desperadoiさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012年製作の映画)

4.0

15年間に渡る大河的な作品だけあって、キャラクターの変化・成長はもちろん、繰り返し用いられるシチュエーションや舞台、カメラワークにはハッとさせられる。長いスパンの物語ならではの魅力であるし、2組の親>>続きを読む

世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

4.0

問題を抱えたキャラクター達の取るズレた行動は確かに可笑しい。しかし、苦しみもがきながら懸命に前進しようとする彼らへの温かい眼差しも同時に感じられるのは、大きな挫折を経験したデヴィッド・O・ラッセル自>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.0

単に敏腕刑事といかれた殺人犯の戦いを描いたクライム・アクションとしても面白いが、本作を特異なものにしているのは、両者の行動が時に紙一重であると描いた点ではないか。追跡劇の末、遂に2人が直接対峙するス>>続きを読む

夜に生きる(2015年製作の映画)

3.0

闇酒場強盗シーンの流れるようなカメラワークや、クラシックカーによるチェイスシーンの迫力にこれは幸先の良い出足と感じたのも束の間、それ以降は一体どうしたベンアフ!?と思わざるを得ない平凡な演出が目立つ>>続きを読む

グリーン・ゾーン(2010年製作の映画)

3.0

この題材であればアクション・スリラーではなく、ポリティカル・サスペンスとして観たかったと言うのが正直なところ。例えば『大統領の陰謀』のようなスタイルで。しかしそれはポール・グリーングラス&マット・デ>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.0

ただ1人歌を口ずさみながら地下通路のスロープを登るアリー、そこにゆっくり浮かび上がるタイトル。一見すると非常にシンプルな場面設定だが、彼女の成功を確かに予感させるシーンとして仕立てるブラッドリー・ク>>続きを読む

華麗なるヒコーキ野郎(1975年製作の映画)

4.0

朗らかでノスタルジックな世界観と、時代に取り残された男達の物語にジョージ・ロイ・ヒル節を感じながら観ていると、曲芸飛行の凄まじいアクションに度肝を抜かれた。スリルたっぷりで興奮するのを通り越して、も>>続きを読む

リトル・ロマンス(1979年製作の映画)

3.0

キャラクターの名前や劇中で登場する映画に、洒落っ気たっぷりなジョージ・ロイ・ヒルの性格が出ていて思わずニヤリとしてしまう。

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.0

モノクロの映像であることを忘れてしまいそうな程、生命の輝きが眩しい。『天国の口、終りの楽園。』も『トゥモロー・ワールド』も『ゼロ・グラビティ』も全てはこの一本のためと言えるキュアロンの集大成的な作品>>続きを読む

ザ・ファイター(2010年製作の映画)

4.5

久しぶりに観て今まで感じていた疑問——冒頭とラストに配置されたドキュメンタリー番組風の映像の意図をようやく理解することができた気がする。これはミッキーが世界チャンピオンになるまでを描いた映画でもある>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

4.0

「この50年で一体何が変わったのか」との疑問を怒りとともにキャスリン・ビグロー&マーク・ボールが突き付けてくる力作。
一歩間違えればアルジェ・モーテルの事件は単に後味の悪い見世物になってしまうはず。
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ブラディ・サンデー(2002年製作の映画)

5.0

やはりポール・グリーングラスお得意のドキュメンタリータッチの映像はとても好み。ボーンシリーズの目まぐるしい撮影・編集とは異なり、1カットを比較的長めにすることでより臨場感が出ている。そのため観客とし>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

4.0

既成の楽曲をバンバン流すのはスコセッシ作品でお馴染みの演出だが、それが最も成功している1本だと思う。エルモア・ジェームスの”Dust My Broom”やハウリン・ウルフの”Spoonful”、ジョ>>続きを読む

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

3.0

悪い冗談のような出来事の連続に思わず笑いが込み上げて来そうになるけれど、作品のトーンはリドスコらしく終始シリアスなものに保たれている。いっそのことコーエン兄弟作品のようなブラック・コメディーにしてし>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

4.0

監督を始めとしたメインスタッフの交代という事態に不安を覚えたものの、蓋を開けてみれば脚本家テイラー・シェリダンの確固たるビジョンがシリーズの屋台骨を支えていることに気付かされる傑作だった。交差するス>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.0

不条理・奇妙・シニカルと三拍子揃ったいかにもコーエン兄弟らしい作品ばかりのアンソロジー。「食事券(飯の種と訳すのが適切か)」「金の谷」「早とちりの娘」が特に好き。遅かれ早かれ人は死ぬ。
どれも断片
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アウトロー・キング ~スコットランドの英雄~(2018年製作の映画)

3.5

デヴィッド・マッケンジーの前作『最後の追跡』と同様に、長回しによるオープニングで一気に作品の世界に引っ張り込まれる。加えて天幕の覆いを使って景色をガラッと変えてみせる演出が光る。その他にもスコットラ>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.5

ドラマパートに関しては、監督交代等のゴタゴタを窺わせる平板な演出が目立ったように思う。ただそれまで描かれてきたフレディの人生や、苦楽を共にしたメンバーの思いが結実するライブ・エイドのシーンには、それ>>続きを読む

7月22日(2018年製作の映画)

4.0

『ジェイソン・ボーン』で薄らいでいたポール・グリーングラスへの信頼を力強く引き戻してくれる傑作。
テロリストと生存者に限らず多角的な視点を取り入れた事で、監督の言う「世界を写す鏡」としての映画の役割
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.5

"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be aliv>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.0

あとは宇宙ぐらいか…とジョークにされていたネタ切れへの不安も、手に汗握るどころではないハードなアクションの連続にすぐさま吹き飛んだ。たとえシリーズに既出のアクションであっても、演出次第でこれほど魅せ>>続きを読む

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)

3.5

ギャグや泣かせどころもしっかり盛り込みつつ、一切の無駄なくつるつると進む物語。他の映画では味わったことのない恐ろしいまでにスムーズな筆致に震える。マジで何なんだこれ。とんでもないものを撮ってくれたな>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.0

今回初めて吹替えで観たが、タランティーノらしい物語の筋には関係のない無駄話がより生き生きとしたものに感じられて面白い。無駄話と言っても場がダレる訳ではなく、事態がどう転がるか予想が付かず緊張感を高め>>続きを読む

デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

3.5

激しいカーチェイスよりも、ドアも開けずに窓から颯爽と車に乗り込むゾーイ・ベルの勇姿×2にガツンとやられた。役柄が架空のキャラクターではなく、彼女自身と言うのも唯一無二の存在だと強調されているようでス>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.0

徹底して感傷を排した作風からハードボイルドと形容したくなるが、それすら躊躇させる鑑賞後の虚無感が凄まじい。感動の涙は勿論のこと、血がたぎるような興奮も与えてはくれない。あるのは冷たく横たわる「現実」>>続きを読む

誘拐犯(2000年製作の映画)

3.0

主役2人のキャラクター名は『明日に向って撃て!』から、ラストの銃撃戦はまるで『ワイルドバンチ 』のよう。クリストファー・マッカリーは本当に西部劇が好きなのね。絶妙な緩急のついたカーチェイスは今までに>>続きを読む

アウトロー(2012年製作の映画)

3.5

イーストウッドによる同名の名作があるにもかかわらず、なぜ『アウトロー』なんて邦題を付けたのか疑問に思っていたが、そもそもクリストファー・マッカリーとトム・クルーズら製作陣も現代版西部劇を目指していた>>続きを読む

ブラックハット(2015年製作の映画)

4.0

久しぶりに観たが主人公ら2人が小型機で香港から飛び立つシーンの余りの素晴らしさに、他の部分で感じた不満は吹き飛んだ。親友・肉親を殺された怒りと悲しみで荒れ狂うキャラクターの心中。しかし窓外に広がるの>>続きを読む

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(1973年製作の映画)

3.5

象徴的な鏡の使い方にグッと心掴まれた。撃ち殺したのはかつての友と、自らの青春。

わらの犬(1971年製作の映画)

4.0

一度タガが外れてしまえば止まらない暴力的な衝動がもたらす結果を、これでもかと見せつけられるが目を逸らすことは出来ない。平和主義者と言うよりは臆病な数学者を演じたダスティン・ホフマンがはまり役。ペキン>>続きを読む

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

4.5

“If they move, kill ‘em!” 鋭い眼光で睨みを利かせたパイクがそう発した瞬間に被さる”Directed by Sam Peckinpah”のクレジット。これ以上は望めない最高の>>続きを読む

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

3.5

生々しく暴力的なアクションを得意とする監督というイメージの強いペキンパーが、こんなコミカルな演出で温かみのあるドラマを描くのかと驚く。聖人でも極悪人でもない人間的な魅力に溢れたキャラクターたちが愛お>>続きを読む

パニック・ルーム(2002年製作の映画)

3.5

オープニングクレジットから炸裂するヒッチコックへのオマージュ!他のフィンチャー作品と比べると毒が少なく物足りない感じもするが、テンポ良く二転三転するプロットと工夫を凝らしたカメラワークで、最後までサ>>続きを読む

赤ちゃん泥棒(1987年製作の映画)

3.0

久しぶりに鑑賞したが戯画的なキャラクターとスピード感のある演出に驚き、コーエン兄弟のフィルモグラフィでは異色の作品であるように感じた。泥塗れになって叫んでいるだけなのに笑わせてくれるジョン・グッドマ>>続きを読む

ブリット(1968年製作の映画)

4.5

作品全体を貫く情感を排したドライなトーンと相まって、The King of Coolたるマックィーンの魅力が十二分に発揮された犯罪映画の傑作。当時としては珍しい全編ロケ撮影が生み出す空気は、他の作品>>続きを読む