街角のアレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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恐怖省(1944年製作の映画)

3.7

初フリッツラング。
音楽や撮り方がヒッチコックに似ていた。心理描写少なめ、知的なフィルムノワール。ナチスパイの足音のない迫り方が恐ろしい。
フリとオチにケーキを用いるのが洒落てる。
解決してから幕閉じ
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アンフィニッシュ・ライフ(2005年製作の映画)

3.8

ワイオミングの大自然に暮らすロバートレッドフォード。皺だらけで渋い。
アメリカンニューシネマの頃よりずっと魅力的に映った。
グリズリーとDV夫、危険との共存。段々と解けていく心。
90年代から今作頃ま
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シッピング・ニュース(2001年製作の映画)

3.6

冴えない男が段々と自信をつけていく様子がとても自然で上手かった。
ギルバートグレイプ然り、物理的な家に帯びるものって想像する以上に大きい。
安定のラッセハルストレム、この充足感。

東京暮色(1957年製作の映画)

4.0

父と娘姉妹、三人の暮らし。
小津作品にしてはこんなに暗くていいのかと思うほど陰鬱で、救いがなく驚いた。それでも哀愁漂う傑作で今まで観た中ではベスト。
有馬稲子さんのビジュ爆発。
「んーん」という返答の
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用心棒(1961年製作の映画)

3.8

個々のキャラクターの豊かさ。
卯之助がまさか仲代達也さんとは気付かなかった。
セルジオレオーネの荒野の用心棒は忠実にリメイクしていたんだなと思った。侍とガンマンは親和性ありすぎて観ていて同じ高揚感。
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七人の侍(1954年製作の映画)

4.0

荘重と思って観たら軽快で楽しく、なるほどの傑作でした。
三船敏郎よりも志村喬、侍よりも百姓。
本当に恐ろしいものは昼には見えぬ、でもはっきりと敷かれた集団心理。
この百姓に見る良くも悪くもな日本人らし
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水を抱く女(2020年製作の映画)

3.8

神話ベースの恋愛作品。恋した女性が水の精霊だったなら。
東西ベルリンの変遷に対して批判的な観点をウンディーネを通して表現していて、史観を強く感じる作品でした。
バッハの短調、暗く瑞々しい世界観にこの上
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

3.8

とても好きな古き良きアメリカの風景。
家に縛られる長男ジョニデの葛藤、家族間の齟齬や建前、本音で話すことが良いこととも限らない場面をよく描くなぁと思うシーン多々。
理屈でない言葉にならないものが沢山表
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

3.7

司祭が赴任した田舎の人々に翻弄されてじわじわと病んでいく。
神経質で神事に不向きな主人公を見ていると、ベルイマンの冬の光を思い出した。
バイクに乗せてもらったときの一瞬の晴々とした表情が救い。

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.7

草彅剛の演技が光る。
屋上の交信バレエまでは素晴らしく好みだったけれど、そこから手荒と思える展開が目立ち泣けそうで泣けず。
JポップならぬJドラマといいたくなる感動を生みだすある種の型、そこから出掛け
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月世界旅行(1902年製作の映画)

3.8

100年以上前に製作されたものがこんなにサイケでポップで可愛いとは。
当時の月に対するイメージが想像の斜め上行っていて面白かった。
いいとこの初等部の学芸会で用いられそう。絶対に良いと思う。

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

3.8

俳優の演技でないからこそ生まれる絶妙な世界観があった。三島的な美学。
有名なボウイのキスに因る坂本龍一のぐらぐらショットが偶然の産物だと知り驚いた。あの印象的なシーンが無ければだいぶ評価も変わる気がす
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

4.3

もうひとりの自分に想いを馳せるイレーヌジャコブ。
霊感や第六感のようなものが全く胡散臭さなしに美しく詩的に描かれていた。絶妙。
然程哀しい内容でもないのに観た後にセンチな気分になる、とても秋の映画。

人工の夜景(1979年製作の映画)

3.5

ワンダーウッドの広告で知ったクエイ兄弟。
流石に芸術色が強く難解でした。
列車に乗れないもどかしさだけ伝わる。
陰鬱ながらどこか懐かしい木の温もり。

話の話(1979年製作の映画)

4.0

映画を観て無性にジャガイモが食べたくなったのはニーチェの馬以来。
灰色のオオカミ、可愛いけどしっかりと不気味で良かった。
神話的なのか何なのか、これだけ一段と芸術色が強めで難解でした。
傑作選6/6

霧の中のハリネズミ/霧につつまれたハリネズミ(1975年製作の映画)

4.5

ハリネズミが友達と星を数えに行くまで。
こんなに繊細で美しいアニメを観た事がない。今まで観たアニメーションの中でベスト。
傑作選5/6

アオサギとツル(1974年製作の映画)

4.0

プライドの高いオス鶴とメス青鷺の恋愛模様。なんだかんだお似合い。
時折、水墨画テイストで美しい。
傑作選4/6

キツネとウサギ(1973年製作の映画)

4.0

キツネに家を乗っ取られたウサギの話。
喫煙者のにわとりが強い。
こんな愛くるしい画風も備えているとは。可愛すぎた。。
傑作選3/6

ケルジェネツの戦い(1971年製作の映画)

3.9

ひたすらに美しかった。
どこまでがフラスコ画でどこまでがアニメなのだろう。芸術的。
パラジャーノフが影響受けていると思う。
傑作選2/6

25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.8

ソビエト万歳なプロパガンダアニメ。
ロシアアバンギャルドかっこいい。
ショスタコーヴィチの音楽が良過ぎてノリノリで観た。天才発掘。
傑作選1/6

黒い眼のオペラ(2006年製作の映画)

4.5

毎シーン構図が秀逸。元々定評があるけど今作は特に冴えている気がする。
ばっちり決まっているからこその長回しへの揺るぎない自信に惚れ惚れする。
特に蝶と釣り、ラストの漂流するベッドには鳥肌が立った。
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Are You the Favorite Person of Anybody?(原題)(2005年製作の映画)

3.8

あなたは誰かにとって特別な存在か。
目の前を通る見知らぬ人にこの質問をすると、返ってくる三通りの答え。
皮肉なようでわりと現実を捉えている気がする。どこか可笑しいけど実際こんなものだろうな。
ミランダ
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さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

4.2

詐欺で生計を立てる家庭に育った女性の夜明け。
定時に流れ出す甘ったるいピンク色の泡、親子を繋ぎ止める悪しき慣習の象徴としても絶妙だし、ポップでドリーミーな雰囲気はラブストーリーの耽美な甘さにも繋がる。
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イリュージョン(2011年製作の映画)

4.5

素晴らしかった。
小説のような展開。目立った起伏もなく低評価なのは頷けるが刺さってしまった。
俳優イーサンホークに纏わりつく孤独や悲哀を上手く引き出していた。
一見退屈にも思えるが渋くて絶妙。
監督の
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

3.6

環境意識の高い若者が集まり、ダムの破壊を企てる。
広大な自然のなか異分子たちの孤独が漂っていて、やはりライカート作品には何とも言えない良さがある。
具体的な目的を果たしに行くという点、少しだけ他の作品
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.8

父と娘による夫の身辺調査ごっこ。
とても贅沢で楽しい映画だった。
ハイソで洒落てるけど全く嫌味がない。
ビルマーレイがプレゼント渡すとき、猫の手のように丸くして両手で押し出していたの可愛過ぎる。

ガンモ(1997年製作の映画)

3.8

オハイオの田舎町が本当にこうだったかは怪しいけど真実はどうでもいい。だってベーコンが壁に貼られていて猫が茹でられる。
KIDSのレオと同じくこんな恐竜のような骨格の少年をよく見つけてきたなと思う。
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私の好きなモノすべて(1993年製作の映画)

4.5

荒れた中年男性の生活が、幾つもの独立した章に分かれ淡々と描かれる。
夢想的なマルティンシュリークの描く現実は、とても詩的で味わい深い。
ガーデンでも見られた父子の関係性は、監督の中で大事な要素なんだろ
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.0

異端審問から火炙りの刑に処せられるジャンヌダルク。恐れ慄く表情は神の子ではない、一人の少女だった。
徹底した顔のクローズアップ、限られた枠内での動きは、たしかに映画の美文、原型とも言いたくなる。
個人
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ガーデン(1995年製作の映画)

4.1

不思議の国の、アリスならぬ青年男性。
受け継いだ庭先で起こる不思議な出来事。
東欧の枯れた映像と幻想的な世界は最高。
ラストシーンは息を呑む素晴らしさ。
映像に比類なき才能を感じます。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.8

とても良い酔い方が出来た。
チェーホフのワーニャ伯父さんを轍でトレースしていくような、常に車内に同乗している一体感があり3時間があっという間に過ぎた。テンポの良さと三浦透子さんの表情が時間を忘れさせる
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光りの墓(2015年製作の映画)

3.9

眠る男と交信できる女、彼女を介して仲を深めていく中年女性。
現実も性別も年齢も超えた愛情表現はどこか崇高で尊かった。
解釈の余地が大きいのでもう一度観たい。
"あなたの眠っているときの街は霞んで見える
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

4.0

死期が迫るブンミおじさんのまわりに突如として亡霊が現れ出す。
アニミズムや輪廻転生を描き、ラストは現実に戻ったと思いきやもう一捻り。
仏教ファンタジーと軽々しく言っていいのか分かりませんが、だいぶ好き
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世紀の光(2006年製作の映画)

4.0

仏教に基づいた死生観と青臭い草の香り。
独特な魅力があった。説明が困難な、とりあえず新しい世界。
今日観た中でも最も印象的で、時間が経つに連れじわじわと魅力が増していく不思議。
今またあのエアロビの開
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.2

カップルが同居する新居を探しに行くと怪しい街を紹介される。
ミニマムでしっかりとした世界観は完成度が高いのだけれど、期待値が高かったせいもあってか少し単調で退屈でした。
A24が凄く撮りそうで、仮に仕
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欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.0

二人一役(!)に戸惑ったが、我儘なコンチータの二面性を飴と鞭のように使い分けていることに気付いてからはとても面白かった。
あらゆる欲望、それは金銭や情愛、そして暴力まで。否定しつつも湧いてしまう、まさ
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