イホウジンさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

イホウジン

イホウジン

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EXIT(2019年製作の映画)

3.9

これぞ韓国エンタメ映画!と実感させられる。

ローカルな事象に言及しつつもそれらを普遍的なテーマに落とし込み、そのうえストーリー自体も非常に簡潔で、とても観やすかった。この映画の中で取り上げられるネタ
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.3

キャストの若さ割にセリフが老けてる

単純にセリフが気持ち悪い。全てがそうなわけではないが、やたらと説明的で啓蒙的な場面があった。「身体の言い分」とかアダルトビデオでも聴かないような安っぽいセリフを連
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音楽(2019年製作の映画)

3.9

青春音楽映画の最小公倍数

青春×音楽という何度も繰り返されてきた映画ジャンルでありながら、手書きアニメの衝撃の大きさと上映時間の短さの影響もあり大きな逸脱を感じてしまい否が応でも脳裏に焼き付く。絵を
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

-

彼らは生き“生きと戦地に存在し”ていた

まずなんといっても、ドキュメンタリーでありながら劇映画的なスペクタクルを内在しているのが見事で、とても観やすかった。アーカイブの接合による“出来事”の記録とし
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.1

【途中ラストに関するネタバレあり】
これは21世紀版「チャップリンの独裁者」だ!

この映画をジャンル分けするとすれば、コメディ映画というよりは喜劇映画の中に分類した方が良いだろう。確かに全編を通して
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37セカンズ(2019年製作の映画)

4.2

ただの人間たちがただ成長する。当たり前だけどそれが当たり前じゃない社会の現実。

障害者に関する昨今の話題はめっきり「生産性」に関する議論だが、今作ではその議論自体の危うさを暗に示しているようだった。
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さよならテレビ(2019年製作の映画)

-

最後で全てが萎えてしまった。

メタ展開を否定する気はないが、急に問いがズレていくような感じがして頭が混乱した。ドキュメンタリー映画としてのプライドはないのか?ドキュメンタリーの必然的な功罪を背負う覚
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.4

フカフカの綿で鋭利なナイフを包み込んだような感じ

映画全体の口当たりの良い雰囲気とは裏腹に、言語に表されない部分まで読み取ろうと試みると一気に闇が深くなる。予告編にある青春ノスタルジー的な大人の恋愛
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.3

善悪の対立をも軽く飛び越えた社会の不条理

格差社会や世界の分断がしきりに叫ばれるようになった昨今でも、それらのリアリズムを徹底的に追求した映画もそうないであろう。確かに同様なテーマの映画は近年多いが
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グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.7

日本の怪獣映画とは一線を画す、コミュニケーションの“断絶”

ベースのひとつに日本的な怪獣パニックものがあるのは明らかだが、そこはさすがポンジュノというか韓国というか、独特な空気感がある。
日本の怪獣
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.7

楽しさに先走って失ったオリジナリティ

まるで「最後のジェダイ」のストーリーが存在していないかのような展開で、単純に驚いた。ルーク三部作へのリスペクトやオマージュを全面に押しだした今作の内容は、よく言
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

3.8

人間最後は知性と執念

半沢直樹みたいな終盤の劇的展開はとても面白い。前半で人情ものの映画と思わせといて、ここに来て怒涛の伏線回収が始まるのには驚いた。主人公の決して捨てない知性のプライドとシャバへの
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

3.8

自分たちが生み出した呪いは自分たちで克服する。

内容は「帝国の逆襲」と「ジェダイの帰還」の前半を融合させたような感じだが、そこら辺のリスペクトはしつつもどこか新しい世界線へ向かおうとする制作陣の勢い
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スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年製作の映画)

3.6

古参にも新規にもウケるようにしたら、EP4の二(三)番煎じになっちゃった感。

83年で止まっていたルーク三部作の世界観を10年代の技術で蘇らせたこと自体は評価されるべきだろう。戦闘機もファルコンもド
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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

3.8

「ジョーカー」を経て大きく変わった本作の“意味”

機械化/効率化にまつわる労働者視点の風刺はとにかく秀逸である。人をモノのように扱うというテーマであれば比較的重い映画にも作れる中で、やはりあくまで喜
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独裁者(1940年製作の映画)

3.7

公開から数年後の未来を考えると、笑うに笑えない。

映画の魅力の一つに、登場人物たちのその後を空想するということがあると思うが、今作におけるそれは非常に厳しいものがある。理由は当然ホロコーストだ。確か
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スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年製作の映画)

3.9

【2020年1本目】
政治の混沌は人生の全てを歪める。最早そこには善悪など存在しない。

アナキン三部作における重要なポイントは、ジェダイと暗黒面の線引きの曖昧さであろう。確かにアナキンはフォースを過
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スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃(2002年製作の映画)

3.9

政治/戦争映画の様相を呈し、いよいよオリジナル三部作を払拭する。

EP1の不毛なグダグダ感から一転、硬派な政治,戦争の描写が登場して空気が変わった。それと共にフォースと暗黒面に関する核心部分にも徐々
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ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

3.8

ばかっこいいダンスがいい感じ。

全体的な適度なダサさがかえって魅力的である。踊りも映像も大げさな演出がなされているが、特に踊りについては身体の躍動の限界にまで挑むような振り付けでむしろ良いものになっ
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スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年製作の映画)

3.4

ただスターウォーズがCGになって復活したという事実の大きさ。

4~6の緻密な特撮から一転、CGを惜しみなく活用してスターウォーズの世界観がより強固なものとなった。レースの場面の映像や世界観は過去作で
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あん(2015年製作の映画)

3.7

他者から自由を奪い、自分の自由も奪ってしまった現代の日本。

この映画を通して、「自由」が常にテーマとなっているのはよく分かった。どら焼き屋の2人は背景こそ違えど社会から自由を一時的奪われたことのある
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ターミナル(2004年製作の映画)

3.7

国家や個人のしがらみを越えた“超空間”としての国際空港。

一個人としての人間の尊重の場の象徴として国際空港を扱った点はとても良い。舞台こそ縛られるが、その分狭く深く世界観に浸ることができる。本来なら
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.7

全体に湧き出るアンチ・ハリウッドの熱

ジャンルこそ恋愛映画だが、それはハリウッド的な“ラブロマンス”とは一線を画すものである。ロマンチックなのは南仏の風景の撮り方だけで、主人公の恋愛は極めて単調だし
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.5

これはフランス版「灰とダイヤモンド」ですか?

確かに、モノクロの独特な映像美や空虚な台詞回しなどは言わずもがなとても良い。登場人物たちのファッションや車もとてもオシャレだ。

ただ、ストーリーが今作
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スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

3.7

ダースベイダーの株が急騰する。

今作の見どころの一つは、ダースベイダーの“心”があらわになる点であろう。全てを知った息子と再開したり娘の存在を知ったベイダーはなんか嬉しそうだし、終盤には皇帝への怒り
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.3

「いつか幸せになれるはず」の“いつか”はいつ来るの?

資本主義/新自由主義と個人の幸福の追求の必然的な搾取構造を容赦なく見せつけられる、息苦しい100分間だった。格差社会の底辺を描く映画は最近だいぶ
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スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

3.8

壮大な叙事詩としてのスターウォーズ、ここに極まる

EP4の快活なサクセスストーリーから一転、重くはないが渋くなった。ヨーダとルークのパートはひたすらに修行だし、仕舞いにはヨーダの「冒険や友情はフォー
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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.7

予想以上に「青春活劇」という言葉がよく似合う映画だった。

続くかどうか確証のない状態で制作されただけあって単作としての完結度はとても高い。とても2019年まで続くような内容に思えないが、逆にこのEP
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

-

あまりにもファンタジーが強すぎてかえって不気味。
意図的に説明されない部分がある。

生活の質の高さは本当に素晴らしい。半時給自足的な生活をニュータウンの中で実践しているということも次世代への希望と受
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シンデレラ(1950年製作の映画)

3.4

あまりにも美しすぎる“呪い”

映像が美しいのはよく分かる。現代でも劣らない巧みな演出や登場人物の作り込みである。オープニングでシンデレラ城が登場しなかったことに一瞬違和感を感じてしまったが、その理由
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.3

抑圧からの抵抗/解放の装置としての文化。
正真正銘大人も子どもも楽しめる名作。

小学生の時にDVDで断片的に観て以来の約10年ぶりの鑑賞だったが、歳をとったり世界史を勉強したりして見え方が変わった。
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東京オリンピック(1965年製作の映画)

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芸術性を通してはじめて分かる当時の空気

公開当時にこれが記録映画になるのか否かの論争があったのは観ればよく理解できた。具体的な数字や選手名が出てくるパートも当然あったが、今作では“映画としての構成”
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アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.7

一貫したストーリーとして考えるとイマイチだが、部分だけピックアップして見るとなかなか面白い。

日本映画では珍しい、全編に渡りブラックユーモアが溢れた皮肉たっぷりの物語である。女性蔑視、欧米には敵わな
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

2.3

軽薄な優しい世界。
平和すぎて、吐き気がするほど気持ち悪い。

失笑してしまうほど全てがステレオタイプな表現で驚いた。あらゆる描写が手垢のこびり付いたものばかりで、全く新鮮さを感じられない。監督はきっ
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.8

圧倒的なモブの作り込み。

主人公や主人公の動かす改造車だけ観ていると大したことないが、それ以外の登場人物の完成度の高さや改造車の作り込みがこの映画の最大の見所であろう。今作における「勢い」はとても大
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草間彌生∞INFINITY(2018年製作の映画)

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草間さんのキャンバスは、この世の全て。

草間彌生のここ30年の快進撃を幼少期から90年代までを中心に考察する映画で、単なる作品のプロモーションに留まらない点が印象的である。そのうえ、草間の置かれた環
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