ゲルさんの映画レビュー・感想・評価

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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.8

スパイというジャンル自体が成立しない時代になってきているのかもなあと思った。世界が終わるとか、陰謀とか、誰かが爆弾のスイッチを握ってるみたいな展開でないと、スパイってジャンルは成立せず、でも、そういっ>>続きを読む

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)

4.0

誰もが同じくらいの密度で描かれてて、それはきっと優しさだった。好きとか嫌いとか、伝えるとか伝えないとか、猫をかぶるとかかぶらないとか、そういうことではなくて、ただ、ぼくらがこの世界に同じ密度の存在とし>>続きを読む

劇場(2020年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

才能がなくて、誰からも評価されないで、それでも、自分に才能があると思い込むしかなかった、どうにか、思い込んで、東京に染みみたいになって、生きていくしかなかった。それで、女性に頼ってしまう、そうするしか>>続きを読む

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.7

「思い」なんてものは「わたし」というより体が勝手に感じてしまう反応に違いないのだと思う。屁をしたいとか、自慰したいとか、あの子が好きとか、でもそういう生理的に感じてしまうあれこれを、殺してきた、ハリス>>続きを読む

渇き。(2013年製作の映画)

4.0

さいっっこうに狂ってて、さいっっこうにまとも

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

新劇しか観たことなかったんだけど、テレビと旧劇と観て、なんだろうこのかんじ。レイもアスカもミサトさんも、一番好きなのはシンジくんじゃなくて、そういう、誰の一番でもないどうしようもなさがあって。そこがす>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.2

昔みたときと感想が一変して、めちゃめちゃ好きになった。
世界はとても残酷で、自閉して、それでもどうにかしようって、初めて持った自分の意思での行動が、世界を終わらせてしまった。自分の思っていることでしか
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.4

たいくつな日常の中で、どうあったって死体は、非日常だったし、不謹慎にもワクワクするものだった。でも、そんな死体を見つけることに、何か意味なんかない、空っぽ。ぜったいに何もなくて、それは死でしかなくて、>>続きを読む

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

面白い面白い、天才だ天才だ、って、小説誉めるのにそれだけとはいったい、作中描かれるような超天才的な作品を作るのは超難しいことだし、小説の中身見せるのも難しいことだから、そうやって口だけで誉めりゃいいっ>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.8

描こうとしていることは、ほんとうに日常的に感じている人間関係、恋愛関係の次元のことであるはずで、それがこういう狂気にまみれた形で出力されて、いったいどういうセンスしてるんだ。

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)

4.3

夢の続き。アニメでキレイにまとめきった、その続きを描くこと。それが、どんなことか。
あのラストから連想したような未来ではなかったし、辿り着くべき場所はまだまだ遠かった。
そういった事実から一切目をそら
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

絶対に崩れない計画は無計画、なんて。真理だけれど、そこに込められた虚しさの深さたるや。
人生が、ただの断片の集まりになって、破滅に向かっていく、その悲劇的な瞬間を目撃して、放心状態です。

ホットギミック ガールミーツボーイ(2019年製作の映画)

4.4

好きです。
キャラがうざいなぁとか思ったけど、そこはそこ。
これが青春全部。刹那的で、わけがわからなくて、いつか終わるかも知れないと理解しているこの一瞬。でも全力でやりきるしかない、今、この瞬間。これ
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HUMAN LOST 人間失格(2019年製作の映画)

3.8

めっちゃ好き。
途中に「尺の都合か何かで、絶対シーン飛ばしただろ」みたいなとこがあったりするわけだが、何だろう、この憎めなさ。
人間失格を、専門用語ゴリゴリのディストピアSF化させるという「おかしみ」
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リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

3.6

岡崎京子の持っていた奔放さがなくなり、憂鬱さ全開なのが現実みを消してるような。

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.7

ここまで心にピッタリくる映画は久々だ。
青春の閉塞感だけでなく、大人の後悔まで、あと30代の生っぽさまで描いたところが最高に信用できる。
「天気の子」や「Hello world」が排除してきたものをち
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.8

ここに到達してしまったら、そりゃジョーカーになるよな。って説得力。

通常の物語にある才能だとか、家族だとか、恋人だとかの救済がもたらされない深淵に堕ちたとき、あの笑みが浮かび上がる。すべてを了解し、
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.5

社会そのものに内包された悪性を暴こうとするジョーカーだが、めっちゃカッコいい。バットマンよりもジョーカーの方に乗った。
絶対的な正義なんてものがない現代において、ヒーローはこうならざるを得ない。

HELLO WORLD(2019年製作の映画)

3.8

天気の子に似ているわけだが、こっちの方がちゃんとしている印象。
データ世界としてのCG表現だったり、碁盤状の街がうにょうにょしたりするのは観ててすごくおもしろい。
ただ、中盤から物語の主軸が急に大人の
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惡の華(2019年製作の映画)

3.4

良いところは良いんだけど、基本的に悪い。もっと、エゲツナイ何かが足りぬ。

PとJK(2017年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

漬物の味がするスイーツを食べた気分です。なんだこれは。甘くない。

多用する引いた画の説得力が強すぎて、手前で展開される甘いはずの話が無味になっている。
でも、それでよい。これは明確に意図があってやっ
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運び屋(2018年製作の映画)

4.3

イーストウッド本人の内面が完全に出てるし、素直に現実の雑多なところを描こうとするし、世界に奥行きがあって、すごく信頼できる。