水道局で働いていた顔、マーガレットの前にいる顔、銃の前で立ち尽くす顔。安易な共感なんて寄せ付けない、ひとりひとりの劇的な日常。最後までよかった
カウリスマキ作のなかではけっこう救いようなくてもどかしい。フィンランドの灰色の空と、とにかく登場人物全員が吸うタバコのハーモニーがやっぱりすごい
恋する横顔、電話を待つ不安な顔に、何もかもがそこにない、無表情まで、言葉ではなく、本当に映像で語らせる、カウリスマキワールド本当に良かった。最後も小気味良くて、固唾を飲んじゃう感じで好き。
ぜんぜん事件もハリウッドのことも知らなかったので、あんまりついていけなかった。でも、とにかく撮影はすごかったし、タランティーノ劇場全開だった。
このレビューはネタバレを含みます
ドキュメンタリーの装いをした、良い感じの映像の羅列。突如語り出す「ぼく」が、いったい誰なのか明かされないまま、ひたすら「ぼく」のモノローグが続く。せっかく街の人に話を聴いてるのに、全部がコメントバック>>続きを読む
息子の回復にあわせて話が進められていくという1番の大筋自体に無理があるのでは??と、いまでも思い続けてるけど、それを押し切ってあまりあるほどの、本編の面白さ!やっぱりインド映画の熱量素晴らしいし、ダー>>続きを読む
マチェーテで負った傷を、天恵とするセバスティアン。撮影者である太田の存在が、徐々に明らかにされていく後半の展開は、モノローグが長く続く前半と違って、食い入るように観た。
ただ、ラストで、映像人類学と銘>>続きを読む
「善良な人は、そのままで殺人者になれる」。一貫した森さんのテーマの一方で、戦後寡婦の性愛や日常のあれやこれも。無力すぎるリベラルの前で、民主主義がご都合的に利用されていく様子が今の時代と重なってとても>>続きを読む
カレンダーの裏、生理用品の箱、壊れていく家族、時間、アオイ自身。中途半端な救済の物語に仕立て上げないことに、価値があると思った。空気が薄い、朝方の波の上のビーチに、ネオンがきらめくコザの夜。でも、どん>>続きを読む
君の名はが始終リフレインしていた
色合い、音楽、ストーリーが新海さんのスタイルとして完成されていて、それは1制作者として素直にすごいなーと思う。
個人的な疑問という形を取りながらも、ディレクターのはっきりとした意図に沿って流れていく。とてもすごいなと思うのは、「ほんとにフェアですよ」みたいな顔をするのではなく、批判の意図を明らかにしつつも結論は>>続きを読む
少年たちの一夏があまりにも珠玉で、すごく大事なものの気がした。ふすまから覗く子どもたちの目、何かいけないものを見つけちゃった、あのドキドキ感、別れ際の永遠にも思えるぐらいの気持ちも。お姉さんの正体とか>>続きを読む
美術館のキュレーターという、「ハイソ」な立場から叫ばれる、弱者の救済や平等。逆の視点は一切ない。そういう救いって実は偽善的で、自己満足でしかないものなのか?あるいは、途中で彼が言っていたように、同じ両>>続きを読む
どうやって撮ったのか想像がつかない。ある種、淡々とした生活の中からこそ滲み出るたくさんの違和感。事件は一ミリも出てこないのに、とにかく惹きつけられる
背もたれの隙間からこちらを眼差す母の目、背を曲げながらスーパーから歩く父の姿。ボケますから、「ごめんなさい」ではなくて、「宜しくお願いします」という、そしてそれを引き受けることがどれだけのことか、現実>>続きを読む
進む危うさ、でもやめたとて地獄、のアルコール。北欧の空はやっぱりいいなあ
最近ラジオをよく聴く。聴くのもだけど、聞く方はもっとよくわからなくなってきた。聞いて、しっかり聴き、受け止めることで、2人がケアし、ケアされていく、そういう「聞く」「聴く」のために、耳を澄ませておきた>>続きを読む
観終わってすぐseasons of love聴いた
おバカな冒険譚としての始まりから、法廷や国家を巻き込んだ深い溝にはまりこんでいく、スピード、コントラスト、秀逸。ひとひとりの人生を文字通り命懸けてつくったのやろうな、ネトフリがバックにあるからこそでき>>続きを読む
食物連鎖ドキュメンタリーの先駆け。日本にも輸出があるのは割とショッキングな話でした
「もうぼくは消えてなくなりたいです…」
流れるようなちぐはぐさが見事でした。
余白が、タバコの重い煙で隅々まで塗りつぶされてる。息ができない、灰色。
希望のかなたには何があるのでしょうか、フィンランドらしさみたいなものを纏いつつも鋭く何かを突きつけられた作品だったという気持ち
心のひだを撫でられるような気分。冒頭の映像表現、そして途中、崩れゆく氷河で転調を挟むところが鳥肌だった