喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.0

名画の影に名音楽あり。

音楽のタイミング、編集ともに完璧。

ちょうど「プリティウーマン」が終わるタイミングで次のカットに変わる。

彼女が垢抜けていく様が、周りの表情で語られるのが、極々映画っぽく
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マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.0

ザイオンでの戦闘シーンが中心のため、全体的にもっさりしている。

香港映画を観にきたつもりが、パシフィックリムを見させられたような感がある。

ザイオンのシーンを大幅カットして、アニマトリックスで描か
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花と兵隊(2009年製作の映画)

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太平洋戦争末期、日本に帰らずに現地に残った未帰還兵を追ったドキュメンタリー。

てっきり、戦後全ての兵士が帰還したものだと思っていたが、中にはインドシナ戦争の戦争指導をしたり、台湾独立戦争を戦ったり、
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.0

ドルビーシネマの立体音響にて。

ナパーム弾での爆撃、ローリングストーンズ、ドアーズの爆音が頭上に降り注ぐ。

狂ったと言われる上司を殺しに行くが、途中で本当に狂ってるのは、前線の指揮官や司令官だとい
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プロメア(2019年製作の映画)

3.5

細えことすっ飛ばして、ノリノリで気持ちいいことをする!
個人的にはネタも構成もキルラキルの方が好き。

図形を用いた様々な映像表現、カメラワーク、光の使い方は垂涎もの。

例えば、プロメアの影響下にあ
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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.7

虚構に逃げる全てのオタクどもに捧ぐ。

萌え・カタルシス・正義のヒーロー、現実から逃げるための手段として存在する時もあるアニメ・映画。

現実にはあんな都合のいい女の子はいないし、どうあがいたって、空
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独立愚連隊(1959年製作の映画)

4.0

朗らかなる戦争映画!

サスペンス的要素が物語を牽引し、西部劇的な戦争活劇が全体を彩る。

形式化されたハリウッド映画の脚本のように作らなくても、娯楽映画は作れる!

愚連隊の豪快な戦いぶりに劇場で爆
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.5

映画史上最も至高な冒頭15分に乾杯。

映像・音・表情・声全てが合わさり至高の空間になっている。

若干脚本に無理をしているところがあるものの、それを押し切るだけの、映像力とBGMがある。

編集の切
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エスター(2009年製作の映画)

4.0

エスターの顔には、取り繕った情報しかない。
目的のために手段を選ばない能面のような顔が頭にこびりつく。

公園、学校、家、あらゆる日常をホラーテイストで描いており、恐怖倍増。

サイコパス人間をただ描
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.5

青春多視点群像劇。

様々なスクールカーストを見てきたが、出色の出来栄え。

1人の中心人物を巡り、周囲の葛藤を丁寧に映す。

軽薄なお調子者、運動部をやめたイケメン、文化部の肩身の狭さ、大衆迎合的な
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アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

4.5

サイコ映画と言われるが、本質は痛烈な社会風刺映画だった。

80年代特有の無意味なブランド思考に囚われる男たち。

車、女、住む場所、果ては名刺の素材に至るまで。
無意味なマウント合戦が繰り広げられる
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僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

3.0

目で語る映画。

キリッと問い詰める場面では、前一点を見つめ、生徒たちがウソをつく場面では目が左右によく動く。

東ドイツの大人たちは、ナチズムを憎み、自身の思想を押しつける教育を施すが、やっているこ
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武士道残酷物語(1963年製作の映画)

4.0

時代劇の美しい部分をぶっ壊していくベルリン映画祭金賞受賞作品。

江戸、明治、戦争、現代劇。これら全ての描写をひとつの映画で観られるなんてそうそうない。日本映画の総決算。

6つの時代の主人公を萬屋錦
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バレエ・メカニック(1924年製作の映画)

4.0

シュルレアリスムの古典的名作。
機械文明・技術・発展賛美。

機械のパーツや身体の一部、丸や三角などの図形が誇張して映される。

これにより、モノが連続し、繰り返される気持ち良さを表現。

同時に、出
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荒野の七人(1960年製作の映画)

2.0

七人の侍、完全リメイク。

仲間を集め、戦い、犠牲の上に勝利を重ねる。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどで幾度となく繰り返されてきたモチーフ。

加えて、黒澤版七人の侍の人間描写がいかに綿
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ある日本の絵描き少年(2018年製作の映画)

4.0

絵柄によって成長や感情を表現する異色のアニメ×実写モキュメンタリー。

YouTubeの期間限定無料放送にて。

私が小さい頃によくクレヨンで描いていた腕と顔のバラバラな絵。それが動き、語る。
そして
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おじいちゃん、死んじゃったって。(2017年製作の映画)

4.0

おじいちゃん死んじゃったって
現代を映すような他人事のタイトル。

「そうやって、他人事ですませて、世界は回ってるのよ」
ひねくれた現代人には葬式ひとつすませるにもドラマになる。
サマーウォーズしかり
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バンデットQ(1981年製作の映画)

3.0

ごった煮。冒険コメディ。

テリーギリアムお得意の夢vs現実の構造。

ライフワーク。人生をかけて伝えたい哲学がテリーギリアムにはある。

夢は現実に勝てるのか?
これを映画で問い続ける。

親が死ぬ
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脱獄広島殺人囚(1974年製作の映画)

3.5

東映版プリズンブレイク!

生が画面いっぱいにほとばしる!
「往生せい!!」
「この外道が!!!」
気持ちのいい罵詈雑言の数々が並べ立てられる。

線路に火打ち石ぶつけて、タバコを吸うラスト。
反抗的
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恋恋風塵(れんれんふうじん)(1987年製作の映画)

3.5

1960台湾景色。

昔フィルムで観た、戦前の東京のような台北の街並み。

それを固定カメラ(フィックス)と長回しとパンフォーカスを用いたカメラワークで撮る。

縦線の構図がバスバス決まっていて、それ
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21世紀の女の子(2018年製作の映画)

3.0

14人の女性監督のインスタグラム。

流されていくものもあれば、立ち止まる作品もある。

繰り返される3つの特徴
①長いモノローグ。
主観だけが広がる世界はまるで少女マンガを読んでいるかのようだった。
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ブルーノ(2009年製作の映画)

3.0

これぞ狂気のブラックコメディ。

オーストリアから「ヒトラー以来の有名人になる」と飛び出したゲイ青年のフェイクドキュメンタリー。

以下、全て実際に、行ったこと。

・ミラノのファッションショーで全身
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バクマン。(2015年製作の映画)

3.5

童貞青春映画にモノローグは必須?

音楽担当のサカナクション 目当てで鑑賞。

マンガ原作特有の地に足のついていないキャラクターや、無理のあるセリフは多々あるものの、王道展開で2時間によくまとまってい
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アメリ(2001年製作の映画)

4.0

人々を救うフィクションの力。
空想にとらわれ、現実を生きてこなかった主人公アメリが世の中を信じられる出来事に出会うことで、次第に世界に心を開いていく物語。

物語の力を信じている監督さんということが切
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.0

ゼロからイチ
作品を作り上げるとはこういうことを言うのかもしれない。

人類の何倍もの大きさがあり、文明が発達している代わりに、流れる時間がゆっくりなドラーグ人。

ドラーグ人よりも小さい代わりに、生
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.0

作家性大爆発。

前半の艦隊決戦は宇宙戦艦ヤマト(主砲が回転するシーン、船の下部の色が赤色、戦闘時の席配置)
後半は2001年宇宙の旅(提供されるご飯、モノリスの形のゼーレ、赤い丸)

媚びて序・破を
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.0

うおおお!これは凄い!!!

アニメの総集編だと油断していた序から一転。自身の願いのために戦う物語へ。

人間誰しもが心にATフィールドを抱えている。
他人と自分を分けるATフィールドがあることで、自
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徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑(1976年製作の映画)

3.0

エログロ拷問時代劇。
園子温や三池崇史のスプラッターがファッショナブルに見えるほど、とてつもない拷問の数々が繰り広げられる。

ノコギリで首を切る。水車にくくりつけて水攻め。生きたまま火あぶり。両側を
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少年(1969年製作の映画)

2.0

画角、カメラワーク、編集、カット
どれも退屈。
ダラダラと無駄なシーンばかり。

音楽が鳴るたびに、高まる独特の気持ち悪さ。少年の演技・話し方にも、嫌悪感。

自然に演出しようとした不自然さが目につく
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北陸代理戦争(1977年製作の映画)

3.5

ついに、深作欣二監督ラストの実録映画。

封切り直後に、モデルとなったヤクザが、劇中と同じやり方で殺されたという超ド級の問題作である。

35年経った今でも、この映画を恨みに思っている組員もいるそうだ
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やくざの墓場 くちなしの花(1976年製作の映画)

4.0

96分間、手持ちカメラで全力疾走!!
深作欣二×笠原和夫(仁義なき)最後の映画。

仁義や正義は、権力、政治、組織を前にして無力となる。
やるせない。

ヤクザ映画では珍しく、在日韓国や満洲からの引き
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耳をすませば(1995年製作の映画)

4.5

平成狸合戦ぽんぽこのタヌキたちが住んでいた多摩を壊して、作り直した多摩ニュータウンが故郷の物語。

タヌキたちの日常を壊してまで、人間が手に入れた日常はどのようなものなのだろうか。
これが遺作となった
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新仁義なき戦い 組長最後の日(1976年製作の映画)

3.5

「実話」ではなくなったヤクザ映画は、演出の自由の代わりに、生々しさを失った。

菅原文太主演、最終作。

己の正義を通したがために、
組の政治の道具とされていく型は変わらない。
しかし、実話を離れてし
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

4.5

何度見たことか。
高畑勲監督総決算。
テーマパーク化する妖怪たち。

異形のものとして、恐れられていた妖怪やオバケはもはや本来の意味をなさず、遊園地のアトラクションとして資本主義に消費される。

人間
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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.7

アニメ史に残る傑作。
正直、絵柄と声優と魔法少女が苦手で避けていたが、大後悔。
売れ線の萌え商業アニメにテリーギリアムや今敏などの実験アート表現をぶち込んだ快作。

救世主となり、全ての魔法少女の原罪
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太陽の王子 ホルスの大冒険(1968年製作の映画)

3.0

高畑勲監督デビュー作。
宮崎駿×大塚康夫×高畑勲のゴールデントリオ。
子ども向けに宣伝し、内容は強いメタファー含んだダークファンタジー。

アイヌや世界各地の民話を集め、脚本化。
衣装や音楽も北方民族
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