クリさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

クリ

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ゴモラ(2008年製作の映画)

3.5

「カモッラ」の実態云々よりは、若者たちの言動に目を惹かれた
ロベルトの腐った光景を見る死んだ目、マルコとチーロの成りきれなさ、トトの無垢な表情が非常に印象に残った

セルピコ(1973年製作の映画)

4.3

この作品の素晴らしさは間違いなくシドニー・ルメット監督の人物造形とアルパチーノの演技の賜物
ルメットが監督に選ばれず、政治面を押し出して物語を展開させていれば、セルピコは不遇の結末を迎えた正義漢として
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マージン・コール(2011年製作の映画)

4.0

カネという非常に原始的な動力でサスペンスを展開させていくリアリティに溢れた作品(厳密には実際の事件ではないようだが)
この作品で押し出されているように感じたのは登場人物たちの複数の縦の階層と、数字
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出発(1967年製作の映画)

3.6

冒頭の夜景に浮かび上がる車体が素晴らしい
ポルシェを手に入れ、レースに参加する、ただそれだけを求めてあらゆる手段で街を奔走する主人公は、ある意味レース以上にエキセントリックな体験をしていく
そして、レ
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

ボイスオーバーには少し違和感があったし、カットのつなぎ目にあたる部分の画に何かが欠落しているような印象を受けたが、登場人物たちのアクションから引き起こされる有機的なカメラワークがところどころで見られた>>続きを読む

エンリコ四世(1984年製作の映画)

4.0

冒頭の馬の疾走感、印象的な暗がりのシーンなど魅力的な映像と、クスッとさせてくれる演出のバランスが良かった
一体どこまでが演じられた狂気なのか、俳優たちの演技も見事

ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)

4.0

露骨な「わらの犬」的籠城戦、コーエン作品的な陰鬱な中に顔を出すコミカルなキャラクター、そしてサプライズとサスペンスの違いを弁えたヒッチコック的演出
引き合いに出されるのも納得だ

この作品、家族対家族
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ドラゴンへの道(1972年製作の映画)

3.7

怒りの鉄拳の猟奇的な作風から一転、非常にコミカルな演出が目立つ作品
アクションは申し分はなく良かったが、個人的にリーさんにユーモアは期待していないのでドラマ展開に少々ダレた

スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.0

3回目の鑑賞
今となっては往年の名優としての箔が付き、落ち着いた立ち回りを見せている(役者魂は燃えたぎっているが)アル・パチーノだが、若い頃の彼と言えばこういう剽軽者的な役回りも多かったように思える
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ドラゴン怒りの鉄拳(1972年製作の映画)

3.8

「精武門で一番弱い弟子」
シュワちゃんよりひどい嘘にびっくり

終始キレるリーさんの圧倒的な独擅場
館長とのファイトの際、リーさんの振った強烈なヌンチャクにぶち当たって割れる花瓶が最高に刺激的な演出

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.8

中盤からの展開のために、いかに二人の関係や決意を綺麗に描くかが一つのポイントになっているように思える
この点に関しては、やきもきしてしまったので見事にしてやられたというところか、何とも意地悪な映画

摩天楼を夢みて(1992年製作の映画)

4.0

戯曲の映像化ということもあり、袖に俳優が退出したり、忘れた頃にそこから現れたり、まるで舞台のような演出が斬新で、豪華俳優陣の重厚な演技合戦をスタイリッシュに仕上げている
終始会話劇に徹している映画には
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ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)

3.9

後々のブルースリーのリアルファイト思考の作品とは違い、コミカルな演出が多い作品
しかし一人だけ明らかにホンモノで、終始他を圧倒するリーは堪能できる
内容的にも同じところを無駄に行ったり来たりしているド
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スペシャルID 特殊身分(2013年製作の映画)

3.0

キャラクターの扱いに少しぞんざいな印象を受けたし、ロンの人物造形ももう一押し欲しかった
また、良くも悪くも臭い演出に力を入れているのが伝わり、それが押し付けがましくも感じた
カーチェイスシーンや、ドニ
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ヒート(1995年製作の映画)

5.0

自分を映画の道に導いてくれた大事な大事な作品
3時間と長尺だが、何回も何回も観直した
思えば、映画を好きになったのもこの作品だし、アル・パチーノという俳優に目が離せなくなったのもこの作品
目で全てを語
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イコライザー(2014年製作の映画)

3.8

アクション開始前のスロー演出が、出鼻を挫かれるようでイライラしたり、クロエが主人公とロシアンマフィアの接触のきっかけとしてかなりぞんざいな扱いを受けていたのは悲しかったが、それでもアクションとドラマの>>続きを読む

ダム・キーパー(2013年製作の映画)

3.5

動物や、ダム、闇などの象徴的なものを取り除けば、やはりベースとなっているのは普遍的なテーマ
このシンプルなテーマをいかにして深く面白く見せようとしているかが伝わってきた
しかし、これからは小手先では通
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ソウ(2004年製作の映画)

3.8

2度目の鑑賞
今回、吹き替えでの鑑賞だったが、まさかどこぞの海賊2人が拉致られていたとは

無駄を削ぎ落とした構成や絶妙な伏線を敷いた物語に、バリエーション豊かな映像や、生き生きしたキャラクターたちで
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

4.3

2度目の鑑賞
入院中に小説版を読み、どうしてもまた観たくなったので、いつの間にか届いていた「Nightcrawlar」輸入盤を我慢しつつ…

小説の登場人物のかなり深いところまで描かれた内面を読んでみ
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歓びを歌にのせて(2004年製作の映画)

3.9

誰かに亀裂が生じても、次のカットでは当たり前のように踊り、歌っている
閉鎖された空間であり、だからこそ生まれた少し不思議な絆を感じさせる見事な繋ぎだ

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.2

とにかく張り詰めた映画
戦場のシークエンスはもちろん、その緊張は私生活にまで及ぶ
クリスにとって妻や子供との関わりは、派遣と派遣との間を繋ぐものに過ぎず、心は常に戦場に置き去りになっていた
そんなクリ
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スモーク(1995年製作の映画)

-

嘘か真かは関係なく、その嘘をなぜついたのか、というところから人物造形を作っていて、嘘をストーリーの進行のためだけに使うのではなく、そこに登場人物たちの性格が伴っていて、これが非常に素晴らしい

バーバレラ(1967年製作の映画)

3.3

冒頭から繰り広げられる、直接的ではないにせよ確信犯的なエロさ、大袈裟にもほとがある映画音楽が、なぜか心地いい
こういう映画を観ると安心してしまうのはおかしいだろうか

イーダ(2013年製作の映画)

4.0

被写体をあえて中心から外し、空間を意識させる構図が美しい
そこに宿るのは不可視な神かはたまた…

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)

4.0

全体を一つの流れとして観ればライトでチャーミングな映画のように感じられるが、一つ一つの事象に着目すると非常に恐ろしいことが起きているというのがよく分かる
さらにこの映画でのこういった差別がイスラム教と
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グラディーヴァ マラケシュの裸婦(2006年製作の映画)

3.0

冒頭の窮屈な部屋から、主人公はどこからが夢なのかも分からない、果てしない自由へと開かれた反物語的な世界に誘われる
まるで絵画のような構図であったり、監督特有の優雅で派手な手法は目を見張るものがあった

あこがれ(1958年製作の映画)

4.0

疾走感溢れる冒頭から描かれる女性のエロティックで魅力的なショットの数々
同時にリュミエールへのオマージュを捧げつつ描いた、女性に囚われる悪童たち
彼らが感じる女性への印象を、衣装の違いだけで操作してし
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リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

4.0

事業は失敗した父、夫との離婚寸前の喧嘩は流れたままの母、空は飛べない兄、優勝どころか出場のチャンスすら失った妹、恋人と学者の名を別の男に取られた伯父、そしてヘロイン中毒に陥り命を落とした祖父、結果的に>>続きを読む

40男のバージンロード(2009年製作の映画)

3.5

アメリカ的な男のためのラブコメ映画
こう見ると、恋愛映画はやっぱりお国が何を危惧しているのかがよく分かる

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

人にはそれぞれの過去があり、事象だけを掬い取っても、当人が何を思い、何を心に押し込めているのかは他者には絶対に分かり得ない
ジョンはそれを分かっており、辛い思いをしながらも、たった独りで誠意を持って死
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正しく生きる(2013年製作の映画)

3.2

登場人物それぞれの生き様を覗き見る形で、映画に入り込んでいたが、終盤のバスを起点とする一連の流れが作為的な演出になっており、そこで一度引き離されてしまった
しかし、そこに高揚を感じた自分もいたため、単
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ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ(2009年製作の映画)

3.8

二人の女性の間で揺れ動くビートルズ以前のジョン・レノンの物語
街並みや時代の雰囲気、登場人物から何まで再現しきっており、気持ちよく入り込める
あまりにも狙いすぎたビートルズ感もなく、ビッグネームに頼る
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奇人たちの晩餐会 USA(2010年製作の映画)

4.0

終盤の「dreamer」についての演説は個人的に「独裁者」や「セントオブウーマン」に並ぶほどの名スピーチ

アメリカンコメディの大げさな演技、ここで笑えと言わんばかりの演出はやっぱり嫌いになれない

グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子(2014年製作の映画)

4.0

ジュリアンのポールに対する尊敬の眼差しに始まり、この映画は全体を通して非常に登場人物に接近する
特にジュリアンの顔へのクローズアップは顕著で、動きが制限された中で彼の感情を繊細に表現している
これらの
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

3.8

登場人物たちはそれぞれが音楽との付き合い方や価値観が違い、それをうまく物語に織り込んでいたので、否が応でも盛り上がる
音楽に限らず、芸術に携わるものなら誰しもが直面する葛藤に非常に考えさせられる作品で
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メリエスの素晴らしき映画魔術(2011年製作の映画)

3.8

静的な映像にこだわり続け、500本以上の作品を世に送り出したメリエス
しかし、多くの観客は作家性など気にしない
決して作家に優しくはないし、飽きれば捨てられるのだ
映画や芸術に対する見方が変わった今だ
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