ミチさんの映画レビュー・感想・評価

ミチ

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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.5

世界的ミステリ作家が誕生日パーティーの翌日に死亡した。

自殺と思われたその死は、匿名の人物から依頼を受けた探偵の登場で思わぬ方向へ進み始める。


2024年1本目はカジュアルに観られるものがいいな
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ぼくは君たちを憎まないことにした(2022年製作の映画)

3.8

2015年11月13日。衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。

パリ市街を中心とした複数の場所で起きたテロリストによる攻撃は、130人の命を奪い、その何十倍、何百倍もの人々に大きな心の傷を残した。
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栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

4.1

舞い落ちた枯葉が朽ちていくように、静かにひっそりと形を失っていく村。

そこに残された人々の生と死を、夢と現実の間をたゆたうように紡がれる物語。


ポスターや予告の雰囲気から、自分が好きなタイプの映
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.7

湿地で見つかった男の死体と、その湿地でたった一人で暮らす少女の物語。


劇場公開時から気になっていたのだが、先に原作を読みたくなり、読んでいる間に上映が終わってしまった作品。

配信が始まったので、
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ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.0

様々な言語が飛び交うトランシルヴァニア地方の小さな村。

鉱山が閉鎖され、多くの者が高い賃金を求めて出稼ぎに行く。

地元のパン工場は人手が不足し、外国人労働者を雇い入れる。

しかし、よそ者が入って
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.7

逮捕されても自由を奪われても映画という武器で戦い続けるジャファル・パナヒ監督の最新作。


国外逃亡しようとする男女のドキュメンタリードラマを撮るパナヒ監督が、リモートで指示を出すため滞在している国境
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.8

いまから100年前。

関東大震災の混乱の中で起きた、知らなければいけない、忘れてはいけない事実を描いた作品。


「怪物」のレビューに「震えるほど泣いた数少ない1本」と書いたが、そんな数少ない作品に
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君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

4.7

行く先を知る者と知らない者とが織りなす、ある旅の物語。


イランの巨匠ジャファル・パナヒの長男であるパナー・パナヒの長編デビュー作と知る以前に、この邦題とポスターを見た瞬間絶対観に行くと思った作品。
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シモーヌ フランスに最も愛された政治家(2022年製作の映画)

3.8

ホロコーストを生き延び、女性初の欧州議会議長となったシモーヌ・ヴェイユ。

強いのではなく強くなるしかなかった彼女の、その生涯を描いた作品。


邦題に「フランスに最も愛された政治家」とある通り、本作
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.8

壊してしまった僕の、壊してしまった後の物語。


幼い頃からずっと一緒だったレオとレミ。

一緒にいるのが当たり前で、一緒じゃないなんて考えられなくて。

それは日常であり、永遠だと思っていた。
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サントメール ある被告(2022年製作の映画)

4.0

監督自身が傍聴したという実際の事件の裁判を描いた作品。


作家のラマは、生後15か月の娘を殺害した罪に問われた女性ロランスの裁判を傍聴する。

セネガルからやって来たロランスは、完璧なフランス語で、
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怪物(2023年製作の映画)

4.4

映画を観て泣くことはたくさんあるが、震えるほど泣いた作品は数える程で、本作はそんな数少ない1本となった。


他人のことを100%理解することなんて不可能で、だからこそ私たちは相手を理解したい、相手に
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

父と娘が過ごした、ある夏のお話。


本作は、ある女性が20年前に父親と過ごした夏の思い出を、ビデオテープを観て振り返るという形で進む。

女性の現在についてはほとんど描かれないのだが、その夏が「過去
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ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)

3.5

2019年4月15日。

世界遺産でありパリ市民の心の拠り所でもあるノートルダム大聖堂が炎に包まれた。

そのニュースは瞬く間に世界中を駆け巡り、聖歌を歌いながら大聖堂を見つめるパリ市民たちの様子が映
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.6

2人で生きるしかなかった2人の物語。


舞台はベルギー。

アフリカから亡命してきたトリとロキタは、その途中で出会い、偽りの姉弟となった。

2人の願いはただひとつ。普通に暮らすこと。

しかしビザ
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.5

世界の片隅で幸せを見つけた2人のお話。


中国の農村地帯。

厄介払いで結婚させられたクインとヨウティエ。

家もお金もない。寡黙な2人は交わす言葉も少ない。

それでも2人で畑を耕し、2人で煉瓦を
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.3

どこにでもいるはずだった、母と子の物語。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品は「静かなる叫び」「プリズナーズ」「メッセージ」に続き4作品目の鑑賞。

どの作品にも「感動」という言葉には収まらない、心を大きく
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.8

イタリアの美しい丘陵地帯にある小さな村。

石段を上る老紳士の背中。その先に現れるのは彼の城だ。

古い本で埋め尽くされた小さな空間。店主のリベロはいつもの机で、いつものようにオルゴールを聴きながら本
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ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.8

2001年、アメリカ。

あの悲しみの渦のなかで、それぞれの命に値段をつけた男の物語。


考えたことがなかった。

でも少し考えればそうだよなって、誰かがやらなければならないことだよなって、すごく興
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博士と狂人(2018年製作の映画)

3.5

辞典づくりに囚われた2人の男の物語。


19世紀。オックスフォード大学で、すべての英語の起源とその変遷を記した世界最高峰の英語辞典を編纂するプロジェクトが立ち上がる。

その編集主幹となったのは、独
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

小さな島の、小さな諍いのお話。


舞台はアイルランドの小さな島。

島民全員が顔見知り。娯楽といえば一軒のパブだけ。皆ここで生まれ、ここで死んでいく。

そんな閉鎖された小さなコミュニティ。


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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.5

止まってしまったヤンと、まだ止まらないわたしたちの物語。


2022年はあまり沢山の作品を観ることは出来なかったけれど、そんな中でこの作品に出会えたことはとても大きかった。

美しくあたたかい映像と
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コンプライアンス 服従の心理(2012年製作の映画)

4.1

アメリカで実際に起きた「ストリップサーチいたずら電話詐欺」と呼ばれる事件を描いた作品。


舞台はどこにでもあるファストフード店。

忙しい時間帯にかかってきた1本の電話が人々を支配していく過程を、そ
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劇場版 荒野に希望の灯をともす(2022年製作の映画)

4.1

アフガニスタンにすべてを捧げた、ひとりの日本人を追ったドキュメンタリー。


なんでもかんでも調べてまとめることが好きな私は、世界の国々の歴史や文化、行ってみたい場所などを、超個人的趣味としてまとめて
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.6

以前観た「Mommy」の強烈な印象が今でも残っているドラン監督。

他の作品も観たいと思っていたが、なんだかんだで本作が2作目となった。


物語はある人気俳優の死を、幼い頃彼と文通していたという青年
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共犯(2013年製作の映画)

4.2

1人の少女の死によって繋がった、3人の少年の物語。


タイトルとジャケットに惹かれて鑑賞した台湾の作品。

もうとにかくとにかく美しかった。

特に少女の死体を3人が見つけるシーンは、人が死んでいる
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.7

今では作品だけでなくその不遇の人生をも多くの人に知られているゴッホ。

画家でもあるジュリアン・シュナーベルが誰よりもゴッホに近づき、ゴッホの目線で物語を紡いだ作品。


忙しなく切り替わる映像は少し
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.1

数年前に鑑賞していたがレビューを書いておらず、アマプラで見放題終了とのことだったので再鑑賞。

観る前に時間を確認していなかったのだが、終わってから「169分もあったのか!」と驚くほど全く長さを感じな
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キングダム(2019年製作の映画)

3.4

ちょうど知人に勧められて数か月前から原作を読み始めたところだったので、久しぶりのTVでの映画鑑賞。


評判は聞いていたがやはりキャスティングが素晴らしい。

人気の高い王騎役の大沢たかお、実写が難し
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

ひとりの青年が奪った、35人の命の物語。


1996年4月28日。

オーストラリア、タスマニア島の観光地ポート・アーサーで、ひとりの青年が銃を乱射し、35人が死亡、15人が重軽傷を負った。

本作
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

3.8

一冊の本に導かれ、翻弄された人々の物語。


フランスの人里離れた村にある洋館に集められた9人の翻訳家。

その目的は、世界的ベストセラー「デダリュス」完結編の各国同時発売にむけ、情報流出を防ぐためこ
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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.5

歴史的免罪事件として世界史の教科書にも載っている「ドレフュス事件」をロマン・ポランスキー監督が映画化。

まず美術が素晴らしい。

冒頭からその美しさにがっつり心を掴まれ、一瞬にして当時のパリに連れて
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コリーニ事件(2019年製作の映画)

3.8

何も語らない殺人者が背負う、負の歴史の物語。


タイトルからしてノンフィクションかと思い目に留まった作品。

調べてみると原作があり、フィクションではあるが国の法律を変えるきっかけになったという。
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流浪の月(2022年製作の映画)

3.7

名前のないつながりを持ったふたりの物語。


李監督作品は『怒り』に続いて2作目の鑑賞。

『怒り』は俳優陣の熱量、監督の熱量、原作の熱量が真正面からぶつかって来るような作品だった。

本作もとても熱
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.7

妻を亡くし、全てを破壊し始めた男の物語。


劇中主人公が語るように、本作は全てが象徴的で、夢と現実の間にあるような作品。

ふわふわとした浮遊感のなかで、ジェイク・ギレンホールの存在感が際立つ。
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.9

プロレスラーになりたい少年と、兄を亡くした漁師が、手づくりの筏で旅をするお話。


不思議で響きの良いタイトルがずっと気になっていた作品。

扱っているテーマからして重い作品かと思ったが、終始小気味よ
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