喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

Jam Films (ジャム フィルムズ)(2002年製作の映画)

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くるりの水中モーターがオープニング。篠原さん、堤さん、行定さん、岩井さんHIJIKI→JUSTICE→ARITAが好き。自分の間合いと音楽と角度を持ってる。

HIJIKI
最後の瞬間まで犯人が喋らな
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

4.0

音楽パンクSFラブコメとは恐れ入った。

パンクによるロックの破壊はウイルスにより進化をもたらされた人類の歴史に似てる。

「君に感染したい、君のウイルスになりたい
ウイルスに感染した名残が遺伝子に残
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禁じられた遊び(1952年製作の映画)

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犬の死も虫の死も両親の死も子供にとっては等価で、十字架は単なる綺麗な光の柱でしかない。

戦争がもたらす脱構築。規範の破壊。

この映画音楽を聴きに、当時の映画ファンたちは何度劇場に通ったことだろう。

メリエスの素晴らしき映画魔術(2011年製作の映画)

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100年前のフィルムの彩色版が再発見され、20年もの歳月を経て蘇ったドキュメンタリー。

月世界旅行(1902年製作の映画)

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ムービーの語源はラテン語の「動き」から、シネマの語源もギリシア語の「動き」から。

史上初のSF映画。
今よりもずっと、画面内の人物の動きや行動が奇怪で、面白い。

映画の本質の一部は「動き」

一枚
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Love Letter(1995年製作の映画)

4.0

憧憬を映像化させたら右に出るものはいない。
手回しで自転車の照明をつけながら、同姓同名の回答用紙を確認するよさ。

ポケベルが普及しつつあった時代にあって、95年当時でも、手紙はノスタルジックな手段に
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.0

オーケストラだった。

ちゃきちゃきと食器の音をまき散らし、会話は重低音。鉛筆の音が鳴り響く。

息子を良い高校に行かせるというシンプルな脚本ながらカメラワークと演出でここまで面白くなるのか。

シュ
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メランコリック(2018年製作の映画)

2.0

口の動きとセリフの音のズレが甘い。

手ブレ満載で緊迫感を無理に演出しようとした手持ちカメラ。

あまり練られていない構図。

悲しい時に悲しそうに流れるBGM。

ありがちなストーリー。自己語りの説
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本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)

4.7

見終わった後、完全にやられてしまって劇場のロビーに立ちすくんでしまった。

自分の極小な脳味噌では魅力の全てを語りうることが到底できない。

映画における素晴らしい瞬間が何度も訪れては過ぎ去っていく。
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.0

老いたアメリカ。

70年代ヒッピーの夢を紡いだイージーライダーの対になるような映画。

上映中、ボブディランの風に吹かれてが頭の中をリフレインしていた。

バイク×若者×自由からキャンピングカー×老
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.5

狂気!!素晴らしい!!

今すぐ全国東宝東映系でロードショーするべき。

東宝円谷特撮映画やハリウッドの超大作がわずか3人で作り上げられた。

アングル、見せ方、編集点が練りに練られていてその過程を見
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.8

サヨナラ、平成。セカイ系。

他のエヴァシリーズを全て回収し切った庵野監督に拍手!
ギリギリの説明セリフ。
ゲンドウくんよく喋ったね。

コアファンからしたら丁寧すぎるだろうが、謎を残すことで続いてき
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Tokyo Noise(原題)(2002年製作の映画)

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世界はどんどん部屋に閉じこもって自閉的になっている。自分の部屋で得られる情報で価値を考えたりしている。

これからは情報だけが先走ってしまって、頭の中で作られた現実世界=仮想現実が一人歩きをするように
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WILD LIFE(1997年製作の映画)

2.5

関西弁のヤクザ・國村隼、さすが。
画面の切れ味が違う。

菓子袋持ちながら、凄みを見せる。
本当に怖い人間はすぐ怒らない。

底知れない。それはまさにタイトルのjump into the dark.
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.5

快感。快作。
もう園子温に撮れないものはない。

ワンマン社長の剛腕と闇を精細に切り取る序盤から鬱屈とした男の全てが噴出する。

見せつけられる隣の芝の青さ。
覗かせる生活に潜む闇。

ライバルから全
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丑三つの村(1983年製作の映画)

3.5

八つ墓村=津山事件×夏八木勲!
人を嬲り殺し、酒飲んで、口からこぼしながら、ニタニタ笑う。

閉鎖的で陰気な日本社会の暗部。
「村八分」
八つ墓村より、史実に近い。

コロナ禍における日本の同調圧力と
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踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003年製作の映画)

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砂の器×パトレイバー×踊るシリーズ

押井守が不気味さの象徴として挟む鳥のカットもいくつか挟み込まれるオマージュ。

古いといってゴミ箱に捨てられる青島のジャンパーが、リストラされるサラリーマンに重な
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.6

インセプションの20年以上前、日本中がバブルという夢に踊る中、夢をメタ的に表現した快作。

言いたいことをわかりにくく言う校長の無能さを見事に表現したこのセリフで一気に心つかまれた。

「人間誰しも悩
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ビューティフル ドリーマー(2020年製作の映画)

3.5

本広監督から押井守監督への魂のラブレター。

自主映画撮影の生々しさをリアルに切り取っており、ヒリヒリする。
小川紗良さん、ほんと良い表情する!素晴らしい。

撮り方も商業映画ではなかなかできない、押
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.0

ツッコミ無き、ボケ合戦。

監督自身がしゃべらない観察者として登場し、パレスチナ・パリ・ニューヨーク を同一の眼差しで描く。

途中、ブレグジトという人物を探している日本人に出会うシーンがある。しかし
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殺しの烙印(1967年製作の映画)

4.5

「酒と女は殺し屋の命取りだ」

ご飯を炊いた香りが大好きな殺し屋。

ご飯が彼から遠ざかったとき、死の香りが漂い始める。

女と酒にのめり込み、落ちていく。
「俺に愛なんかない、女を愛しちゃいけねえん
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殺人狂時代(1967年製作の映画)

4.0

さすが、喜八!理屈抜きに面白い。

普段はなよなよしている男が、女のために本気を出すアクションはまさにルパン三世の源流。

人が電車に飛ばされたあと、すぐオムライスにケチャップをかけるシーンをつなげる
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.5

ウラアアアアアア!!

画面の圧力と熱量!
これがモンタージュの傑作か!

顔のアップショットと遠景と中望遠の連発が画面にリズムを生み出し、終始鳥肌。

圧倒的人間物量。

映画の本質のひとつは人間の
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リアリティのダンス(2013年製作の映画)

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「腹が減ってる今!ロバを殺したらどうやって水を運ぶ!!」
「今!我々は腹が減ってるのだ!」

作品中にエネルギーが溢れている。

母性と父性そこからもたらされる神性。

自殺するな!と小さい頃の自分に
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男はつらいよ 知床慕情(1987年製作の映画)

3.5

三船敏郎×渥美清の豪華共演!

黙ってても絵になる三船敏郎とまくし立てる渥美清。だが、その仲を取り持つのは寅さんという構図。

娘さんや不器用な男、出稼ぎのママありとあらゆる人に寄り添い、気持ちを代弁
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男はつらいよ フーテンの寅(1970年製作の映画)

3.0

後期作と前期作を交互に見ているが、前期の寅さんの方が好きだ。

前期の寅さんには、立川談志の言うような江戸の風が吹いている。

「浮気は男の甲斐性よ。女にモテねえような男じゃつまらねえじゃねえか」
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セガvs.任天堂 Console Wars(2020年製作の映画)

4.0

U-NEXTオリジナルの輸入番組。

日本では根強いファンのいるセガ。そしてゲーム界の雄、任天堂。互いに罵り合ったゲーム機戦争を振り返る。

当時圧倒的シェアだった任天堂に、挑むセガという構図。
「任
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パンダコパンダ(1972年製作の映画)

3.5

パパンダの「特に竹やぶがいい!♡」のセリフは大人でも笑える。

パンダをそのまま模写したような細かい演出が冴え渡る。

子どもがわかるギリギリの説明セリフのチューニング!
パパンダが変態のような発声な
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ハウルの動く城(2004年製作の映画)

4.0

ポジティブな老境映画。

歳をとると図々しくなる。失うものがない強さ。若さは心。
魔法をかけられ、背負う家を失って、生き生きとするソフィー。恋をして背筋が徐々に徐々に伸びていく演出がいい。

「美しく
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

4.2

オマージュにあふれた作品愛のかたまり。

森のシーンはもののけ姫を織り交ぜながら、こだまのような存在もいる。動物たちの逃げるシーンは、平成たぬき合戦ぽんぽこ。バス停のシーンはまんまトトロでクスッとさせ
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MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

4.9

湯浅正明による初期衝動。バンドのファーストアルバムのような熱量。そして人類愛。鳥肌が止まらなかった。

平成人が追体験するロビンソンクルーソー。臨死と生活を描くことで逆説的に、生きる気力の湧く映画にな
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ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

3.5

平成日本年中行事絵巻。

極平均的日本人を同時代人・同国人が切り取れるのが本当にすごい。

素材がありすぎて、どこをどう切り取れば、普遍になるのか、自分ではとても判断がつかない。

現代日本人が見ても
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ええじゃないか(1981年製作の映画)

4.0

ラストシーンの爆発!!!これが今村昌平か!

各シーンから人間と土の匂いを感じる。

徹底したリアリズム。田舎もんが汚い肌着を身に纏えば、江戸のヤクザものは美しい羽織をつけている。

見世物小屋、ゾウ
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大菩薩峠(1957年製作の映画)

3.0

剣豪のような独特な間合いもった映画だった。

一枚の絵が、片岡千恵蔵の顔力によって、バスバス決まる。

カットバックが多くなくとも、1枚の絵でどっしり構えている。間が怖くて詰めてしまいそうなところも、
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座頭市(2003年製作の映画)

1.5

メクラの方が人の気持ちがわかんだよ、といってカッと目を見開き、相手を叩き切る。(悪党に気持ちを寄せるつもりはない)

ふんどし一丁で走り回る足軽も面白い。戦国時代も終わり、戦うことが無意味になっている
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陸軍中野学校(1966年製作の映画)

4.0

日本のスパイ映画。

画面を埋め尽くす濃い顔!緻密に計算された画面作りと役者の動きで全く飽きない。

今の日本映画にこのタイプの映画を作れるだろうか?

主演の市川雷蔵は、今で言う塩顔系イケメンといっ
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