1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム「Dreamin’Wild」。当時10代だったドニーは兄のジョーとデュオを結成し、父が息子たちのために自作したスタジオで数々の楽曲>>続きを読む
監督デビュー作である『エイリアン3』はフランチャイズ・シリーズでありながら、それまでの手癖を収斂するようなまさかの手癖映画で、それ以上でも以下でもないところがリドリー・スコットやジェームズ・キャメロ>>続きを読む
アルゼンチンのホラー映画ということで、最初から期待値を上げずに鑑賞したのだがすこぶる面白い。これは怖さと面白さとが良い塩梅で並行に進んで行く。結果としては最初から最期まで面白かった。教会が終わった神>>続きを読む
冒頭に作家のサイン会が登場する映画は、もうそれだけで傑作の予感がある。ひょんな偶然から、互いに連絡を絶っていた重い病に侵されたマーサ(ティルダ・スウィントン)は、かつての親友イングリッド(ジュリアン>>続きを読む
冒頭、都市部の交通渋滞に目的地への到着時間を変えながら、小刻みな応答を繰り返すデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)の姿に異性への渇望と失恋を想起するが、空港では意外な人物が待つ。ニューヨークに住む>>続きを読む
開巻当初は何やら室町時代の史実めいた物語に心惹かれるものの、同時に室町時代の偉人と聞いても浮かんで来ない。と思えば市井の人々の話である。入江悠の前作であり傑作と評される『あんのこと』も中盤以降の展開>>続きを読む
花沢健吾による原作は未読だが、これは目も当てられないほどに酷い。正月の一週間ならまだ笑って済ませられたが、この存外な滑りっぷりには軽く神経が削られる。エンドロールを観るまでも無いが、これが福田雄一の>>続きを読む
よくもまぁこんな恐怖映像を考え出したものである。その新味に感心してしまう。偉大なストップモーション・アニメーターであるスザンヌ・ブレイク(ステラ・ゴネット)の愛娘エラ(アシュリン・フランチオージ)は>>続きを読む
今作の3人の子供は両親の決断により去勢される。ギリシャの郊外にある裕福な家庭。一見普通に見えるこの家には、他人の知らない秘密があった。父(クリストス・ステルギオグル)と母(ミシェル・ヴァレイ)が、長>>続きを読む
今作はさながらアリ・アスターの『ミッドサマー』と市川崑の『犬神家の一族』の雰囲気である。田舎暮らしに憧れるイラストレーターの杏奈(深川麻衣)は、脱サラした夫・輝道(若葉竜也)と共に都会を離れ、麻宮村>>続きを読む
敬太(杉田雷麟)は幼い頃に弟の日向と山の中の見つからない廃墟でかくれんぼをして遊んでいたところ、弟が行方不明になってしまった。長年辛い思いを抱え続け、今では行方不明となった人間を探すボランティア活動>>続きを読む
あの「人間は等しく、愚か。」というキャッチフレーズと、ニワトリのピンポケ気味のポスター・ヴィジュアルが兎に角最高で、今年の上半期の早くも最高水準ではないか。タランティーノ×リューベン・オストルンドの>>続きを読む
『満ち足りた家族』というタイトルが象徴する皮肉めいた家族の陰謀に物語は見事に収斂していく。兄であり、父親でもあるジェワン(ソル・ギョング)は道徳よりも物質的な利益を優先して生きてきた弁護士で、仕事の>>続きを読む
ダニエル・クレイグに代わる新しいジェームズ・ボンドの選定に苦慮する『007』首脳陣がいる一方で、意気揚々とイーサン・ハントは『バック・トゥー・ザ・フューチャー』シリーズ以来の年度跨ぎの前後編に挑みつ>>続きを読む
富野由悠季によるガンダム・オリジンは全て網羅・把握しているが、残念なことに『機動戦士ガンダムF91』までという俄かで、現代のガンダム・ユニバースをとても網羅しているとは言い難い人間ではあるが、周りの>>続きを読む
「じぇじぇじぇ」の宮藤官九郎が脚本で再び三陸を舞台にした楡周平による同名小説を原作とした映画化だが、願わくば宮藤官九郎には脚本だけではなく、監督として参加して欲しかった。クドカンの脚本を基に、『あゝ>>続きを読む
すこぶる面白い。最初から最後までずっと楽しかった。すっかり黄金時代の雰囲気を失ったかに思えた香港映画も、このレベルならやれる。やれば出来る。第77回カンヌ国際映画祭での初上映はおそらくジョン・ウーや>>続きを読む
驚くべき怪作に違いない。出だしはヴィム・ヴェンダースの『Perfect Days』のような清貧な暮らしの慎ましい毎日が描かれる。77歳の元大学教授・渡辺儀助(長塚京三)は妻に先立たれ、料理は自分でつ>>続きを読む
ドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は20代の頃、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていた。当時は父が社長で、20代のトランプは副社長だったが、政財界のトップが集う>>続きを読む
FPUということで確かジョニー・トーに似たような映画があったと思ったら『PTU』だった。PTUはPolice Tactical Unitの略で、香港警察行動部の警察機動部隊を指す。FPUは「Form>>続きを読む
パリのオークション・ハウスで働く有能な競売人(オークショニア)、アンドレ・マッソン(アレックス・リュッツ)は、エゴン・シーレと思われる絵画の鑑定依頼を受ける。シーレほどの著名な作家の絵画はここ30年>>続きを読む
もう何もかもが無理な映画だった。さぶいぼレベルではない。全身の毛穴が小刻みに震えるような不安を感じ、貧乏ゆすりが止まらない。冒頭の湊(赤楚衛二)が現在の世界線でやおらミニ・ディスク・プレイヤーを取り>>続きを読む
女性の第二章が「結婚」と共に始まるというのは処女作『紅いコーリャン』と同工異曲の様相を呈す。ヒロインの第四夫人としての結婚は彼女がこの家に幽閉されたことを明らかにする。かつての栄華を噛み締めながら、>>続きを読む
昨日、渋谷のパルコで飛び降り自殺があった。18歳だという。やはり若い人の自殺は悲しい。どうにか出来なかったのかと思う。今作のヒロインは現状の退屈な環境にすっかり嫌気が差している。片田舎の街の風景には>>続きを読む
2022年の栄えある映画ベスト10において並み居る強豪を抑え、記念すべき第一位に輝いたのは、新鋭オードレイ・ディヴァンの『あのこと』だった。あの凄まじい傑作から3年を経て登場した彼女の新作ということ>>続きを読む
初日に新宿エリアで観たが客入りは多く見積もって6割強といったところか。初日としては正直厳しいところではある。ニッチなテレ東映画ではあるが東宝系列が真っ先に出資した今作は、正月映画の雰囲気を纏うものの>>続きを読む
彼のフィルモグラフィを眺めれば、私がチャン・イーモウを許容出来たのは『初恋のきた道』辺りまでだろうか。2000年代の作品に漂う中国共産党政権への阿りにははっきりとガッカリと言わざるを得ないのだが、久>>続きを読む
部屋に置かれた奇抜な三角形の形をしたテーブルで漆場家の3人はご飯を食べている。外は暴風雨が吹き荒れ、母親と父親は一切目を合わせようとしない。この才気溢れる3分間の長回しのファースト・シーンに象徴的な>>続きを読む
大見武士による同名漫画の実写映画化ということだが、そもそものルールがさっぱりわからなかった。漫画の映画化である以上、最低限の説明が必要だと思われるが、それすらせずに本編に突入するのだから、観客として>>続きを読む
30年前の当時は『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズによる露悪的で最高な映画だと認識していたが、現在の世界線では明らかに異常な家族を据えた家父長制の終焉のような作品に思えてならない。ジョン・>>続きを読む
ジョージアの小さな村に暮らす48歳の女性エテロ(エカ・チャヴレイシュヴィリ)は、いままで結婚したいと思ったことは一度もない。両親と兄を亡くし、日用品店を営みながら一人でストイックに生きてきた。自分で>>続きを読む
監督が堤幸彦だから別に観なくても良かったのだが、能年玲奈という本名をメディアでは使用出来ないのんちゃん主演作だから観なければならない。ところが今作もやはり堤幸彦の凡庸な演出により、前半30分間がマジ>>続きを読む
昼間の忙しい時間に電話のベルが鳴る。4年前に消息を絶った兄のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)は生きているという。弟のウォルト(ディーン・ストックウェル)は心底信じられない様子で妻に話しかけ>>続きを読む
『ビーキーパー』と梯子して観たがこちらも破格にして痛快である。いや冒頭のSFには筋違いにも思える蜂の巣のようなSF描写と母体に孕ませるという珍妙な設定に流石にこれはインド映画でも「う〜ん」と首を捻っ>>続きを読む
いまアメリカ映画でこの人主演でハズレがない俳優No.1はジェイソン・ステイサムだと思う。正直パッと見はあまり冴えないし、彼自身はイギリス出身ながら、ここ最近の主演作はどれもハズレがない。タイトルにも>>続きを読む
ジーナ・ローランズとジョン・カサヴェテスの息子ニックもあっという間に今年は65歳になるという。先だってはお母様が94歳の大往生で亡くなられたが、父親のジョン・カサヴェテスは59歳でこの世を去ったから>>続きを読む