nuさんの映画レビュー・感想・評価

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ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム(2000年製作の映画)

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スポーツに恋愛が絡んだ映画には「成功した彼氏と彼を支える存在感の薄い彼女」の構図がよく存在するように感じる。今作ではモニカがプロバスケ選手を本気で目指している点と、彼女の人生が必ずしもクインシーを中心>>続きを読む

恋のエチュード(1971年製作の映画)

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トリュフォーはぐちゃぐちゃな恋愛が本当に好きみたいだ。今作の中身は露骨で挑戦的。お気に入りは、妹が自身の性的欲望、快楽への中毒を赤裸々に読み上げるシーン。カメラを直視する彼女の目がクロースアップで捉え>>続きを読む

柔らかい肌(1963年製作の映画)

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ランスでの夜のシークエンスが一番好き。ピエールが窓を隔てたところにいる二コルのことを心配しながら、目の前にいるおしゃべりな友人の相手をしなければならないのが、緊張感と笑いの両方を引き起こす。フランソワ>>続きを読む

終電車(1980年製作の映画)

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『アメリカの夜』に似た舞台裏を主題にした作品だが、今作には公演が失敗に終わる外的な理由が当然ながらさらに多い。戦争・占領が芸術に干渉し、同じ業界にいる人ですら、命の危険をもたらす可能性があるのだ。この>>続きを読む

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

かなりごちゃごちゃしているが、カメラワークと編集で実験を繰り返した、活きた映像になっている。トリュフォーは初期から走る登場人物を捉えた疾走感溢れるショットや、何か大きな事件が起きる前にドラマティックな>>続きを読む

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

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ジュールとジムは稀な友情を持つ。カトリーヌの登場でホモソーシャルになり得るところだが、特異な関係が続くのはジュールがカトリーヌをほぼ崇拝するかのように溺愛しているからだ。しかし、悲しいことに肝心のカト>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

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再鑑賞。若尾文子のかわいらしさにまた虜になる。川口浩との相性も良い。増村保造の他の作品をもう少し観た上で再度これを観ると、ここでもブロッキングを巧みに使うなどした整ったショットが多いことに気づかされる>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

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鉄格子で隔てられたキャンプ場はまるで刑務所のようである。エテックスが『健康でさえあれば』から短編として独立させたものらしいが、なぜその選択をしたのか気にならざるを得ない。長編の後半部に含めれば、短編も>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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これもまた何かが上手くいかない人たちの物語。前半の二編は純粋な娯楽としてある。読み手の状態に合わせて小説の世界が逆さまになったり揺れたりなどするのが面白い。映画館の中の心地悪い角度がいろいろと見せられ>>続きを読む

Valimo(2007年製作の映画)

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休み時間に工場から離れた労働者たちが観るのは、また違う世界で工場を出ていく人びと。カウリスマキの映画愛が最も直接的に示されていて短いながらも最高の映像。映画館の入り口のターコイズの壁が素敵。

Bico(2004年製作の映画)

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カウリスマキなら出稼ぎの労働者に焦点を当てそうな気もするが、村に残された人びとに注目が寄っていたのが新鮮だった。冬の自然や、気持ちよさそうに陽に当たりながら目をつぶる老人など美しいショットが多かった。

破局(1961年製作の映画)

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驚くほどに何も上手くいかない主人公。ああってなった瞬間に思った通りのことが起きるのだが、主人公だけが数秒後に気づく。計算された絶妙なタイミングの連続に引き込まれる。それにしてもなんという終わり方…

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

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チャップリン監督作を観るのはこれで二作目だが、ユーモアよりも悲しみが強い気がする。この作品では多くの人が貧困に陥る。人間は機械を使い、人間もまた機械のように扱われている。主要な登場人物も時代の困難に直>>続きを読む

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

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緊張感あり喜劇的要素もありの定番の犯人捜しもの。ヒッチコックの影響が色濃く見られる。もふもふの子犬がファニー・アルダンにぞろぞろとついていく始まりからすでに楽しい。率先して素人探偵になりきるバーバラと>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

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陸前高田市の元避難所で「戦場のメリークリスマス」を弾き始めたとき、なぜか泣きそうになった。坂本龍一の音楽制作をちらっと見られること自体が貴重で、特に自然の音を録ってその結果物を聴いているときに笑顔にな>>続きを読む

青空娘(1957年製作の映画)

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青い空を見上げるように撮られたショットに代表されるような、心地良い作品。実に簡潔に機能不全の家族、恋愛関係、都市での生活といったテーマを入れることに成功している。このような主題は憂愁を持って描かれるこ>>続きを読む

妻は告白する(1961年製作の映画)

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多様な構図や配置に魅了された。複数の人物を一つのフレームに収めたり様々な角度から撮ったりするなど、台詞が重要な役割を果たす劇の中で切り返しよりも面白いショットがいろいろ見られた。
妻はファムファタール
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逃げ去る恋(1978年製作の映画)

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シリーズを完結する作品としてはやや怠惰な感じが拭えない。それでもアントワーヌの最後の旅路を見守る価値はあるだろう。女性に焦点が当たっていることが救いで、一定の深みをもたらしている。相手に自分の全てを与>>続きを読む

家庭(1970年製作の映画)

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軽快なタッチで描かれる結婚生活。食料品の買い出しを忘れたからといって外にまた出るのではなく、家にあるベビーフードを食べさせ合う場面の魅力は語りきれない。しかし、アントワーヌは小さい頃と変わらず浮遊して>>続きを読む

夜霧の恋人たち(1968年製作の映画)

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ばればれな尾行とぐちゃぐちゃな包装。選ぶ仕事に一癖あって、なかなか下手なのがアントワーヌらしくて好きだし、どこか慰められる。恋は変わらず上手くいかなくて、鏡の前で神経衰弱を起こすのも、可哀想だけど少し>>続きを読む

あこがれ(1958年製作の映画)

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明らかに気味悪いことをやっているのに、まだ小さいからとほろ苦い感じを残すところがあまり好きになれず…初めからリュミエールっぽいなと思いながら観ていたら『水をかけた散水夫』のオマージュが諸に出てきて驚い>>続きを読む

アントワーヌとコレット/二十歳の恋(1962年製作の映画)

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出会いの場面は、アントワーヌ・コレット・オーケストラのショットを交互に映しているだけなのに何とも上手く機能している。アントワーヌが惹かれていく様子が、大音量の音楽を背景にして徐々にカメラが人物の顔に近>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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大好きなウェス・アンダーソンの作品に対してこんなこと言いたくないが、あまりしっくりこなかった。そういう気分じゃなかったのか。なぜだ…彼の作品が好きなのは憂鬱や痛みや悲しさが根底にあるからだ。これらの感>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この規模と長さで撮られる必要のある物語。虐殺を目にするのは痛ましいが、白人男性の悪と偽善を正当化する隙を見せないことが重要であった。終盤のアーネストとモリ―の会話は、アーネストの表面上の家族愛とおじか>>続きを読む

ボーイズ・ステイト(2020年製作の映画)

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面接で国や政治への熱意を語ったはずの男子高校生たちが大勢を前にノリに任せて暴論を吐く様子は悍ましく、現実的でもあった。先導者に選ばれるのはまだまともな人なのが幸いなのか…このドキュメンタリーがどちらの>>続きを読む

フィンガーネイルズ(2023年製作の映画)

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俳優陣(リズ・アーメッドやっぱり顔が良い)とレトロな色調は好きだったが、物語における重要な部分はあまりピンとこなかった。主人公は決して好かれるような人物になる必要はないと思っている。しかし彼女の疑問視>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

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俳優の顔に深みを与え陰影や霧を際立たせるなど、白黒の画面が実に効果的に使われていた。豪華俳優陣による演技は言うまでもなく力強い。魔女役のキャサリン・ハンターの身体的で奇怪な演じ方が特に記憶に残っている>>続きを読む

黄金の馬車(1953年製作の映画)

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階級差や権力、植民地主義といったテーマを愛の物語を通して描くのはいささか陳腐に感じられるかもしれない。しかし、文字通り幕が上がり下りる構成にすることで何層にも深みが増す。世界もまた演劇なのだと言ってい>>続きを読む

ある日、ピナが…(1983年製作の映画)

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初アケルマンが意図せずピナ・バウシュへの入門編を兼ねた。ピナ・バウシュは様々なテーマ、ここでは愛や誇りに思っていることについて他のダンサーに尋ねる(その様子は省略される)。これらのことが舞台へと反映さ>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

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十二人という少なくない人数の特性が俳優たちの圧巻の演技によって引き出されている。被告の罪の有無に関する意見が揺らいでいく様子だけでなく、陪審員自身が内側に抱える様々な問題が露わになっていく過程を見守る>>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

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ジェームズ・ボールドウィンが話している別の映画の抜粋を見て、その聡明さと鋭さに惹かれてまずはアクセスしやすいこのドキュメンタリーを観賞。ボールドウィンの映像と未完成に終わった本のメモの朗読を通して、彼>>続きを読む

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

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再鑑賞。クレオの死への恐怖と自意識がカメラを直視する人びとや鏡に映る姿を通して描かれる。ヴァルダらしく世の中で起きていることに敏感になり、アントワーヌの登場に代表されるように様々な要素を取り入れながら>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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映画というよりはテレビシリーズ、それも少し古めの撮り方であるように感じた。ショットの面ではあまり記憶に残るものがないことがやや惜しい。この物足りなさは俳優陣の演技によって補われていた。白人が作り上げた>>続きを読む

アッシャー家の末裔(1928年製作の映画)

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アッシャー邸の不穏さが様々な形で表現されていた。外の青い色調とロッジ(?)の中のセピアとは異なり、家の中は白黒になっていて不気味さを演出する。カーテンの動きなどで捉えられる風は、家が生きているように感>>続きを読む

四月(1962年製作の映画)

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初イオセリアーニ。美しいショットと遊び心のある音の使い方の数々に魅了された。監督の希望で台詞のある箇所は訳されていないようだが、その徹底ぶりの理由が分かるような音へのこだわりだった (意味を知りたい気>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

少し前に観たばかりだが今回は吹替版で鑑賞。声がとても心地よかった。
静止画の連続でこんなにも没入できるとは思わなかった。唯一動きが存在する箇所の直前や最後の場面などでは、短い時間の中でたくさんの静止画
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