喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ラヂオの時間(1997年製作の映画)

4.0

映画好きが作った映画という感じがして、心底ワクワクした。

ドラマ製作の舞台裏を実際の当事者たち(テレビ屋たち)が作ることによる生々しさがたまらない。

画角もアングルも演出もキレている。
生放送とい
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.6

もう何度見たか分からない。

湯屋はスタジオジブリの暗示か?
働かざるもの食うべからず。
すすたちのストライキもありつつ?

加えて、宮崎氏のインタビューにもあるように神々に尽くす性風俗施設でもある。
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.5

「泣いたらいい人なんかなあ?そんなんあてにならんやろ?」

あぁ家族。家族ってなんなんだろう。
考えても分からない。
なぜ結婚するんだろう?
なぜ赤の他人と一つ屋根の下で暮らすのだろう。この映画は答え
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

4.0

久しぶりに2時間をあっという間と思うことができた素晴らしい映画だった。

さすがピクサー。ありがとう。
あの日、感じた高揚感やひとつの困難に立ち向かう勇気、大勢が反対しても曲げない信念。色々な危機に恐
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.0

うまくまとまらない。

クソみたいな日常。
兵隊で国のために戦ってきたのに、誰も自分を見やしない。

しまいには
大それたことをして、
誰かのために義憤を働いて、
生きていることを証明しようとする。
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凪待ち(2019年製作の映画)

4.0

男、香取慎吾の本気の演技を観た。
和製ノアールだと宇多丸さんは語っていたが、落ち込んだ雰囲気が特に似合う。
それでいて、画面映えするスター性も持ち合わせているのだからすごい。

「信じていた人に裏切ら
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

3.5

人は死があるからこそ、生を実感する。

現代に生きていて外敵に襲われるわけでも、全人類を滅ぼすようなパンデミックがあるわけでも、戦争に駆り出されるわけでもない。

主人公は死んでんのか、生きてんのかわ
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天気の子(2019年製作の映画)

3.0

映画館を出ると、劇中のようなさんざめく雨。
東京は数十年に1度の長雨に見舞われている。
もう7月になるというのに「夏」はまだ来ない。

さて、そんな本作の裏主人公は「東京」だろう。

前作「君の名は。
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南極料理人(2009年製作の映画)

4.0

久しぶりによき邦画に出会った。

女優がほとんど全く出ない映画史上一番好きかもしれない。あれだけラーメンを美味しそうに食べるシーンはなかなか撮れない。

劇中でありとあらゆる食べ物が出てくるが、結局人
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バイス(2018年製作の映画)

4.0

1人のどうしようもないカリフォルニアのロクデナシ(ディックチェイニー)が副大統領になり、自国の国民を何十万人も殺しながら、自身の守りたいもの(利権や家族)を守るようになるまでの生涯を描く。

なぜチェ
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用心棒(1961年製作の映画)

4.0

語られに語られてきた黒澤映画を見直し。

群馬県のある宿場町で二つのヤクザ集団が跡目争いをする江戸時代末期。その均衡を打ち破るかのように流しの剣豪三船敏郎が現れる。

だれてしまいそうな場面でも緊張を
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Samsara(原題)(2011年製作の映画)

3.5

セリフはない。

あるのは瞳と造形物と営みと自然だけ。
世界20か国の美しい風物を100以上の美しいロケ地を用いて紹介する非言語ドキュメンタリーの傑作。

最初と最後のシーンである仏教寺院が出てくる。
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七人の侍(1954年製作の映画)

4.0

原点にして頂点。

エキストラをエキストラとしてぞんざいに画面奥に追いやっていないのが印象的だった。
笑うときは大いに笑い、悲しむ時はこれでもかとみんなで悲しむ。
喜怒哀楽がはっきりしていて、痛快だっ
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破れタイツのビリビリラップ(2017年製作の映画)

3.5

最高!!
めちゃめちゃしょうもない(笑)

「愛がなんだ」の監督今泉力哉さんがオタク役で出演してて、爆笑した。
似合いすぎてる。
電車男に出演してたなすびさんみたいだった。

面白くない雰囲気ゴリ押し
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左京区ガールズブラボー(2017年製作の映画)

-

Homecomings
の曲は最高だが、所々曲が編集でぶつ切りになっていて、音楽の気持ちいいところを消してしまっている。

人間ドラマに振っているかと思いきや、葛藤も曖昧でありきたり。
だが、女の子の
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新聞記者(2019年製作の映画)

2.5

まずは、こういったイデオロギー映画が全国上映さらたことに感動した。
こうした映画が上映されているうちはまだまだ世の中は大丈夫なのかもしれない。

それと同時に、これをどう自分の中で消化すれば良いか正直
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ぱん。(2017年製作の映画)

-

頭おかしい(褒め言葉)

深夜ノリで考えた脚本を本気で実現してしまった。

内容も感じる要素もへったくれもないが、CGと撮影と発想とキャスト集めよく頑張りました。
と思った。

アニメでやるべき作品な
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GREAT ROMANCE Ⅱ(2017年製作の映画)

3.0

およそ5分のミュージックビデオのような作品。

セリフがひとつもないが、表情・映像表現から行間を想像しながら、楽しんだ。

なにより、女の子の表情がいい。

作られた喜怒哀楽ではない、感情の数々に釘付
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; the eternal/spring(2017年製作の映画)

3.0

MOOSIC LAB作品。
moosic lab:
2012年から始まった新進気鋭の映画監督とアーティストの掛け合わせによる映画制作企画を具現化する音楽×映画プロジェクト
企画段階から映画作家とミュー
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.0

人間が理想化された世界に逃げる場所としてスピルバーグが選んだのは華の80年代だった。

スピルバーグ自身にとってもアメリカ・日本にとっても消費社会という側面でピークを迎えた時代。
デジタル機器に人が毒
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カランコエの花(2016年製作の映画)

4.0

余韻漂う残像感。
構成。

寄せて引いて、手持ちカムで撮ったり固定カムで撮ったりと、淡々としながらもメリハリのある画面構成で引き込まれた。

見終わったあと
自然と人物に引き込まれる自分に気づく。
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

3.5

これは評価が真っ二つだろうなあ。

「生死が軽い」
「ノリが理解できない」
「MV的でこれは映画ではない」
等々の批判が巻き起こるだろう。

だが、逆にこれらの要素が生々しい現代を写すようだと思うし、
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.5

戦争という矛盾は誰しも抱える人間の相反する二面性をあらわにする。

平和を欲する心
(ローリングストーンズ)

敵を殺さなければならないと植えつけられた国民意識・名誉欲
(ミッキーマウスマーチ)
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

4.0

女子高生の独白。
メタ発言。
劇中劇。
発想がスクリーンを縦横無尽に駆け巡る。

何もない軽薄な今を切り取っている。

普通である表象としてたびたび使われる舞台である埼玉。ある意味すごいことなのかもし
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海獣の子供(2018年製作の映画)

4.0

この世のものとは思えない海の綺麗な海外の街を旅してきたかのような圧倒的体験だった。

世の中のあらゆるものを言語化し、研究しつくしつつある人間に疑問を投げかける。

それはこれらのセリフに集約されてい
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ゴジラVSメカゴジラ(1993年製作の映画)

4.0

本来は人間側からしたら敵なはずなのに、
応援してしまう面白さがあって、小さい頃から大好きなゴジラ映画シリーズ。

シリーズ屈指の格好良さを誇るオープニングからはじまる今作。日本特撮技術のひとつの到達点
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.6

出会ってしまった言語化不能な名作。

僕はこういう作品を待っていました。

言葉で説明できてしまう映画ほど、野暮なものはない。
映像表現なんだからしのごの言わずに見てくれ!!!と発狂したくなる映画が名
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.5

超スペクタクル。
毎度ながら、
薄っぺらい家族愛シーンが眠気を誘うが、それ以外は満点!
人類存亡の危機に浅薄な家族愛は蛇足でしかない。

キングギドラが山の頂上で咆哮するシーン、影になって登場するシー
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.5

遅ればせながら、早稲田にて。
長回しと冗長さが苦手で少し避けていたが、世界で評価される日本映画がどのようなものなのか見ておかなければならぬと思い鑑賞。

はっきりいって
鑑賞していなかった頃の自分を殴
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聖の青春(2016年製作の映画)

2.5

カメラワークや演出、脚本は退屈だったが、松山ケンイチの好演に好印象。

東山温泉の古びた食事屋さんの外に雪がちらつくのは溝口健二さん以来の心の演出なのかなあ。

基本的に、ワンカットが長く、尺以上に冗
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映画「立候補」(2013年製作の映画)

4.6

とんでもない映画でした。

普段、取り上げられることのない泡沫候補に焦点を当てた本作。
忘れてしまいがちなことですが、
選挙ポスターや政見放送の向こう側にはひとりの生身の人間がいるのだということを改め
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

3.5

この頃はまだキューブリック独特の目の視点やシンメトリー、横移動は見られないものの、音楽の使い方はこのころから非凡なものがある。

男の大合唱と戦争はやはり絵になる。

加えてラストシーンの爆発の連写・
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モテキ(2011年製作の映画)

4.0

普通の映画じゃなかなか聴けないツボな選曲の数々に痺れる。

N夙川ボーイズ「物語はちと不安定」くるり「東京」perfume「baby crusing love」スチャダラパー「今夜はブギーバック」
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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

4.6

人間性をいったん崩壊させることで、人間とはなにかということを客観的に認知させ、最後にこんな嘘ばっかりの映画見てるんじゃなくて、現実に生きろ!
と説教される。
凄まじい映画だった。

最初期に
秩序を保
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ジョニー・ノックスヴィル アクション・ポイント / ゲスの極みオトナの遊園地(2018年製作の映画)

4.0

愛すべきバカ映画。

事故あり、怪我ありなんでもありの実在した遊園地が元になったギャグ映画。
スタントマンがこけるぶつかる落ちるの総演出!
え?と思う展開で主人公たちが貶められていく!

登場人物のキ
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三つの朝(2018年製作の映画)

4.0

とにかく美しい絵柄。

見終わった後の残像感がすごい。
心に写真を直接
焼き増ししたかのような印象が残る。

フィルムで撮ったような白い絵柄に、赤い口紅と青いマニュキアと何も塗らない口紅が映える。
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