きさんの映画レビュー・感想・評価

き

エンジェル・アット・マイ・テーブル(1990年製作の映画)

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158分という長さは、悲劇的なエピソードや悲惨さ・苦痛を伴う部分もかなり多く、冗長さを感じさせる部分もあるけれど、それがなんだか「人生」という壮大さを描くには適切な気が感じがするし、時折挿入される彼女>>続きを読む

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

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傑作。🥲🥲🥀♥️
1900年、セイント・ヴァレンタインデーの日に、ピクニックにでかけた女子学生たちと教師の倦怠な午後は、生徒3人と教師1人の失踪によって暗転。寄宿学校として規律を重視してきた学園内の歯
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ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル(2016年製作の映画)

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タイカ・ワイティティはどうしてこんなに優しいんだろう。「愛している」と言われること、愛されていると認識できること。そういったことを描いてきたティーンエイジャーの物語はこれまでもたくさん作られてきた/そ>>続きを読む

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(2022年製作の映画)

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第72回ベルリン国際映画祭銀熊賞(主演俳優賞/脚本賞)作品。『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』(2018)のアンドレアス・ドレーゼン監督。米国9・11テロから20年以上が経過した今、グアンタナモ収容>>続きを読む

毒親<ドクチン>(2022年製作の映画)

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『オクス駅お化け』脚色の新鋭キム・スイン監督長編デビュー作。もともとは脚本だけを任されたらしいけど、キム・スイン自身も監督志望ときいて監督にも抜擢されたらしい。女性監督がどんどんとおもしろい作品を作っ>>続きを読む

タイムズ・スクエア(1980年製作の映画)

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監督アラン・モイルが購入した中古のソファに詰め込まれていた路上生活をしていた女の子の日記をもとに書かれた映画らしい。本来はもっとレズビアン的な描写があったけれど、ポスプロの段階でカットされまくったとか>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

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対話可能性と対話不可能性のバランスの危うさを描いているのはなんだか『ハッピーアワー』を彷彿させた。撮影に『ハッピーアワー』の北川喜雄が参加しているので、もう一度『ハッピーアワー』を観たくなる。

物語
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人間の境界(2023年製作の映画)

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国と国の策略に翻弄される難民一家、まもなく父になろうとしている若き国境警備隊の男性、難民を救うために最善を尽くす活動家グループ、国境付近に住む一般女性ユリア。多角的に描かれた個々の視点からの問題提起が>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

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モルターラ家で使用人として働いていたクリスチャンである女性が、病気になったエドガルドが、受洗しないまま死んだら辺獄(リンボ)に行くという忠告のもとユダヤ人一家の両親に内緒で洗礼を行ったことに端を発し、>>続きを読む

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

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目覚まし時計と早朝の支度。シャワーを浴びる43歳の身体をゆっくりと捉えるオープニング。工場で働く彼女の身体につく木片。工場の様子を、主人公カタの身体だけでなく、そのほかの女たちの手つき(乾燥した手や腕>>続きを読む

ドント・クライ プリティ・ガールズ!(1970年製作の映画)

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メーサーロシュ・マールタ監督の長編3作目。劇場公開時はおそらく、残暑きびしい、蒸し蒸しとした日々のなかで、なんとか心を奮い立たせて映画館に行こうとしたものの、ぜんぜんだめで、ひたすら天井を眺めていたの>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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三宅唱の『夜明けのすべて』で主人公ふたりが勤めている栗田科学の内部がすごかったな〜と思い起こしている。これは撮影の月永さんの画面の収め方が三宅監督との前作『ケイコ』では、ケイコひとりを画面内にいれるこ>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

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アメリカのインディペンデント映画監督アベル・フェラーラの初期傑作。都市部にはびこる暴力を描くのは、ショッキングな内容でありつつ、これまでにあったレイプリベンジ・エクスプロイテーションものの扇動的な描き>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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2024年、ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門作品賞、主演女優賞(グレタ・リー)、監督賞(セリーヌ・ソン)、脚本賞(セリーヌ・ソン)、非英語映画賞の5部門ノミネート。アカデミー賞でも作品賞、脚本賞の2部>>続きを読む

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

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逃亡犯として逃げているのはもちろん、彼女たちは戻ることで「女性の役割」に押し込まれる現実や、「女性」であるがゆえに虐げられる現実から逃亡する。亭主関白な夫のもとで抑圧され、どこか子どもっぽさを伴ってい>>続きを読む

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

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「ピアノ」=高度なメソッドが必要とされるもの=エイダは言葉の代わりとして使う=言葉(元来、男性のものとされたもの)を自らのものにすること(内在化させること)に抵抗をしつつ、社会で生きるうえで規範のなか>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

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2023年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門選出作品、作品賞受賞。バス・ドゥヴォス監督の長編4作目とのこと。バス・ドゥヴォスと出会えたことは、2023年映画にまつわる一番のうれしい出来事だったように思>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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あの日、あの場所で、いったい何があったのか?第76回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、第81回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、主演女優賞(ドラマ部門/ザンドラ・ヒュラー)、脚本賞、>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

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エリセ、31年ぶりの長編映画発表。169分はがんばったね。とおもった。「カンヌ・プレミア部門」での上映で、「コンペティション」入りは果たされず、物議を醸していたらしい。当然「コンペ」入りを望んでいたエ>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

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“The bird a nest, the spider a web, man friendship.” ウィリアム・ブレイク「地獄の格言」ではじまるケリー・ライカートによる西部劇以前の西部オレゴンで>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

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1945年から1980年にいたる高名な音楽家・指揮者レナード・バーンスタインとフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインの生涯を描いたブラッドリー・クーパーの監督作2作目。キャリー・マリガンの>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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和山やま先生原作。原作が大好きなので、綾野剛が狂児??という気持ちで、疑いながら恐る恐る観に行く。綾野剛は、全然狂児じゃないのに狂児だったし、山下監督の日常的なロートーンの物語の進め方とコメディセンス>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

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カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭で注目を集め、現代のヨーロッパ映画シーンで最も重要な若手作家のひとりともいわれるベルギーの映画作家バス・ドゥヴォス。これまでに長編4作を監督、『ゴースト・トロピック>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

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ビクトル・エリセ、30年ぶりの長編映画発表、公開ということで『エル・スール』を見直した。原作にあった南へ出発後が描かれなかったのは、予算の都合があわず、1部では北を、2部では南を描く予定が1部のみの北>>続きを読む

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

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『スーベニア』2部作をみていないけれど、まぁなんとかなるかという気持ちで『エターナル・ドーター』を見にいく(ほんとうは『Showing UP』が本来の目的だったのに、『エターナル・ドーター』を見終わっ>>続きを読む

恐れずに(1950年製作の映画)

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ポリオにかかり、もう踊れなくなったダンサー、「完璧じゃない」わたしを愛さないでという自己嫌悪などを乗り越えて、これからも人生は続く〜。ラスト、めでたしめでたしではなく、これから人生がはじまるとしたとこ>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

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バリー・コーガン🙏ほんとうにずっと観ていたいよ。ディケンズの小説にありそう。。とおもった冒頭(さえない、不幸な貧乏奨学生と裕福でやさしい超貴族、そのとなりにいて新参者を厄介払いしたい幼馴染という三角関>>続きを読む

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