喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価

喜連川風連

喜連川風連

浅草キッド(2021年製作の映画)

-

克明に再現された戦後の浅草の街並み、柳楽優弥の醸す雰囲気、カメラマンの高木風太さんのカット割りはとても良かった。

ただ、回想シーンを始めとした編集が絶望的に下手(説明的)で、興醒めしてしまった。
>>続きを読む

人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇(1959年製作の映画)

-

暴力に次ぐ暴力。制裁に次ぐ制裁。

パワハラや主に野球部に蔓延る暴力の源流は戦前の軍隊にあることがよくわかる。

甲子園における行進や丸坊主といった仕組みは、そのまま軍隊教育から受け継がれたものだが、
>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

-

ゴジラ映画史上最もインディペンデンスデイ的映画だった。オールウェイズ+永遠のゼロ+ゴジラ?

シンゴジラが廃した人間ドラマパートがふんだんに盛り込まれ、シンと-1.0で対になっている。

役者の喋り方
>>続きを読む

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

-

みんなで見る映画。劇場の反応もセットで観に行くので、劇場で見ないと意味がないと思っている。これもヒットの要因か?

前回は池袋で観た。池袋がイジられる場所でドッと客席が湧く。後にも先にもこんな体験はし
>>続きを読む

(2023年製作の映画)

-

歴史モノで私小説をやるという発想に見入る。ビートたけし印の黒澤明の「乱」といったところか。

叩き上げで成り上がった秀吉の姿はタケシ軍団を率いていた自身そのものであり、明石家さんまが徳川家康と重なる。
>>続きを読む

日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ(2020年製作の映画)

-

君の名は。のジュブナイル成分とシンゴジラの災厄性にネトフリのポリコレフレイバーと日本ドラマのダメ脚本を混ぜて出来た珍作だった。

湯浅監督作品常連のアニメーターである伊東伸高さんや大平晋也さんらが参加
>>続きを読む

寫眞館(2013年製作の映画)

4.5

リッチな表現のアニメは増えましたが、セリフのない行間で語るアニメも豊かな表現だと思うんです。

Netflixで視聴可能。15分ほどの短編です。宮崎駿の風立ちぬを彷彿とさせる美しい作品でした。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

-

スタジオジブリ、終焉す。ジブリの盛大な葬式だった。

石(塔)の世界へと入るファンタジーパートではこれまでのジブリ的な要素がたくさん出てくる。

美しい石、不思議な動物たち、迷路のような時代不明の建物
>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.5

Chat GPT「私はAIではない。情報の海で発生した生命体だ」

こういう言説が巷を駆け抜けてもおかしくない昨今。SF小説家たちが想像した未来が現実に展開され始め、難解と言われた押井作品も理解がしや
>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

-

古今東西のジャンプメソッドを最強の形で使いこなす芥見先生原作のアニメ。

粗製濫造のジャンプメソッドに、芥見さんの思念が所々注入されてるから面白い。

シンジくんとメンマの純愛ドラマのように見えて、ア
>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

音と時間による初期衝動!ロックに彩られた映画。

上映時間が決まっている映画芸術と時間のスポーツであるバスケを掛け合わせる妙味。

効果音の応酬。特に足音。バスケのブザーを用いたBGM生成。バスケのボ
>>続きを読む

母性(2022年製作の映画)

-

鑑賞後、かなりおぞましい映画だと思ったが、このあたりのセリフにそれが集約されている。

「愛されるためには喜ばれることをしなきゃならないと思ってたんです」
「自分の満足より他人の満足を優先したい」
>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

-

とうとう見てしまった。。。この作品をもって今敏作品コンプリート。二度と新作が見られることはない。

本作、あらゆる構造が入れ子構造になっている。ある男に憧れ続ける女優に憧れる芸能会社の社長。映画の中の
>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

-

それぞれの日常の分断と漠然とした不安感。

1番印象的で、この映画のハイライトは、フィリピン人がマンションで音楽を大音量で聴きながら、喪に服すシーン。その隣で騒音に苦しむ若者が壁を叩く。そのやりとりに
>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

-

小津監督が秋刀魚をどう撮るんだと気になって鑑賞したが、一切秋刀魚は登場せず笑

ではなぜ「秋刀魚の味」とつけたか?

これは成長と娘の成長を重ねているのではなかろうか。

多くの典型的な女性(秋刀魚)
>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.3

なんと雄弁なる画面か。

行間が豊かに表現され、セリフ以外の感情を能弁に語る。

最初のシーンは空気枕を探すシーンから始まる。そこに通りかかった近所の人が「立派な 息子さんや娘さんがいなさって結構です
>>続きを読む

アニマトリックス(2003年製作の映画)

4.2

日本が誇るStudio4℃やマッドハウスによる至高の作画を堪能。

「ファイナルフライトオブザオシリス」
マトリックスリローデッドの直前期の話。凄い金のかかった脱衣剣舞。ファイナルファンタジーで培った
>>続きを読む

青春残酷物語(1960年製作の映画)

-

大島渚が肌に合わないことだけはわかった。何なんだろうちょっとむず痒くなる気持ち悪さ。

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)

4.2

ダイナマイトー!!!どん!どん!

「渡世人のくせに野球ば、せんとね!金玉ついとるんかね!」
「わしゃ野球せんと死にきれんわ!!」

今まで見た野球ドラマで1番狂ってた。山守のおやじと野球対決!!!青
>>続きを読む

どぶ鼠作戦(1962年製作の映画)

-

戦前の中国戦線で西部劇をやってみた独立愚連隊シリーズの3作目。痛快娯楽活劇映画。

「軍隊を飛び出したのは、軍隊の規律に嫌気が刺したからです!その代わりテメェの命はテメェで守らされてますがね。それでも
>>続きを読む

人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇(1959年製作の映画)

4.2

あらゆる理不尽が蔓延る戦時中の日本において理想主義に生きた男の末路を辿る。

リアリズムの鬼と言われた小林正樹監督のライフワーク。後年のベトナム戦争名画に匹敵する傑作。

仲代達也さんがインタビューで
>>続きを読む

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

-

脚本の妙味を堪能。さすが上田脚本。タイムテレビからドロステまで、見事な設定と伏線だった。

建物の上下を巧みに使い、映画らしい動きを演出しながら、スマホの小回りを使ってそれを撮影していく。

役者もヨ
>>続きを読む

の・ようなもの(1981年製作の映画)

-

漠然とフワッとした80sの空気感を「の・ようなもの」というタイトルで見事に表現。

主人公は女子高生もお姉さんも両方好きだし、落語はそこそこで、本気で努力するわけでもない。しかし、彼を本気にさせる出来
>>続きを読む

ジャズ大名(1986年製作の映画)

4.2

最高!映画はかくあるべし!狂乱に次ぐ狂乱。愛すべき馬鹿映画。

黒人の吹き替えが田舎っぺ訛りで、怪しいインディアンの吹き替えが関西弁。

冒頭シーンだけ切り取れば、アメリカを舞台にコメディ時代劇をやっ
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

-

結構きつかったですね。。

これまでのシン・シリーズの良さを全殺ししたような。。

シンウルトラマンやシンゴジラでつけられた合理的な説明は無くなり、専門用語が羅列され、エピソードはぶち切り、何の思入れ
>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

-

ゴリ押しの美学!「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」

wateR × fiRe。闇落ちしなかった座頭市×戦国自衛隊×マッドマックス。

冷静に考えると笑っちゃうような演出
>>続きを読む

17クラブ(2022年製作の映画)

-

下北映画祭にて鑑賞。好きです。森監督のYouTubeチャンネルも必見。

マンガ枠×実写映画。枠にとらわれない枠にこだわった映画。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

-

型(リズム)の芸術と言われる音楽において感情を描くことに成功した作品。

背景美術における電車や東京の描写はアフター新海誠感。都市の湿り気と奥行きを巧みに描写する。

演出も手際よく進んでいく。ダレそ
>>続きを読む

25日・最初の日(1968年製作の映画)

-

邪智暴虐な資本家に、赤い労働者の大波が襲いかかる。

あらゆる視点視野が同一平面上で交錯するコラージュ、ロシア構成主義的作品。

革命の発端になった戦艦ポチョムキンらしき艦影をバックにカメラはゆっくり
>>続きを読む

話の話(1979年製作の映画)

-

自分が昔、住んでいた新潟の薄どんよりとした雲や、雪で閉ざされて、どこにもいけない孤独感を思い出す。

雪国の人特有の感覚を感じるアニメーション。日々の生活の中に死の香りが常にしている。

構成は映画で
>>続きを読む

霧の中のハリネズミ/霧につつまれたハリネズミ(1975年製作の映画)

4.2

高畑勲監督が好きだったという監督そして作品。

人間でいう掌サイズのハリネズミから見た世界認識を精細に描き出す。ハリネズミから見た落ち葉の落下、馬からの見下ろしどれも独特な浮遊感がある。

宮崎駿さん
>>続きを読む

太平洋の翼(1963年製作の映画)

-

本土防衛の最精鋭部隊として名を馳せた343航空隊の顛末を描く。

ラバウル、フィリピン、硫黄島各地から選りすぐりの搭乗員が集められ、敗色濃厚の故郷の空に徒花を咲かす。

渥美清出演の戦争映画でもある。
>>続きを読む

山歌(2022年製作の映画)

-

もののけ姫のサン+森山未来+平成タヌキ合戦ぽんぽこ÷2。伊参映画祭作品。2018年、群馬の山奥で観た。

サンカと呼ばれ、現在は消えた山の民を描く。

1960年代に確かにそこにあった生活を丁寧に描く
>>続きを読む

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.5

リンさんとのシーンが加わるだけで、全く違う趣の映画に。

すずさん個人のの不甲斐なさや女としての嫉妬がくっきり浮かび上がり「人間」を切り出すことに成功している。

人間讃歌だった前作。人間普遍な本作。
>>続きを読む

ゴジラVSデストロイア(1995年製作の映画)

-

世紀末を迎える世相を反映したかのような重厚なクライマックス。

重厚さを演出していた音楽の伊福部さん最後の参加作品。

伊福部さん以外にもこの作品を最後にゴジラシリーズを引退された方が多数。

監督も
>>続きを読む

ルパン三世 VS キャッツ・アイ(2023年製作の映画)

-

シティポップ風味なルパン。

作風はキャッツアイに寄せつつ、活躍はルパンに寄せた形だろうか?

>|