ダイナさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

自然音と生活音と死につながるバイオレンスサウンドは一切の茶化しを許さず、殺伐とした本作の世界観は「壁一枚隔てた先には敵がいる?な緊張感・一寸先は生死の分かれ目」を痛烈に印象づけてくれます。本作の緊張感>>続きを読む

インターステラ5555(2002年製作の映画)

4.1

セリフ無し、要所の効果音とダフトパンクの2ndアルバム「Discovery」の収録曲のみというサウンド面にも関わらず、松本零士氏の特徴的なデザインに基づいた世界観との親和性が謎に高く、このアニメを世に>>続きを読む

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

4.3

同姓同名による勘違い被害を発端に色んな欲望が縦横無尽にぶつかり合うクライムコメディ。ロサンゼルス一の不精者である主人公デュードは一見ヤバそうな奴に見えるものの、話が進んでいくと他にも色んなベクトルのヤ>>続きを読む

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.4

ポン・ジュノ長編デビュー作。ストレートなギャグから、笑っていいのか不安になるブラックなネタ、急展開の応酬が楽しいブラックコメディ。「犬殺し事件」の犯人を探す本作のストーリーが単純なサスペンスにとどまら>>続きを読む

害虫(2002年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

教室内で笑顔の女子高生達に取り囲まれる無表情の宮﨑あおいというパケ写に不穏な展開を想起させる題名、主題歌ナンバガ提供という点に惹かれ鑑賞。脇を固めるバイプレイヤーの層の厚さが凄い。たまの石川さんも出て>>続きを読む

地獄のデビル・トラック(1986年製作の映画)

3.4

みんな大好きスティーヴン・キングが監督ということで。彗星の影響で地上の電子機器が暴走を起こすという、無害だったのが人類に牙むいちゃいました系のB級ホラー。電子機器に影響という設定の割には車の暴走が終始>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ラーメンウエスタンってなんぞ?と興味津々に鑑賞。本筋に絡んだり絡まなかったりの複数の食のエピソードで構成される自由な内容が面白いです。ただ性欲と食欲は分けたい心情としては役所広司演じる白服パートが辛い>>続きを読む

地球を守れ!(2003年製作の映画)

4.2

パケ写のB級SF感から緩さを期待すると裏切られる内容の重さ。日常では気弱な青年ビョングが手製ヘルメットを被りゴミ袋のような黒光りしたビニールをヒーローのマントのように纏い製薬会社の社長に執拗な拷問を仕>>続きを読む

エボリューション(2001年製作の映画)

4.0

三つ目スマイリーのシンボルが印象深いお馬鹿SFモンスターコメディ。落下した隕石に付着した細胞が人類の歴史からは考えられないスピードでモンスターに進化していきアメリカをカオスに陥れていくというお話。>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

3.8

スター選手が移籍し資金不足に悩むアスレチックスのスカウトがとある出会いから客観的統計評価方法「セイバーメトリクス」を知り、それを用いてチームを建て直す様子を描く実話に基づいたヒューマンドラマ。

ジョ
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

3.5

人類が繁殖能力を失った近未来、妊娠した女性を守る使命を全うする男を描いたSFディストピアモノ。未来描写に関しては印象に残るものは余りないものの(こんな状況で芸術大切にしてどうすんのみたいなやり取りは好>>続きを読む

セルフレス/覚醒した記憶(2015年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

給水塔や馬の遊具、庭内プールや室内で不穏に動く玩具、記憶を探っていく過程でサブリミナルで一瞬映されるカーニバルの山車…妙に頭に刻まれる美しくファンシーで不気味な画。「セル」を撮った監督と言われ納得の画>>続きを読む

ランボー(1982年製作の映画)

3.9

本作より後発である「プレデター」や「コマンドー」を彷彿とさせるような「筋肉男大暴れ」を大迫力で映してくれていますが、あれらが映す頬を緩ませてくれるツッコミの隙はなくシリアス一辺倒で当時の社会背景を痛烈>>続きを読む

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.1

乱暴気質なボクサー・ジェイク役にデ・ニーロ、彼を支える弟でマネージャーのジョーイ役にペシ。グッドフェローズでのイカれていた役のペシに一歩引いた冷静冷徹な役のデ・ニーロを思いながら鑑賞するとニヤニヤでき>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

音楽のロマンティックな美しさに反して、売春婦や暴徒で溢れる退廃した街で孤独な男が愛を求めて・社会への憤りを破裂させるという狂気が描かれる内容。バイオレンスな内容にミスマッチのような音楽を違和感なく合わ>>続きを読む

カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.8

1920年公開ドイツ表現主義の代表的サイレント映画。覗き穴から見させられているような映像はモノクロで絵画的かつ所々歪んだ背景美術、アグレッシブに訴えてくる字幕、壮大で不穏な音楽が相まった「非現実感」が>>続きを読む

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

映画館で適当な新作を観るつもりがカーソルは無意識にジュラシックパーク4K予約をクリックしてしまった…!結果大満足だった…!テレビ画面で受け取った古い思い出は大スクリーンにより鮮明に記憶を補完・上書き。>>続きを読む

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

4.4

ジョン・トラボルタ演じる音響効果マンのジャックが効果音の収録のため深夜集音をしていたら事故現場に遭遇。世間的には大事にされず処理された事故ではあるものの、ジャックが現場で録音していたテープには陰謀を予>>続きを読む

メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

4.3

デトロイトのレコードレーベル「モータウン」のドキュメンタリー。スティーヴィーワンダーやジャクソン5、スプリームスetc…存在を知らない人でも曲は絶対耳馴染みのある豪華布陣を輩出し、ビートルズも虜となっ>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

個人的には目をグッと瞑った時の感覚っぽさを思うオープニング。まず印象付けられたのはカメラワーク。カメラが揺れる揺れる。まるでその場にいる1人がカメラを持って撮影しているようなその映像は世界観を現実的に>>続きを読む

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者(2005年製作の映画)

3.3

旧アニメと原作は根幹の設定と展開が大きく異なり、本作は旧アニメ最終話の続きとなるため、原作読破といえど旧アニメ未視聴だとついていくのは難しいと思われます(それほど原作から乖離してる冒険作)。コメディの>>続きを読む

スライ・ストーン(2015年製作の映画)

3.7

人種性別混合編成のファンクバンド「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」のメインボーカルであるスライの現在を追うドキュメンタリー。ジミヘンも一目置くファンク界の重鎮の現在の姿に迫りつつ、関係者の思い出話に>>続きを読む

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

舞台となるストックホルムの雪景色はとても静謐であり、孤独を共通点として惹かれ合う子供達や吸血鬼という設定、原題や何を信じ何に立ち向かい何を助けるかというメッセージ等寓話の色がとても濃いホラーファンタジ>>続きを読む

パディントン(2014年製作の映画)

4.0

被災し住処を失った熊が一族の恩人である人間を訪ねにロンドンへ繰り出すアットホームコメディ。ロンドンの街並みの華やかさやピタゴラチックでアンティークな様々な装置のワクワク感もさることながら、喋る熊が街中>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.1

原作のユーモア表現を抑え小エピソードが取捨選択された反面、登場人物の人生が濃く描かれていました。漫画でも充分に伝わる試合表現が、映像化によってスピード感をより強く感じることができます。三井を蘇らせる音>>続きを読む

イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

低予算ながらアメリカのティーンエイジャー達を虜にしたホラー映画。各所でカーペンター映画のリスペクトの話が挙げられている点、個人的には「ハロウィン」で感じた「遠くに見える棒立ちの人」の不安さを彷彿とさせ>>続きを読む

ノロイ(2005年製作の映画)

3.8

和製モキュメンタリー作品。複数の心霊現象の足跡を資料映像や音声の検証、民俗学の観点から検証し辿っていく過程で、それらが徐々に絡み合っていることが判明するという構造が面白いです。謎調査するも結局分からず>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

子供の頃テレビに齧り付いて夢中になった傑作を見返しました。今観たら…というガッカリ感を感じることなく、アクション・ストーリー展開の懐かしさと忘れていた部分や昔は注目していなかった部分(特に考古学トーク>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

マルチバースな世界観でカンフー大暴れ!スイスアーミーマンのダニエルズ監督だ〜と思わされる奇想天外なアイデアと下品なユーモアが懐かしかったです。なんといっても世界観の求心力の凄さ。「あの時ああしていたら>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

人間の高慢さや哀れさといった本質を現代的なテーマを添えて描いた解釈委ねる逆転サバイバル悲喜劇。原題の「Triangle of Sadness」とは眉間の皺を指す言葉。悩み事の象徴として用いられたこのワ>>続きを読む

氷の微笑(1992年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

殺人容疑にかけられた女性作家に翻弄される刑事の映画。官能的な描写はエロいを通り越してなんかもう芸術的というか、絵画で描かれるヌードが纏う神聖さのような。終始疑惑が漂いながら氷のようにつめたーくしっとり>>続きを読む

謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス(2016年製作の映画)

3.7

画家ヒエロニムス・ボスの代表作「快楽の園」。色彩豊かな世界観で蠢く人間や珍妙な生物や造形物が意味するもとは何か。それらの解釈について様々な角度から迫るドキュメンタリー。最新技術により「下絵」を解析して>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

スリービルボードでも感じたサブキャラ含めての人間関係のこんがらがり具合、怒りと和解の行く末が気になる点、沸々と激化していくドラマが監督の作家性と受け止めました。ロケーションの美しさは圧巻の一言。牧歌的>>続きを読む

生きる(1952年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

死期を知ることで残された時間を足掻くというと個人的には草彅剛主演ドラマの「僕の生きる道」を思い出します。本作もとっかかりは同じですが、こちらの大きい特徴として黒澤明の得意とする社会批判、官僚主義批判の>>続きを読む

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生(1968年製作の映画)

3.9

モール立て篭もりの魅力を教えてくれた「ゾンビ」監督ロメロの出世作。ゾンビという存在を調べてみるとブードゥー教の術を発端とするそうで、いくつかのゾンビジャンル映画を経て、昨今のゾンビ映画の基本形(代表的>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.8

モリコーネ関係者の生の声(錚々たる顔ぶれの中パットメセニーがいてテンション上がる)、資料映像、関わった映画とモリコーネのコメント(ここが1番の旨味のような)は紹介映画の見識が深まって良かったです。一般>>続きを読む