efnさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.6

 縄梯子ごと丸呑みにされる人や閉じたエレベーターで集団が八つ裂きにされるエピソードはいいけど、いかんせん位置情報抜きの捕食する恐竜と怖がる人間の切り返しで進むからインパクトに欠ける。雑とは言わないが、>>続きを読む

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.8

 擬態状態から抜けて捕食までの動作とか硝子に映った林→恐竜の目線とか個々の画はいいのに途中に妙な中割が入って失速してる。色調や照明もIMAXクラスに耐える完成度だし、ファンムービーとしては脚本もそれな>>続きを読む

ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年製作の映画)

3.8

 滝の横穴から引きずり出された学者がかみ砕かれて血しぶきだけが帰ってくるとか二頭で胴から真っ二つに引き裂かれる光景なんか見ているとスピルバーグの業の深さにびっくりする。シンドラーで大量死には飽きたのか>>続きを読む

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

4.0

 境界線の設定とパニックを生み出すうまさ。電気柵が破られ理不尽に扉が開いても車は無事。むしろ窓一枚隔て目線を交わす舞台や小型恐竜に八つ裂きにされる状況をつくりだす。動くものは食われる設定なんかは子ども>>続きを読む

ゴジラVSデストロイア(1995年製作の映画)

4.2

 製作田中友幸と音楽伊福部昭だけで泣ける。八十歳を過ぎた二人の天才が時代を超えて映画を終わらせる、これに感動しないわけにはいかない。
 画面も音楽も異様で、ゴジラはずっと逆光で昼間のショットはほとんど
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ゴジラVSメカゴジラ(1993年製作の映画)

3.8

 マーチのないモスラに対応するかのようにマーチまみれ。メカゴジラのデッキアップからもう伊福部昭節がはじまる。ガルーダが飛行しているときも、自衛隊が応戦しているときも勇壮なマーチ、マーチ、マーチ。ただし>>続きを読む

ゴジラVSモスラ(1992年製作の映画)

3.9

 相変わらず伊福部昭のMV。マーチがほとんどないのに、モスラのモチーフを変奏させるだけで間をもたせるすごさよ。国会議事堂での孵化とEDへの入り方も美しい。

ゴジラVSキングギドラ(1991年製作の映画)

4.1

 南方作戦の生き残りが日本の高層ビルで同じく南洋帰りのゴジラと窓一枚隔て対峙する、終戦や経済成長を飛び越した時空の狂い具合が愛おしい。その男が土屋嘉男というのも尊い(佐原賢治を首相に配役すればより完璧>>続きを読む

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)

4.0

 バブル!!バラ!!!な映画。昭和版四割増くらいの高層ビルを境にゴジラと自衛隊の超兵器が撃ち合い、芦ノ湖のリゾート施設で育ったバラの化け物が肉弾戦を展開。記号的にはトレンディドラマなのにしっかり怪獣映>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.2

 震災が読み替えられ、怪獣によってスペクタクル化されていく。
 遡上する川、倒壊するビル、放射線、徹底したアイレベルのカメラとカーブミラーやガードレールを基準にした、いわば都市目線の構図が怪獣と災害の
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ゴジラ(1984年製作の映画)

4.1

 組織が組織として機能する楽しさがある。政治家は感情を抑えて役所言葉で話し、自衛隊も作業中の私語は一切なし。命令はきちんと復唱。何より、みんな人の言葉を聞くし、他人が話し終えてひと呼吸おいてから応答し>>続きを読む

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年製作の映画)

3.8

 意図してのことか、手を使ったアクション多め。泳いで人(獲物)を追いかけ、手づかみで人を食べる。泳いで逃げる/追いかけるをワンショットでやるから構図がもう怖い。着ぐるみだろうとやってることが怖ければ怖>>続きを読む

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)(1965年製作の映画)

3.9

 遣独潜水艦作戦から広島市への原子爆弾投下、原爆孤児の保護で怪奇映画の導入としては完璧。
 戦災への否定的な視点を逆説化するようなフックがいたるところに仕掛けられていて、それが最後まで続く。ドイツから
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キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)

3.9

アーシーアナロイアセケーサモアイ
アーシーアナロイアセケーサモアイ

 伊福部昭のサントラの量も印象も強すぎて喜劇、怪獣映画というよりは音楽劇になっている。合唱に至っては物語のトリガーになる様。何気に
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モスラ対ゴジラ(1964年製作の映画)

3.8

 誘拐に対する漂着、小泉博のモスラとの再開、古関裕而に対する伊福部昭の回答。ほとんど書き下ろしのスコアなのに、モスラの歌だけが残っているのが興味深い。
 キングコングのサントラもそうだけど、ティンパニ
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モスラ(1961年製作の映画)

4.0

 戦後十五年の作品ということは、まだまだ南方作戦の記憶も残っていたわけで、小美人誘拐が植民地での収奪と結びついている。領事裁判権など様々な問題も見え隠れしており、やはり昭和三十年代の映画はただものでは>>続きを読む

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

4.1

 怪獣大戦争とメカキングギドラとビオランテの筋を混ぜ合わせて翻案したみたいな脚本でびっくりした。オルカの争奪戦に合わせて人間の撃ち合いと怪獣の殴り合いが並行して処理するスタイルはたぶん怪獣大戦争からの>>続きを読む

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)

4.0

 視野の操作と情報量の調整がうまいが、その方法が狂ってる。真っ暗闇に単照明や照明弾でやんわり浮かぶ怪獣の「肌」。確かに巨大感の演出として面白いが、背景が黒一色で逆光もなし、コントラストの調整をミスした>>続きを読む

宇宙戦争(2005年製作の映画)

4.0

 安全地帯の潰し方がフェティッシュすぎる。炎が吹き込んでくる地下室に地割れでぶつ切りにされる教会、フェリーは転覆させられて高速道路は横倒し。悠々観戦するような暇はなく、むしろ観戦場所野原は焼き殺される>>続きを読む

囚われた国家(2019年製作の映画)

3.7

 自由の国でエイリアン統治下の物語を何の発展もさせずに終えること、レジスタンスを主人公に据えながら、結末ですべてを振り出しに戻して終えることは案外アメリカではない。そういう意味で企画自体は面白いと思う>>続きを読む

禁断の惑星(1956年製作の映画)

3.8

 電子音で足を鳴らす透明の複製自我が怪力線に当たって雄叫びを上げる、と書くと何だか不思議だがそういう映画。透明なだけなら古き良き映画で済むが、自我という仮託的な表現が実体化し、シンセサイザーを踏み鳴ら>>続きを読む

地球の静止する日(1951年製作の映画)

3.6

 脅迫しにきた宇宙人をいきなり拳銃で撃ってしまうあたり冷や汗をかいてしまうが、武器をかざして戦争をやめろと宗主国のような態度を取るようなやつなので、この場合はアメリカ的にも正しいかもしれない。パワーバ>>続きを読む

怪獣大戦争(1965年製作の映画)

3.8

 X星人側の曲線デザインがたまらん。昇降する円筒形のエレベーター、マッシュルウ型の廊下、翼付け根からふっくらとしたアダムスキー型のUFO。暗闇から立ち上がるようなスポットライトの照明演出も合わせてある>>続きを読む

地球防衛軍(1957年製作の映画)

3.8

 伊福部昭のかっこいい音楽と円谷英二のかっこいい兵器を観ているだけで楽しい。棒立ちの会話している人間を座るまで追いかけるな会話を再開させるな等々、本多猪四郎の画面設計については思うところがあるが、マー>>続きを読む

海底軍艦(1963年製作の映画)

3.9

 何をするにしても段取りを組んでいるのが良い。発進するにも各部点検の点呼、いちいちドックから浸水部に移動して水入れて、やっと発進。飛行機のように離陸すればいい、とも考えることはできるが、潜水艦である以>>続きを読む

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)

3.9

 メガヌロンパートがすごい。冒頭のダッチアングルで坑道に入っていく工員の不穏さから、水中に制帽を被ったまま水中に引きずり込まれる警備員、斜面で無視に振りまわされズタズタに砕かられる工員まで残酷すぎる。>>続きを読む

ガス人間第1号(1960年製作の映画)

3.8

 冒頭の無人で開いていく金庫が演出ではなく、特撮的な事実という衝撃。本多猪四郎がこういうミスリードを仕組むとは思わなかった。
 誰も見ていない庭先で踊りながら登場し、無観客ながらも踊り終えて幕を閉じる
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宇宙大怪獣ドゴラ(1964年製作の映画)

3.8

 何かが暴風で構造物をなぎ倒し、地表をまるごと巻き上げる。引き剥がした地上のものは落石となって地上を破壊する。その何かは石炭を食す、という設定がつけられてはいるが、画面は終末世界のそれ。脈動し通信衛星>>続きを読む

美女と液体人間(1958年製作の映画)

3.8

 動くはずのないアメーバが動くべき服や靴が静止する、この映像でしか表現しようのない光景を映画の素材にしてしまうあたり、やはりフラハティ世代なんだろう。
 ノワールのような照明のアパートや薄暗い地下水道
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ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)

3.7

 企画通りの受け取り方にはなるが汚い、汚すぎる。液体を使った演出はこれの前に液体人間という前例があるから新規というほどではないが、飛翔する物体から飛び散ったヘドロが窓に張り付いたり階段を駆け下りる様は>>続きを読む

怪獣島の決戦 ゴジラの息子(1967年製作の映画)

3.6

 南方戦線の記憶がまだ残っていた時代に南でモロー博士の島をやりたい、という願望がカマキラスとクモンガに凝縮されていクラクラする。熱帯雨林からヌッと顔を出すショットと佐藤勝の音楽もいい感じにハマっている>>続きを読む

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966年製作の映画)

3.8

 冒険活劇と怪獣を合体させる、というコンセプトがいい。福田純は陰謀やってるときよりノビノビとアクション撮ってるし円英も楽しそう。崖の虚に隠れるショットのアングルや岩山の溝を歩いている画の曲線とか、もう>>続きを読む

ゴジラ対メカゴジラ(1974年製作の映画)

3.8

 着弾した時の火花の散らし方といい、火炎と火玉の色彩の違い(火薬の配合で色を変えてるのかな)といい、特撮部分への気の入れ方がいつもと違う。特技監督が中野昭慶に変わった、というだけではなく、映画自体が表>>続きを読む

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS(2003年製作の映画)

3.8

 怪獣が建物を突き破って瓦礫の山を築くだけでけっこう面白い。破片の大きさをビルによって変えるといった工夫もされていて、国会議事堂の石材がブロックのように崩れていく様は圧巻。東京タワーも実際の設計を無視>>続きを読む

ゴジラ×メカゴジラ(2002年製作の映画)

3.7

 昭和ゴジラの晩年に対する自衛隊の充実よ。雨の中を疾走する90式戦車に砲塔を旋回させるメーサー車、避難民に逆行して戦地を行く指揮車。対人戦の代わりに怪獣と戦い続けてきた特撮自衛隊の総力がここにある。俯>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.7

 一歩間違えば本格的なギャグとして受け取られかねない脚本を画面が全力で擁護。避難する人も火炎に吹き飛ばされる兵隊もワンフレームでやる。家屋ごと潰されたり病院ごとつぶされるような描写も兵器でやる。役者の>>続きを読む