シシオリシンシさんの映画レビュー・感想・評価

シシオリシンシ

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない
(『堕落論』著:坂口安
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

4.3

※ご覧の映画は『猿の惑星』でも『北斗の拳』でも『マッドマックス』でもありません。ゴジラ映画最新作です。
映画を観ている間そんな注釈が流れてきそうなほどの『世紀末救世ゴリラ伝』なキングコング映画だった。
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.3

サイコパスな大人VS天才中学生(+友人とその義妹)というキャッチーで刺激的な題材を下敷きに、思わぬ方向へと物語が転がっていくジュブナイルスリラー。

舞台である沖縄の無国籍なロケーションが90年代ごろ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

粒子の粗い16mmフィルムが映し出すのは、一見すると地味だけど心の深いところで静かに優しく響く温かな物語。
この作品の舞台は坂が印象に残るだけのありふれた町だが、そんなちょっと不便な町を自転車で下った
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.5

「めっちゃおもろ!!」って上映後に言いたくなるスパイアクション映画。いや、どんでん返しが連続しまくるツイストアクションムービーと私は評したい。

予告編ではスパイものというのは分かるけど地味そうな印象
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仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング(2024年製作の映画)

4.3

TVシリーズのアフターストーリーとして十分に満足感を得られる秀作。TV版より一歩進めたテーマの脚本と役者陣の一年間の成長の集大成、そして坂本浩一監督によるダイナミックなアクションを一挙に堪能できる濃密>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.5

組長が仕切るカラオケ大会でビリの最悪の罰ゲームを回避したいヤクザの狂児と、合唱部部長でボーイソプラノの美声を持つ思春期中学男子の聡実くんが(半ば強引に)出会い、狂児の「カラオケ行こ?」の一言で歌の上達>>続きを読む

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突(2024年製作の映画)

4.5

予算をしっかり使ったミニチュア特撮をスクリーンいっぱいに堪能できる懐かしくも新しい怪獣活劇映画。

アナログ特撮の旗本である日本でさえCGやVFXが次第に主流になりつつある昨今、「ミニチュアを無礼るな
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仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド(2024年製作の映画)

4.4

20年目だからこその挑戦的な試みをしつつ、予想を裏切り、しかしファンの期待は裏切らない。まさに仮面ライダーファイズへの愛に溢れた作品になっていたと思う。

ファイズの主題である「異形の者(オルフェノク
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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

4.8

最上級のファンサービスとカッコよさに極フリしたエンタメ性全開の超・超・楽しいガンダム映画!
ガンダムの劇場版と言えばTVから一歩踏み込んだ壮大なテーマ性とか大人が考えさせられる背伸びしたドラマ性とか、
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千年女優(2001年製作の映画)

4.6

大女優・藤原千代子がひたむきに追いかけた"恋"という名の呪いと祝福に彩られた人生を、虚構と現実を織り交ぜた幻想的な表現で語る映像歳時記。

以前からずっと気になっていた作品だったが、ずっと見る機会を逃
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さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 4Kリマスター(1978年製作の映画)

4.0

4Kリマスター版公開に伴い劇場にて観賞。
前回の劇場版同様、初見での感想となる。

滅びの美学と人間愛がスクリーンから決壊するほどに溢れ出ており、間を持たせた情感たっぷりの演出は観ている側に多大なエネ
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宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター (1977年初公開版)(1977年製作の映画)

4.0

SFアニメの古典的金字塔たるヤマトであるが、平成初期生まれの私にとってのヤマトは小学生のころCS放送されていた無印TV版を飛び飛びで見ていた記憶やバラエティの懐かしアニメ名場面で見た程度で、物語のイロ>>続きを読む

BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)

4.0

無限のリヴァイアス
スクライド
プラネテス
ガン×ソード
いずれも我が人生のオールタイムベストに名を連ねるアニメだが、これらの作品はほぼ全て一人の監督の下で生み出された。本作の監督、谷口悟朗である。
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.3

第6期鬼太郎のスタッフ・キャストが再集結したシリーズ前日譚。因習村モノの要素をベースにおぞましき人の業を描いたサスペンスドラマ。

「真に恐ろしいのは妖怪ではなく人間」というのが第6期で終盤に至るまで
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.6

私的2023年公開映画のダークホース作品。見ている間は生き生きとしたアニメーション表現に多幸感を感じ、観賞後は心に重く響く共鳴を残す、紛れもない傑作アニメーション映画である。

物語前半は戦時下でもま
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.8

MCUとしては久々のクロスオーバーメインの作品。
とはいえ最低限『キャプテン・マーベル』だけを見ても成立するようには作られており、ファニーでポップな雰囲気の大作然としてない小品映画で久々に気軽に楽しめ
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.7

ジブリから暖簾分けしたアニメ会社スタジオポノックの第二回長編作品。イマジナリーフレンドを題材にした作品で予告の印象が良かったので期待していた。しかし前作『メアリと魔女の花』が私的に虚無感しかない"がら>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.9

うつけ者どもの残酷無比な天下取りの有り様をブラックユーモアで物語る群像劇。
豪華俳優人、リッチな画作り、豪奢な合戦シーン、強烈にデフォルメされた武将のキャラクター性など、ビックバジェット向けにマーケテ
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駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

4.1

P.A.WORKS制作の「お仕事シリーズ」の最新作。当方、このお仕事シリーズと呼ばれるアニメ作品は殆どのシリーズを追うくらいにはファンなので、一定の期待値を持って今回観賞に臨んだ。

駒田蒸留所の若き
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デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING(2023年製作の映画)

3.8

本来、多くのファンが期待していたであろうアフターストーリーとはかなり性質の違った続編になっていて凄く困惑した、というのが正直な感想。

しかしこの02、期待と違った劇場版が公開されたことには前例があり
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.9

シン・ゴジラより約7年ぶりの国産特撮ゴジラがついに公開。監督は日本VFX界のトップランナー・山崎貴監督。
シン・ゴジラ後という課せられた高きハードルと山崎監督のフィルモグラフィーの良し悪しから、公開前
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(2023年製作の映画)

4.2

実際の障害者施設での惨劇をモチーフとした社会派ノワール。ここで描かれる犯人の動機や人物造形は実際のものと似て非なるものなので、一創作物(完全なるフィクション)として評価する。

主人公の洋子は元ベスト
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.0

実話を元にしたモータースポーツのサクセスストーリー。
映画としては実に王道な作りで余計な寄り道をせず主人公の成功と挫折、成長と再起、そして栄冠をつかむまでの過程をてらいなくエンタメチックに描いている。
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

本作は岡田麿里という作家の持つイメージを純度100%でアウトプットした映画であるため好き嫌いは分かれる作品になると思われるが、私は良い方向に刺さった映画になった。

現実世界から隔絶された工場町が少女
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.1

エクソシスト映画というジャンルにおいて「キャラ萌え」と「お仕事ムービー」の要素が特に強調されたフレッシュな映画になっている。

実在した主席祓魔師(チーフエクソシスト)ガブリエーレ・アモルト神父を主人
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映画 仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐(2023年製作の映画)

3.6

肩の力を抜いて楽しめるベーシックな娯楽作。
TV本編がシリアスなターンに入っているので、コミカル寄りな今回の劇場版は箸休めにちょうどいい番外編に仕上がっていた。

ジーン(というより鈴木福)が我々観客
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怪物(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

私が邦画において面白さに信頼の置ける監督の一人、是枝監督の最新作。
人間ドラマとミステリーと少年の瑞々しさと危うさが漂うドラマとを高水準の構成でまとめあげ、密度がギュッと詰まった噛み応えのある秀作にな
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

宣伝や事前情報ほぼゼロという前代未聞の上映形態。この映画史に残る祭りに参加しなければ映画好きの名がすたると思ってどうにか事前情報無しで観賞。

で、観終えた感想は、何かを伝えようとしてるのかは分かるが
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.1

本作は何より映像が美しすぎる。
グラフィックノベルのアニメ化として前作以上の芸術性とクオリティ。
風景やアクション、注釈にオノマトペ、それぞれのアースの描き分け、キャラクターの心情描写でさえも絵と色彩
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.2

4DX2D吹替で観賞。
実質DCEUの最終作になる作品。
製作に時間をかけただけあってアクションもりもり、クロスオーバーしまくり、サプライズキャストに驚き、結果として高水準なエンターテイメント映画に仕
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暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ドンブラザーズは全話視聴済み、ゼンカイジャーはカシワモチワルドの回まで視聴済みの状態での評価。

スーパー戦隊恒例のVSシリーズだが今回はクロスオーバーは控えめ。前半ゼンカイジャーのお話、後半ドンブラ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.3

気持ち良くて後腐れのない、心スッキリな完結編。
三部作の完結編としても娯楽作としても高水準にまとめ上げた秀作。

GotGシリーズはMCUという大きな流れにありながら、その流れに呑まれることなく娯楽作
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映画刀剣乱舞-黎明-(2023年製作の映画)

3.4

一言で言うなら「平成ライダーの春映画」。
大味な脚本やメタ展開、大きく広げた風呂敷を力業で回収するストーリーなど、今や懐かしさを感じるオールライダー系の春映画を思い起こさせる映画だった。つまり完成度は
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映画 刀剣乱舞-継承-(2019年製作の映画)

4.3

2019年公開映画のダークホース。ファン向けの実写映画にとどまらない「知られざる歴史暴き映画」として完成度の高い秀作。

本作の良点は舞台版の配役をそのまま続投したこと。演者は自身が演じるキャラクター
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.7

18才の若きジャズプレーヤーたちの1年半の刹那の記録。音楽映画というジャンルにおいて、まごうことなき傑作だ。

音響面は最強クラスに研ぎ澄まされた音を出しており、音の鳴り方に尋常ではないほど注力して作
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