このレビューはネタバレを含みます
シンシリーズは忘却寸前の昭和のサブカルチャーを再発見する作業なわけで、そういう意味では監督の流儀がどうとか才能をどうこう言ってもしょうがない。この映画の限界は東映の、”昭和”の歪みを反映した結果でも>>続きを読む
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象徴表現がどうこう以前に動画として観ていて楽しい。もののけで封印したトラッキングショットを復活させて廊下を歩いたり炎の中を走った、かと思えば神隠しの群衆ショットが出てきて一気にティルト。カメラも頻繁>>続きを読む
相変わらず編集の技巧だけで見れる映画。トンチキな内容を気持ちよく見せる工夫が随所にある。バネで飛んでいく兵隊が着地してカメラのパンの停止に合わせて右手を伸ばす、逆に木を引き抜いて殴りつけるまでの流れ>>続きを読む
これくらい動きを観ているだけで楽しい映画は珍しい。黄金像が倒れかけて人が次々に引っ張られる際の歯止めのなさが歯車の外から撮ることで演出されていたり、群衆を蹴散らしながら逆走する馬をトラッキングで追う>>続きを読む
ドゥニ・ヴィルヌーヴにしてはテキパキとした語り口の作品。フラッシュバックで提示される未来と独白、それを目の当たりにしたフレメンの驚き様といい時間SFとしてはけっこうな出来で、ディテールに固執したブレ>>続きを読む
3時間ずっとアクションやってるような映画なのに次から次へと別な趣向のものが出てきたからびっくりした。特に最初は地味に切り返しですませていた撃つ撃たれるの関係が最後の最後で浮遊に置き換わる様は感動的。>>続きを読む
ミーガンの動きだけはいい。これはもうチャッキーのもたもたした人形的な動きを覆したというだけでも意味がある。彼女の場合は量産を前提にしているからなお価値もある。
ただ、根本的な問題として苛立つ奴を殺>>続きを読む
ネオレアリズモやオリエンタリズムにのっかってるように見えてそうではない、正統派モンタージュ映画。逆光半逆光とか風の扱いが詩的ですべてが美しい。
嫁や子どもと目線を交わしたあとの動きが特に良かった。>>続きを読む
貧困が主題の大地に対する聖なる川、ガンジス。冒頭の沐浴から雰囲気がこれまでと違う。
主題は出世のために都会に出た子と取り残された母の別離だが、この距離を風景が強調する。カルカッタの路地を彷徨う牛と>>続きを読む
間違いなくネオレアリスモの文脈上にある作品ではあるけど、ヨーロッパのどの作家とも違っている。
普通、自然は情景として機能するだけなのにそれが家庭を破壊する。土砂降りの雨はこの身体から熱を奪い、暴風>>続きを読む
脚本はサイコサスペンスだけど、画のつくりは幽霊映画だよね。虚空を見つめてフラッと歩くキムといい、彼女を包む緑色の照明といい、サスペンスとは別のベクトルで動いてる。ジェームズスチュアートと抱き合ってる>>続きを読む
じわじわ心の底をぐらつかせるあたりはさすがクローネンバーグ。父親の若干歪んだ愛と母親の白雪姫症候群が交わって深層心理をえぐってくる。白昼堂々と先生に金槌を振り上げる少女とかその群れに覆われた医師がぶ>>続きを読む
手を欠損してようが脚がなかろうが飯を食うし酒も呑むし烟草も吸う。もちろん性欲だってあるから女も欲しくなる。男女のいざこざが起これば犯罪だって起きる。そして、サーカスを舞台に設定し健常者を少数派にすれ>>続きを読む
ヒッチコックがこんなスピルバーグっぽい映画を撮ってたんだ、という驚きがあった。基本は対象喪失とアダルトチルドレンの表象化だけど、会話の反復とかねちっこさが未知との遭遇とか宇宙戦争のやり口にそっくり。>>続きを読む
一から化物をこさえなくても羊の群れを撮ればいいという思い切りがいい。環境テロリストの扱いといい、ゆるっとアイデアで勝負していてよかった。
視線の一致とか小屋を覗き込むとかもう映画の基本的なことをなぞってるだけなんだけど、その視線の主が羊だからどのショットも強烈に仕上がってる。シナリオをもうちょっとひねればパゾリーニに肉薄できたかもしれ>>続きを読む
報道の偽善を映画で暴く快感よ。
誘導尋問に脅迫、強制移住そういった人間側の事情が客観的に記録される最中にあってヴィカスの視点は海老への虐待を告発する。内容は地下室で行われている生体実験であり傭兵に>>続きを読む
「影が行く」自体がよく出来た作品なのだが、それに加えて映画には画の、照明の凄みがある。ヘリで犬を追いかけるときの雪原、基地内の陰影のきいた照明、非常灯の深い青色、カートラッセルの髭を白く覆う粉雪。>>続きを読む
逆アメリカの夜をやろうとして映画製作を題材にしたりゴダールっぽい何かを引用したりドライヤーっぽい名前を出したりする映画史に擬態した何か
若干反則気味だし動画の旨味はないんだけど、ハロルド・レイミスを追悼する作品としてはかなりすごい。演出に彼が組み込まれてた。眼鏡の被せ掛けやビームパックを照らす照明の移動が故人の存在を知らせてくれる。>>続きを読む
昔はビルマーレイを主役にしておいれ何故ホラーなのか、という疑問があったけど、今ではそれこそがこの映画のキモなんだろうと思うようになった。
ホラーでコメディ、コメディでホラー、謎の熱波で弾け飛ぶ卵と>>続きを読む
64年公開で現象を多用した幽霊映画ってだけで貴重だし歴史的な価値がある。
POVで何かが迫って来たと思ったらわけわからん間に強風に煽られたり、何もないのに蝋燭がフッと消える演出の妙よ。勝手に崖に向>>続きを読む
銃撃の反動で身体ごと後ろに吹き飛ぶとか転けた勢いでそのまま回転するのが香港流。スローモーション自体はアメリカの発明だけど、それだけでは説明できないアクションの魅力がある。まぁ筋はベタなんだけど。
車で後退しながら追いかけてくる大杉漣と前後退しながら追ってくる殺人カメラから逃げる諏訪太朗。
今日も殺し屋に雇われたり幽霊を見たり忙しい哀川翔。いい加減に休ませてやろうよ。
CUREより怖い。失禁とか犬食いを長回しで撮るあたりは何時もの趣味か、となるんだけど、この映画には作家性とかジャンルで説明できないヒリつきがある。
車中で目を剥いてコンパクトテレビに映った娘に話し>>続きを読む
やくざの尋問場面はかなり好き。逃げ延びるまでの長回しが終着点に向けてバチっと決まってる。トラッキングやパンより遠景を重視しているから黒沢というより相米なんだけど、その二人ともさらに違ってちょいちょい>>続きを読む
メディアホラーの傑作。アナログビデオのホワイトノイズやフリッカーが幽霊を二倍にも三倍にも怖く見せる。
紙媒体は支離滅裂なのにビデオだけは指示している方向が明確なのも不安を煽ってる。こちらを見据える>>続きを読む
怖がらせる手段だった水がフェティッシュの発露になってる。とにかく水、水、水流。天井からの雨漏れはマシな方で風呂場からも貯水塔からもエレベーターからも水が溢れ出す。
いやそも、これはJホラーなんだろ>>続きを読む
隠れんぼを神隠しで読み解くってのはいいけど、やり方が怖すぎる。水に濡れたランドセルが子を海に引きずり込み、プールのそこに沈んだ上靴が生徒を溺れさせようとする。ここでは水そのものも意思を持つ。貯水槽か>>続きを読む
ブギーマンがいちばん怖い。どんな妖怪も包丁を振り上げた生身の人間には勝てないのだ。
合わせ鏡は扉以上の機能がなかったから残念。トリックはいくらでも仕込めるのに何故なんだ。何なら前作のウィンクするモ>>続きを読む
岸田今日子をろくろ首にキャスティングした功績だけでも評価してあげたい映画。二宮尊徳も笑える。
前作に比べたら情緒はないけど、最後の車道と線路の分岐だけはよかった。都会人と田舎泥棒の運命はもう交わら>>続きを読む
ホラーとも中学生日記とも違う空気感がすごい。シチュエーションは館物でそのもので廃校に閉じ込められて逃げ回るだけだけど、用務員のおじさんや人体模型がクリーチャーだからノスタルジックな印象がついてまわる>>続きを読む
特撮は良質だけど大林のフェティッシュとカッティングの趣味についていけなかった。なんでディゾルブがこんなに悪趣味に見えるんだろ。
要所要所の赤色がゾクッとさせる。夕陽に模した円盤は捕虫器そのものだし、額がパカッと割れて液状の宇宙生物がヌルヌル時間をかけて侵入する場面も傷口の形状が血液の赤と生物の銀色を際立たせている。冒頭の赤く>>続きを読む
割窓と指鉄砲。女に自殺されチンピラに殴られ、溜まりに溜まった殺意が抗争に巻き込まれてはじめて爆発する。
指鉄砲を元カノが残した自殺の弾痕に重ねるとか、その辺の詩情が不合理を支えてる。こういう当人が>>続きを読む
セピア調の全体主義っぽい空気感とか新古典風の建築とか近代に蒸気機関を接合したような乗り物とか...庄野晴彦の部分はすごい。シナジー幾何学の集大成と言ってもいい。
ただCGの抽象度と生身の人間が合っ>>続きを読む