはいけないというか。しかしそれ
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台北ストーリー(1985年製作の映画)

3.6

この臨場感、空気感。飲み明かして友人宅で目覚めたあの気だるさまで蘇る。経済成長の中、変わってゆく台北と真綿で首を締めるように悪くなっていく二人の関係。カメラワーク、日本のCMの使い方等ストーリーが淡々>>続きを読む

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)

3.2

実写映像をトレースしてアニメーション化するという気が遠くなるような手法で制作された驚異の作品。確かにそのヌルヌルとした動きとドラッギーな内容がとてもマッチし効果的。しかし長年ウィノナ・ライダーファンの>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.5

キリスト教の要素が散りばめられているのは明らかなので強烈な聖書メタファーのダーレン・アロノフスキー監督『マザー!』を想起しますが、監督いわくそこまでの寓意はなく「今の時代の新しい神話を作ろうとしていた>>続きを読む

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

5.0

魔法と悪夢と『8 1/2』。

昨年鑑賞していたら確実にベスト10入りしていた。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督なりの自伝的作品。
思わず声が出てしまう圧巻の映像美、示唆に富む台詞満載。
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ドリアン ドリアン(2000年製作の映画)

3.8

中国の農村牡丹江から香港へ出稼ぎにやってきたデリバリーヘルス嬢のイェン。就労ビザの期限が。

ひとつの小道具が全編通してポイントとなる作品は基本好きですがタイトル通りそれが臭いフルーツでお馴染みのドリ
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.3

莫大な借金を抱えるラヒムが金貨が入ったバッグを拾うと思わぬ展開に。

さまざまな立場の人々。皆少しずつ弱くて狡い。演出がとてもリアル。子供の心がずたずたになる作品は本当にきついのだけど、決してただの鬱
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.2

壮大かつ難解なSF大作という皮を剥ぎ取るととてもパーソナルで切ない人間ドラマが現れる。
このラスト、マイオールタイム・ベストである「未来世紀ブラジル」も完全にインスパイアされてるではありませんか。
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ブライアン・ウィルソン/約束の旅路(2021年製作の映画)

5.0

「ザ・ビーチ・ボーイズ」のブライアン・ウィルソン初のドキュメンタリー。

多大なプレッシャー、怪しい精神科医による洗脳、父、兄弟との確執、精神疾患等々、文字通り波乱万丈の半生。

ときには涙を流し終始
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ペルシャン・レッスン 戦場の教室(2020年製作の映画)

5.0

傑作超えて名作。短編小説から着想を得たとのことですが徹底したリサーチによりとにかくリアルで重厚。実際にジルのような機転で命をつないだ人々は多数存在するはずで、あながちフィクションとはいえない。重い題材>>続きを読む

冬の小鳥(2009年製作の映画)

5.0

父親に捨てられ孤児院に入れられた9歳の少女ジニ。ウニー・ルコント監督の自伝的作品。
弱い。こういう作品に滅法弱い。

以下ネタバレにつきコメント欄にて。

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

4.0

敬愛するアレックス・ガーランド監督新作。

過激な描写でエモーショナルな物語を描くのがトレンドなのでしょうか。「ハッチング―孵化―」や「TITANE/チタン」に似た質感ながら気持ち悪さが一周して気持ち
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スウィート・シング(2020年製作の映画)

4.2

素晴らしかった。

身勝手な大人に振り回される15歳の少女ビリーと11歳の弟ニコ。

ギリギリの生活、ギリギリの愛情、ギリギリの命。理不尽の極みながらスタイリッシュな映像美とファンタジックな演出に救わ
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ブラック・リスト(1995年製作の映画)

3.8

2021年12月に急逝してしまったジャン=マルク・ヴァレ監督デビュー作。Amazon Prime配信に心より感謝。作品ごとにテーマは異なっても「人間の本質」を深く鋭く描くのがマルク・ヴァレ監督。このデ>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.8

自分の車に人を誘い入れてはある奇妙な依頼をする中年男のバディ。

これまでに観たアッバス・キアロスタミ作品の中でもっとも重く切ない。明るい未来の見えづらい現在、投げかけられるものが大きい。「生きること
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.3

良さしかなかった。

タイトルからホウ・シャオシェン監督の「冬冬の夏休み」拡張版的作品を想像していましたがまるで違い、ヤンヤン含む家族の群像劇。原題は「A ONE AND A TWO」でヤンヤンのヤの
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