喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

思い出のマーニー(2014年製作の映画)

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ジブリ 新時代へ。

随所に今までのジブリへのオマージュを散りばめながら、新しい形を示した作品。

車に揺られながら新しい土地へ向かうシーンは千と千尋。

机には黒猫のジジ。

家はトトロで出てくるサ
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踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!(1998年製作の映画)

3.5

従来の警察映画を覆した、
サラリーマン的警察コメディ!

プロデューサーの亀山氏が駐禁で捕まり、駐禁ごときで根掘り葉掘り聞かれた腹いせに、4万人の大組織が右往左往する物語を思いついたそうだ。

最初の
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広島仁義 人質奪回作戦(1976年製作の映画)

2.0

深作欣二さんがもし、仁義なき戦いシリーズを撮らなかったら?ということで、他監督の仁義シリーズを観てみた。

無鉄砲なヤクザが経済ヤクザに変貌していく様を描く。

このあたりのテーマ性はサンクチュアリを
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26世紀青年(2006年製作の映画)

3.0

とうとう観てしまったおバカディストピア映画。
大統領はマイクパフォーマンスが上手いだけの元プロレスラー。
現実世界にもアントニオ猪木、ザグレートサスケ、大仁田厚など、元プロレスラー議員が多数()
シャ
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生きる(1952年製作の映画)

3.5

死を描くということはすなわち、生活(生きること)を描くことに他ならない。

100日後に死ぬワニが巷で流行っているが、あれも「死を描くために生を描いている」と作者が語っていた。

だが、ワニは死ぬとい
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資金源強奪(1975年製作の映画)

4.0

深作欣二版「現金に体を張れ!」

暴力団と警察の連合体を一匹狼、北大路欣也が無茶苦茶にしていく。

「仁義」と壁に書かれた組事務所で、だましあいが行われたり、人を貶めたる皮肉に痺れる。

組織や女、賭
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影武者(1980年製作の映画)

3.0

賛否両論のこと、風の如く
兵士が走ること、林の如く
画面が赤きこと、火の如く、
カットが切り替わらざること山の如し。

武田信玄の影武者を主人公に据えた本作。

坂道や丘の使い方。大勢の人が画面いっぱ
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現金に体を張れ(1956年製作の映画)

3.5

THE KILLING「殺し屋」を「現金に体を張れ」と訳す当時の和訳担当者のセンスに脱帽。

あらゆるハッピーエンドに対してクソくらえ!と叫ぶキューブリックフィルムノワール。

前半部の会話劇は退屈だ
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.5

タイトルで損している映画ランキング第3位!

警察とヤクザが癒着し、街の治安を守ってきた戦後直後の20年。

まさに仁義(法律)なき戦い。

仁義とはヤクザ社会でのルール。
サラリーマンでいえば、ノル
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新仁義なき戦い 組長の首(1975年製作の映画)

4.0

「ヤクザは大将にならにゃ、クソのカスぞ!」

実車を用いたど迫力のカーアクションが最大の見せ場。

車をぶつけ合い、西部警察ばりに車が空中を飛び交う!

実録ではないため、作劇はエンタメ寄り。

深作
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

4.6

大傑作。

人、ホン、撮影、編集神がかり的出来栄え。

無法者、石川。
これを渡哲也が怪演。
これまでの任侠映画にあった「仁義」を全て打ち壊す。

ドキュメンタリー映画のように彼の生前の様子を語る序盤
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新仁義なき戦い(1974年製作の映画)

3.0

仁義なき戦いの続編。
だが、脚本家は前作シリーズより交代。

前作の面白かったテーマ性
「人間は己の欲望のために、無意味な抗争をやめることはない。だが、それによって犠牲になるのは、下っぱの若い組員であ
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.0

縦に突撃する部隊に対して横向きに主人公が疾走する気持ち良さよ!

画面奥に累々と兵士が連なる中での疾走。
良い。

劇中、感情や表情が前面に出てこないのも客に媚びてなくて好き。
戦友が死んでも、泣き喚
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

3.5

「生きるとは死への旅路。
みんな最後はおむつをはく。」

みんなが歳を取る中、1人だけ若返るとどうなるのか?という思考体験。

しかし、過去の日記の音読という形態を通して、押し切ろうとする強引な展開が
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告白(2010年製作の映画)

4.0

思春期特有の悩みを逆手にとった教師の復讐劇。

ある生徒の狂気が丁寧に描かれるが、それをも凌駕する先生の静かなる復讐心。

告白という形態で、短編映画が何本も積み重なっているような重層構造。

最初の
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

地下貧民でもない、地上の楽園でもない、
「半地下」
・スマホは持てるが、Wi-Fiはない。
・家はあるが、汚い。

完全にホームレスまで落ちきったわけではない半地下生活。

そこに巣食う家族のジェット
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鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)

4.0

昔懐かしの1960年代に
香港やインドなどの東洋趣味が加えられ、
大正モダンを混ぜ合わせ、銀座と広島と大阪成分を少々加えた世界観、最高。

単に昭和モダン的美術に止まらなかったのは、外国のスタッフ×日
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

3.0

陰影による顔の影の演出と砂っぽい画面の色味が物語に重厚感を添える。

俳優の顔はくっきり分かりやすく照らすという当時の原則がある中で、あえて顔が分からない状態で登場させ、役者の周囲にある最低限の明かり
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.0

マレーシアの名作映画。バーの店主のおすすめにて。

マレーシアは中国系、マレー系、インド系を抱えた多民族国家だ。
加えて中国系は仏教徒、マレー人はイスラーム教徒、インド人はヒンドゥー教徒でもあるため、
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四月物語(1998年製作の映画)

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恋する乙女の盲目独白日記。
現実が果てしなく続く地平線の先に存在する物語。

最序盤のシーン、実世界での父親松本幸四郎と兄市川染五郎が見送る。

これだけでも現実に根差した映画を作るんだ
という意思表
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リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.0

気持ち悪い行い×悪魔的に美しい調べと光が織りなす岩井マジック。
「どこまでも現実が続く夢の中」

いじめ、自慰行為、万引き、援交、いじめ、自殺。
これでもかと少年犯罪が詰め込まれていたが、全てサラッと
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.5

朝、夢で初恋の人に会った。
もやもやとした気持ちを抱えながらその日の仕事を終えると、足は自然と映画館へと向かい
図らずも恋愛映画を観に来てしまった。

レディースデーとあって、劇場内は女性ばかりである
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.0

初MX-4dにて鑑賞。
良かれと思って鑑賞したが、座席が揺れることで映画への没入に時間を要した。。

アメリカ版プロジェクトX。
アメリカ国内で伝説的な活躍があった際、すぐにこうした良質な映画に仕立て
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.0

脳内でビートルズ祭りが始まった。

ビートルズがもしいなくなったら?

アイデア自体突飛なもののため、ヘタを打てば脚本が空中分解してしまう危険性もあるなか、クライマックスへの橋渡しも見事!
そしてまさ
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今日もどこかで馬は生まれる(2019年製作の映画)

3.5

新年一発目劇場視聴映画。
経済動物競走馬の引退後の生活に迫るドキュメンタリー。

正確な数はわからないが、引退し、種牡馬や乗馬としての役目を終えた馬の8割の行方がわからないという。

加えて食肉として
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花とアリス(2004年製作の映画)

3.5

新年一発目。
岩井映画は美しいと言われる。
そこにあるのは未熟さと儚さ。

消えてしまいそうな淡い色合いの画面で彩られる世界。

ここで未熟さの象徴として出てくるのは、少女の初恋と友情だ。

親友のア
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ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!/ハード・デイズ・ナイト(1963年製作の映画)

3.0

ビートルズ全盛時代本人出演ドラマ。

ボヘミアンラプソディのようなバンドの歴史を振り返るものではなくメンバーのかわいい一面をとらえたファンムービーに近い。

所々にギャグが散りばめられ
嵐のバラエティ
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バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

3.0

神様の言う通りやリアル鬼ごっこ等大氾濫したデスゲーム系コンテンツの先駆者。

細かいが、生理やトイレ、食事、化粧を含めた人間生活が描かれているのが他のデスゲームコンテンツと一線画している。

少々泣か
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仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

4.0

物語が次々に畳まれていく。
画面の7割近くは、病院か銃撃か葬儀のシーンで占められている。

これだけ短時間で葬儀のシーンを見る映画は見たことない。

戦中世代から戦後世代へ、世代交代。

第1作目から
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仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

4.5

日本邦画屈指の名作シリーズ。

人情や泣かせるクサい芝居はない。
とにかく画面には冷徹に虚しさが漂う。
それを娯楽的に面白く作るから凄い。

あまりに多くの人が死に過ぎて、30分後には誰が死んだのかも
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仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

4.5

日本役者オールスター陣が1番脂の乗り切った時期の演技合戦。

シリーズ屈指の政治劇。
まるで応仁の乱を見ているかのように、背景に控える勢力が行ったり来たりする。

広島での跡目争いは
全国への影響力増
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.5

仁義なきシリーズ2作目。スピンオフ作品。

タランティーノの暴力描写を原液で飲んだようなど迫力の映像が延々90分続く。

特攻で死ねなかった山中が、親分に仁義を通そうと捨て身の攻撃を繰り出すが、それは
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

3.0

キリスト教的、アメリカ的世界観。

神がいるか、いないかそれを信じられるかで感想がガラッと変わりそうな作品。

94年上映で少し前のアメリカ史をざっくり振り返っており、当事者国からするとめちゃくちゃエ
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未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.7

怪作中の快作。
圧倒の美術。1980年代科学物質人類文明の極致ともいえる素晴らしい出来栄え。

インターネット(電脳仮想)社会到来前の科学文明が到達しうる未来を見せつけられ、ただただ圧倒された。

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デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年製作の映画)

3.5

サマーウォーズの原型が多量に散りばめられていた。
(電脳空間の作画。世界中の声が武器になる演出。)

あんまり懐古趣味に浸るのは良くないと思いつつも、自分の小学生時代の空気感が克明に表現されていてあの
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.6

「他人に意見されて変えてるようじゃだめだ。
私が夢見た映像を一切の妥協なく作る。」
と語るホドロフスキーの目は未だに野心に満ちている。

総額2000億ドル超えの超大作映画を完成させようとはらわれた様
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