KotaroKinoshitaさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

無垢の祈り(2015年製作の映画)

4.7

#Filmarks2016 第2位

"救われない物語"にしか救えない魂がある、という無垢な確信が作品を通貫。
あれだけの被虐に身を投じ、なおも生命の輝きを見せつけるヒロイン・福田美姫は、この時代にあ
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少女(2016年製作の映画)

2.7

一体何がしたいのか。右往左往して取り留めのない物語進行、何のために登場したのかよく分からない稲垣吾郎のキャラクターなど、脚本あるいはそれ以前の企画段階で明白に失敗している。
場面場面が面白ければまだよ
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淵に立つ(2016年製作の映画)

3.9

自在にエロスの出力をコントロールする筒井真理子の芝居と、相変わらず亡霊でしかない浅野忠信の肉体との接触(あるいは衝突)。メロディよりも打鍵音の方が強調されるオルガンの"打楽器的音響"が、その不穏な出会>>続きを読む

野のなななのか(2014年製作の映画)

4.6

異常以外に形容しようのない異常な演出の連続にひたすら振り回されるが、本当に異常なのは常盤貴子の美しさであった。そしてその不老不死的美しさを前に炸裂する"大林の異常な愛情"に、「映画」のある種の本質がむ>>続きを読む

セーラー服と機関銃 卒業(2016年製作の映画)

3.0

前田弘二らしさが全く感じられず、アイドル映画としても中途半端だった。
やたら長回しが多く、相米オマージュなのか(雨が突然降ってくるところはそうだろう)、単純に撮影スケジュールの問題なのな分からないが、
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処刑教室(1982年製作の映画)

3.0

初見。真面目に見ると、不良がエスカレートしてあのようなラストになるのは、ある程度主人公のせいなのでは?という気がしてしまうが、生物教師が狂いすぎてるのでよしとする!
若かりし頃のマイケル・J・フォック
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脳男(2013年製作の映画)

3.4

爆発シーンやカーアクションなど、要所要所で「この場面はやりきったる!」感が感じられてよかった(それにしても栗田豊通とは贅沢である)。生田斗真や二階堂ふみなど、マンガ的キャラクターも"スベる"ことなく演>>続きを読む

過激派オペラ(2016年製作の映画)

2.9

冒頭で園子温からの影響を高らかに表明しているのが致命的にダサいが、本編では俳優(女優)の演出にしっかり「江本純子」を記名した。
ただ、当然ながら映画監督としては素人なわけで、演出は不安定。それをカバー
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オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

3.7

人が心の生傷を突如さらけ出す瞬間を、蒼井優という稀有な才能を最大限に活用して表現。さらにそうした傷を匂わせる存在として優香を起用していて驚かされた。

全体としては断片の連なりにより、話を無理矢理に引
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キング・オブ・エジプト(2016年製作の映画)

3.6

ジェフリー・ラッシュのおかげで地球は守られているのだということがよく分かる映画。
アレックス・プロヤスならではのハイセンスなビジュアルも時折見られるが、往年のファンとしては肩透かし感がある。

ヒロイ
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怒り(2016年製作の映画)

3.3

「顔」と「信じること」について、すなわち「画面」と「演技」という映画の2大要素について深掘りしようとした映画。撮影・笠松則通や宮崎あおいらの仕事はまさしくプロフェッショナルで、そのテーマはある程度達成>>続きを読む

さいなら、BAD SAMURAI(2016年製作の映画)

4.2

一体いつの時代のカメラで撮っているんだ?という低画質スタンダードの貧相な画面は、主人公の貧相な才能と人間性をそのまま表現するが、しかし映画そのものは豊かなユーモアと深い洞察に満ち溢れている。
破たんそ
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狂える世界のためのレクイエム(2015年製作の映画)

3.3

主人公ならびにヒロインの面構えがほとんど完璧。クラシックな演技体も上滑りすることなく成立させていて、さすが日活社員(庶務)監督である。
テロ訓練をほのぼの描くというのも、(それがどこまでが狙いかは別だ
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のぞきめ(2016年製作の映画)

1.8

三木康一郎は『トリハダ』のような「コワい人間」専門なのであり、霊的現象も呪術もモンスターも描けないということが露呈しただけの映画。せめて、過去パートで描かれる某殺人場面くらいは恐ろしく演出できたのでは>>続きを読む

ドクムシ(2016年製作の映画)

3.1

「犯人から何の指令もない、ルールもない」というのが面白いのだが、それゆえに緊張感や絶望感の演出が難しく、実際その点で工夫をしきれていない印象。
一方、デスゲームものとして特に新機軸というわけではないか
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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『タンタン』は視覚的に驚かされる場面こそあれ"感動"はしなかったが、この作品ではそこかしこで心揺さぶられるものがあった。
具体的には、主人公が水面に飛び込む場面と、BFGが女王に謁見する場面。どちらも
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スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)

3.6

ハーレイ・クインを筆頭にキャラクターの一貫性のなさが目立つ。にもかかわらず場面場面、瞬間瞬間で見せる彼らの表情は"本物"であり、それは紛れもなくデヴィッド・エアーの演出力である。
忘れがちだが、ウィル
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花に嵐(2015年製作の映画)

4.3

事前に何度かPCで観た後、PFFにて初スクリーン鑑賞。正直、PCの方が親和性が高いタイプの作品だと思っていたが、スクリーンの方が映える作品だった。つまり、ちゃんと「映画」だったのである。
同じくフェイ
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ドロメ 男子篇(2016年製作の映画)

3.4

『女子篇』を観た後に鑑賞。パラレル構成を活用した演出が散りばめられていて、その多くは特筆すべきことでもないのだが、霊描写に関しては大いに納得。
その霊が、終わりの方でトンデモないパワーを見せつけてくる
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ドロメ 女子篇(2016年製作の映画)

3.0

とりあえずこちら一本だけ観たところでは、内藤瑛亮はただでさえ長編が不得手なのだから、無理して2つに分けたりせず一本にまとめるべきだったのでは?という感想。
尺稼ぎのしょうもないアドリブ合戦もなかなかキ
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君の名は。(2016年製作の映画)

-

とにかくホラーだった。一体どんな映画だったのか、もう一回観て判断します。

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

3.6

犬視点のカメラとかホットドッグトリビアとかに油断してると、鳩や飛行機がブッ飛んでくる楽しい映画。
時間も画面も過剰に切り刻みまくって、しまいには『11分間』というタイトルなのにまったく「11分感」がな
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.1

今見るとやはりスカーレット・ヨハンソンのハーパン姿に心奪われますね。


演出0.8
人間0.9
構成0.8
驚き0.8
趣味0.8


演出=総合的な演出
人間=俳優および被写体の魅力
構成=脚本
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シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

頑張ってはいる。だが踏み込みがまだまだ甘い。「太平洋戦争」や「冷戦」ではなく「日本国」そのものがテーマとなっている以上、どうせなら天皇という存在にせめてセリフでだけでも触れてほしかったし(単純にあれだ>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

4.3

顔も身体も別人のように変化していく、安藤サクラの一世一代の熱演が素晴らしい。が、その演技の踏み台として、足立紳による骨太な脚本があったことを忘れてはならない。今の日本映画でここまで構成力を持った脚本家>>続きを読む

見えない恐怖(1971年製作の映画)

3.7

帰宅すると家族全員が惨殺されている!しかしヒロインは盲目だから気付かず、◯◯◯・・・というただでさえエグすぎる設定なのに、そのヒロインをミア・ファローという天性の薄幸顔を持つ女優が演じているせいで、エ>>続きを読む

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)

4.3

#Filmarks2016 第6位

やはりジャウマ(以下略)は本物だった!!『ジョーズ』のDNAを引継ぎつつ、今風のサバイバル映画の要素を取り入れ(しかも主人公は女性)、回想すら挟まずにソリッド・シ
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修羅雪姫(2001年製作の映画)

3.2

公開当時、釈由美子がドニー・イェンのアクションをしているというだけでだいぶ面白いと思った気がするが、今見ると「嶋田久作頑張ってんなぁ!」という笑
この作品自体は今見ると粗いし退屈なのだが、キャリアの浅
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回転(1961年製作の映画)

4.0

窓から現れる例のアレの"見てはいけないモノ感"はやはり容易に再現できるものではない。


演出0.8
人間0.8
構成0.7
驚き0.9
趣味0.8


演出=総合的な演出
人間=俳優および被写体の
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スクールガール・コンプレックス 放送部篇(2013年製作の映画)

3.4

漫喫のVODで見つけて「そういえばこんな企画あったな。いかにもダメそうだったけど、森川葵と門脇麦だったのかぁ」と思いつつぼんやり再生したら、想像より遥かにマトモなお話で、「こんな企画にこんな真っ当なホ>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

3.0

是枝同様、西川美和も現世にしか興味がないということが改めて明らかにされる作品。それはそれであり得る思想なのだが、映画とは本質的に「死」を捉えるメディアなのであり、「死」をナメて撮っているとすぐに足元を>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

-

ストーリーもVFXもよくできてたんだけど、途中で一瞬中だるみしたところで睡魔が襲い、一番重大な転換だったらしい場面を見逃すという・・・

そのうち見直したい・・・


※寝ちまったので評価不能

裸足の季節(2015年製作の映画)

3.8

全く社会的背景の異なるアメリカ映画を参照しているのに、(少なくとも外国人の私から見て)なんの違和感もなく作品が成立しているのを見て、映画の越境性を改めて感じた。
姉妹のキャスティングは見事で、性関連描
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X-MEN:フューチャー&パスト(2014年製作の映画)

4.0

とにかく「ようやるわ!」の一言。オリジナルと「エピソード0」をタイムトラベルで接続してしまうという発想自体が(映画としては)エポックだと思うが、それをここまでの説得力をもって具現化してしまうスタッフ陣>>続きを読む

ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年製作の映画)

3.2

吉田恵輔としては珍しい「凡作」。ギャグも冴えず、キャラクターも展開も新味がない。それでも最低限の映画話法ができているので、一応最後までは見れてしまうという作品。
麻生久美子の熱演を捉えた中盤の長回しは
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