平成七年の人さんの映画レビュー・感想・評価

平成七年の人

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春に散る(2023年製作の映画)

3.5

ここ数年の瀬々映画(ラーゲリは観てない)の中ではそこそこ観てられるものになってる。
真っ直ぐさにおいてもとんびなんかより、横浜流星はずいぶん良かった。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.8

漆喰を塗るあのトラックアップが、なんともA24臭くて、とても浅く。

海辺の住処での停滞の時間が一番よかったかもしれない。
あの思い出しながら唄う作家がまるまるこの映画な気がするし。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.5

やはり三宅唱という人間は芝居にしろ、演出にしろ、それに切り返した先にいる自分の感覚や思想に自覚的であると思って、それ故にこれが映画として全然高揚しない有り様を生々しく感じさせている気がする。

ジャン・ブリカールの道程(2008年製作の映画)

5.0

イエジーの『ホームシック』観たときの不満がすべて吹き飛ぶ。
映画としての仕掛けも、捉えられてるものも圧倒的に格上。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.5

日本に侵攻してきて、偏愛するものをご都合主義的に揃えて、コミュニケーションを排した内省的過ぎる生活を(しかもそれが机上のものでしかない)こんな生き方もいいものでしょと人をダメにするようにしか作られてな>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.7

マークラファロは言わずもがな、ティムロビンスの会議シーンでの一喝に痺れる。
けれど企業弁護士である自身のキャリアとの逡巡もなく孤立奮闘するが、あの会議だけではなくタフトでの大立ち回りがあってもよかった
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(2023年製作の映画)

3.5

「みんな~やってるか」で十分。

パラサイト観たときの感覚に近く、作り手の無粋なサービス精神がチラチラ垣間見える厚かましさ、観慣れていない観客をだまくらかす感じ。
特にキャラクターと芝居は…。
ウラの
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バリエラ(1966年製作の映画)

3.5

撮影、編集がどれだけ素晴らしかろうが、Improvisationの映画は観れる映画止まりにしかなかなか感じられない。
もちろん、素晴らしい瞬間はあるけれど、これが しっかりしたホンがあればと惜しむ気持
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

こめかみから流れ出る血と、ジャムの量こそ上と下をつなげる実感になっている。
冒頭の芝居と絵の荒々しさと細やかさ、穴を塞ぐ時の汗とともに滴り落ちそうなサギの肉体、拡がらない世界の中で悦びはいくつもあった
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四月(1962年製作の映画)

3.5

体感時間62分。

人物の感情を設定に委ねる、もしくはすげ替えることはその時代的であって、今の映画なら観てられるかどうか。
短編寄りの中編でありながら主題が見えすぎるのはどうなのか。

青い年(1964年製作の映画)

3.9

冒頭、恐らく未舗装の道路が多いために叔父がころがすスクランブラー(ドラゴンタトゥーのルーニーマーラ)にちょっとテンションが上がる。

効果を使わなかったり、インサートが少ないからか時間の省略が結構独特
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樹々の大砲(1962年製作の映画)

4.5

疲弊し狼狽し、ただそこに座って伏せきった人たちを写したあの移動撮影を忘れることはない。

ブードゥーマン(1944年製作の映画)

3.4

エンバーミング、ターナー

ほぼ歩くだけの女優たちも美しさがあれば見ていられる。
オチは普通に感動的だし、緊張感もあり、抜け感もいい感じ。

赤ずきん(2008年製作の映画)

5.0

「記憶したくなるショット」こそ、撮影されたものに対する自分が持つ最大の賛辞の言葉であることに気付かされた2022年。
オリヴェイラの石頭。

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.9

ラスト含め、随所に「これがやりたかった」と思われるストレートで物怖じしない演出が感じられて好印象。「声」たちも魅力的に反響してくる。

「フッテージ」の兄妹では分からなかったけれど、今作のただ存在だけ
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フッテージ(2012年製作の映画)

3.0

書斎の唯物論的空間は割りと至福に近い。

首吊りプライベートフィルムはリュミエールにはならずにハネケに留まってる。

家路(2001年製作の映画)

4.3

写るものと聴こえるものに想像を働かせることがこんなに愉しく感じることはなかなかない。

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

現代でどう捜索・追跡するかの一つの回答として観ると、スリルとはまた違うが、それなりに楽しめた。

思い返すと、道中で出会い別れるあまりにも優しい人たち以外の「人間」のイメージが少なく(スナックくらいし
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優しさのすべて(2021年製作の映画)

2.0

意図されたものがバレ過ぎて、写るものに何も興味が持てない。

制作者の口から出ていた名前の数々も、強大な知性の前に敗北していることを確信させる。
というより知性があるフリは怠慢だ。

友人が失踪してか
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泣き濡れた春の女よ(1933年製作の映画)

3.5

恐らくファーストカットだったか、停留所に手前からやってくる車両がとんでもなく異様にフレームの中にある。
最近観た小規模邦画で、電車の不気味さについて耳にしたが、こちらの方が遥かにそれ。
意図を超える瞬
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

2.0

ノスフェラトゥ、屋敷前での青年の外套に惚れたあの頃、蘇りそうになってはほとんどどうでもいい景色に胃もたれし打ち消される。
最近観たシアマもワイルドもそうだけど、もっと欲深く遊んでほしいし、ギャグも観た
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.5

参考になるかと思って観たけど、やっぱりこのような設定はラングや、スコリモフスキのような男でないと面白くない。
許容できるかギリギリの情念と有り得なさ。

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

1.1

中盤からの第三者の介入で特に素晴らしかったのはアルドリッチだったかな。

この映画に関しては何も感じなかったです。

断絶(1971年製作の映画)

5.0

成層圏の映画、の一文に惹かれてかつて観た。

父の権限で、実家であいの日に帰宅しても、休日の食卓でもTVで流されていたレース番組の影響でアスファルトの触れてもない感触に高揚するようになった感覚。
雨に
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スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

4.2

この知性とタフネスさはWOWOW程度じゃ描けないか。
思想をもって熱心に追及する姿勢。
なるほど、この真面目さがいい。

出ている顔も、誰もがMCUより遥かに素晴らしい。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.0

SFパニックものとして、血と汗による役者の美、エキストラの連帯などなどクラシンスキーが格上。

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

3.0

どれも大味で安っぽい演出。
あまり好かない、その存在すら怪しい「現代」アメリカ映画の類い。

彼女はひとり(2018年製作の映画)

3.0

特に無駄がないといえばそれまでで、もう少し見せるべきところは見せてくれてもいい。
冒頭の橋、もっと作り込んでしつこいくらいにやってもらいたい。

NO CALL NO LIFE(2021年製作の映画)

1.0

地方の痴話へと収束されてしまう辺り、映画の歴史に興味はない模様。
こんなキッカケがあるなら何でもできるはずなのに。
濱口までしか遡らず、題材にもダイブできず、上部のエモさを掬っただけの無惨な切り返しか
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イコライザー2(2018年製作の映画)

4.0

デンゼルワシントンの下唇の震わせに感動し、部屋に付箋まみれの唯物論的な捜査シーンに興奮。

夜明け(2019年製作の映画)

1.5

出てくるのがただいい人なだけで、それゆえに物語が起動しない。
柳楽優弥になんら無情も感じない。

小津を掬ったのか、あんなヘボい切り返しだけしかしないならただ突っ立ってるだけでいいんじゃないか?

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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.5

出鱈目さがほしいし、とことん真面目にいくならまだ絶望が足りない。

マットの祈りと怒りがすれ違いざまの軽い一発にしか結実しないのはどうなのか。
父親であるからこその彼なりの責務が、父親になったが故に果
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.5

映画の中で世界の広がりを感じる瞬間ほど嬉しくなることはなかなかない。

車内のラジオこそ時代を経ても映画と自分を接続してくれる。
死ぬべきと言わんばかりに映画で浪費されるノンポリの若者よりよっぽと魅力
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

前作とは違い向かうべきミッションが提示される明確。
地上でほとんどが消化され、政治意思が介在しない宙の明確。
敵には仰々しい武力と黒づくめの人ならざる集団しかいない明確。(うーん)
カオスだったのは対
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