喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

2.5

シャイニングを決してアベンジャーズ化してはならない。

過去に出てきた怖いトラウマたちをあんな風にして安っぽく使うのはどうかと。

スティーブンキングの原作版により近い形での制作となった本作。

ダニ
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馬ありて(2019年製作の映画)

4.0

‪全編白黒映画。
世界で唯一のソリを引く競馬「ばんえい競馬」とそれに関わる牧場主、馬主、馬肉買い受け人の視点から
「馬」を描いたドキュメンタリー。

黒澤明やジョン・フォードいわく
白黒映画において最
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.0

自分の大好きだった居場所や人たちが後ろに下がっていく感覚を味わった。

傷つかないように人と距離置いて孤独でそれって幸せ?
立退料もらって高級マンションでいい暮らししても幸せ?
そうとは言わないが、ひ
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

4.0

シンプルに伝える男のカッコよさ。
そこにある価値基準はロマンチックか、カッコいいか、相手が喜ぶか。

相手を女神だと称え、瞳が好きだと言い
好きなところを正直に伝える。

何事もタイミング、どこでどう
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ガタカ(1997年製作の映画)

4.7

遺伝子編集技術により生まれながらにして、生きる道がほぼ決まってしまう切なさ。

今の科学技術の未来の一つとして確実に考えられる道の一つ。

あらゆる可能性は廃され、努力も遺伝子の壁に阻まれる。
ただ、
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CUBE(1997年製作の映画)

4.0

人間は理由もわからず、cubeという立体に閉じ込められた時、どう行動するのか?
という思考実験的要素を含んだ映画。

良いやつ、頼りになるやつだと思われた奴がクズに落ち、助かると思った奴は死んでいく。
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トレインスポッティング(1996年製作の映画)

4.6

ジャケット写真でなんとなく避けていたが、想像以上の編集のキレ、アンダーワールドのエレクトロミュージックに彩られた作品世界が炸裂しており、これまた後悔した。

ドラッグしてトリップする瞬間は美しさが訪れ
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.5

映!!像!!美!!

己の審眼美を試される。

映像を彩る赤、赤、赤。

彩られるエレクトロミュージックのグルーヴに映画館が座席ごと揺れていた。

最初のダンスシーン以外ほとんどアドリブだそうだ。
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私をスキーに連れてって(1987年製作の映画)

3.0

ベタすぎる。。だがそれがいいって感じ。

途中で
見てるこっちが気恥ずかしくなる。
だがそれがいい。

ユーミンの曲で星2個分プラスできる作品。

当時最新でも30年経てば、
あの頃は〜になっちゃうん
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スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)

4.5

お前らロックしてるか!?
と時代遅れのロートルおじさんが問いかける。

ロックでつまんねえ学校を変える!
これがおっさんの妄想だとしても、押しつけだとしても
教育やテスト勉強じゃ学べない、カッコいい生
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ランチメイト症候群(2018年製作の映画)

-

女子高生の極々私的な内面を映し出す。

おばあちゃんが作ってくれた古ぼけた弁当を友達にいじられ、みんなの前で弁当が食べられなくなり、トイレでご飯を食べるようになる話。トイレで弁当食べる演出は2014年
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草迷宮(1979年製作の映画)

-

舞台変わり、場面転換、音楽、セリフ回しに演劇みを感じる。

きちんと見せ場をつくり、間の置き方が演劇のそれだった。

個人的に趣味が合わなかっただけだったが、
衛生環境の悪い飲食店に入ったかのような居
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イメージの本(2018年製作の映画)

-

巨匠ゴダールの走馬灯なのだろうか?

繰り返されるイメージの羅列。
古い映画フィルム、絵画、書物、テキストを分割配置している。

全体は5本のシーケンスで成り立つ。
1.リメイク。
映画がオマージュや
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ミゾロギミツキを探して(2018年製作の映画)

3.5

台本無し、撮影日数4日間。
カメ止めを生んだいわゆる映画学校のワークショップ映画。

「原発反対」とシュプレヒコールをあげない極々普通の人々。
3.11で忘れられがちな辛くても辛いと言えない人の話を描
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ダークナイト(2008年製作の映画)

2.5

ジョーカーを見た記念に。

ジョーカーにもバットマンにも欠ける想像力を思い知った。
その想像力の欠如が生む『分断』

何も想像すらさせない存在として描かれていた今作のジョーカーだったが、それは持つもの
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真実(2019年製作の映画)

3.0

是枝裕和監督 最新作。

言わずと知れたシェルブールの雨傘で知られるカトリーナドヌーブ主演。

そんなフランスを代表する大女優へのインタビューをもとに脚本は練り上げられた。

女優の仕事の忙しさから娘
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U・ボート(1981年製作の映画)

3.0

随分と前に見終わった作品ですが、余りの潜水艦内の重苦しさに筆が重くなってしまいました。
カットもほとんどが船内。
安心したかと思ったらやってくる爆雷。

苦しさを共有し切った時に現れるカタルシス。
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ジョーカー(2019年製作の映画)

3.5

行われていることは狂気だが、表現としては優等生かつ、スタイリッシュ。

地下鉄の電灯、どこまでも続く線路、アメリカの街並み、タクシーが突っ込んでくるカットなど、美しくもあり、
人物の切り取り方はどれも
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サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

-

邦画の悪癖というべき、パニック映画のテンプレのようなエキストラのわざとらしい演技が目につく。

あからさまな騒がせ、うなづかせ、演技はどれも大きい。

リアリティに欠ける描写があまりに多く乗り切ること
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.6

これは初期衝動だ!!!

例えば銀杏BOYZとかナンバーガールに出会ったときのような!

目をかっぴらいて、口半開きで
見たせいで全身からっからだ!

日本版タランティーノ誕生!
というのはあまりに真
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激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)

4.6

幸か不幸か、この時代のこの土地に生まれなくてよかった。。
そう考えてしまう自分に卑近さを感じてしまう。

シンゴジラの庵野秀明監督のベストフィルムということで鑑賞。

「日本の一番長い日」で描ききれな
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

4.0

今泉映画は腹が減る!

愛がなんだ以来の今泉力哉作品。

前回同様、人と人が腹を割って話すシーンでは必ず食事シーンになる。
そして一回は必ず料理を上から撮ったショットが挟み込まれる。

娘が出ていくシ
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

4.0

もしメンタリストDAIGOさんが逃走劇をするのであれば、こういう感じになりそう。

当初はシンプルな娯楽映画を見るテンションで見始めたが、とんでもない勘違いだった。

彼が逃走するにも単にお金が欲しい
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

4.6

今まで見てきた会話劇の頂点かもしれない。

英語ネイティブではないのに、言葉のやりとり・応酬それを彩るディカプリオの表情にとんでもなく引き込まれた。

舞台はめくるめく変わるが、まるで演劇を見ていたか
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.5

落ちぶれていく元スター俳優の葛藤の
背景で描かれる猟奇的事件。

普通ならば、俳優の葛藤と克服が描かれて、終わるところをもう一つ事件をクロスオーバーさせてくるところが他のシロモノと一味違う。

関係な
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.5

痴人の愛、布団そしてロリータ。
古今東西繰り返されてきたいい年こいたおじさんが繰り出す少女愛。

それをキューブリック自慢の
フォローショット・センターへの人物配置、狂気に落ちる瞳で彩る。

身寄りの
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二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)

3.5

「自分がこれと決めた職業に惚れ込むんだ!」
超高級寿司で有名なすきやばし二郎の当主小野二郎に密着したドキュメンタリー映画。

巷でよく言われる「好きなことを仕事にしろ」ではなく、仕事に惚れこめ!
昔気
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

3.5

「こんな私を好きでいてくれてありがとう」
誰しも抱えていた?憧れの人。
その憧れの人が偶然同じ同士だった人はそれを運命と形容するのだろうか?

その運命を取り巻くように色々な愛が描かれる。
・ストーカ
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悪人(2010年製作の映画)

3.0

人はどこかに「悪人」を抱えて生きている。

どこかの一面から見たとき、容易に悪人になってしまう。

そんな一端に気づかされる名画。

いっときの感情を昂ぶらせ人を殺してしまった祐一。
感情を逆なでする
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ワンダラー(2019年製作の映画)

-

男女の安易な衝突
ではなく
家にいながら旅をしているように振る舞う
その見栄や虚栄心をもっと掘り下げて欲しかった。

なぜそんな見栄をはるのか?
自意識過剰なのか?
プライドが高いのか?
何を守ってい
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自転車は秋の底(2019年製作の映画)

-

NHK教育テレビ 23時頃にほんのりやっていそうな映画だった。

セリフがほぼない。

説明的な映画が多い邦画にあって、これはあまりに思想も説明もない。

アイディアと編集技術だけで突っ走ってしまった
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東京ヴァンパイアホテル(2017年製作の映画)

2.5

Amazonプライム オリジナル作品。

狂気と呼ぶには足りず、
エンタメと呼ぶにも足りない。

所々にキレキレの映像はあった。
例えば享楽的なイマドキ女子たちをマシンガンで惨殺したり、ガラス張りのテ
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東京少女(2019年製作の映画)

-

女の子の脳内ポエトリー。

思想があるようでない、独白映画。

ジャンプカットとちょっとイタい自己語りとアンニュイな音楽とでほとんどが構成される。

これを観るなら長久監督の「私たちはプールに金魚を」
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暗黒街の対決(1960年製作の映画)

3.0

今と明らかに「カッコいい男」の定義が違う。

この時代、外見のかっこよさとは別に、美学・スタイルにこだわる。

スナックでのタバコ。タバコを吸いたい時にサッとマッチを出す気づかい。義理と人情。

舞台
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ゴジラ(1954年製作の映画)

4.0

怪獣映画の原典。
何度目かの見直し。

戦後9年、第五福竜丸の事故直後という生々しさが残る中での上映。

ある者はゴジラの襲来を水爆の生ける象徴だといい、
ある者は空襲になぞらえ、
またある者は南太平
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わたしを離さないで(2010年製作の映画)

4.6

臓器提供ドナーになるためだけに生み育てられる人生。
抗えない運命に向かって歩まざるを得ない人たちと学校での日々を描く。

字幕で見ていたが、詩的描写・表現が多く、映像以外のイメージが膨らんだ。

そし
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