たむランボー怒りの脱出さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

松村北斗が部屋で漕ぐエアロバイクが上白石萌音から贈られた自転車に姿を変え、その後の生活スタイルに変化をもたらす。後にヘルメットは自分で買うというのもさりげなく感動させるものがある。

アワーミュージック(2004年製作の映画)

4.5

再見。街角にいる女性の膝の上で多分普通に眠ってるだけの子供の映像に爆撃の音声が乗せられると、殺された子供のように見えてしまうようになってる。パレスチナの映像を目にする機会が増えた現在見ると尚のことそう>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.5

良い。でもカウリスマキの映画が根本的に理解できないという人はいるだろうと思った(急に何?)。こういう話は普遍的で誰にでもよくわかるものだと考えそうになってしまうけど、これの何が良いのか全く分からない人>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.5

面白いんだがちょっと救いがなくてどうしようもない気持ちに。後半怒涛のシリアルキラー展開が凄い。シャブロル『ヴィオレット・ノジエール』のような。冒頭のマッチ製造工程を淡々と写した場面のちょっと長いなとい>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.0

「いつも自信家ね?」
「いや 今 初めて自信が出た」
この場面の一連のやり取りが冴え渡ってる。映画の速度にしてもカウリスマキ作品の中で特にキレキレなのではないか 。殴られて落下する看守、進入禁止の標識
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

暗闇に浮かぶ緑色の路面電車が良い。
不幸が外部からやってくるとすれば幸運もまた外部からやってくる。『ラルジャン』のポスターはカウリスマキの私物なのか?カウリスマキ作品で映画館が出てくると大体写ってる。

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.5

カーリド役、シャーワン・ハジのバストショットが全て素晴らしくて、他の画面と比較するとちょっと出てるオーラが違う。カウリスマキ特有の光の当たり具合とこの俳優のもつ広い額との相性が良いのよね。
見切り発車
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

キートス、カウリスマキ!あと犬のシールもありがとう。(映画館で貰える)
素朴で優しい映画。お互いデートの準備のために買い物する二人の様子をカットバックでサラッと挿入してるけど良い場面。思いやりのある二
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

お吸い物のようなあっさり感と確かな旨みが絶えずある。三時間には思えない。

まどろみの彼女たち(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『Perfect・Nervous』のラストで車椅子を押す人は誰かいないのかなと思って見てたから『動物園のふたり』も終わったあとのエピローグにあのシーンがあってグッときた。「再登場」という手法がまず好き>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

何度目かの再見。世界一良い。A24一番の功績?何より予告がいいのよ。高精細な映像と巨大な画面でデヴィッド・バーンの白いスニーカーの汚れ等を見よ。
ティナ・ウェイマスが基本的にずっと足をキュッと閉じて狭
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

2.0

初期衝動……。でもここから『ジャンヌ・ディエルマン』を確立。

映画 五等分の花嫁(2022年製作の映画)

3.0

三年前ハマってた時期あれ何だったんだ。めちゃくちゃ久しぶりにアニメを見た。

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.5

再見。タルコフスキーで一番良い。
初見時より断然面白かったのが嬉しい。
霧だったり温泉の蒸気だったりモワッとしたものが放つ時間感覚と水の実在感。温泉の湯が干上がっているときでさえもその水の不在から立ち
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エル・スール(1982年製作の映画)

3.5

再見。『ミツバチのささやき』と共通する要素が多いが特に映画が謎として喚起される点。『ミツバチ』のフランケンシュタインへの神秘的な憧れから、父のかつて愛した女性(女優)というより通俗的な謎への憧れになっ>>続きを読む

ドラッグ・ウォー 毒戦(2012年製作の映画)

4.0

アマプラ終了間近っぽいと知って。ラストの銃撃戦で燃えた。「弾が当たると人が死ぬ」という事実が淡々と写されているのだが、ここで誰が一番強いかという特権化がされていなくて、だから銃撃戦の中心点がない。人の>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.0

再見。初見時より良かった。
アナ→逃亡兵の2人とも瞳を閉じた顔で繋ぐディゾルブに胸がじんわり。
「スペイン版フランケンシュタイン」というB級異国リメイク的観点からも評価したい。当然だがボリス・カーロフ
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猿女(1964年製作の映画)

4.0

念願叶って鑑賞。前半はひどい話だが後半から愛の映画に……。今回の修復版は3バージョンのエンディングが見れる。まあディレクターズカット版が良いかな。通常版は難病モノみたいな凡庸な終わり方だしフランス公開>>続きを読む

妻二人(1967年製作の映画)

3.5

岡田茉莉子・若尾文子2人ともにピストルを持たせる欲張り設計。

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

この歳になって見ると普通に主人公ソーラ・バーチのこじらせ具合が鼻につくというか……。ソーラ・バーチの観点からするとダサいやつらとしてカテゴリーされるのは凡人や偽善者だが、むしろそういう奴らに対するアン>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.5

ハーヴェイ・カイテルがハーヴェイ・“ マス”・カイテルになった瞬間。瞬間というかまあまあ長いことやってて。腹が出ていると見せかけて実は結構鍛えられた立派な肉体を披露しておきながらのコレ(醜態)ですよ。>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.5

ジョン・マガロとオリオン・リーが一方はジャケット(マットレスだったか?)に付いた埃を払い、他方は斧で薪を割る作業に従事するなかで、時折というかほんの1回だけ二人の動作(振り下ろすという運動)が一致する>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.5

こんなんでええのよと言いたくなる、そんな普通の面白さ!ブラックフライデー半額セールに押し寄せる群衆たちが自滅する冒頭の阿鼻叫喚はもう一回見たい!もっと長くても良かった。

刑事マルティン・ベック(1976年製作の映画)

4.0

この即物性は何だ!面白い。
動かなくなった人間の体の捉え方に悪意がこもっている。高齢の婦人をコメディリリーフとして配置。味も素っ気もない締めくくり方といい全編のバランス感覚がトリッキー。

ゴッホ(1990年製作の映画)

4.0

アルトマンなのでやっぱり狂気の側面がメインになる。現代のオークションの様子(実際の映像)とゴッホが小屋でくすぶって荒れてる様子をオーバーラップで見せる冒頭。自分は伝記映画を見るときには演じてる俳優を実>>続きを読む

天国の門(1980年製作の映画)

4.0

219分版。さすがに長い!っていう所もある。しかし異様に凄い画面がいくつも。でもまあDVDで見るもんじゃないわなと。『ペイルライダー』もそうだがロングコート着た銃持ったおっさんがズラっと並んでる絵が好>>続きを読む

ディア・ハンター(1978年製作の映画)

4.5

「銃弾一発」という確率の元に生きていた鹿狩りの男デ・ニーロがベトナムで「銃弾三発」に変えた瞬間から全てが崩壊する。デ・ニーロとウォーケンが共に窮地を脱するためにはまずウォーケンが二分の一の確率で発射さ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンで役所広司が日の出の太陽を見て泣くのは普段は木漏れ日を通して太陽のわずかな姿しか見ていない中で直視したことによるショックからだとしたらどうしよう。でも実は日の出は毎日起こる現象である以上こ>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.0

冒頭で示される家の構造が画面分割という思想を体現している。分離された(ように一瞬思われた)二つの部屋は短い渡り廊下で繋がっていることが示されるが、画面分割による二つの画面においては、渡り廊下のような「>>続きを読む

父ありき 4Kデジタル修復版(1942年製作の映画)

4.0

再々見。未公開箇所復元バージョンとしては初見。ラストシーンの印象がガラッと変わり旧版の不穏な幕の閉じ方が緩和されてる。転覆したボートって旧版にも写ってたっけ?『東京物語』に蓮實重彦が見た幻のカットは今>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.5

同棲してた部屋に戻ってきたイロナがかけたまま眠ったそのレコードの録音に収録されているのが、ニカンデルが英語教室で自分の声で録音した恋についての短い考察のその言葉であったかのように間違えて記憶したまま見>>続きを読む

暴風の処女(1933年製作の映画)

3.0

フォークナー『サンクチュアリ』の映画化。無実の罪を着せられた男が濡れ衣を晴らすのに積極的でないことの理由がこの映画ではよく分からなくなってるけど、原作では無罪になって釈放されても真犯人のポパイ(映画で>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.0

再見。エレベーターでそんなわけないフォーメーションで立ってる大杉漣と渡辺哲とたけし面白いよな。