slowさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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X エックス(2022年製作の映画)

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物語自体は昔ながらの「THE B級ホラー」を踏襲した作りで、ポルノ映画を撮りに片田舎にやって来た男女6人が…という安心設計。わたしの中ではすっかりホラー映画のミューズって感じのミア・ゴスが、また体張っ>>続きを読む

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

4.0

「ハエ一匹通しません」。2022年にもなって、本作にもあったこのような台詞をリアルで聞くことになるとは思いもしなかった。世界は着々と逆行を始めているのだろうか。誰への感情移入もできず、ファッション性か>>続きを読む

金の糸(2019年製作の映画)

4.4

『みかんの丘』や『やさしい嘘』が好きだったのは、単純に物語の良さだけではなく、ジョージアが歩まされた歴史と、それに翻弄されながらも乗り越えて来た人々の持つ不思議な温度に惹かれたからだろう。人生の欠片を>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

後ろめたい罪悪感と少しの快感が同時に芽生えた幼少期の出来事。歩んで来た人道はまるで借り物であったかのように、羽ばたいていた頃の記憶はここにはない。

潜在しているのはどちらの方か。
別れた(離婚した?
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

自分以外を愛せない毒親に育てられた(付き合わされて来た)ティンヤは、自分の中で何かが大きくなっていることに気が付く。それは母親に対していい子を演じ続けるティンヤのストレスのようでもあり、ティンヤの本性>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

5.0

抱擁なんかに騙されまいと真一文字に口を噤み、わかり切ったことを誰かが言おうものなら、苦虫を噛み潰したような顔をしてやろう。そう構えていたわたしの目に、世界はどう映っていたのだろう。何年と経っても思い出>>続きを読む

選ばなかったみち(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

認知症の方が唐突とも思えるような感情を露わにし、または行動を取る時、頭の中でこの作品で描かれていたように過去の記憶を呼び覚まし、進行している時間と混同してしまっているのだとしたら。この病気のことを漠然>>続きを読む

おろかもの(2019年製作の映画)

4.2

失うとわかっていても開き直れないから、わからないふりをするのであって、はたから見ればきっと、わからずやにすらなり切れていないのだろう。茶番を演じているのがあなたでも、わたしでも、ラストシーンを一緒に見>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.4

世界は疑うことも許されないほどの速さで実現し続けているから、ある時、急にわたしのものになる現実に、途方に暮れてしまうのだろう。

多くの人々が突然記憶喪失になるという奇病のパンデミックが起こった世界。
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薬指の標本(2004年製作の映画)

5.0

眠らない港町の外れ、大鰐通りを進んだ奥まりの、産毛の茂る森の裾に佇む無機質なラボラトリーで、わたしは暑さにやられ火照った身体をひんやりとした机に突っ伏し、夢を見ていた。ジオラマは事実さながら、点在する>>続きを読む

耳をすませば(1995年製作の映画)

5.0

語り過ぎた夜にさようなら。数分ともたない朝にごきげんよう。車窓と季節のあいだで燃えている、わたしたちのものであって、わたしたちのものではない後ろ姿。その顔は案山子と同じに振り向かない。社会にあふれるい>>続きを読む

迷宮の女(2003年製作の映画)

4.4

わたしの映画歴はまだまだ浅く、人並みに映画を観るようになり、嗜むと言えるまでになったのも、ごく最近のこと。最初は名前はおろか、役者の顔の見分けもつかず、苦労しながらやっと鑑賞するなんてことも珍しくなか>>続きを読む

ローラとふたりの兄(2018年製作の映画)

4.2

笑って泣ける映画ってこういうやつでいい。少なくとも、わたしにはちょうど良かった。深刻な事態や厳しい現実と向き合いながらわたしたちの人生が続いて行くように、ローラとふたりの兄も平穏な日々ばかりを送れるわ>>続きを読む

うつせみ(2004年製作の映画)

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伝え切れなくて、隠し切れなくて、上手く言葉にならないものが、今あなたの前にあるこの面を作っているのだろう。わたしからあふれた説明のつかないものが、誰かの言葉で一人歩きを始め、受け入れてはいけないものと>>続きを読む

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

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滑らかに淀みなく生きられるのなら、それほど多くを知る必要はないのかもしれない。差し引いたとしても、解いては結び、結んでは解き、わたしは何十年と掛かってしまう。矛盾がなければ完璧か。振りに見えれば作為的>>続きを読む

アカシアの通る道(2011年製作の映画)

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世界にはまだまだ未知の映画があり、そうでなくても、ここまで届かなかったものや、観る機会を逃してしまったものが、無数に存在しているのだろう。地味な作品はとくに埋もれてしまいがちだけれど、人知れず根を張り>>続きを読む

ロスト・ボディ ~消失~(2020年製作の映画)

3.6

ネタバレになりそうなので内容には触れませんが、誰かに『ロスト・ボディ』面白いよ、とおすすめされたら、監督名まで確認した方がいいと思う。オリオル・パウロのやつと間違えてしまう人がいるかも。

シックスヘッド・ジョーズ(2018年製作の映画)

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まさか、頭が6つあるサメがいるとは!!!!!!

もう情緒がどうかしてるし、やたら壮大なサウンドワークがそれを後押しする。でもCGが無駄に丁寧になっていて変なやる気は感じてしまう。なるほど、ジェームズ
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ファイブヘッド・ジョーズ(2017年製作の映画)

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まさか、頭が5つあるサメがいるとは!!!!!

さり気ないシャークネードイジり!確信頭突きまでは良い。中盤辺りからごちゃごちゃと喋ってる時間の方が長くなったので失格!

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

真剣になる(緊張する)とついつい笑ってしまう美波のくせ。この笑うという行為は、美波なりに母親を安心させようとしたのが始まりだったのではと推測する。それは新しい家族と上手くやっていくためでもあり、実際本>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

4.8

覚えているのは味というより色に近く、思い出せるのは、その物より、物足りなさへのほんの憧れ。初めてのクリームソーダは、ふたりでひとつ。まざり合う前の春の海が、とてもとても鮮やかだった。銭湯の帰り道で。待>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.0

熱心に追いかけていたわけではないけれど、アイドル時代から伊藤万理華が好きだった。メンバーの誰よりも笑顔が眩しかった。それは一番アイドルをしていたということだったのだろうか。一番アイドルを演じることに全>>続きを読む

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

志田彩良…ちょっと驚いた。あの頃の宮崎あおいかと思った。今更ながら、素敵な役者に出会えて感動。あとエンドロールで気が付いた。これ今泉監督だったんだ。言われてみれば、微かにそれらしさを感じたかも。芹澤興>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『ベイビー・ドライバー』がはまらなかったので、少し不安に思いながらの鑑賞。オープニングは満点で最高でした。それ以降は…(困惑)。ちょっと視覚聴力に頼り過ぎではないかな。中盤ほぼ同じようなシーンばかりだ>>続きを読む

アンテベラム(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

悲痛。冒頭のあの「様子」は南北戦争前の頃の再現風景だろうか。残酷な歴史を映画にして現代に伝えること。それは意義のあることだと思う。本作はそれが150年以上経っても過ぎ去るどころか、根を張り、人々に介在>>続きを読む

マーズ(2021年製作の映画)

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あのブルックリン・プリンス(『フロリダ・プロジェクト』の!)をキャスティングしているのだからと、そこに期待してしまった方も絶対いたはず。わたしは彼女が孤軍奮闘するサバイバルものでありますようにと熱い期>>続きを読む

ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

スティーヴン・キング原作もののような不気味さ(人の態度が豹変する感じとか)と、宗教色を強く打ち出すことで、アンチというか、皮肉めいた内容にもなっていたような。いないような。言ってしまえば悪魔が暗躍する>>続きを読む

ザ・ビーチ(2020年製作の映画)

3.9

ただただ若いカップルが恐ろしい現象に巻き込まれていく意味深系ホラー。真夏の暑苦しい昼下がりにでも観て寝落ちしたとしても何か憎めない気がする愛すべきB級な趣きがたまらなかった。展開はとてもスローながら、>>続きを読む

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

3.8

『街の上で』『いとみち』など、最近は「ある地域に密着した映画」を意図せずよく観ている。ということで本作も。話はわりと手堅いものではあったけれど、最後まで興味を失うことなく観ることができたのは、役者陣が>>続きを読む

ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

4.8

何年も前に見た夢を、今この街は見ているのだろう。同じ夢の中にいながら、擦れ違い続ける覚えのない顔と懐かしい声は、馴染みの友のようであり、見知らぬ旅人のようでもある。リアリズムが語るおとぎ話に存在する、>>続きを読む

やすらぎの森(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テッドの絵画が世に出されたことに賛否があることは理解できる。わたしはこれを観ながらソール・ライターのドキュメンタリー映画のことを思い出していた。内容については触れないけれど、一つボタンを掛け違えていた>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

これはデンマーク人(監督)の、開き直りというか、そんな風に感じた。お国柄ということで済ませていいのだろうか。劇中の言葉通りデンマーク人は酒飲みが多い国なのだそうで、もう良くも悪くもわたしたちは飲まなき>>続きを読む

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.2

切り取られる風景もさることながら、人々の表情が実に豊かで清々しい。描かれる島流しとなった天才学者とその島一番の漁夫である青年との交流は、『小説家を見つけたら』なんかを想起させるもので、国や時代が違って>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

4.1

あなたのにおいがわたしを帰す朝に、流状の光が止まって見えた夜を少し思い出していた。踊り過ぎたのに疲れを全く感じないのは、きっとまだ夢の中にいるからだろうと、わたしはメモ紙に走り書きした君の声を拾い上げ>>続きを読む

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)

4.4

ああ、この人も、あの人も、自分とは全く違う基準で、同じ物事を考えているのに、たどり着いた全く違う解釈を、さも同じこととして押し黙らせる雰囲気と、時間が擦り合わせて行くのを生温く笑って、それっぽく場が収>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

5.0

もう何日も、譜めくりをするように記憶に残る声に耳を傾け、眠れない夜を過ごしている。耳がいいわね、と褒めてくれたあなたの手を握っているようなこの感覚は、ありがたいことに、変わらずあたたかい。ある夜、昨日>>続きを読む