小沼さんが自らのことを「虚」な存在として捉えていたところが意外でもあり、なるほどでもあった。
岩井俊二さんの作品を初鑑賞。
数多くのフォロワーを生んでいる作品であることが分かった。
本当に映画って監督の顔が出ますね。
こういう映画のことを傑作と呼ぶのだろう。
常に正しいはずの批判という営みが軽薄にすら感じられてしまう、そんなおかしな作品を。
最高。
こんなに明快に逸脱した演出はそうそうお目にかかれない。
橋本忍がこれを書き、監督していることが何にもまして素晴らしい(テイスト自体は完全に70年代東映のトンデモ路線だが、橋本プロ製作東宝配給の>>続きを読む
演劇の台本を優秀な映画スタッフが撮ったような映画。伊丹カラーも滲む処女作。
素直に面白い。
『ギャラクシー街道』では、『THE有頂天ホテル』的な飽和から、このミニマルさに回帰しようとしたのか。
あの立>>続きを読む
良心的でかなりいい喜劇。
ちゃんと「ギャラクシー」という設定を使って地球では出来ないギャグをやっている。
(性質的に)笑えないギャグも多いので、客はどう反応していいか戸惑ってたけど。
今どきオールセッ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『岸辺の旅』の途方もない程のやさしさには『ニンゲン合格』との兄弟性を感じる。
しかし両者の語りのベクトルは逆。
『ニンゲン合格』という作品は、存在性に不確かさを感じている人間に対して「存在する」と言う>>続きを読む
息がつまるほどの緊張感が漲る作品。
谷ナオミの過去が短い描写や台詞に圧縮されてて、1回目では設定が入ってこない部分もあった。もう一度観ると、おそらくもっとクる映画。
演出が上手い監督はぶっ飛んだ話を撮っても変わらぬ安定感がある。
眼を無表情で見開いたり、笑い方が異常なんだけど、それこそが演出として的確。
頭が上がりません。ははぁ~っ
小沼演出が瑞々しい。
お寺で和尚さんの目を盗んで青姦を撮影していたと思うと、ホっかりする。
何を隠そう、全映画体験の中で最も深く衝撃を受けた作品。
この世のすべては「まやかし」であり、映画なんてその最たるものであることを自ら示す倒錯的な映画。
スクリーンで見直してみて、ショックを受けた。魅力>>続きを読む
オーソン・ウェルズの人生を時代順に追っていく作品。
この製作チームの仕事ぶりの凄さに感動した。
俳優が演じる物語が現実に直結しなければ気がすまない老人をウェルズが演じている。
退屈だが鬼気迫るものがある。当時、ウェルズと親しい関係がない訳のないジャンヌ・モローはかなり艶っぽい。
スクリーンでウェルズを観れた。
あまりにも素晴らしかった。
映画を作る上で勝手に自分たちが設けてしまうタブーも、ウェルズには屁ほどの問題でもない。
いくらでも骨身に染み込ませたい、乱調の映画美に満ち溢>>続きを読む
笑えるんだけど、コメディの展開には感じられなかった。
ギャグがドタバタ的でないこともあって、感じる「変」の度合いがやや強すぎてネタに見えてしまったのか。
ギャグが発端で、それが筋にも絡んでくるんだけど>>続きを読む
正真正銘の面白さ。構成も演出も素晴らしい。
この予算のなかでガメラ・シリーズに準じた作品を撮る上で、何が必要かの見極めが非常に的確。
そして何にも増して素晴らしいのは、理屈抜きにガメラを信じてる子ども>>続きを読む
バンドの演出が面白い。
あのカウリスマキでも「このくらい」だと目の当たりにすると、こういった答えのない演技の演出がいかに難しいかを考えさせられた。
日本版があっても面白そう。
荒井晴彦の自伝的な脚本を「荒井が撮ったみたいな映画になれば」と曽根中生が監督した作品。
そこには、荒井晴彦の歪みに歪んで屈折した視座 - それは映画の作り手としてはあまりにも健全な視座に他なるまい ->>続きを読む
初見時は「曽根さんにしては突き抜けていない」ことに退屈を感じたけど、再見してみると曽根さんのセンスが節々で光っていることに気付く。
セットでないホテルの一室で2-3頁あるシーンをいかにして撮るか。その>>続きを読む
カメラマンがガブリエル・フィゲロアではなく、メキシコ時代の作品の中では若干画が緩い。
そんなことは後半に行くにつれて問題ではなくなる。ブニュエルの演出が現実の地平線にシュールを共存させ、主要な登場人物>>続きを読む
画はスタイリッシュ。演出も、よくできた脚本の意匠を質的にかなり高い形で応えてフィルムに焼きつけている。
映画のどのパートの仕事を見ても文句のつけようがないほどの水準で達成されている。もはや完璧。
とこ>>続きを読む
結婚詐欺師が事実上の妻という爆弾を携えながら「巡業」する犯罪喜劇。
黒電話で男が「絞め殺してもいい!」と叫ぶのは、『見知らぬ乗客』の電話ボックスで電車の騒音に思わず叫んでしまうガイと同じシチュエーショ>>続きを読む
日本にはない画のカッコよさ。
話が都合よく進んでいる。その「都合」が力業になりきれていなかった。
パオジャンフーの生活をスケッチしていくようなタッチ。
観た当初は何かを浮き彫りにして欲しいと思っていたけど、少し時間を置くと、その欲の無さが素晴らしいのではないかとも思えてきた。点数は観た当初の感覚。
ラングの中では決して出来がいい方ではない。
しかしラストのヒロインの意思の強さには恐怖を覚えた。
ラングは初期の頃から悲劇作家であったことが分かる1本。
物語内容は、晩年の夫婦がその馴れ初めに思いを馳せる、のみ。
それを晩年の夫婦の会話シーン(場所移動なし)と、紙屋家(妻側の家)での回想シーンのみで110分程を構成した相当な実験作。
高齢監督に訪れる映>>続きを読む
駆け抜けるような映画。
この勢いは刺激的。
才能が弾けて、自意識を隠しきれてない作品の様態は監督自らが単独で脚本を書いていることに由来しているのだろうか。
些事はさておき「青臭くてもいい、あなたのポッ>>続きを読む
140分版を鑑賞。
90年代の日本に映画という形で生まれ落ちた寓話。
本筋が「そよ風タクシー」と合流するまでの芝居と演出がところどころクドいんだけど、後半のエネルギーでそんなことを忘れさせてくれる神話>>続きを読む
バカだろこいつら。
これが『太陽を盗んだ男』を観て長谷川和彦に「なんでクライマックスにC級のカーアクションを持ってきたんだ?」と質問したハリウッド様のA級カーアクションか。
こんなに何でもなくて馬鹿馬>>続きを読む