イトウモさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

イトウモ

イトウモ

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悪魔のような女(1955年製作の映画)

3.8

ミステリ・サスペンス問題で言えば、これはミステリ

オチが大事な映画であるが、校長の妻の視点でのミスリード部分が常に、映画技法的にはリアリズムとされる長回しで撮られていて、「真実」の種明かしでカットを
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グーニーズ(1985年製作の映画)

2.9

兄が小さな女の子の三輪車を強奪し、意地悪な同級生のせいでそれが破壊されるまでのショットがいい

いくらヘタウマ狙いとはいえ、子どもの演技がずっとわめいているだけで、大味すぎる

あと、ヒロインの女の子
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螺旋銀河(2014年製作の映画)

3.0

幸子から綾へ。
トイレで拾った名札を届ける。推敲されたシナリオを返す。劇中劇で、中身の使いまわされたラブレターを読み上げる。
劇中で3度繰り返される、幸子から綾へのアイデンティティの返還は、最後の3回
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ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013年製作の映画)

5.0

サイモンペグがあたまのおかしいやつかと思ったら、実はサイモンペグだけがまともで他のみんながおかしかった

トイレでの乱闘シーンを機に何がまともか、の基準がひっくり返る作劇が最高に面白い。

何を信じて
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デッドプール(2016年製作の映画)

2.0

軽い気持ちで見たらかなりの鬱映画でひいた

PTSDの元軍人が娼婦の恋人と婚約した直後に末期がんを知らされ、藁をも掴む思いで縋った闇医者に身体をぼろぼろにされる

とにかく話が悲惨であればあるほど復讐
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いかにしてフェルナンドはポルトガルを救ったか(2018年製作の映画)

4.0

禁酒法時代にアメリカで人気を博すコカコーラを輸入しようとしたポルトガル。
詩人フェルナンドペソアが、キャッチコピーを依頼されるも、そのコピーがキリスト教会の怒りを買い、エクソシストがコーラを祓うために
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.5

久しぶりに見返す

南極でいかに西部劇をやるかということだと思った。
西部劇において空は父親の象徴だが、その制空権を脅かすようにUFOが空から、それはヘリコプターにかわる

脅威はヘリコプターから降り
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映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)

3.5

おもしろかった
ゴダール「はなればなれに」やリヴェット「パリはわれらのもの」を彷彿とさせる、大傑作の器を持った題材。ただ、画が弱い。決定的なショットが見当たらない。

300を超える部活動・同好会を事
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.5

1942年まずバイオリン奏者を写すショットから始まる。

カメラの中心はシャンパンのボトルを捧げもつ男にリレーして彼が、外交官のグラスにそれを注ぐと炭酸が飛沫をあげて、1930年代に彼が過ごした北アフ
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ハイゼ家 百年(2019年製作の映画)

2.0

めちゃくちゃ退屈ではないか

第一次大戦時に祖父が書いた作文に始まり、ホロコースト、東西分裂、大学教員だった父が当局に目をつけられパージされる顛末と有名人との交流

ヨーロッパはもうダメだ
この悲劇を
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

2.5

12人の怒れる男みたいなのがやりたかったんだろうな、という感じ。うまくいっていないと思う

ブルースの大御所マレイニーと白人レコード会社、マレイニーのバンドのいざこざ。表題の曲のレコーディングを表舞台
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私というパズル(2020年製作の映画)

3.5

『ゼログラビティ』と合わせて鑑賞したい。

長回しとはなになのかという問題をクアロンは、ヒッチコック『ロープ』をSF化するという試みで、それは母と子を繋ぐへその緒であり、宇宙飛行士の命綱だと解いてみせ
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ウルヴァリン: SAMURAI(2013年製作の映画)

3.8


80年代の日本理解かよ、と最初は引いたが、若い女性からチャンスを奪い続けるおっさんや不老不死ジジイは正しい日本理解だった

父と娘、去る者と継ぐ者を描き続けたマンゴールドが、子どもを搾取する悪い親を
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

3.0

面白かったけど、ピクサーとしては普通。
ピート・ドクターへの期待値が高かったかも。

個人的に特にお気に入りのピクサー作と比べると、
『レミーのおいしいレストラン』と比べると、ジョーに演奏の才能がある
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

2.5

小森はるか作品を見るときに、被写体(阿部さんや佐藤さん)と作り手の競合というか対決のようなものをいつも楽しみにしているのだと、逆に気付かされた。インタビューが始まって、語りの弱々しさに戸惑い、映画が終>>続きを読む

ムーラン(2020年製作の映画)

3.5

お話はどうでもいいのだが、ニキ・カーロという人にアクション演出の才能が豊かなのがよくわかる

冒頭シーンで鶏を追いかける少女ムーランのアクションをジャンプカット風に撮り、一つ一つのショットが素早く明晰
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

5.0

子どもの頃に愛を誓い合ったジャックとマリー
その誓いを果たそうとジャックが村に帰ってくるが、いくつもの災難で穢れてしまったマリーはかつての誓いを果たせない、あなたと結ばれることはできないと告げる。マリ
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

3.8

宗教からスピリチュアルでロマンチックな感覚を抜いてしまったみたいな非常に夢のない話だった。興味深いが、コンセプトが強すぎで窮屈な映画。

人は自分が死んだ後に自分が他人から忘れられないようにどうするか
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.3

これは素晴らしい
めちゃくちゃ面白かった

青年実業家に片想いする、自信過剰で斜に構えた女子高生が、彼を振り向かせるため、実業家の婚約者に予備校講師をけしかける。女子高生は、コミュ障の数学講師に「普通
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8 1/2(1963年製作の映画)

5.0

シンエヴァを見たら急に見返したくなって見返して、ぼろぼろ泣いてしまった。

映画作りに悩む映画監督というのはフェイクの主題で、本当は自分が浮気したせいで別れを切り出された中年男がなんとか妻を引き止めよ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

結局人間対人間の話にするのかよ!
結局父親対息子の話かよ!
結局虚構から目を覚まして現実と向き合いましょう、って終わりは身も蓋もない。

NERVとWILLEの対立。
碇ゲンドウが自分の家族像に、全人
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.3

公開当時、まったく意味がわからなかったが見直して少し整理できた。

破の最後に起きたサードインパクトの受け止め方がミサトとゲンドウで全然違う。だからQだとWILLEとNERVが対立しているというのを踏
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.2

テレビ版だと前半はウルトラマンで、後半は鬱化する。
これはウルトラマン部分の快活なアクションが描かれ、かなり楽しい。
ウルトラマンもドラゴンボールも、よそ者である宇宙人が人間を助ける話はからっとしてい
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

3.0

大人になってから見直してやっとしっくりくることがいくつかあった。
これが仕事の話だというのがやっと把握できるようになる。
子供でこれに共感するのはよっぽど強い父親へのコンプレックスでもないと難しいと思
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インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

4.0

赤ちゃんVSロボット

イラスティガールが敵と格闘する間に、インクレディブルは家事と格闘する。
イラスティガールの敵は、市街地を暴走する列車、ヘリコプター、豪華客船、プライベートジェット。実は人間を信
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私は確信する(2018年製作の映画)

3.8

結構面白かったが、またしても電話映画。音声映画。

失踪した妻の殺人容疑を問われた男の裁判。一審で無罪になった男が、控訴されるところから始まるが、主役は当事者家族ではなく、一審で陪審員を務めた料理人の
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

2.0

カップルに拾われた猫が動くのは、深夜に部屋で菅田将暉がゼルダの伝説をプレイするほんの一瞬だけだ。

「今村夏子の本」(そして数多のその他)という趣味を共有して仲良くなった二人は、今村夏子が何を描くどう
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氷菓(2017年製作の映画)

2.5

犯罪でも殺人でもない些細なことがミステリになるのは、面白いがそれは小説の面白さで、

肝心の推理、仮設シーンがリアリティ番組の再現シーンの域を出ず、どんくさいと思った。

緋文字(1972年製作の映画)

2.6

ホーソンの緋文字
行方不明だった旦那が帰ってきたところから始まる。

海とか夕日がめちゃくちゃ綺麗で、子どもが可愛い。
理性の外にあるものの雄大さ、美しさが素朴に撮られているが、人間が喋ってる方のドラ
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めし(1951年製作の映画)

5.0

大傑作

夫婦の話。
近所のおばさんが「夫にこき使われ、子どもにこき使われ、女が好きなことが言えるのは娘のうちだけ」とぼやく。
子どものいない夫婦の元に、夫の若い姪っ子がやってきて遊んで帰る。
夫との
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ワン・プラス・ワン(1968年製作の映画)

3.8

あいかわらず、政治の話ばかりしているのだが、

ゴダールが革命の話をしているときは、それは映画製作の話なので、ゴダールは革命には興味があるが、政治には興味がないのだと思う。

そういう目でみると音楽に
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