Ryomaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.1

原題“BLUE“が物語るように、月明かりに照らされたプールや、多くの光が乱反射したネオン、青一色で模された壁紙など作中の至る所に“青“を感じることができた。そのアート面と、ジュリエット・ビノシュ演じる>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.2

映画を含め効率やスピードが優先される昨今の時代・風潮の中で、あらゆる要素を削ぎ落とし間や余白を重視したアメリカ🇺🇸の女性監督ケリー・ライカートとミシェル・ウィリアムズがタッグを組んだヒューマンドラマ。>>続きを読む

オマージュ(2021年製作の映画)

4.2

夢と現実の狭間で葛藤する母親でもあり妻でもある女性の姿にスポットが当てられた本作。映画監督、特に、女性がそうあり続けることの苦悩や困難さに加え、それでも時代に屈せず生き続けてほしいという彼女らへの賛辞>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.3

ジェームズ・グレイ監督の幼少期が自伝的に綴られた本作は、多感な時期を生きる彼自身の物語であり、家族の物語でもあった。米露が冷戦真っ只中の1980年代、黒人やユダヤ人などの人種を巡る差別や偏見が、主人公>>続きを読む

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

4.2

サスペンスが絡んだ切ない恋愛劇。ストーリーラインはサスペンスだけれど、いい塩梅にユーモアがありクスッと笑えたり、しっとりと魅せる2人の時間が心地よく、雰囲気含めかなり好きな感じだった。若かりしイザベル>>続きを読む

恋愛睡眠のすすめ(2006年製作の映画)

4.0

ガエル・ガルシア・ベルナル演じるステファンとシャルロット・ゲンズブール演じるステファニー(←名前似てる😌)のフレンチラブストーリー。
夢と現実の狭間で揺れ動く主人公ステファンの葛藤や好きという衝動が、
>>続きを読む

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.1

淡々と過ごしていると思わないものだが、時間が有限であるとわかったときや人生の転機に差しかかったとき、ふと“幸せ“や“人生“の儚さ・尊さについて気付かされるもの。それは、まさか自分が余命何年とかもうすぐ>>続きを読む

アルファヴィル(1965年製作の映画)

4.0

“記憶“や“プログラム“などのテクノロジー用語が連発される近未来が舞台。昨日観た同監督作の『メイド・イン・USA』とはまた作風も異なり、モノクロで映し出される映像✖︎SFという組み合わせが、より新鮮さ>>続きを読む

メイド・イン・USA(1967年製作の映画)

4.0

アンナ・カリーナが召す衣服が、切り替わるショットごとに変わり、長閑な自然の景観やカラフルで色彩豊かな家具やインテリアで構築された背景と一緒に映されるそれが、なんとも斬新かつ洒落ており、アート面のみをと>>続きを読む

マイ・レフトフット(1989年製作の映画)

4.3

脳性小児麻痺を患った男性を演じたダニエル・デイ=ルイスの視線・動作・声調・表情などの演技がとにかく凄い。障がいを持っているからと蔑む人はいつの時代もいるけれども、本作に至っては、そんな視線を気にせず彼>>続きを読む

妹の恋人(1993年製作の映画)

4.3

両親を失った兄弟の、時にはぶつかり歪み合いながらも助け合える関係性や固い絆にぐっときた。喪失感は決して容易く拭えるものではなく人間の心もすぐに立ち直れるほどに上手くできているものではないけれども、僅か>>続きを読む

心の指紋(1996年製作の映画)

4.2

ウディ・ハレルソン演じる医者とジョン・セダ演じるアメリカ🇺🇸の南西部に生活するナバホ族の余命僅かな青年との交流を描いたロードムービー。
ロードムービーといっても、犯罪を犯した脱走者とその人質との逃走劇
>>続きを読む

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(2016年製作の映画)

-

ナチスの幹部であったハイドリヒが暗殺された事件を実話に基づき製作された本作。
ナチスというとヒトラーがまず頭に思い浮かぶが、ハイドリヒも幹部でありユダヤ人大虐殺の主導者であり非常に残虐な人格者であった
>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

冒頭からDisneyワールドのようなファンタジーな世界観を彷彿とさせるカラフルで多幸感溢れる色味使いの衣装や家具が目を引く。マーゴットロビーのザ・お嬢様像を体現するような美しい歌声や軽快で上品なダンス>>続きを読む

追憶の森(2015年製作の映画)

4.4

生きていれば日々後悔や失敗の連続であり、償ったりやり直そうと思ったりしても手遅れで元には戻らないこともあって…それでも、尚生きていかなければならない現代社会の困難さを痛切に感じた。
どうしようもないく
>>続きを読む

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男(1983年製作の映画)

4.0

イギリス🇬🇧の最北端に位置するスコットランド🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿。エメラルド色のオーロラや、夜空を駆ける流れ星、紫紺がかった茜色の夜景、さざ波の穏やかな波音など、とにかく景色が美しい。🌊🌟🌌🌠🌄
雄大で明媚
>>続きを読む

めぐり逢う朝(1991年製作の映画)

4.0

フランス🇫🇷の作曲家、サント=コロンボ。著名な音楽家・作曲家・ヴィオール奏者として名声を博したにもかかわらず、実名や生没年はおろか、生地や家庭についてはほとんど何も知られていないという。リヨンかブルゴ>>続きを読む

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)

4.1

小さな町工場で働くランジュ氏のどこまでも真摯で誠実な人柄とは対照的に描かれる、その工場の社長であるバタラ氏の性根が腐った平気で嘘をつく飄々とした人柄。後半にて納得する邦題の意味。権力者がすべてを支配し>>続きを読む

賭博師ボブ(1955年製作の映画)

4.0

夜明け前のパリの街並みや景色を切り取った冒頭の映像がなんともノスタルジックで美しい。撮影監督は、“アンリ・ドカエ“という名前のカメラマンらしい。覚えておこう。随所で流れる少しポップかつ愉快な音楽が、犯>>続きを読む

アリスの恋(1974年製作の映画)

4.1

マーティン・スコセッシ監督作のヒューマンドラマ。夫に先立たれたシングルマザーが、長年夢見ていた歌手になる夢を叶えるために新たな環境に飛び込む。新たな街で出逢った男性との恋や、少し生意気でおませな息子と>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.2

マーティン・スコセッシ製作総指揮、ポール・シュレイダー監督・脚本の本作。序盤から、ポール節炸裂の不穏な音楽やそれに追随する重苦しい雰囲気が印象的。スターウォーズのオスカー・アイザックにスパイダーマンの>>続きを読む

ハードエイト(1996年製作の映画)

4.3

ポール・トーマス・アンダーソン監督の長編デビュー作。1996年に撮られたと思えないほどにスタイリッシュなカメラワークやとにかくセンスのいい音楽が印象的。比較的淡々と進んでいく中における“静“と“動“の>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.2

哀愁漂うピアノ、そういう表現は耳にしたことがないし多分存在しないだろうけれど、まさしくそんな感じの音楽が随所で流れていた。その他にも、全体的にカウリスマキらしいセンスの良い音楽が流れていて、比較的シュ>>続きを読む

デッドマン(1995年製作の映画)

4.0

少し気が弱そうな会計士役のジョニーデップが新鮮でいて似合ってもいる。ニールヤングの渋いギター音をバックに繰り広げられる西部劇がやはりジャームッシュ、演出もシュールでいてクスッと笑えて面白い。煙草🚬と花>>続きを読む

愛の調べ(1947年製作の映画)

4.3

シューマン作曲の“トロイメライ“、彼が作曲したその曲を妻のクララが楽しそうに幸せそうに弾く姿は、言葉で発さずとも、夫婦の仲睦まじさが窺え、ひたすら微笑ましかった☺️
タイトルにもなっている“愛の調べ“
>>続きを読む

ショウ・ボート(1951年製作の映画)

4.2

“ショウ・ボート⛴🚢“という,劇場型の巡航船が村にくれば、人々が一目散にそれ目掛けて駆け出し集まってくる。一種のサーカス🎪🤡みたいに、彼らの歓声と笑顔で一瞬にして、みんなのワクワク感が伝わってくる。>>続きを読む

黄色いロールス・ロイス(1964年製作の映画)

4.1

賑やかなロンドン🇬🇧の街並みを映し出すオープニングから軽やかなトランペット🎺の音色が聴こえ、ロールス・ロイス🚖を取り巻く、様々な人を巻き込んだオムニバス形式の群像劇が綴られる。まず、フランス🇫🇷やイギ>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

4.3

大西利空さん演じる男子高校生と広瀬すずさん演じる謎多き女性、その他一緒に暮らしているシェアハウスの住人と織りなす心温まる作品だった。2人がそれぞれ抱える苦悩を分かち合うような姿にぐっときたし、過去を受>>続きを読む

反撥(1964年製作の映画)

4.0

ドラム🥁の不吉感漂う歪なリズム・ビートに合わせアップされるカトリーヌドヌーヴのさもすべてを見透かすような大きな眼球・瞳、それに、動く視線に合わせ瞬く瞼が長い睫毛と鋭い眼力だから尚更恐ろしく不気味さを感>>続きを読む

グッド・オールド・サマータイム(1949年製作の映画)

4.1

トランペット🎺やフルート、ピッコロなどの管楽器からバイオリン🎻やヴィオラなどの弦楽器、ハーモニカなどの鍵盤楽器、そして、大合唱へと繋がる冒頭からもう好き。満面の笑みを浮かべてみんなが声を揃えて口ずさむ>>続きを読む

サマー・ストック(1950年製作の映画)

4.1

サーカス🎪🤡でも始まるかのようなウキウキ感。それを具現化したようなジュディガーランドのどんな過酷な状況をも跳ね返すような力強い歌声と高揚感が湧き上がるようなトランペット🎺の演奏で一気に心掴まれる。どれ>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

4.2

“地方分権“や“保守派“など、政治的なワードが連発する政治劇ではあるが…長閑な時間が流れるフランス🇫🇷の田舎町を舞台としていただけあって、それほどまでに深刻さは窺えず、政治を語る人たちには笑顔も見え、>>続きを読む

草の上の昼食(1959年製作の映画)

4.0

バイオリンの美しい旋律をバックに映し出される風にそよぐ草木や生い茂った木々、それに、澄んで綺麗な川を流れる水のせせらぎが、南仏プロヴァンス🇫🇷の長閑で穏やかな生活の様子を体現していてとにかく癒される☺>>続きを読む

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

4.2

ジャン・ルノワール監督作品初鑑賞。
先日観た『アネット』がほぼミュージカル調だったものだから、ミュージカルの定義を見失いつつあるが…キャッチーでポップな音楽にあわせて煌びやかで色鮮やかな衣装を身に纏い
>>続きを読む

地下室のメロディー(1963年製作の映画)

4.2

スコセッシ最新作の予習でもないが、クライム映画はあまり観ないため、同じジャンルで予習のようなことをしてみた。
CM曲でお馴染み、モダンジャズ調の“地下室のメロディー“が冒頭から流れ、その他にも所々でオ
>>続きを読む

渇水(2023年製作の映画)

4.3

生田斗真さん、山崎七海さん、柚穂さんらの演技が圧巻。生田さん演じる市役所職員である岩切の、仕事や規律に従った行動をとるのか、それとも、自分の心の声に従いルールに縛られない選択をするのか、人として大切な>>続きを読む