slowさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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クレイジーズ(2010年製作の映画)

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保安官冴え過ぎる設定と保安官の奥さんうるさい問題はあるにせよ、不気味さと何かが進行しているという不穏さ不安感は素晴らしく、楽しく観ることができた。狂っていく人間の風貌がもれなくいいね。ジョージ・A・ロ>>続きを読む

ザ・ロード(2009年製作の映画)

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わたしの見つめる先で、無垢で優柔な心は、ただ約束を守ろうと、ただ幸せを願おうとする。わたしの心はどこまでも冷淡になれるというのに。過ちばかりを繰り返しているというのに。わたしにはもう許されない自由の中>>続きを読む

カット/オフ(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ちゃんとお金を掛けて作った上質なB級映画?テレビドラマっぽいと言った方が良いかも?
復讐方法のアイデアがあって、そこから後付けで設定なり何なり決めていったような印象は拭えないけれど(人物もその設定など
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きつねとクジラ(2016年製作の映画)

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この惑星を丸呑みにせんと、夜が大きな口を開けて…
光の豊かな恵みと、闇の鮮やかな夢の狭間で、生命はやがて御伽噺となり、暁を前に、そっと語られる。舞い上がる星の海原。聞こえたのは100年前の産声か。10
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世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)

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深い深い未知と無知の、光のとどかない場所を目指す男と女は、命に浮力を蓄えるように、纏わり付く影を脱ぎ捨て、暫し、愛し合う。

死への意識であったり、唐突な出会いであったり、アニエス・ヴァルダのあれを想
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

本作が好きな人はスルーして下さい。ほぼ文句です。

不安は的中、何か違う、微妙だった。これはほぼ悲劇後のダヴィッド奮闘記だ。だからと言って、それも中途半端な描き方をしているから困る。前作『サマーフィー
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

妖艶で儚げ、涼しい目をしたヨアンナ・クーリグが良い。彼女をレア・セドゥと重ねる方が多いけれど、個人的には断然ジェニファー・ローレンスと重なる。それはビジュアルだけではなく、アロノフスキーと一時でも惹か>>続きを読む

ドッグマン(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

自惚れるな。良い気になるな。下があるなんて思うな。上にいるなんて思い上がるな。仲間だと思っていた町のみんなからは都合の良いコカインの運び屋程度にしか思われておらず、用がなければパスは回ってこない。犬に>>続きを読む

アップグレード(2018年製作の映画)

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愛する妻を目の前で殺されてしまった男が自身も脊髄に損傷を負わされ全身麻痺の状態となり凡ゆる感情が押し寄せて来るのに身体は不自由で気が狂いそうになる映画だった…序盤までは。しかし、身体が動いたところで、>>続きを読む

セーラ 少女のめざめ/セーラ 少女覚醒(2014年製作の映画)

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オルゴールがいつか止まるように、失速していくのは、私の夢?

冒頭の雰囲気からは『ブラック・ビューティー』。タイトルだけ見れば『セーラ 少女のめざめ』…『RAW〜少女のめざめ〜』を想起させるけれど、内
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THX-1138(1971年製作の映画)

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これは今から何日後か、何年後か、何世紀後か。人類が、日々を、心身を、完全管理されるユートピアともディストピアとも受け取れる世界。それは、わたしたちの行き着くところなのか、成れの果てなのか。しかし、それ>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

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個人的に好きな『モンスターズ/地球外生命体』のスクート・マクネイリーが、ほんの端役で出演していたなどという誰も気にも留めないであろうポイントにニヤつきながら、久々となるタランティーノ作品を鑑賞。この豪>>続きを読む

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

完璧な世界観ね。
あなたの夢は何よりも美しい。

メルヘンな悪夢。これはダークファンタジーではないような。もっと現実の傍にある世界として迫って来て悍ましい。古い館に引っ越してくるなんて映画的には大正解
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

生かすも殺すも受け手次第の掛け合いは、いつだって単純で明快なものではなく、漫才のように示し合わせた結末へと向かうものでもない。駆け下りては突っ伏し、辛酸をなめては駆け上がる。スマイルで武装し自分のステ>>続きを読む

パーフェクト・センス(2011年製作の映画)

4.3

全世界、五感喪失。こう売り出されることに、少し違和感を感じる。自分の解釈では、それは結果であり、そこに至るまでの物語だと思うから。そして、もれなく五感を失っていくという物語でもないと思う。では、どうい>>続きを読む

隣の影(2017年製作の映画)

4.1

風に運ばれた種も、自分で蒔いた種も、一度ここに根を張り芽を出せば、その責任の一切からは逃れられない。喋れば喋る程、想像には影が落ち、一方言葉を発さない者はいつまでも従順だ。それが幾ら美化した真実でも、>>続きを読む

マッド・ガンズ(2014年製作の映画)

5.0

砂漠のアトリエに太陽は囚われ、荒野の若者たちは羅針盤に背を向ける。鬱屈とした日々と渇きは、夢を追い、雨を乞うことで、本当に満たされるのだろうか。やがて訪れる変革の時を、まだ誰もが信じられず、夜のマルシ>>続きを読む

ホール・イン・ザ・グラウンド(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

真実を捻じ曲げる歪曲ミラーと『シャイニング』な空撮。何故か最近縁があるアイルランドホラー再び。この土地の森はやっぱり裏切らない。あの老女最高だよね。道ど真ん中も頭突きもマストだよね。シャマランかと思っ>>続きを読む

サマーフィーリング(2016年製作の映画)

5.0

夏が死んだ。朝が来るまで、僕は走り続けた。夜が来れば、また朝が来るまで、僕は走り続けた。明日には夏が、また来るような気がして、僕は走り続けた。

映画が絵画と共有できるもの。そこに注がれる、街の息遣い
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ワイルドライフ(2018年製作の映画)

4.2

得体の知れない予感。皮膚を焦がす気配。この目が何を見て、何を見てしまったのか。生き物のように成長する炎は、僕を追い抜くだけでは飽き足らず、望みもしない背比べで、僕の心をへし折ろうとする。

キャリー・
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セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

幸せの真似事は、約束から始めなければならない。約束を破ることに惑わされず、守り方を模索する日々が、それを本物へと変えてくれる。それが約束を果たすということだ。では、約束の果てとは。

映像の美しさ、光
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永遠と一日(1998年製作の映画)

5.0

時。それは瞳を撫でる涙の記憶。それは小さな願いと叶える夢。それは少年達の秘密の企み。遠浅の眠りから目覚めた、老詩人アレクサンドレ。その日は彼の人生最後の日だった。

漂い立ち込めるのは霧ではなく情感。
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カリーナ、恋人の妹(2018年製作の映画)

4.0

フロアに犇めく墓石トランス。名を刻まれ無制限ではない拍動のカウントダウンに生きるわたしたちは、願いや祈りを報われるものと誤解したばかりに、白日夢ともつかない現実に迷い込む。ここに残るのは無情と虚無な身>>続きを読む

モンスターズ/地球外生命体(2010年製作の映画)

4.5

あなたを、この深海で見つけたい。

ほのかにヴィム・ベンダースぽい男女のロードムービーでありながら、もし、あの生命体と言語学者が接触していなかったら…というもう一つの『メッセージ』のようでもあった。さ
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ザ・ハロウ 侵蝕(2015年製作の映画)

3.6

夫婦を襲う未知の恐怖。『ハネムーン』『ゾンビの中心で、愛をさけぶ』の次はこれ。森の妖精伝説。それは迷信などではなく、森に立ち入る者の精神と肉体を、静かに静かに侵蝕する。

舞台がアイルランドの森という
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.9

ある人は身につまされるだろう。ある人は身に覚えがあるだろう。その優しさに答えはあるの?その嘘に愛はあるの?人と関わるってとても幸せ。さあ、教えてよ。あなたのこと。

自分たちの行動を自分たちで振り返る
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間奏曲はパリで(2013年製作の映画)

4.4

羊飼いの見つめる先に、幸せの皮を被り人の手をした狼が現れる。幸せは、とても真似易く、変化しやすく、その本質を見抜けなくては、あっという間に手を引かれ腹の中だ。羊飼いは気が付いているのか、いないのか。幸>>続きを読む

害虫(2002年製作の映画)

5.0

この陽炎は見えるはずのない世界を封切り、透明だった操り糸を人の目に見せるという。
白い白い手、細い細い足。ホラーのようなおどろおどろしさは、暗闇からぼうっと現れた彼女の日常であり、わたしたちの日常だ。
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あなたはまだ帰ってこない(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この物語自体は、あまり好みのものではなかった。それは不倫がどうこうではなくて、全体のバランスなのだと思う。もし…帰りを待つマルグリットが夫の帰還という情報(噂)を耳にし、町に夫の姿を探し遂に見つけるも>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

星は消滅しても尚、この瞳の中では光を失わず、それは現像を重ねる記憶の端々で、些細な残像のように揺ら揺らと瞬きを続ける。

このわたしたちの時間の概念からは逸脱した、歴史をパラパラとめくり旅をするような
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ゾンビの中心で、愛をさけぶ(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

妻の夫への不平不満。更には心に付き纏い離れなくなった死の影。それから逃れるためには、離婚しかないと考えていたのだろうか(死産の辛さを思い出してしまう夫との暮らしも、やはり辛いのかもしれない)。あの急な>>続きを読む

ヴィクトリア 暗闇からの脱走/カルガ 積荷の女(2018年製作の映画)

4.1

今まさに人身売買されようとしている少女の物語を軸に、闇社会で交錯する人間模様を淡々とシリアスに描いたポルトガルの群像劇。
映像センスが素晴らしい。躊躇いなく撃つところなど北野映画ぽくもあり(ロシアンマ
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

4.0

この身は棺桶に入れてくれ。但し、指は銃に込めてくれ。死の淵に立ち、いつか地獄に落ちると知りながら、この呪いが巡る限り目覚めることはない悪夢。流れた血の分だけこの世から遠去かる屍は、皮肉にも生を実感する>>続きを読む

おねえちゃん(2017年製作の映画)

4.2

上手くいかない全てのこと。逃げ場を失った心は、それを苛立ちへとすり替えてしまう。わかっている。わかっているから、合わす顔もないのに、あなたはいつでもわたしを姉たらしめ、そして、あなたを妹たらしめる。2>>続きを読む

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)

4.8

あの日、あの時から、目を逸らしてきた男と女。2人はあの場所で偶然に出会い、真冬の夜空の下、未だとりとめのない思いを、徐に語り始める。彼らは何処にでもいる若者たち。しかし、あの出来事以来、その街のこども>>続きを読む