CookieMonsterさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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レッド・ファミリー(2013年製作の映画)

3.1

一見理想的な家族は北朝鮮からのスパイだった、という設定をみれば社会派コメディかな?と思いそうだけど、北朝鮮の人権問題を描いた社会派作品

国家に家族を人質として取られ、自らの意に沿わずスパイとして動く
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.2

男寡婦の父親が年頃の娘を嫁に出すまでの逡巡、といえば美談だが、小津が描きたかったのはどちらかと言えば、男の幼稚なロマンチシズムや幻想の否定にあると思う

父親は娘が自分に帰属する所有物であると無意識に
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.1

元薬物中毒のメタルバンドドラマーがある日聴力を喪っていることに気づくことから始まる、喪失と喪失

依存関係
薬物との、恋人との、音楽との
喪ったものは2度と還らない、ということ
それを悟り、静寂が訪れ
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バーニー・トムソンの殺人日記(2015年製作の映画)

3.2

無口で愛想のない逸れ者の理髪師がひょんなことから殺人を犯してしまうことから起こるブラックなドタバタコメディ

大好きなロバート・カーライル監督、主演
UK映画を代表するエマ・トンプソン、レイ・ウィンス
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テルマ(2017年製作の映画)

3.7

大学生活の為に都会に出てきた女の子が家族との抑圧的関係から解放され、その軛から自由になるまでの物語

物語は宗教的な色彩を強く帯びている
厳格なカソリックの教えの中で育ったテルマにとって、都会の生活は
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アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

3.3

現実と未来に倦怠した大学生たちの強盗事件を見つめ直す、現実と虚構の狭間を描く

トランシルバニア大学で実際に起こった、古書強奪事件は何故起こったのか?

事件を起こした4人のインタビューが差し込まれな
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そして友よ、静かに死ね(2011年製作の映画)

3.1

リヨンで名を馳せたロマ出身の伝説のギャング、その引退後の生活を蝕む友情と裏切りの記憶

実在したギャングの実録本を下地にした物語
徹頭徹尾マッチョな世界観
トイレに銃を隠したり、襲撃を受けるシーンなど
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.3

LAにある進学校、卒業前夜を舞台にした、2人の女の子の冒険譚

Booksmartとは本などの知識的な意味での賢さを意味するらしく、Streetsmartの対義語で、要するに頭でっかちなことをここでは
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オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年製作の映画)

3.6

死者が見える男の子が街に起こる惨劇を食い止めようと奮闘するサイキックアクションコメディ

死者と生者の判別が難しいのはシックスセンス以来のモチーフだけど、とても軽く魅せながら、ときにショッキングな死を
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プルートで朝食を(2005年製作の映画)

3.8

アイルランドの田舎町で神父の家の前に捨てられた過去を持つ、トランスジェンダーのキトゥンは父と母の顔を知らずに育つが、ある日ロンドンへ消えてしまったという手掛かりを頼りにして、まだ見ぬ母親を探す旅に出る>>続きを読む

エスター(2009年製作の映画)

3.4

娘を死産で亡くした妻とその夫
ふたりは孤児院からひとりの女の子を引き取るが、一見人好きのするその笑顔の裏に覚えた違和感がやがて予期せぬ結末を迎える

よくできたホラーフィルム
作中での音楽の入り方がと
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ダージリン急行(2007年製作の映画)

3.5

父親を亡くしてから疎遠になっていた三兄弟が長男の呼び掛けでインドを舞台に心の旅をすることで、再び繋がりを取り戻す物語

インドという異国ではありながら、現実と何処か乖離した童話的な色調
大人になりきれ
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イタリアは呼んでいる(2014年製作の映画)

3.4

スティーブ・クーガンとロブ・ブライドンが自らに扮してイタリアを詩人バイロンの足跡を追いながら依頼されたグルメ記事の仕事をこなす為に、ワインとグルメを楽しみながら旅する即興コメディ

ずっと気になってい
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悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.5

組織に育てられた暗殺者が親の仇を討つための怨念と子供への愛情という執着により突き動かされる韓国映画

初っ端の数分間のワンカットに監督の執念が満ち満ちている
韓国で隆盛を誇るネットゲームのように、ステ
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イギリスから来た男(1999年製作の映画)

3.3

刑務所から9年ぶりに出てきた父親が受け取ったのは、遠い異国の地アメリカで娘が事故死したという訃報
飲酒とドラッグによる事故死というその死因を信じられずに、娘を殺した敵に復讐を誓う男のロードムービー
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500ページの夢の束(2017年製作の映画)

3.0

自閉症をもつスタートレック好きの女性が脚本コンクールに応募する為にLAに向かうロードムービー

スタートレック愛に溢れた脚本と姉妹愛
嫌いではないけど新味はない
きっとスタートレックを知っていれば理解
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タイラー・レイク -命の奪還-(2020年製作の映画)

3.6

誘拐された麻薬王の息子と、奪還する為に雇われた傭兵
単純なプロット
手垢のついたストーリー
それでも画面を観ているだけで楽しいアクションは久しぶり
アクションで危険を顧みず身体を張ったジャッキー・チェ
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怪しい彼女(2014年製作の映画)

3.2

家族と同居している口さがのない嫌われ者の老婆が、ある日若返り、人生を生き直すことで大切なものに気づく物語

主人公がオードリー・ヘップバーンが好きなように、基本的なストーリーラインはローマの休日に沿っ
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28日後...(2002年製作の映画)

3.6

感染経路不明のウィルスで荒廃したイギリス社会
感染者はゾンビとなり街を徘徊し、その中で生き残った人々は、必死に希望を模索する
モチーフはゾンビだけれど、ゾンビによる恐怖や狂気はそこまでクローズアップさ
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娼年(2018年製作の映画)

2.1

ひとりの少年が娼年になる話

徹頭徹尾男性目線
ステレオタイプのAVからこの作品はなにも進化していない
松坂桃李の一生懸命なセックスを延々と見せられる
女性はその一生懸命さを受け止めさせられる存在にし
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俳優 亀岡拓次(2016年製作の映画)

3.3

冴えない脇役俳優の日常生活

ファンタジーとリアリズムの狭間

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

4.0

作家の父、精神を患った娘、その夫、思春期の弟
それぞれの闇を抱える4人の家族の物語

大きなテーマは神の不在
家族それぞれが悩みを抱えながら、ある種の救済を求め望んでいるが、それは一向に訪れない
彼ら
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恋する惑星(1994年製作の映画)

3.8

恋人に振られたばかりの警官と麻薬の売人、ケバブ屋で働く女の子とその客の警官
2組の恋愛模様

昔鑑賞したときは、より群像劇のイメージだったけど、いま見直すと完全にフェイ・ウォンの後半に引き摺られている
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野いちご(1957年製作の映画)

4.0

名誉賞受賞を控えた70過ぎの老医師が死を意識したで人生を回顧する

ベルイマン初期の傑作

私にとって初めてのベルイマン作品でしたが、いま鑑賞しても全く古さを感じない作りで、無駄の一切が省かれている、
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ラブレス(2017年製作の映画)

4.0

離婚間近で自身の幸せの為に息子を押し付け合う夫婦
愛を巡る考察の物語

大きなテーマはタイトルの通り
愛の不在
共通テーマから連想するベルイマン作品を想起させるような、雪に覆われる木々とその間を流れる
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.5

中国のとある地方都市、団地に住んでいる4人に起こる、とある一日の物語

男と老人、少年と少女
それぞれが阻害されている
それぞれが静かな怒りを抱えている
それは作品の冒頭から静かに、しかし明確に、画面
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.3

老いは招かれざる客であり、闖入者であり、暴力だ
それは知らずのうちに、抵抗する術もなく、ただそこにいる
作品の冒頭に登場するメタファーとしての錠破りのように、恐怖の対象として、そこにいる

愛は美しい
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食べる女(2018年製作の映画)

2.9

様々な女がいて、様々な関係がある
誰もが食べ、それがひとを形作っている
それは単純に食事という意味でもあり、自分の中に取り込むというメタファーでもある
食べること、をそういった文脈の中で語る手法は散々
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.3

殺人鬼ジャックの12年間に関する独白

端的に嫌い
トリアーならではの、露悪的な作り
しかもこの作品ではそれに対するエクスキューズも含んでいる
トリアーの旧作コラージュも散文的に差し込まれていて、カン
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アス(2019年製作の映画)

3.8

休暇に別荘に来た1組の黒人家族が、自分たちにそっくりなアスに襲われる

込められた様々な隠喩は前作ゲットアウトからしっかりと引き継がれている
usは私たち自身であり、アメリカUS自身でもある
今回も人
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

実在のスケーター、トーニャ・ハーディングのスキャンダルを軸にした自伝的作品

この作品の美点は、映画化の為に事実を歪曲して肉付けした物語を語るのではなく、実際のインタビューを元に再構成された、かなりリ
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アロハ(2015年製作の映画)

2.3

民間に転職した退役軍人が民間衛星打ち上げの為にハワイに行ったことで過去と現在に向き合う物語

端的に言って酷い
キャメロン・クロウが監督なのに何が言いたいかわからない

エマ・ストーンは軍人の、しかも
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

3.7

去年マリエンバートで
出逢った記憶を語る男
覚えてないと言い張る女
執拗なまでに繰り返される会話
曖昧な記憶

沈黙が支配する広大な屋敷
死者のようにポーズする煌びやかに着飾った人々
途切れ途切れに聞
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田園に死す(1974年製作の映画)

3.6

青森で母と暮らす過去の少年の私が本家の嫁に恋をしたことで駆け落ちの手伝いをする、という記憶を映画として撮る現代の私
記憶は改竄され、都合よく美化される虚構としての過去

差し込まれるいくつもの短歌は寺
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書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

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寺山修司二本立て

観客を試すような暗闇から始まり、津軽弁の男の独白で心を掴む
疾駆するような自意識
暴発するようなナルシシズム

モノトーンのフィルム
激しい手ブレカメラ
男たちの無数の裸体が美しく
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