高橋さんの映画レビュー・感想・評価

高橋

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チャイルド・プレイ(2019年製作の映画)

2.0

スクリーンのうえに、無表情でどこを見つめるでもない瞳を備えた人形が映しだされることの視覚的効果について、ひとはいま一度真剣に考えるべきである。たとえば、最近のホラー映画でいえば『死霊館』シリーズ(サン>>続きを読む

ワイルドツアー(2018年製作の映画)

4.0

『きみの鳥はうたえる』などもそうであったが、三宅監督はやたらと切り返しショットを多用するということがなく、たとえばこの『Wild Tour』でも、序盤のタケがフレームアウトしたウメをチラチラと「目で追>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

3.0

黒人ピアニストを演じるマーシャラ・アリの社会との距離というか、孤独は、序盤のヴィゴ・モーテンセンと初めて対面するシーンでは、カーネギー・ホールの上階に位置するという妙に広い部屋の奥に置かれてい>>続きを読む

移動都市/モータル・エンジン(2018年製作の映画)

1.0

カット割りが多い映画であるが、ショットもことごく緩いので、明滅する画面のなかに決定的なショットが隠されているということもなく、製作と脚本を兼ねているピーター・ジャクソンの影響が見られ、残念な映>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.0

 映画はその横長の矩形性から、画面の横方向にたいする運動を捉えることには向いているが、一方で垂直方向の運動にたいしては十分にちからを発揮することができない。カメラは垂直運動する物体を、下から見上げて、>>続きを読む

アクアマン(2018年製作の映画)

1.0

 ここまでCGを使ったとしても、極めてリアルに見えるレベルでアニメーションを行っているように見えてしまい、実写映画の感動にはほど遠くおもえる。CGやアニメーションはどれだけ進歩しようと、よりいっそうリ>>続きを読む

フロントランナー(2018年製作の映画)

2.0

 映画を見て、政治や倫理について語るのであれば、我々は映画の政治性や倫理について語るべきであろう。単なる政治や倫理のための映画ではなく、映画のための映画に触れることで、我々はその豊かさを感じられるので>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

4.0

 ルカ・グァダニーノ監督の映画をいままで見たことがなかったが、かれはもとの『サスペリア』の監督であるダリオ・アルジェントよりもはるかにすばらしい監督であると感じられた。アルジェントの『サスペリア』は、>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

1.0

 中島哲也という監督の映画から、映画らしさを見つけだすのは困難である。というのも、まずカット割りが多すぎて、たとえそこにすばらしいショットが紛れ込んでいたとしても、それに我々の視線が触れるのはわずかな>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

1.0

 よくもこんなものが撮れるものだというのが正直な感想であるが、それはたとえば度々挿入される主観ショットや、一度だけではあるが使われるスローモーションなどを見れば、その恥ずかしさは一目瞭然であろう。こん>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.0

 ★1=映画ではない、★2=ほんの少し映画、★3=少し映画、★4=映画、★5=すばらしい映画、といった具合にここでは評価しているつもりで、本来なら『ボヘミアン・ラプソディ』は★2くらいにすべきなのだが>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

2.0

 先日の『きみの鳥はうたえる』ラストの石橋静河のクローズアップのエモーションと比べるべくもなく、近年のハリウッド大作は数百万ドルの役者の顔を撮ることに必死である。大写しにされたそこに映画のかけらを見つ>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

 人間の表情や顔を捉えようとすると、カメラと被写体との倫理的な距離はおのずと決まってバストショットかクローズアップとなるであろうが、ひとはカメラの前でひとりで存在するばかりではなく、ふたりあるいはそれ>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

1.0

 現代は映像にあふれている。ニュース映像があり、ホームビデオがあり、いまでは誰もが簡単にスマホでムービーを撮れるのだから、映像は堆く積まれ我々をとり囲んでいる。しかし、そのすべての映像が映画的であるわ>>続きを読む

ピッチ・パーフェクト ラストステージ(2017年製作の映画)

2.0

 スクリーンのなかで誰かが歌いはじめるとき、我々は疑ってかからねばならない。果たして、我々はいま映画を見ているのか、はたまたパフォーマンスを見聴きしているのか。頑として映画館で音楽を楽しんでいるのだと>>続きを読む

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)

2.0

 記憶に残るような映像があるとはとてもいえないような映画であるのだが、そのなかでもまだかろうじて覚えている画面を挙げようと思う。
 たとえば冒頭の食卓のシーンは、ブルース・ウィリス演じる夫とその妻が語
>>続きを読む

散り椿(2018年製作の映画)

1.0

 予告編を見るかぎりでは、パンフォーカスでそれなりにロングのショットに期待されたが、実際に見てみればクローズアップの多さや凡庸なショットの連続に退屈してしまう。岡田准一と西島秀俊はそのなかでも映画的な>>続きを読む

ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)

1.0

 バストショットの切り返しばかりであるし、主人公の子役の演技をとってみても、監督の演出にたいする頭の回らなさが目につくのだが、この映画のなにかよいところを挙げるとすれば、それは円環の氾濫であろう。>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

1.0

 前作『イコライザー』が曲がりなりにも面白かったのは、デンゼル・ワシントンが元CIAエージェントで、妻を亡くしているという過去を軽い注釈程度にとどめ、親しい者への微笑み以外はまったく表情を変えることの>>続きを読む

死霊館のシスター(2018年製作の映画)

2.0

 監督のコリン・ハーディの「ザ・ハロウ」は森のなかでの活劇があったくらいの記憶しかないが、今回の「死霊館のシスター」はルーマニアの辺境にある修道院を舞台にするという点で怪奇であろうと予想されるし、その>>続きを読む

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

2.0

 まずいわなくてはならぬのは、この映画は「怖い」のではなく、「サプライズ」の映画であるということである。不意に観客を驚かせる演出は、それでいい場合はもちろんあるが、サプライズばかりの映画が上等であると>>続きを読む

スカイスクレイパー(2018年製作の映画)

1.0

 おそらくこの映画でもっともよいショットだったといえるのは、一番最初のそれであったのではないかと思えるのだが、まず一軒の小屋が画面に映しだされ、そのままショットは持続しながらカメラが徐々に引いていくこ>>続きを読む

ザ・プレデター(2018年製作の映画)

3.0

「キスキス, バンバン」「ナイスガイズ!」が、突如として現れた自動車が宙を舞い、衝突事故を起こすことを契機として物語が始動するように、今回のシェーン・ブラックの「ザ・プレデター」でも、冒頭は異星人の宇>>続きを読む

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

2.0

 映画の物語が図式的であることは、いささかも画面の豊かさを阻害するものではない。そうした図式を映画に初めて持ち込んだグリフィスであっても、ジョン・フォードでも、ハワード・ホークスでも、あるいは小津安二>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

5.0

 この映画は、朝子と麦が東北の沿岸にそびえたつ堤防に行き着き、そして別れてしまうシーンの以前と以後で、一応分けることができるように思われるが、そこを境にして朝子の顔つきはまったく変わってしまう。
 そ
>>続きを読む

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

1.0

 B級映画が、ことあるごとにショットに注釈をつけてしまうのだから、進行は遅いし、終わってみればこんなものかである。
 たとえば、冒頭でジェイソン・ステイサムが救助艇を発進させるかどうか判断するシーンで
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累 かさね(2018年製作の映画)

1.0

 一方に顔に大きな傷を負っていながら、天才的な演技力のある女がおり、そしてもう一方には、美貌はそなえているが、演技はからっきし駄目な女優がおり、そのふたりが顔を交換することで生まれるドラマということで>>続きを読む

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

2.0

 冒頭から説明的なシーンがはじまるので、ほとほとうんざりさせられるが、それはその後とて同じことである。
 たとえば、誰かと誰かが会話をするシーンがあるとして、ある人物が他者との関係において空間のどこに
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銀魂2 掟は破るためにこそある(2018年製作の映画)

1.0

 なにを映画化すべきで、なにを映画化すべきではないか、わかっていないのだ。映画とテレビのちがいをこの監督に問うたところで、まともな回答は得られないだろう。
 映画的な演出は放棄され、俳優陣は説明的な台
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ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

3.0

 夏の街に突如として出現するペンギン、歯科医院のお姉さんの完璧とも思える不思議な魅力、森をぬけた空き地に浮かんだ球状の物体〈海〉、ぐるぐると街を流れその円環を閉じている小川……ひとつひとつのすばらしい>>続きを読む

検察側の罪人(2018年製作の映画)

2.0

 シドニー・ルメットのまったく凡庸な映画「十二人の怒れる男」の演技合戦や「丘」の吠え芝居に、映画としての魅力を感じたという原田眞人監督による映画なのだから、たとえば誰かが誰かに暴力をふるう、という極め>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

1.0

 映画がはじまると、ワンカットの映像が流れだし、それは廃墟でゾンビ映画の撮影をしているクルーが本物のゾンビに襲われてしまうという内容なのだが、ここでひとは、このカメラをまわしている主体がどのようなもの>>続きを読む

インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

2.0

 前作「Mr. インクレディブル」は、ピクサーの六作目とまだまだ初期である。この手のCGアニメーションにおいては、地平線をどう処理するかがひとつの問題になるように思われるが、その前作では、都市のそれは>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

3.0

 クリストファー・マッカリーの前作「ローグ・ネイション」は好きではなかったので、観る前はほとんど期待していなかったが、結果からいうと、その前作と比べれば数倍はおもしろい、ととりあえずいうことはできるよ>>続きを読む

オーシャンズ8(2017年製作の映画)

1.0

 おそらく、ほとんどの時間がバストショットで抜かれた女優たちのお喋りで占められており、それは序盤で刑務所を出て間もないサンドラ・ブロックが、ケイト・ブランシェットと車内で会話するときの、なんの変哲もな>>続きを読む