LGさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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灼熱の椅子(1963年製作の映画)

4.0

傑作。和田浩治の成り上がりから転落までを無駄のないドライな語り口で魅せる濃密な85分。突出した演出はないが硬派で巧み。サイレンサーでのドライな銃撃シーンはどれも見応えあり、死体処理班の天坊準や能面で不>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

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移動の映画ながらの迂回に次ぐ迂回と展開しない物語はまさに70年代LA映画のそれであり“インヒアレント〜”で果たせなかった“ロング・グッドバイ”への再接近。夢と虚構の中で唯一居場所のないアラナの焦燥感が>>続きを読む

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

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見せることはできても魅せることができてない典型映画。空間の演出と動線の引き方が絶望的に酷いがまだアリ・アスターとかそこらへんのバカより撮れてる点では優れてる。

救命士(1999年製作の映画)

5.0

90年代スコセッシのベスト。脚本がポール・シュレイダーってのはあるがあまりに『タクシードライバー』すぎる設定で笑う。ジュリアーニによる洗浄戦略前の治安最悪かつ世紀末臭プンプンな夜のNYがあまりにも最高>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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①『不眠症』クロスカッティングギャグも面白いが何より正当なゴシックホラーも撮れるのかと驚いた。
②『シネマトグラフ』不条理コメディ。可もなく不可もなく。
③『健康でさえあれば』エテックス、ジャック・タ
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.0

『恋する男』にはノレなかったがこちらは大傑作。エテックスの映画への愛やサイレント喜劇への憧憬と郷愁がこれでもかと詰まった一本。映画史を横断しながらアイロニーに富んだ笑いは痛快であり世俗との決別と道化と>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

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皮肉や批評性が渋滞しすぎて微妙ではあるがピタゴラスイッチ的笑いの後気味良さは健在。有刺鉄線に囲われた強制収容所のメタファー的なキャンプ場から解放されるラストは良い。

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

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巻き込み巻き込まれを永遠とやってて凄く計算された短編で楽しい。旦那の帰りを待ちぼうけたりやけ食いしたりふて寝する奥さんの様子がちょいちょい挟まれていいアクセントになってて良い。一番ジャック・タチっぽい>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

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手紙が書けないって1人コントをギミック増し増しで永遠とやってる映画。踏んだり蹴ったりな男の結末があんまりにもすぎて良い。あのタバコ入れ兼ライターの銃が欲しい!!!

チェチェンへ アレクサンドラの旅(2007年製作の映画)

4.0

ババアが孫を訪ねて駐屯地に訪れただ放浪するだけの映画ではあるが夢現のような画面の中で兵器という圧倒的現実感の塊をババアが握るシーンや放浪するババアを見つめる兵士達の眼差しやババアと兵士達の問答や女同士>>続きを読む

エム・バタフライ(1993年製作の映画)

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『裸のランチ』と『クラッシュ』の間に『エム・バタフライ』で締めに『イグジステンズ』って考えると90年代のクローネンバーグ全盛期すぎるやろ!!!!!

パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)

5.0

離婚の危機に直面した夫婦の姿を痛快かつ豪快な登場人物達と駆け抜けるスクリューボール・コメディ。あまりにも凄すぎるOPで泣き、背面騎乗位でファスナーを下ろすという行為で泣き、観た人全てがズッコケるご都合>>続きを読む

快楽(1952年製作の映画)

4.0

カメラワークその一点だけならば今作に尽きる。ダンスホールを縦横無尽に突っ切ったかと思えば建物の外側から人々の一挙手一投足を上下左右と地球の法則性を無視したような自由さで収め極め付けは投身する女の主観シ>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

4.0

仮の関係性が愛だの恋だのすらを超越し最終的には究極の男女の関係=友情になるっていうこういう映画待ってました!な一本で超よかった。全体的にウェルメイドな作りでこの手の映画の肝ともいえるセリフ周りのセンス>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

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女優に首ったけになって以降の話は““俺の映画””では?と思ったりもしたがハマらないコメディほど地獄の時間はねぇー…ってくらい全体的にはハマらず…ただ2階からジャンプ→ラストの流れは超好き!!

デ・ジャ・ヴュ(1987年製作の映画)

5.0

過去と現在のシームレスな往来を鈴の音1つで引き起こせちゃうシュミットマジックというか歴史という形が積み上がった上に現在がある欧州という文化圏だからこその説得力もある。VHS画質でも感じるショットの強度>>続きを読む

夜までドライブ(1940年製作の映画)

4.0

大傑作!!トラック野郎でブロマンスでロマンスもある話しかと思いきやの二転三転するドラマ。後半は完全に女の(アイダ・ルピノ)独壇場。文字通りの一線を超えるか超えないかのあのシーンの緊張感たるや!!扉を使>>続きを読む

アレックス STRAIGHT CUT(2020年製作の映画)

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本筋を真っ直ぐにするだけで途端に演出が冗長かつ陳腐になって驚くしオリジナルにあった情感すら無くなってつくづく映画もまた編集であるとも考えさせられる。その中でもモニカ・ベルッチのエロさだけは変わらない!>>続きを読む

恐怖の土曜日(1955年製作の映画)

5.0

超絶大傑作。91分とは思えぬほど綿密に整理された画面と編集に驚くばかりの群像劇。一般人の営みと銀行強盗の計画を練る犯人達の行動を繋ぐ巧みなカットバックやシネスコを活かした縦横無尽に敷かれた動線や手前か>>続きを読む

リンク(1986年製作の映画)

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猿を使って“サイコ”や“鳥”や“成金泥棒”をやっちゃおうぜ!なアニマルパニックもの。ヒッチコックやりたいんだろうけど大事な部分でのコレジャナイ感がデ・パルマっぽくて個人的には好き!女の風呂を覗こうとす>>続きを読む

女の秘密(1949年製作の映画)

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実に優等生な映画。可もなく不可もなく。有閑マダムもニッコリなデキ!『暗黒の転落』同様回想の映画。女優をキレイに撮ることのできる監督は名監督ですよ!

アルプス(2011年製作の映画)

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『アッテンバーグ』と『ロブスター』の間に撮られただけあって中途半端。“演じるとは?”についてを再定義したいのであればそれだけに尽力すればいいのに半端にジェンダーロールに言及しちゃってるのが最悪でどんど>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

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映画としては恐ろしく不恰好なのに矜持を持って真面目にジャーロをやってるアルジェントに嬉しくて泣いちゃう。ただ全盛期の““勢い””だけが足りないせいでこんなにも評価しづらい映画になっちゃってるのも悔しく>>続きを読む

ルビイ(1952年製作の映画)

5.0

ダイアローグのおもしろさ、多幸感溢れる浜辺を走る車内、死と暴力が予感めく船上、濃霧立ちこむ沼地で起こる悲劇的な銃撃戦。印象的なシーンに通底する“水”は女の情念を刻み込み、愛に溺れ愛に復讐を誓った泥濘の>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

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男女の“関係性”だけが後景の中で繰り返される途方のない嘲笑含みまくりな会話劇がある種のシスターフッドへのアンチテーゼというか3人の友人=先輩間で永遠と反復される会話の合間で執拗なくらいに見せられる食事>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.0

決してジャーロを装置や円滑材として使わず全てのホラー的演出に意味を持たせているのがいいし古典的なるものと現代的なるものをちゃんと使い分けて演出しそれでいて最終的な着地点は現代的な映画、解答として昇華さ>>続きを読む

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)

4.0

囲われた(囚われた)男女2人とその他の話。“裏窓”的窃視、見る/見られる距離間でしか起きないロマンスが触れる事のできる距離感に踏み込んだ瞬間サスペンスへと転調。ドアの開閉、フレーム内フレームでの演出の>>続きを読む

水を抱く女(2020年製作の映画)

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“水の精”を現代でやったら?みたいな話をクソ真面目にやるのかと思ったら随所でシュールなロマコメが展開されてクソおもろい!!そのシュールさを際立たせるためにあえて“分かりやすさ(丁寧なフラグ立て)”を配>>続きを読む

ビガー・ザン・ライフ 黒の報酬(1956年製作の映画)

5.0

再鑑賞。
超絶大傑作!薬の副作用で狂っていく男の心情を見事に表現しきりまくる画面設計に狂酔する。色彩、陰影、構図、配置、動線、セリフ、的確じゃないところがない程に全てが完璧かつ狂ってる。特に色彩設計の
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エヴァの匂い(1962年製作の映画)

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他の作品に比べて面白さでは下(他が凄すぎる)なのにロージーといえばコレ!(比較的視聴しやすいってのもあると思う)になる。撮影とか編集がいいのは言うまでもなくてヌーヴェルヴァーグ全盛期にジャンヌ・モロー>>続きを読む

暗黒への転落(1949年製作の映画)

4.0

ジョン・デレクの転落を予見、決定付けるシーンの突発的で鮮烈な落下シーン。そしてあまりにもあまりにもあまりにも凄まじいラスト!!!!!

逢びき(1945年製作の映画)

5.0

再鑑賞。
随所で編集の重要性について考えさせられ、映画ってコレだよなって気付かされる一本。あらゆる映画の引用元がココにもアソコにもって意味でも映画の全てが詰まってるよなと。見る度に凄みが増す一本。

ドラブル(1974年製作の映画)

4.0

相変わらず見せる/見せないの取捨選択と大胆なようで簡潔なカット割りには唸る。説明を省く事で強調される疑惑と暴力性、子供を誘拐されても感情一つ揺るがないM.ケイン、見せないサスペンスな前半が見せる活劇の>>続きを読む

その男を逃すな(1951年製作の映画)

4.0

犯行から立て籠りまでのテンポの良さに舌を巻き、中盤以降の室内劇は流石演劇出のジョン・ベリーといった技が光る。小心者で被害妄想気味な誰にも愛されなかったマザコン男の悲哀を表す「俺の七面鳥食え!」のくだり>>続きを読む

ズームアップ ビニール本の女(1981年製作の映画)

5.0

現実と非現実のグラデーションが見事であり石井隆の“ナミとムラキ”のアナグラム的パロディ作品というのも頷ける。廃工場での砂埃に塗れながら興じるSEXは圧巻でありそんな二人を差し込む光はグル・ダットの『紙>>続きを読む