DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.0

可愛らしいタイトルとキービジュアルからは想像出来ない重さ。「中学生の恋愛」なんて甘酸っぱいものではない衝撃的性描写。

自分の中に湧き上がるモヤモヤに対処できないあの時期の感覚、田舎町の閉塞感、素晴ら
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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

3.9

細野さんによるサントラは聴きまくったものの映画を観ていないことに気づき鑑賞。予想より宗教色が強かったが寂寥感に満ちた映像美とエモーショナルな物語により鼻白むことはまるでなく、この世界観に入り込んだ。そ>>続きを読む

星空(2011年製作の映画)

5.0

孤独を抱えた13歳の少女と心を見せない転校生の少年。

こんなに素晴らしい物語の原作が絵本であることが驚き。それぐらい揺さぶられた。ファーストカットから好きを確信、その後も思わず声が出そうな演出目白押
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

優しすぎる世界。ラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)と9歳の甥っ子ジェシー(ウディ・ノーマン)の共同生活。ジョニーのインタビューに答える子どもたち。台本なしというリアルな言葉が刺さ>>続きを読む

ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

4.2

じっくり行間を読ませてくれるとても好きなタイプの作品。車中生活の男性フォン、おそらくアスペルガー症候群の少年リー、謎めく美女シュー。台湾の都市台北に暮らす三人それぞれの背景はほとんど明らかにされないが>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

4.0

かつての「渋谷系」がそうだったように、おしゃれイメージが先行するものには強烈な拒絶反応を示す人間なのでウォン・カーウァイ監督もその一派と認識、これまで完全にスルーだった。先日何かのきっかけで「実は自分>>続きを読む

つみきのいえ(2008年製作の映画)

3.8

歳を重ねれば重ねるほど沁みる短編。
10年に一度観たい。

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

5.0

⼥⼦⾼⽣いじめ⾃殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇⼦。

紛れもない大傑作ながら少なくともここ10年で一番ではと思うほど全方位にヘヴィで一度では受け止め切れない。緻密なシナリオが圧巻。主演
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.7

家族で唯一の健聴者17歳のルビー。歌の才能が開花するが家族にその歌声は届かない。

文句なしの素晴らしさ。物語はもちろんのこと素晴らしい演出の数々に劇場で嗚咽をこらえるのに必死。聴覚障害を軸としつつも
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アネット(2021年製作の映画)

4.0

解釈後回しで没入させられる異界ロックオペラミュージカル。鳥肌ものの素晴らしさのオープニング、現実と非現実の交錯、スパークスによる音楽、ドニ・ラヴァンに比肩する存在感を放つアダム・ドライヴァー。抽象的な>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.1

ファンタジー要素ほぼ皆無のデルトロ流ノワール。怪しげなカーニバルやサーカスが登場する作品は大好物なので完璧主義全開の映像だけでも大満足。まるで童話のような寓意に満ちた人間ドラマ。デルトロ監督一流の胸を>>続きを読む

アメリカから来た少女/アメリカン・ガール(2021年製作の映画)

3.9

SARSが猛威を振るう2003年、アメリカから台湾に帰還した13歳の少女と家族。

夫婦、親子、姉妹それぞれの「ボタンの掛け違い」を丁寧に描いた作品。監督の半自伝的でもあるそうでとてもリアル。掛け違い
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空白(2021年製作の映画)

4.4

とてもキツい。けれど大傑作。まずもって脚本が素晴らしすぎる。そしてそれを表現しきるメインキャストの皆さん。中盤まで着地点がまるで読めない不安。そこから登場人物それぞれの感情の吐露にぎゅっと掴まれる。古>>続きを読む

ティコ・ムーン(1997年製作の映画)

3.9

「バンカー・パレス・ホテル」がとても好みだったエンキ・ビラル監督作。近未来の月面都市、半分になったエッフェル塔、新しい凱旋門、そんな世界観に萌える自分と同類の方なら没入請け合い。「バンカー・パレス・ホ>>続きを読む

7番房の奇跡(2013年製作の映画)

4.4

無実の罪で投獄された知的年齢6歳の父親とひとり残された幼い娘。

こうした作品を描かせたら本当に韓国は巧い。いいように泣かされた。正直かなりの鬱作品であるはずなのにコメディ色強めでほっこり。だからこそ
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I am Sam アイ・アム・サム(2001年製作の映画)

3.3

ちょっとひくぐらいに巧い幼きダコタ・ファニングと安定の天才ショーン・ペン。自分には若干「美しすぎる」のだけど非の打ち所のない名作。物語はもちろんのことサントラが素晴らしすぎるんです。ビートルズの名曲た>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

刺さりすぎた。村上春樹作品が好きすぎる僕はこれまで意識的に原作映画はスルーしてきた。きっと文句しか言わないから。しかし先ごろ見た同監督の「偶然と想像」が素晴らしかったのでこれは観てみたいと。

潔癖に
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

4.0

「君が描くものは君自身だ 模倣するな」

ゴッホの生きた世界を追体験するような作品。ここまで絶望的な孤独だったとは。過去の大傑作『潜水服は蝶の夢を見る』同様自己に閉じ込められるような世界描くのが本当に
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パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE(2013年製作の映画)

5.0

軽い気持ちで観たら大変な目にあった。バンドが終焉へ向かうきっかけとなった全都道府県113本のツアードキュメンタリー。フジロックで打ちのめされた時の吉井氏の表情よ。今のバンドマンはロジカルでスマートなの>>続きを読む

ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.1

スウェーデン帰りのデザイナージーンはタイでミニマルライフを目指す。

素晴らしかった。なんと言っても苦々しいを通り越して忌ま忌ましい存在の「ときめく片付け」の人を痛烈に叩き切ってくれているのがもう喝采
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.3

兄弟、親子、夫婦、ホモソーシャル、それぞれの物語を画面の向こう側に観せてくれる奥行きが素晴らしい。しかもゾッとするような驚きもある見応え。モンタナの大自然の中で繰り広げられる小さすぎる人間たちの営み。>>続きを読む

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.0

仕事の重圧で心が疲弊しきった映像作家のクレイグ・フォスターと1匹のタコの約1年間にわたる交流を描いたドキュメンタリー。

これはもやはラブストーリー。単なる記録に留まらない深遠で感動的な世界。タコがこ
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オールド(2021年製作の映画)

3.4

ようやく「シックスセンス」の亡霊から解き放たれた気がしている。
しばらく立ち上がれないほど感動してしまったあの作品。
よってそれ以降ずっと残念な監督。
シャマラン監督ははじめから感動させるつもりなどな
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少年の君(2019年製作の映画)

4.3

進学校に通う高校3年生のチェン・ニェンと不良少年シャオベイの出逢い。

「ソウルメイト/七月と安生」があまりにも素晴らしかったので続けてデレク・ツァン監督最新作。負けず劣らずの傑作。「ソウルメイト」同
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

5.0

幼馴染の大親友安生(アンシェン)と七月(チーユエ)の物語。

大号泣の大傑作。友情を超えて繋がる二人の女性を巡る人生のうねり。

映像から音楽まですべてが素晴らしいのですが、主演のチョウ・ドンユィさん
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オラシオ(2019年製作の映画)

3.1

似たような事件はここ日本でも定期的に報じられる。そうしたニュースを聞いた時のあのもやもやがわずか10分間に封じ込められている。色調がカラフルなので余計に際立つ不穏。巧い。

子ぐま(2021年製作の映画)

4.0

毎夜ベッドを抜け出し町を彷徨ってしまう夢遊病の少女愛称「子ぐま」。

27分のショートムービーながら美しい映像と秀逸なアイデアで見応え充分。大好きな世界。ボーイフレンドのジョルダンくんもとても可愛らし
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ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

4.2


傑作。ニーナ・シモンの歌声が聴こえてきそうな格好良すぎるテーマソングからがっつり掴まれる。

「あなたもじき分かる 子育ての責任て人を押しつぶすのよ」

「母性」に焦点をあてたような珍しい切り口。日
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アリスの空(2020年製作の映画)

4.9

早くも今年のベストムービーに出会った予感。レトロかつカラフルな色調、ストップモーションアニメやチープな合成も交える映像センス、コミカルかつロマンティックな展開も音楽も素敵すぎて我ながら気持ち悪いぐらい>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.3

前情報一切入れずの鑑賞でしたが監督が「ウィッチ」のロバート・エガースということである種の覚悟は出来ていたのかもしれない。出来ていてよかった、という作品。あらゆるネタバレ回避で述べますと凄くきつい、しか>>続きを読む