ikustatinoさんの映画レビュー・感想・評価

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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.1

『ダム・マネー ウォール街を狙え!』

ゲーム・ストップ株騒動とは何だったのか。
コロナ禍に経済格差に喘ぐ庶民達の起こした一揆か、はたまたSNS時代のミーム株を使った悪ふざけか。
歴史はまだこの事件の
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

『哀れなるものたち』

バロック絵画×スチームパンク、どこかミシェルゴンドリーを思わせるようなイノセントなルックが印象的。ただしお洒落な見た目に反して複雑怪奇でいてR18指定。
一言で言えば女性版フラ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.7

『枯れ葉』

その日暮らしの男と女。1人には耐えかねていながら、情熱で恋に落ちるには歳を重ねている。ラジオからは戦争のニュース、更にひねればシャンソンが流れる。
生活と仕事とを繰り返し、時に酒を飲み、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

『パーフェクトデイズ』

寡黙な男の繰り返す日々が、物語を風に揺らぐ木漏れ日のように小さな光と影の濃淡を彩る。
いつもの仕事、いつもの店、いつもの音楽。けれど同じ場所を同じカメラで毎日収めたとしても同
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.8

『笑いのカイブツ』

生まれた時から片親で、学生時代は誰とも話さず過ごし、強烈な焦燥感を抱えて徹底的に笑いを追求するツチヤ。
類稀な笑いの才能を持ちながら人間関係はとことん不得意で、彼の行先は行き止ま
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くるりのえいが(2023年製作の映画)

3.2

「くるりのえいが」

過去を懐かしむ為の再結成ではないことはアルバムを聴けば明らかで、くるりの3人が新たな地平をすでに目指していることがよく分かる。
それでも僕にはこの作品が3人が友情を取り戻すドキュ
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

3.4

『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック』

醜く混沌とした世界で、誇れる自分を探す少年達の物語。
これまでリブートを繰り返してきたTNNT。テーマを青春群像劇に絞った事で現代的で分かりやす
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.9


『アリスとテレスのまぼろし工場』


ー岡田麿里作品の個性ー

前作の『さよならの朝に約束の花をかざろう』で脚本に加えて監督をするようになって以来、岡田麿里作品のレイヤーは一段変わったように思う。
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.0

『福田村事件』

流言飛語と集団ヒステリーでこんな凄惨な事件が起きてしまったという事実に困惑と怒りが禁じえないし、とても心が掻き乱された。
自分達の祖先がしでかしてしまった事をどうやったらなるべく誠実
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

『オオカミの家』

チリに実在したカルトコミュニティを題材にしたダーク・フェアリーテイル。
施設を逃げ出して森の廃墟に隠れた少女は、みつけた二匹の豚を育てながら密かに暮らし始める。
豚を子供に見立てて
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.5

『アステロイド・シティ』


ー箱庭を作り続ける異端児ー

ウェス・アンダーソン監督の作品と言えば御伽話の如くデフォルメされた美術と小津安二郎を思わせる作り込まれたカット割が特徴で、箱庭のような世界の
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バービー(2023年製作の映画)

4.0

『バービー』

映画館を出て外を歩いてるんだけど、今も嗚咽気味に泣いていて目が真っ赤でとても電車に乗れる状態じゃなくて、この感想を書いている。

自分で不思議なのはこの涙が感動したとか裏切られたとかそ
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.6

『君たちはどう生きるか』


〈老賢者が描くダークファンタジー〉

ここ数ヶ月多くの映画好き達がどんな作品になるのか方々に残された鈴木敏夫のヒントを元に予想をたてていた本作。
ご多分に漏れず自分も「あ
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.6

『ザ・フラッシュ』

大人の事情による紆余曲折の末それこそスパゲッティ的な混乱の様相を呈してひさしいDCEU。
本作はその軌道修正となる作品であり、凡ゆる混乱を終息させ引導を下す作品と言えるのだろうか
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.2

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Vol.3』

一貫してCreep野郎の賛歌を描いてきたGofGが完結した。シリーズと共にMCUにのめり込んでいった自分としては今はまだ込み上げる気持ちを抑えられ
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怪物(2023年製作の映画)

4.2

『怪物』
是枝監督の作り出す"視点"。坂元裕二の織りなす"機微"。坂本龍一の生きてきた"軌跡"。三者が混ざり合い、手を取り合い、それでいて其々が独立独歩の美しさを保っていた。

自分が作品からくらった
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.4

『ロストケア』

作品の是非を問うならば評価はきっと大きく分かれるであろう。
ただしこの殺人と作品のテーマについて問われたならばどれだけの人が理路整然と考えを述べられるだろう。僕はきっと「さもありなん
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Winny(2023年製作の映画)

3.8

『Winny』

観た。事の真相を映画だけで判断するのは早急であろうし、実際にあった事件を一方の主張だけでアレコレと物分かりげに言うのはいささか烏滸がましい気もする。
けれど湧き上がるこの無力感はなん
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.5


『ムーンエイジ・デイドリーム』

ボウイ不在の世界を生きていかなくてはならない僕らの為のギフトと言うべき映像作品。
さながら時間とイメージが溶け合う宇宙旅行。これは目紛しく変化し続けた彼の変遷を混沌
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.2

『シン・仮面ライダー』

知る人ぞ知る東映特撮ヒーローの元祖"仮面ライダー"のリブート作品にして、シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースの一角。
配給会社の垣根を超えて庵野秀明が繰り広げたこのプロジェ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

『ブルージャイアント』

原作は文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞受賞経歴を持つ累計部数840万部越えの超人気コミック。
映画化に際しては様々重圧あったと思われるが、好評に釣られて蓋を開けてみれば映
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.4

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

抜群の映像・音楽センスをお下品に無駄遣いして混沌の渦から不思議な感動に誘う異色作『スイス・アーミーマン』のダニエルズ監督作品にして本年度アカデ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.0

『逆転のトライアングル』

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』において権威の欺瞞や無意識の悪意を可視化してパルムドールを受賞したリューベン・オストルンド。
そんな氏が支配構造の悲哀と矛盾を描いて2作連続
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.3

『エンパイア・オブ・ライト』

海辺に佇む寂れた映画館。
夜はネオンライトが静かな街を煌々と照らしエドワード・ホッパーの絵画のよう。
80年代サッチャー政権下のイギリス。
新年に湧き立つ港街で生きる事
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.6

『イニシェリン島の精霊』

1923年北アイルランドに浮かぶ架空の孤島イニシェリン島。退屈ぐらいしか取り柄のない平和な島は老人達の諍いによって不穏な空気を纏っていく。
時代はアイルランドの内戦の頃、民
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.1


Filmarks試写にて鑑賞。

- 前説明 -
ベン・アフレックのバットマン役と監督の降板を受けマット・リーヴスが監督・脚本を務めた人気シリーズのリブート作品。
既にオリジンが何度も描かれてきたバ
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.1

『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

届けることのできなかった行き止まりの想いを受け取り、タイプライターにしたため手紙を届ける自動手記人形ヴァイオレット。
傷ついた心と身体を押し込め禁欲的に職
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

4.5

「続・夕日のガンマン」

マカロニウエスタンの代表作。
本作を観た事が無くてもエンニオ・モリコーネの劇中曲を知らず知らずに聴いた事のある人は多いはず。
原題は「全玉、悪魂、卑劣漢」。墓に転がる汚れた金
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用心棒(1961年製作の映画)

3.7

「用心棒」

黒澤明監督の時代劇映画の決定版。
世界中で絶賛され、本作なくしてはマカロニウエスタンも生まれなかったというのだから作品の影響力の大きさを痛感する。
痛快娯楽映画という割にとにかく画面の緊
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

「七人の侍」
日本を代表する黒澤明監督の3時間半の大作。
時代劇の金字塔にして侍版マカロニウエスタンとも言える本作、日本人ならではの山椒のような辛さにピリリと痺れる。
惨めで哀れな者とされる農民の強か
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.4

「TENET」

名もなき男が挑むのは未来に待ち受ける壮絶な運命。宿敵は過去・現在・未来、全ての時点から文字通り"時と場所"を選ばず襲いかかってくる。
時計仕掛けの黄昏を生き人々。
交錯する策謀とバト
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劇場(2020年製作の映画)

4.0

「劇場」

尖って悪態を吐きながら売れない劇作家をしている永くんと、そんな彼の才能を信じて献身的に支える沙希。
ゆっくりと破滅していく共依存関係。
それは平成のありふれた光景であり、身に覚えのある所作
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私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

3.7

「私はあなたのニグロではない」

この作品で今アメリカで起きている状況に少しでも理解を深めたかったのは言うまでもないが、結果的に映画の強烈な訴えに項垂れてしまった。
問題の当事者の1人として言葉を失う
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輪廻の少年 ノーカット完全版(2017年製作の映画)

4.9

「輪廻の少年」

高僧の生まれ変わりリンポチェとされる少年と世話係をする僧侶。
共に小さな村で暮らしてきた2人が高僧の座を引き継ぐ為インドを横断し、弟子達の居るチベットの寺院を目指すドキュメンタリー作
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