たむランボー怒りの脱出さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

3.5

2022.10.03 再見 U-NEXT
カメラのパンが機関銃の音に合わせてダダダとなるが、あれは編集とかじゃなくてラウル・クタールが手でやっているというのが『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』のイ
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小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.5

再見。「鏡に映る僕は奇妙だ。僕が思う自分の内面と一致しない」。
電流による拷問シーン。敵がオルゴールのような小さなハンドルを回すとミシェル・シュボールの足に電流が流れ、それに合わせて見悶える。ハンドル
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さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

4.5

再見。「“登場人物”って嫌い」。
カメラを2台並べて撮影する3D映画の撮影方法のルールをまるで理解していないかのように、一方のカメラだけを自由にパンしてしまうので、まるで世界が分裂したかのように画面が
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カラビニエ(1963年製作の映画)

4.5

面白い!今年集中的に見ていた80年代以降のゴダールがそのサウンドの前衛性にも関わらずどこか「静謐」な印象を与えるのに対して(白を基調とした画面のせいもあるのかもしれない)、久しぶりに60年代ゴダールを>>続きを読む

路地へ 中上健次の残したフィルム(2000年製作の映画)

3.5

2022.09.25 国立映画アーカイブで再見
前よりは面白く見れたと思う。中上健次は「十九歳の地図」と『千年の愉楽』の1話目の半分くらいしか読んでない…面白いのあったら読みたい。
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赤ずきん(2008年製作の映画)

3.5

河を行く船に乗った女が進行方向を見つめて船の先頭に立っているという光景は昨日見た『オルメイヤーの阿房宮』と共通しているが、『赤ずきん』の場合、女がその場で横になっているところも写しているのが訳もなく良>>続きを読む

鄙より都会へ(1917年製作の映画)

4.0

終盤のでたらめ具合が凄い。目まぐるしいクロスカッティングによって田舎と都会との距離が消失する。田舎男たちが都会の高級レストランに殴り込み。前景、中景、後景、そのいずれにおいても誰かが誰かを殴っている。>>続きを読む

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

3.5

『囚われの女』のスタニスラル・メラール主演。同じような役をやっている。白人男性の空虚さが強調された人物だが、ラストカットの長回しはその表情をひたすら写し続けるという退屈さで、顔に射す光の変化は良いには>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

3.5

再見。マットレスで書きにくそうに手紙書くところだけは憶えてた。前半はアケルマンが部屋で横になったり縦になったりマットレス移動させたり壁に立てかけたりするだけで退屈だが、強いて言うならここが一番面白いし>>続きを読む

大空の闘士(1933年製作の映画)

3.5

終盤以外はそこまで面白くない。僻地不倫×大雨という点では『モガンボ』と共通している。『トップガン マーヴェリック』と同じ展開になる。

17才 旅立ちのふたり(2003年製作の映画)

3.0

『仔犬ダンの物語』と同様、澤井信一郎のモー娘映画だが、ヒモ男が連れ子の藤本美貴に言う「お母さんと同じように仕込んでやろうか!」、男子小学生が藤本美貴に言う「もうパンツ見たもんね!」、藤本美貴が石川梨華>>続きを読む

野人の勇(1920年製作の映画)

4.0

50分というコンパクトな尺ながら充実しまくってる。映画を倍速で見る人たちもこればかりは大人しく通常の速度で見ると思う、そのくらい速い速い。子猫が4匹くらいずた袋から這い出てくるカットがギョッとする。

ソフィー・マルソーの刑事物語/ポリス(1985年製作の映画)

2.5

ジェラール・ドパルデューは顔も体型も全部おもしろい。この人はめちゃくちゃ映画出てるけど一体ヨーロッパでどういう立ち位置の俳優なのか。日本で言うところの誰って考えたときバナナマンの日村が思い浮かんだけど>>続きを読む

ブレスレス(1983年製作の映画)

4.0

リチャード・ギア主演。『勝手にしやがれ』のリメイクということで冒頭からやはり警官殺しなわけだが、銃撃シーンをオリジナルがジャンプカットで見せていたのに対し、こちらは車のリアウィンドウが割れるカットのみ>>続きを読む

JLG/自画像(1995年製作の映画)

4.0

「画面と画面の繋がりは遠くかつ正しいものでなければならない」。規則と例外の話はこのまえ見た『たたえられよ、サラエヴォ』でも繰り返されていた。ステレオが六芒星を形成し、ドイツ、イスラエル、パレスチナへと>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.0

再見。ラストでベルモンドが地面に倒れるときの転び方が強烈。足がピーンと空に向けて立てられ、身体各部のなかで一番最後に着地する。ゴダール二度目の商業映画デビュー作ともいえる『勝手に逃げろ/人生』の交通事>>続きを読む

暮れる(2022年製作の映画)

5.0

・変な家が出てくる映画好きなので、まず主人公が眠りから覚めるときに横になっている場所の、ベッドとも言いかねる「一段高い畳」の特異さが良いし、その次の場面はキッチンの壁が煉瓦だったり、和洋の混合が強調さ>>続きを読む

水槽(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ラストは文庫本を手渡しする二人の手のカットで終わってほしかった。牛乳を「吸う」ことを無類に好む女の子がトランペットの練習のために風船に息を「吐く」という対照的な主題の一貫性を感じるから、そう考えるとす>>続きを読む

the Memory Lane(2022年製作の映画)

5.0

清水啓吾『きえてたまるか』の続編といえる!幸福な記憶が永遠に続くかのような、しかし25分という厳密な有限性をも絶えずちらつかせながら、失われつつある場所を滑走する大阪の若者たちが、自らの運動の記憶をそ>>続きを読む

ポラン(2022年製作の映画)

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奥さんが団地の一部屋でネット販売業務を行う様子を写した引きのカットが案外一番グッとくる。

誉れの一番乗(1926年製作の映画)

3.5

アイルランドものであり、後半は渡米もの。『血涙の志士』や『静かなる男』でも出てくる馬の障害物競走。相変わらず落馬が派手で凄い。馬も人も絶対に無事では済まされない転び方をしている。今こういうのは動物愛護>>続きを読む

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

2.0

中原翔子が召喚した「地獄に堕ちた女たち」(ムッソリーニの愛人とかケネディ暗殺支持したベトナムの大統領夫人とか)に俄然興味が湧く。ムッソリーニの死体を見た河野知美がつぶやく「ムッソリーニ顔変形してる」の>>続きを読む

真夏の方程式(2013年製作の映画)

3.5

ペットボトルロケット場面のクロスカッティングが一番良いかもしれない。
風吹ジュンが鏡に写る杏を見て驚く場面の繋ぎ方も良い。鏡は『容疑者Xの献身』でも頻繁に出てくる。マジックミラー越しに対面する前田吟と
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たたえられよ、サラエヴォ(2006年製作の映画)

4.0

YouTubeの日本語字幕で。退勤してすぐに友人からのLINEでゴダールの死を知る。ゴダール、特に80年以降のゴダールを面白いと思えたのは今年が初めてで、『カルメンという名の女』だったかを再見していた>>続きを読む

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ面白い。初、西谷弘。こんなに品の良いスマートな演出をする人なのか……見てなかったの後悔。
アパート2階と地上との高低差の感覚をこんなにも深く印象づけられる映画はない。地上にいる人はしかも橋
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肉体(1932年製作の映画)

4.0

ファーストカット、女囚たちが広場で円を描いてゆっくり歩く様子を真俯瞰で写す、この異様な雰囲気は何なのか。何らかの宗教映画を思わせるオープニングではあるが、中身は純情男の悪男悪女騙され譚。
悪女の改心が
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三悪人(1926年製作の映画)

3.5

燃え上がる荷馬車が斜面を駆け下りてその先の教会に突っ込む、しかも3台も!ここすごい。後半から面白くなった印象。悪徳保安官の姿が窓の外に見えたときの女の叫び顔、というか口の開き具合が凄い。喉ちんこが見え>>続きを読む

香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

3.5

『ジョン・フォード論』読んだからか名場面(名馬面)をもうすでに見た気分になっていたが、全然聞いてなかった交通事故の場面が案外すごい。こんなナチュラルに人を轢く瞬間ある?ってくらい。あと、他の画面に写っ>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.0

この前シネマヴェーラの『モガンボ』舞台挨拶のときに蓮實重彦が「まず最初にこれをご覧下さい」と言って示した写真が『ブレット・トレイン』の日本人プロデューサーとブラッド・ピットが写ったスリーショットだった>>続きを読む

オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

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延々と続く手ブレ映像で思いっきり画面酔い、開始1時間程度で退席。宇野祥平が散弾銃か何か持って登場する場面のときに1度だけカメラを床に置いてくれるときがあったがすぐにまた揺れる揺れる、そのままずっと床に>>続きを読む

乙女の星(1945年製作の映画)

5.0

良すぎる。祖母のかつての恋人を描いた肖像画に憧れる少女、ある日現れるその肖像の男の幽霊……と来ればその幽霊とのロマンスが描かれると誰もが予想するのだが、そのあと少女の前に現れる2人の青年が共に彼女に思>>続きを読む

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.0

『アメリカン・ジゴロ』見てからまた見たくなり再見。音のデザインが凄い。スリ実行シーンのサウンドの消され具合が異常。もはや馬鹿馬鹿しさスレスレになるくらいまで削る。人物の動きも同様に滑稽ギリギリになるく>>続きを読む

アメリカン・ジゴロ(1980年製作の映画)

3.5

大して面白くないと言えばそうなのだが、大して面白くないわりには結構おもしろい!117分もあって長いが、その弛緩のなかに緊張もまた持続しているような感じがあってかなり不思議、「これ一体何の映画なん?」み>>続きを読む

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.5

時間も空間も違うなかで音が通じ合う、仕草が通じ合う、みたいなことは分かるが、ちょっと作為的すぎるように感じられてノレなかった。ガチガチな戦略が見えてしまう。こちらも気を張って見るように強いられる。「ネ>>続きを読む

ズヴェニゴーラ(1928年製作の映画)

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眠気が押し寄せ、恐らく20分くらい見て寝て、しばらくして起きる。もう画面で起きていることが一体何なのか分からなくなっている、でもこの映画の場合、起きて見ていても分からなかっただろうという気はする。とに>>続きを読む

愛の果実(1926年製作の映画)

3.5

初ドヴジェンコ。赤ちゃんをいかに他人に押し付けて育児放棄するか。スラップスティック、コメディではあるが、己の笑いどころで倫理観が試される。赤ちゃんを手にした人間が考えることが一律「他人に押し付けなきゃ>>続きを読む