Kawaguchiさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

Kawaguchi

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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

「魂の彷徨い」の話であり、「演技」についての話であり、「有害な男性性」の話でもある。

演じる事で、家福は赦され、物語・フィクションを通し、みさきは救われる。みさきは家福にとって、『ワーニャ叔父さん』
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ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

4.2

家父長制の解体と魔法の家の崩壊を重ね合わせ、軽やかに呪いを解いていく物語。家族とは、守るものではなくて、理解するものだよ。と。今年ベスト級に面白かったです。こういう物語を、子供の時に見たかったな。持た>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.1

監督クロエ・ジャオは、
長編2作目『ザ ライダー』で、頭を砕かれ人生そのものであった「馬に乗ること(ロデオ)」を、諦める選択をします。3作目、オスカーを取った『ノマドランド』は、サブプライムローンの崩
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.4

この1週間、この映画のことばかり考えていました。ラストショット、が一つ前で終わっていたら完璧だったのに、、と。でも、時間が経ってやっと咀嚼できてきた気がします。

「人間はクソだよ。どうしようもない」
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

4.1

フィクションを描く罪へのマーベルの自己批判とトランプ時代におけるフェイクニュースへの警笛

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.3

【大人になることについて】

本作は聴覚についての映画ですが、
それ以上に、「大人になること」ことについての普遍的な映画になっています。突発性難聴になった主人公のルーベンは必死に「音」を取り戻そうとし
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.9

移民、人種問題、ジェントリフィケーション、格差社会、様々な問題を抱えるNYの隅、ワシントンハイツから、音楽とフィクションで人間の尊厳を取り戻す、究極の移民賛歌でした。生活が踊る!大傑作!!!


8/
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少年の君(2019年製作の映画)

3.8

大前提として、中国で優れた映画や音楽、アートを作ることはかなり困難です。ご存知の通り、それは共産党や国や政策を批判することはタブーだからです。すべて検閲され、表現の幅は狭まってしまいます。時に、レンハ>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.2

「アメリ」と「アバウトタイム」を足して割ったような一本、前半はリズム良いコメディですが、後半はトーンが変わり、「喪失」を巡る旅に出かけます。エターナルサンシャインよろしく「私はきっと大丈夫。自分を愛し>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

4.3

意味があるのか、無いのかすら分からない会話劇から、本作の主人公ガミの実存的なテーマが浮かび上がる。これはなにかを決断する前の女の話。

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

4.0

主人公キクコにとって、肉子ちゃんは所謂『 キャッチャー・イン・ザ・ライ 』です。

サリンジャーのキャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)は、世の中が信じられない17歳の主人公ホールデンが
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.1

これは「風立ちぬ」でよね。
風立ちぬの二郎は戦争も直子もどうでもいいんです。美しいもの作ることしか興味がない、それが悪魔(カプローニ)との契約です。狂った人です。罪を背負う覚悟がなければ、大したことな
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.6

劇中にシェイクスピアのソネットがでてきます。
「君を夏の日にたとえようか
いや、君のほうがずっと美しく、おだやかだ
荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
なによりも夏はあまりにあっけなく去って
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.0

編集と松岡茉優がすごい。

自分は作り込まれた映画より、もっと余白がある映画が好みではあるのですが、本作はこれほどの登場人物がいて、話もある程度複雑なのに、それをうまくまとめた編集と脚本が凄すぎます。
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ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

4.0

誰しも分断されているこの時代に
相手を信じ、許すという高潔な行為を肯定してくれる素晴らしい映画に出会いました。(前半はやや説明的で退屈してしまいましたが)

「世界で一番嫌いな言葉は「許さない」という
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天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.2

ユートピアと人類の決裂を描いたバッドエンド。

人類のユートピアになり得た可能性のあるラピュタを、
人間の独善的な行いによって、人類と進歩的な文明は共存できず、穢れのない少年少女の手を借りて拒絶されて
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.0

印象的だったのは、楯の会(三島由紀夫が結成した右翼的集団)のメンバーだった人達は現在、良い暮らしをしていて、東大全共闘の人達は裕福ではなさそう。いつの時代もリベラルは貧しいんです。

シカゴ7裁判のサ
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.3

劇中、2人の会話に固有名詞がたくさん出てくるのいいですよね。それは、難病ものでもなく、貧富の差でもなく、第三者が2人の関係をかき乱すわけでなく、これは日常の話だから。

その固有名詞のチョイスが絶妙な
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ハッピー・バースデー 家族のいる時間(2019年製作の映画)

4.2

コピーと宣伝がダサすぎて、見る気を失せた方も多いんじゃないでしょうか。本作は 血の繋がった残酷さを執拗に描いたシニカルなコメディ映画です。笑えます。分かるよと、ずっと笑えます。

幸せを守るために問題
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風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.6

「風立ちぬ」の風とは、軽井沢で緑を揺らす様な、爽やかな風なんかではありません。宮崎駿は「3.11の原爆事故が起こった時の様な、爆風だ」と語っています。

日本がファシズムに向かっていく時代に、「戦争は
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

1.6

ハイコンテクスト化への反動

結論から言えば、わたしにこの作品は合いませんでした。
思ったことを全て話してしまう優しさ(ここでは優しさにします)・必殺技意外動きのない画が、ノイズで見ていられませんでし
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.4

2021/1/8追記

長女ギジョンだけは特別なんだよね。
彼女だけは、自分の能力で仕事を得て、真剣に教育に取り組み、それなりに成果もでてるんだと思います。しかし、最終的に彼女だけは殺されてしまいます
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.5

ピクサー版「千と千尋の神隠し」

魂が黄泉の国へ迷い込む楽しいストーリーですが、「生きる意味を見出せない22番と生きる目的に執着した主人公」の対比が面白いですね。グレートハンガー(大いなる渇き)のその
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

4.5

シネリーブル梅田で観てきました。凄まじい大傑作です。いまのところの個人的年間ベストです。

物語はハイコンテクスト過ぎるので、「市民ケーン」だけでなく、その背景も少し知っておいた方がいいかも知れません
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.4

主題はグローバリズムと環境破壊です。

たたら場は、独自のエコシステムとグローバリズムによって、栄えました。生活は豊かになり、寿命も伸びました。しかし、他の国との貿易と交渉に寄って、戦争が増えました。
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.3

ものすごいタイミングで、公開されますね。
明日の大統領選挙前に多くの方に見られる様に作られた作品です。元は劇場でかかる様に作られたそうですが、コロナ禍の中、公開の場を失ったハリウッドメジャースタジオが
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.2

本作は希望の物語なんかではなく、「問題提起」です。とても政治的な映画です。

日本版ポスターのコピーはミスリードですね。多くの映画ポスターは動員を上げることを第一に作られます。お金をかけ、様々なABテ
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BRING THE SOUL: THE MOVIE(2019年製作の映画)

3.6

ビルボード1位というひとつのステージ

「Shining through the city with a little funk and soul/ファンクとソウルでこの都市を灯す」

このフレーズ聴
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フェアウェル(2019年製作の映画)

4.0

優しいイデオロギーの対立。

作中でアメリカと中国の違いが節々にでてきます。
そのひとつとして、中国では「余命僅かな者に対して、本当の事を伝えない」があるそうです。アメリカ(昨今の多くの国)では、個人
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パターソン(2016年製作の映画)

4.2

シェルターとしてのアート。

本作は50-60年代アメリカの詩人フランク・オハラのパーソニズム宣言に影響を大きく受けています。パーソニズム宣言とは、日本語に訳しにくいですが、「特定の誰かのための表現」
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.1

「ここが私の家だ」という移民であるマルタの主張に痺れました。これは現トランプ政権への明確なメッセージでしょう。

現在トランプ率いる共和党の政策は国民の求めてる政策と反しています。その一つに移民の規制
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映画ドラえもん のび太の新恐竜(2020年製作の映画)

2.9

主題はトイストーリーと同じです。
親の子離れの話です。トイストーリーでは、アンディの父親が出てこないのは、ウッディがアンディの父親代わりだったからです。

本作はのび太が親になります。
のび太が子供た
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天気の子(2019年製作の映画)

4.1

本作の主題は「モノが溢れる貧しさ、モノが溢れる絶望、なんでも手に入る貧しさ」だと思います。

でも、その先にはなにも無いんです。ひと昔みたいな「結婚や車や家を買う」「夢を追いかけ、実現する」みたいな幸
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.4

現代の性風俗にまみれている世界でひとりの女の子が働かされる物語です。彼女の親の世代は欲望を野放しにしたあげく、豚になってしまう刑罰をうけ、その罪を背負わされ落ちていく千をハクが救います。

キャッチャ
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

1.2

色々と思う事はありますが、人物の心情がすべて「台詞」として吐露されるので、嘘っぽく説教くさい。劇中にも出てきましたが、いわいる「校長先生のお話」になってしまってたのではないのでしょうか。

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.0

本編に出てくるダムは実在します。ダムという自然をコントロールするためのビジネスにNO突き付けました。

本作のテーマはサーミ人の迫害とノーサルドラを重ね、過去の歴史を明らかにし、政治的過ちを正すことだ
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