朱音さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

3.5

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『ダークナイト』トリロジーの1作目。
最初の段階で、ここから始まるトリロジーをどこまで想定していたのか分からないがクリストファー・ノーラン監督は、過去に何本も作られていたバットマンの映画からは一線を画
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.1

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DCエンターテインメントおよびDCコミックなどのDCは「Detective Comics」の略だったのを初めて知った。訳すなら「刑事・探偵マンガ」であり、私は本作を観るまで、バットマンが世界最高の探偵>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

4.2

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これはたまらない。

気の抜けたキャラクター・デザインからは想像も付かない、ROCKのもつプリミティブな破壊衝動を臨場感たっぷりに、生々しく叩きつけてくる凄まじいアニメーションだった。
明確なストーリ
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真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

2.2

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決定的に"倦み"が足りない。空回りする狂騒。

『ファイト・クラブ』の和製オマージュ?パクリ?問題。
両著を読了したうえで私見を述べると、F 著『真夜中乙女戦争』はチャック・パラニュークによるカルト的
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リザとキツネと恋する死者たち(2014年製作の映画)

3.2

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妙に愛嬌のある、すげえ変な映画だった。

原作となったジョルト・ボジュガイの舞台劇『Liselotte és a május』は心優しいが孤独な30代の女性が、あの手この手を使ってパートナーを得ようと
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乱世備忘 僕らの雨傘運動(2016年製作の映画)

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雨傘運動とは。
1997年、中国に返還された香港では「一国二制度」の下、高度な自治が認められている「特別行政区」となった。「香港特別行政区基本法」には将来、「普通選挙」で行政長官を選ぶことができるとさ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

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1960年、イギリス・北アイルランドの首府ベルファスト出身のケネス・ブラナー監督による半自伝的作品である。

ブラナー監督は9歳の時に、家族と共にイングランド南部のレディングに移住した。王立演劇学校を
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

4.2

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ジョン・カーペンターへのオマージュが怪しい光を放ち、クラウベル・ローシャへのリスペクトが熱いブラジル版西部劇。


実に不思議な作品であった。映画の冒頭、画面は宇宙→地球→ブラジル→ブラジル北東部へと
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(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)

3.0

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何の前触れもなく突然人が死ぬ。という設定自体は2008年制作のM・ナイト・シャマラン監督による『ハプニング』を想起させる。
一種のシチュエーション・スリラーだが、危機的状況を作り出しているのが自分自身
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

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前二作でも取り上げられていた"震災"をより、直接的に、前面に押し出した覚悟と受容の映画である事は認める。それを集大成的な圧巻の映像表現とエンターテインメントとしてしっかりと纏めあげる脚本の練り上げと演>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

4.5

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『すずめの戸締り』の方を先に観てしまっていたのだが、解釈に苦慮して、新海誠という作家性のコンテキストを補足し、より良く理解するために本作にも手を伸ばしてみた次第である。

その結果、大傑作でした。
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

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井上雅彦による原作漫画の再解釈に留まらない、これは現代最高峰のバスケ映画だ。

言うまでもなく原作は週刊少年ジャンプにて1990年から1996年に渡って連載されたバスケットボール漫画の金字塔である。1
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君の名は。(2016年製作の映画)

4.2

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新海誠作品の主人公たちはいつも何かを、誰かを求めて彷徨っている。
それは宇宙規模の時間と距離を隔てた別離の果てに、あるいは異世界の彼方へと消えていったものに、そして成長に伴う意識や感覚のずれによって袂
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.9

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非常に優秀な映画である。
全編に渡ってPCの画面を通じて物語が進行してゆく作劇のアイデア自体は、2015年公開のレヴァン・ガブリアーゼ監督による『アンフレンデッド』の方が先駆けているが、本作の優れた点
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サイの季節(2012年製作の映画)

3.1

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静謐で厳かな雰囲気とは裏腹に、映像の雄弁さが印象に残る。

『カンヌ国際映画祭』カメラドールを受賞したデビュー作『酔っ払った馬の時間』や、前作『ペルシャ猫を誰も知らない』などの作品で知られるイラン出身
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サバハ(2019年製作の映画)

3.9

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オカルト・ホラー要素を眩した緻密な宗教ミステリー。その謎解き要素の集中力に驚かされる。
難解な映画と思われがちだが、劇中主人公の動向が全ての事実を詳らかにしてくれるため非常に見やすい。

冒頭から悪鬼
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.5

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夫婦の栄枯盛衰。
この普遍的なテーマを元に描かれた作品は数多くある。デレク・シアンフランス監督『ブルーバレンタイン』しかり、サム・メンデス監督『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』しかり、ノ
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300 スリーハンドレッド 帝国の進撃(2014年製作の映画)

2.8

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前作に引き続きザック・スナイダー、カート・ジョンスタッドが脚本を手掛けている。
そしてこの脚本が酷い。酷い脚本に閉口しつつ、それを全力でカバーしたノーム・ムーロ監督の手腕だけでも称えたい。

そもそも
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300 <スリーハンドレッド>(2007年製作の映画)

3.5

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紀元前480年8月、南下を進めるペルシア遠征軍とスパルタを中心とするギリシア連合軍との間で行われたテルモピュライの戦い。
ペルシア軍は100万人以上であるのに対し、ギリシア連合軍はスパルタの重装歩兵3
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.8

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庵野秀明による日本が誇る特撮シリーズのユニバース化計画シン・シリーズ第2弾である。
一応このシリーズには庵野秀明の代表作である『新世紀エヴァンゲリオン』のリブート版最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

4.4

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にハズレなし。
とりわけ本作は脚本力が傑出している。手掛けるのはアーロン・グジコウスキ、彼が2007年からスクリプトを書き始め、映画が公開されたのが2013年なのでかなり練り込
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

3.3

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ジョン・カーニーは市井の人々や街を魅力的に撮る。その愛らしさ、いじらしさが魅力的に活写される。誰もが憎めないキャラクターとして現実と地続きになった世界観の中で反撥と融和を繰り返しながらゆっくりと変化し>>続きを読む

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.2

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ハチャメチャな奇想の不謹慎コメディから生きることの意味を問う感動のストーリーへと昇華されてゆく類まれなる映画体験。

ありえないほどくだらない。
バカバカしい考えや妄想を具現化出来たなら。
誰もがいち
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.8

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銃規制法に関する法案を扱った社会派サスペンスと見る向きがあるようだが、本作の本質はあくまで原題にある通り天才的ロビイスト・ミス・スローンの活躍であり、ロビイスト・サスペンスであり、彼女の仕掛ける奇策と>>続きを読む

SHAME シェイム(2011年製作の映画)

4.1

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作品が解釈をすべて観客に委ねるというスタンスを取っているため、私は自身の鑑賞によって生じた解釈及びその仮定を基に話を進めようと思う。

現代社会の中、ストレスと孤独感からくる歪み。をテーマとしているよ
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ブラックブック(2006年製作の映画)

4.2

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『ロボコップ』や『トータル・リコール』等で知られるポール・バーホーベン監督がハリウッドから撤退し、母国オランダで撮った本作。
ヨーロッパでは、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の物語は大きなファクターだ
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ポラロイド(2018年製作の映画)

1.5

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そのポラロイドカメラで撮影された者は殺される。

その至ってシンプルなアイデアひとつで1本の映画を作るのならば見せ方や展開に関する膨大な飛躍的アプローチが必要だったはずだ。本作にはそれがあまりにない。
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アテナ(2022年製作の映画)

4.0

現代最先端の映像技術。それが齎す圧倒的臨場感。

長尺ショットのなかで刻々と変化する悲しみと怒り、そして虚無感を余すところなく見せている。
現代フランスの分断を知る為にも一見の価値ある作品だと思う。

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)

3.0

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あまり好みのタイプではないが原作由来の脚本の出来が非常によく、最後まで観ることができた。
寓話的ファンタジーであることを差し引いても、本作のリアリティラインは相当に低い。いわゆる"優しい世界"だ。
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劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲(1998年製作の映画)

2.8

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コピーであれオリジナルであれ生を受けたその存在はたしかに生きている。

という壮大なテーマを盛り込んだ意欲作。

だが一方で野生のポケモンをゲットして収集する、そしてポケモンバトルと称して戦わせるとい
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オール・アイズ・オン・ミー(2017年製作の映画)

2.8

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2PACについては数曲を聴いた事がある。東西ラップ抗争の果てに死亡した。くらいの知識しかない。

実録とは分かっているがやはり退屈だ。
へーこんな事があったんだ、なるほどね。以上の感想が生まれないのが
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コンタクト(1997年製作の映画)

4.1

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人類が地球外の知的生命体と初めて接触した際に起こりうる事態を膨大な科学的根拠に基づいて構築してみせた稀有な作品。

1997制作のおよそ四半世紀前の映画であり、同様のモチーフを扱ったクリストファー・ノ
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フレディVSジェイソン(2003年製作の映画)

2.5

2大モンスターのスペシャルマッチが観たいのなら本作は十分その役割を果たしていると思う。
白熱する戦いのそれぞれの力感、キャラクター性、グロテスクさも申し分無しだ。

当然『エルム街の悪夢』シリーズ本編
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

4.2

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この映画について多く語ることはない。
ただただ素晴らしいです。

旅を通じて子が親を再発見する映画。
キャラクターたちの実にリアルでユーモアに富んだ佇まいが魅力的。役者の芝居。ウェルメイドな各エピソー
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シライサン(2020年製作の映画)

2.0

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人気作家の乙一氏が安達寛高名義で監督・脚本を手掛けた長編初作品。
決してつまらなくはないが、そもそもの話、シライサンの怪談自体がそれ程訴求力の高い話ではない気がする。怪談オムニバスの一遍ならまだしも長
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.0

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実在したシリアルキラーとして名高いテッド・バンディ。彼の起こした殺人やその残虐性を列挙したドキュメンタリーのような作品は質の善し悪しを問わず数多く存在する。あるいは民放のTV番組でさえ彼の特集を組んだ>>続きを読む