イホウジンさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

イホウジン

イホウジン

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羅生門(1950年製作の映画)

4.5

【夏の映画マラソン 12】
醜い決闘に人間の「鬼」を垣間見る。

大まかなストーリーは、「藪の中でなぜ武士が死んでいたのか4人の証言から検証する」という見た目かなり硬派なものだが、独特な暗い空気感や緊
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ローマの休日(1953年製作の映画)

4.4

【夏の映画マラソン 11】
絶対外さない要素だらけの超王道恋愛映画。

オードリーヘップバーンの魅力は言わずもがなである。オンでもオフでも品の良さを常に滲みだしつつそれでいて人間くささも溢れていて、単
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

3.9

【夏の映画マラソン 10】
日常に溶け込む感覚。

今作のストーリーはあってないようなものだが、逆にそれによって映画全体の世界観が引き立っているように思える。ベースに仏教があるのは確かだが、それ以上に
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慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ(2014年製作の映画)

4.4

【夏の映画マラソン 9】
生と性と死はいつも隣り合わせな存在。
とても丁寧な映画。

この映画の魅力は「生と死の近さ」であろう。登場人物それぞれにどこか暗い過去があるし、なんといっても生活の中に古墳が
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

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【夏の映画マラソン 8】
狂っているのはこいつか?国家か?

主人公奥崎は、もし近所に住んでたら「絶対会ってはならない人リスト」に余裕で入るであろうかなりヤバい人である。天皇誕生日に皇居前で街宣するわ
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サウダーヂ(2011年製作の映画)

3.9

【夏の映画マラソン 7】
郊外の混沌、日本の憂鬱

この映画においてはストーリーはあってないようなものである。一応の起承転結は用意されているが、ほとんど交わらない複数パートの存在や膨大な数の登場人物な
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雨月物語(1953年製作の映画)

4.1

【夏の映画マラソン 6】
夢と現実の交錯が織り成す幻想的な物語。

「夢」を望んだ2人の夫と彼らの言動に翻弄される妻を中心にストーリーは展開されており、構造もいたってシンプルである。単純かつ明確なメッ
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赤線地帯(1956年製作の映画)

4.5

【夏の映画マラソン 5】
時事ネタ映画のはずなのに、古さを全く感じさせない。

日本の性産業にとことん踏み込んだタブー破りの映画。善悪の区別がつきづらい混沌の世界にセックスワーカーも観客も放り込まれて
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ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.9

【夏の映画マラソン 4】
映画の特性を逆手にとって最後まで観客を“騙す”。どんでん返しがあると分かっていても楽しめる。

何を言ってもネタバレになるので言及は避けるが、映画の「没入感」を巧みに利用した
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.0

【夏の映画マラソン 3】
ヘンテコだが愛を感じる。

内容云々というより、世界観がひたすら最高である。欧米の視点から日本を描くとき多くの場合オリエンタルな感じに陥りがちになる中で、今作はその優劣を最大
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.9

【夏の映画マラソン 2】
視覚と聴覚をくすぐる音楽映画。

まあ2時間弱、良質なミュージックビデオを観るようなものである。あらゆるジャンルを幅広くあつかい適材適所な場所に音楽を流す様は見事である。
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.1

【夏の映画マラソン 1】
ラブコメ世界を自己破壊するかのような“押井守ワールド”全開の映画。

テンポのよい序盤からアニメほぼ未見の人でもその世界にぐいぐい引き込まれる。「最初の前日」の中で起こるドタ
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愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

2.6

「古きよきアメリカ」の虚構。

部分的にいいなと思えるシーンがあるのは確かである。主人公が己の弱さをさらけだす所やラストシーンなど、そこそこ印象に残る場面があるのは事実だ。

ただ、あちこちが妙に古臭
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.7

良くも悪くも池井戸潤チック。

2時間以上の映画でありながら全体のテンポもよく、とても楽しめた。なによりキャストが絶妙である。登場人物のキャラクターと俳優の魅力がうまく合わさって圧巻だった。菅田将暉,
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よこがお(2019年製作の映画)

4.1

ポーカーフェイスの狂気。ということ以外、言葉では伝えられないほど難しい。

とにかく筒井真理子と市川実日子の圧倒的ツートップ。二人の演技合戦がこの映画の質を確固たるものにしている。正真正銘の笑顔から偽
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Girl/ガール(2018年製作の映画)

3.9

セクシャルマイノリティというニッチな話題を思春期という万人の共通項と絡めて、観客の心情に訴えかけてくる。

私は映画には「他人事を自分事にする力」があると信じていて、この映画はその典型的な形と言える。
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工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.2

スパイもの×ノンフィクションクライム×BL=最高!

まずこんなミッション:インポッシブルみたいなことが現実にあったということに驚きが隠せない。スパイもの映画としての質はハリウッドのそれに匹敵するもの
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ムアラフ 改心(2007年製作の映画)

4.0

最も理想的な宗教映画。
世界中の人々があの姉妹のようになれば世界は平和になると確信する。

登場人物やストーリーがとても洗練されていてそういう意味では大変観やすい映画だが、マレーシアの宗教構成やそれぞ
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ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)

4.3

真面目に羽目を外す超王道のドタバタコメディ。
バカだけどふざけてない。

特別真新しいことや斬新なことをしている訳ではないのだが、あらゆる「コメディあるある」「アクションあるある」を濃密に凝縮したよう
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白蛇伝(1958年製作の映画)

3.8

この映画無くして戦後日本アニメを語れないのはよく分かる。とにかく映像がすごい。

制作陣のこの映画に全てを賭けようとした思いを掴み取れるかのようなアニメーションの創意工夫である。ベースにカートゥーンが
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青の帰り道(2018年製作の映画)

3.4

扱ってる話題はとても良いのだが、あまりにもツッコミどころが満載。

この映画の最大のテーマは「過去の良い思い出との付き合い方」である。一般的には“過去に生きるべきか?”“決別して前を向くべきか?”の二
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

4.1

1→2→3→4で起→承→転→結をしていたのかもしれない。

今作を作るにあたっては制作側は相当頭を悩ませたことだろう。私自身も3の結末に満足していた立場だったので、続編が発表された時は相当驚いた。それ
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.3

78分とは思えぬ情報量。
「日本人」の視点を通して神の存在意義を問うている。

1時間と少しの短めの映画なのにとにかく情報が濃い。そのくせ長回しの映像が多い点を考慮すると、いかに洗練されたストーリーだ
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.9

主観で楽しむ映画。
あなたは誰推し?と問いたくなる。

メインキャスト5人であらゆる人間の思考や感情を目撃している感覚になる。互いにバックグラウンドや恋愛の進捗に違いがありながらも、どこか似通った部分
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

3.9

男たちの感情のぶつかり合いで、「戦中」と「戦後」の境目をヒシヒシと感じさせられる。

シンゴジラがこの作品を意識しているのはよく分かる。序盤の異様なテンポの良さや登場人物の多さなど、オマージュしている
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.3

近畿財務局の自殺された男性職員に捧ぐ壮大なレクイエム。

この映画を「反安倍映画」「望月前川応援映画」みたいに表現するのは非常にナンセンスである。政治クライム映画が極端に少ない日本の現状で確かにそうい
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

3.8

最大の特徴は“特に何も起こらない”こと。しかも、外野から見れば激動の日々なのに登場人物達はわりと呑気な所がよけい印象深い。

確かにこの映画における重要な要素にテロは位置づけられているが、恐らく意図的
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

3.1

素材は一級品だが、調理したら“生焼け”になってしまった感じ。

所々とても良い映像や内容があるのは事実で、けっこう風刺にも取り組んでいる。虚実入り交じる映像やテレビカメラの映すものとその外が映すものの
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.9

二度と観たくない(褒めてる)。
もう一度観たら間違いなく発狂する。

観客の理性を徹底的に揺さぶる展開がほぼ最後まで続く。「人を殺してはいけない」という人類が最も共有すべきコモンセンスを疑いもなく崩し
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7月の物語(2017年製作の映画)

4.2

(2つのオムニバスをまとめて話すことが難しいため、別々にスコアをとってその平均を星にする。)

「日曜日の友だち」→4.0

日本昔ばなしを観た感覚。

勧善懲悪とまではいかないが、私欲にノった方が損
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海獣の子供(2018年製作の映画)

4.1

「ナウシカ」や「火の鳥」にも通ずる究極の生命賛歌!

まず映像がとても美しい。ジブリ的な細かい情景描写を展開する場面もあれば抽象的な表現をする場面もあり、なによりそのバランス感覚が良い。このシーンでは
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僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

4.0

彼ら彼女らの行いは正しかった、と信じることしか我々にはできない。
モヤッとするがスッキリするという不思議な体験をした。

青春群像劇としての完成度はとても高い。特定の人物ばかりにフォーカスするのではな
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町田くんの世界(2019年製作の映画)

4.1

青春ラブコメ映画の化けの皮を被った、現代日本の虚無感に抗うカウンターを感じさせる映画。

おそらく石井監督の過去作(特に前作の「夜空はいつでも〜」)を観てるか観てないかで映画の世界の見え方が変わってく
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水のないプール(1982年製作の映画)

3.9

ラストに全てを持ってかれた。あのラストの表情を見るための映画。

映画全体で展開されることはレイプ(断じて“政治”ではない)だし、昔も今も到底容認出来ることではない。しかし、この映画の最大の焦点は「そ
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餌食(1979年製作の映画)

3.8

よく分からない内に次々と話が展開していくが、「考えるな感じろ」を徹底した映画だった印象。

ストーリーは色々と設定がぶっ飛んでて面白い。内田裕也がレゲエを語るわ、拳銃使い放題だわ、有り得なくはないが不
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小さな恋のうた(2019年製作の映画)

3.7

ツッコミ所が多い割には悪くない真面目な映画だった。

言わずもがな、歌唱シーンはけっこう良い。それぞれのシチュエーションや歌う背景にも違いが出ており、ストーリーと歌唱を上手く融合出来ていたように思える
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