喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.5

「彼女の外堀を埋めるだけの永久機関と化した自分」使われる言葉の巧みさにずっと笑いが止まらない。

全体は綺麗な四幕構成。春夏秋冬が織りなす夜の不思議な物語がちょうどよく四つにおさまり、恐ろしく現実離れ
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.5

日本版ニューシネマパラダイス。

鬼のようなハイテンポ。

「こんなとこ、人間の住むとこじゃねえや!」って言いながら、家財道具外に放り出す銀ちゃん面白すぎる。

90分に喜怒哀楽をギッチリ詰め込む。
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トラ・トラ・トラ!(1970年製作の映画)

3.5

アメリカ、日本両者からの視点と資金力のため、とても濃密な映像作品でした。

役所広司主演の映画「山本五十六」のような胆力を感じる役者の演技に圧倒されます。

実機が飛びかう迫力の戦闘シーンは、CGでは
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

3.0

どれだけ苦しもうが、
どれだけ叫ぼうが、
どれだけ祈ろうが、

司祭は自身の信仰のために殉教しようとしますが、日本の信者は、来世での幸福(仏教的来世利益)を祈って死をも恐れずに殉教します。

日本人と
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ある公爵夫人の生涯(2008年製作の映画)

3.5

キーラナイトレイの怒ったときの下唇の演技?が凄い好きです。

ホビット 決戦のゆくえ(2014年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

アーケン石はどうなったのでしょうか?
オークとエルフであれだけの数差がありながら、鷲の援軍だけで果たして勝つことができたのでしょうか?

トーリンとの大勝負でないがしろにされてしまいましたが、少しハリ
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羅生門(1950年製作の映画)

3.5

原作の秀逸さも相まって
それを完璧主義の黒澤が仕上げた古典。

縄が切られた。男が殺された。多襄丸が捕まった。

断片的にある事実の間を無数の証言とそれに基づくストーリーが駆け巡る。

当人たちは語る
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オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

2.5

普通です。
ハリウッド的です。

単純な勧善懲悪で、大衆向け。
心の葛藤や特徴ある敵の存在はない。
物語の奥行きもなくて退屈だった。

一回見て満足。
途中の部屋のシーンが洋ゲーに見えた。
ゲームが映
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ロッキー(1976年製作の映画)

3.5

対決までの流れ、BGMの流れるタイミング
どれもこれも美しい。例のBGMで鳥肌が止まらない。

ロッキーの乱暴な中の愛情を感じる台詞回しが好き。

(1985年製作の映画)

3.5

「人類への遺産」と黒澤が称した本作。
一つの鞘に収まっていた人々が
跡目争いを引き金として木っ端微塵に散り散りになっていく。

女は嫉妬に燃え、男は権力に血道をあげる。

旗持ちの足軽が縦横無尽に駆け
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

4.0

犯罪が予知されてしまう時代。
なにもかも人間の行動が予知されてしまう時代。
その人間を殺すはずがないと思っていても、何らかの拍子に人間の心はすぐに変わり予知された未来通りの結果となってしまう。

犯罪
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ノウイング(2009年製作の映画)

3.0

清々しい絶望。

聖書的西洋映画。

選民思想。誰が救われるか?

宇宙戦争(2005年製作の映画)

2.5

運良く逃げ延びた避難者の目線で事の顛末が描かれる。

小学生の時はまるで面白さがわからなかったが、鑑賞後、妙に頭に残っていた。

なぜか燃える列車のシーンとヘリがミサイルを撃つ終末的なシーンが見たくな
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ピンポン(2002年製作の映画)

3.5

原作はアニメとマンガで確認済み。

他の人に迷惑をかけないように行動を全て自己完結させようとする月本と
才能に奢りプライドだけが肥大化、自分が王様の世界を持つ星野。

ヒーローも最初からかっこいいわけ
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陸軍(1944年製作の映画)

3.5

プロパガンダに見えた反戦映画を作ってしまった凄さ。

最後の田中絹代の表情が全てを物語る。

戦局も悪化する中でのこのクォリティは凄い。
時代柄もありながら子を心配する田中絹代の表情。

赤線地帯(1956年製作の映画)

3.0

溝口監督独特の長回し。
報われることのない女性たち。
それでも力強く生きていく女性たち。
同時に落ちていく女性たち。

誰もが皆表面的には金を稼ぐことを目的としているが、それぞれに見ている夢がある。
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メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)

3.0

ジュリー・アンドリュースの美しさ、美声に見とれる。

絵の中に入り、ペンギンたちと歌い周るのを見守る。

銀行員との掛け合い、歌いながら掃除、困った時の合言葉。

子供が銀行員の話にキョトンとなり、メ
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ブレードランナー(1982年製作の映画)

4.5

世界を描く。

恐怖を描く。

葛藤を描く。

感情を描く。

言葉はいらない。
映像で圧倒する。

久しぶりに“映画”を見た。

最後に主人公の語る独白すら蛇足に感じるほど、映像や表情で圧倒する作品
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駅 STATION(1981年製作の映画)

-

悲哀、郷愁、寂しさを断片的に追体験していく。駅という場が担う出会い、別れ。

多くを語らない主人公たち。

倍賞さんがしなだれかかって、舟唄を歌うシーンがとても美しい。

セッション(2014年製作の映画)

4.6

狂気の教師フレッチャーの魂が乗り移ったかのような怒涛のカメラワーク。
魂が乗ってる映画。
バンドの歌い出しの部分でクッと指元にピントが合うところで鳥肌。

テンポを指摘される主人公。

人と合わせて生
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この国の空(2015年製作の映画)

3.5

彼女の単調な日々と後半部の愛への耽溺が映える。

まさに谷崎潤一郎賞受賞作品。

ただ、見る人によっては単調な印象は拭えず、隣のおっさんは居眠りしていた。

その名でこの時代設定にした意味を考えていた
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八つ墓村(1977年製作の映画)

3.5

印象的なシーンが多数散りばめられ記憶にズンと残る映画。

災いの理由を祟りのせいにしたり、よそものにおっかぶせたり、人々の猟奇性やムラ社会特有の理不尽さが丁寧に描かれる。

特に村人30人切りのシーン
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.0

喜八版がやはり至高。俳優の中に、戦争体験者が多いため、空気感からして違う。

静的なシーンの後には、動的なシーンが続き、リズミカルな映像が続く。

「死した英霊に報いるため、これから生きる日本人は愚直
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

3.0

脚本的にはベタでひっくり返しのないものだったが、そのカメラワークにより緊張感満載。

シューティングゲームでもやってるかのような主人公の少し後ろに陣取り、臨場感たっぷりに情景を伝える。
長回しのポイン
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インデペンデンス・デイ(1996年製作の映画)

1.5

内容が薄っぺらでアメリカ軍賛美のファンサービス映画に堕している。

戦闘機のシーンは爽快だが、主要な人物は死なないお約束がみえみえでハラハラしない。展開も予想でき、人物の心情表現も登場人物を増やした分
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フィッシュストーリー(2009年製作の映画)

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「バタフライエフェクト」と「12モンキーズ」といった伏線回収が見事な映画を二本見たあとなのでそれより雑な伏線回収に見えたが、とても気持ちのいいラストシーンだった。

映画の常識を外した不思議な香りが漂
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12モンキーズ(1995年製作の映画)

4.5

断片的な情報だけ与えて観ている人の想像力をかきたて、最後の秀逸なオチで落とす。

・テレビに映ってるもの。
・人物の発言。
一見無意味そうなものが、全て物語につながっている。

主人公は結局、細菌テロ
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聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-(2011年製作の映画)

4.0

山本五十六の博打好きや山口多聞の先進性など一人一人の人物像の忠実な再現がされている。

民衆の動きや視点をいれてダイナミックに歴史を描くという点で、新聞社の動きや飲み屋での話をいれていた。

南雲さん
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二十四の瞳(1954年製作の映画)

3.5

劇中のほとんどが唱歌に満ちあふれ唱歌ミュージカルのようだった。

音声と映像を巧みに組み合わせた名作。

序盤はふるさと
中盤は荒城の月と浜辺の歌
終盤があおげば尊しと軍歌
そして最終盤がもう一度浜辺
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日輪の遺産(2010年製作の映画)

3.0

出だしから中盤まで丹念な作り込みで伏線の張り方もよかった。

マッカーサーの財産を終戦までに隠し日本の通貨に価値を与え、終戦直後の円の価値の下落を防がなければ、日本の経済が大破綻してしまう設定。

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アントキノイノチ(2011年製作の映画)

3.0

日常に突き刺さる様々な軋轢、摩擦、ストレス。

学校というツナガリ
世間というツナガリ
SNSというツナガリ

私たちは様々なツナガリの中に生き、様々影響しあって生きている。

そこに突き刺さるトゲを
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