朱音さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

4.8

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人種間対立、政治、経済(主に貧困と教育格差)、アメリカが抱える社会問題を内包しつつ、日常にあるそれぞれの愛と憎しみと愚かしさを滑稽と悲惨の中に描き出した超問題作。

冒頭からずっと劇中でも幾度となく流
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ブラック・スキャンダル(2015年製作の映画)

3.0

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実録ものだけに話の筋や顛末は知れている。
それをどう魅せるかが肝要な気がするが本作は些か淡白で簡潔的すぎる。監督ならではの強烈なメッセージ性がないとどうしてもエンターテインメント性に欠ける。
数多くの
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テリファー(2016年製作の映画)

2.8

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アート・ザ・ピエロのキャラクターデザインや絶対に声を発さないスタンス、そして演じるデヴィッド・ハワード・ソーントンの身振り手振りのアクトがとても良い。これはスラッシャーモンスターとして申し分のない不気>>続きを読む

絞殺(1979年製作の映画)

2.5

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ATG映画らしいな、と思った。
真っ当な事柄を描いているようで凄くへんてこ。
突飛な演出やシーンに面食らうこと請け合い。

1977年に実際に起きた事件を元に新藤兼人監督が脚本を書き上げ79年に完成し
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ライト/オフ(2016年製作の映画)

2.8

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明かりが着いていると何も居ない。ライトをオフにするとそいつは現れる。
秀逸だがこのワンアイデアで勝負するには本編が長すぎた。それこそ元の作品となった動画くらいが本来丁度いいスケールだったのだろう。
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Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

3.7

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昔鑑賞した時はいまいちピンと来なかったが、後年、ジョージ・オーウェルの『1984』を読んで以降この手のディストピアものへの理解が一層深まった。
先の大戦によって荒廃した世界情勢、アメリカが解体しイギリ
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ゴジラ FINAL WARS(2004年製作の映画)

2.8

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ゴジラ映画としてはかなりの変化球。

子供の悪戯のような作品。映像の作りから怪獣プロレス、衣装やキャラクター、乗り物、アクションに至るまでのあらゆるデザインにおいて制作陣の悪ノリが伝わってくる。
透徹
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ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.0

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ゴジラの正体が太平洋戦争で散っていった英霊たちの残留思念の集合体で、核の炎に焼かれた人々の怨念が合わさっている存在であり、またバラゴン、モスラ、キングギドラといったお馴染みの怪獣たちが大和のを守護する>>続きを読む

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)

3.8

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『キング・オブ・モンスターズ』を観て、居てもたってもいられなくなり、数年ぶりに再鑑賞。

賛否両論ある作品である。

ゴジラ映画に定番のお約束、そのスケールアップと分かりやすい形のブラッシュアップを期
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ゴジラ×メカゴジラ(2002年製作の映画)

3.1

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エヴァンゲリオンを彷彿とさせる機龍の設定や建造のプロセス、発進シークエンスの演出等はオタク心を擽られますね。

自衛隊の協力もあってバシッとした組織の面構えと、メカメカした描写に説得力があるのが気持ち
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.0

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怪獣お祭り映画として申し分無しの圧巻の映像美。
なるも早すぎるテンポ、めちゃくちゃなストーリー、キャラクターの思考と言動には着いて行けず、インフレし過ぎの怪獣バトルには胃もたれがする。

たしかにハリ
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ゴジラ(1984年製作の映画)

2.9

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いわゆる平成ゴジラと呼ばれるシリーズの元祖となった作品。
昭和ゴジラシリーズが下火になり一旦打ち切られて実に9年振りに制作されたゴジラ生誕30周年の記念作品。
物語の設定上もまた1954年にゴジラが消
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パブリック・エネミーズ(2009年製作の映画)

2.9

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実在した伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャー。演ずるは超個性派俳優ジョニー・デップ。
司法省捜査局 / Bureau of Investigation, BOI(のちの連邦捜査局 / Federal B
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ドロップ(2008年製作の映画)

1.8

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青春物語とは似て非なるもの。
品川監督の半自伝的出来事の羅列とフィクションの綯い交ぜによって綴られるストーリーは主人公にとって常に都合が良く、居心地の良い環境や関係性と、取り巻くキャラクターたちの言動
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ドラゴンボール超 ブロリー(2018年製作の映画)

2.8

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ドラゴンボールは幼少期に多少齧った程度で『超』のシリーズは全くの未見でしたが楽しめましたね。知らないキャラも多かったけど本筋に関わってこないので潔く無視できました。導入から中盤まではひとつのストーリー>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.3

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本作が原作者の柚月裕子さんノータッチのオリジナル脚本による続編映画化という点が前作と今作との毛色の違いを伺わせる。
個人的にはコンセプトすら違うのではないかと思っている。
前作が原作にあった匂い立つよ
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.0

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本作は『宮本から君へ』『ザ・ワールド・イズ・マイン』『キーチ!!』などで知られる漫画家、新井英樹の同名作を実写映画化したもの。
監督は『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔。このタッグの時点で私の中での期待度はも
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悪人(2010年製作の映画)

3.0

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興味深い物語だった。
人間の善と悪を単純な二項対立の構造にせず、キャラクターそれぞれに利己的な要素を持たせ、ふとしたはずみで反転する可能性があるという表裏一体のものとした物語の軸に感じ入った。
人を殺
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

4.4

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ダウンテンポな犯罪映画の傑作。

なんだこれは?

冒頭から出所したばかりの黒人青年ヘンリー(トリー・キトルズ)が幼馴染の売春婦とおせっせしているシーンから始まる。なんだこれは?
そしてそこそこの時間
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カットスロート・ナイン(1972年製作の映画)

3.3

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もともとアメリカ映画であった「ウェスタン」をバイオレンス、悪趣味、アウトローたちの露悪的要素を前面に押し出したのが所謂「マカロニ・ウェスタン」であり、その流行は一大ブームとなって玉石混交の作品群が産み>>続きを読む

危険なメソッド(2011年製作の映画)

2.3

Wikipediaを映像化したような作品だった。
あらすじを読んで、それをそっくりそのまま見届ける。これ以上に感じ入るものが見受けられない。

クローネンバーグ監督のテーマである"変容"に照らし合わせ
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.3

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本作はラース・フォン・トリアー監督の意表を突いた自虐的回顧録といったところだろうか。

強迫神経症で潔癖、女性嫌悪とナチ信奉、そして完璧主義の芸術家を称する建築家志望の中年男。その内容がシリアルキラー
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オキュラス 怨霊鏡(2013年製作の映画)

2.8

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圧倒的な呪い、というか幻視の力をもった鏡との因縁の対決。正直、姉弟に勝ち目があるのか?と終始疑問だったが思った以上にワンサイドゲームでガッカリした。
ケイリーの復讐計画は一体どういうプランニングだった
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マンハント(2018年製作の映画)

2.0

1976年制作の佐藤純弥監督、高倉健主演の『君よ憤怒の河を渉れ』をリメイク。

感想はなんじゃこりゃ…
脚本はかなりデタラメで、台詞回しも演出もスカしてる。アクションも音楽も何もかもが古臭い、とても2
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執行者(2009年製作の映画)

2.0

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韓国では1997年12月31日に23人の死刑執行を最後に10年間におよぶ死刑執行停止状態を経て、2007年12月に事実上の死刑廃止国となった。
本作はその事実を踏まえた上でフィクションとして12年振り
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サイレントヒル(2006年製作の映画)

2.9

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原作のゲームは未プレイ。
セットや美術背景、VFXを駆使した世界観の構築(再現?)は目を見張るものがある。
灰の降り積もるゴーストタウンの美しくも静かな不気味さ、サイレンが鳴り響いた後の地獄から湧き出
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ノーゲーム・ノーライフ ゼロ(2017年製作の映画)

2.4

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十の盟約によって一切の争いや生殺与奪が禁じられ、全てがゲームの勝敗によって決められる盤上の世界(ディス・ボード)と、世界をそのように作り変えた唯一神テト。
「ノーゲーム・ノーライフ」という作品において
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ソウ2(2005年製作の映画)

2.0

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一言で言って雑な映画だと思う。

低予算を逆手に取ってソリッドシチュエーション・スリラーというジャンルを開拓したパート1のヒットを受けて制作されたこの続編には、前作に比べてアイディア一本で勝負してやろ
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悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.8

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逃れられない宿業の果てに修羅へと堕ちてゆく女。
新鮮味に溢れたクレイジーなアクション表現に度肝を抜かれる韓国ノワールの良作。

先ず冒頭から50人ものヤクザを相手に7分間の疑似ワンカット・アクションが
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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

2.4

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DCEUの2作目であり前作「マン・オブ・スティール」でメガホンを取ったザック・スナイダーが本作でも原案および監督を務めている。
本作の製作総指揮にはクリストファー・ノーランの名もクレジットされているが
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スマホを落としただけなのに(2018年製作の映画)

2.6

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「遺族?…スマホが繋がっているだけで、家族が生きていると思い込んでいるような人達が?」

というラストの犯人の台詞が示す通り、本作は“現代人の社会的IDの不確かさ”をテーマにした作品だと思う。
であれ
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ミスミソウ(2017年製作の映画)

2.8

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原作は押切蓮介による同名の短編漫画で、プロットや各場面の描写などは、一部を除いて原作を準拠としてほぼほぼ忠実に再現されている。
その為、どうしても原作と比較しての表現考察となってしまうが、押切作品の初
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るろうに剣心(2012年製作の映画)

2.6

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評判を聞いて期待値が上がり過ぎていた為か、個人的にはそこまでいい映画だと思えなかった。
原作は週刊少年ジャンプに連載されていた時代活劇であり、当然のことながらキャラクターも大幅にデフォルメされ、剣術ア
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(2016年製作の映画)

3.8

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美浜島の鬱蒼とした原生林の、複雑に絡み合う木々の枝、獰猛かつ猥雑なフォルムを描く木の洞、地面に散りばめられた椿の花。
ゆったりとしたテンポ感で紡がれる映像に対して、場違いにもとれる煽情的で攻撃的なジェ
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クラウン(2014年製作の映画)

2.8

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殺人ピエロの話かと思ったがそうじゃなかったね。

ピエロは子供たちの人気者で、アメリカでは特にバースデー・パーティーの盛り上げ役として、あるいは小児医療施設などを訪問して、おどけたパントマイムやマジッ
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ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)

4.0

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もう最初からずっと切ない。無常感漂うムードで淡々と描かれる復讐劇。

付けっ放しのTV、テーブルには食べかけの食事、壁に掛けられた「ReLaX/リラックス」と書かれたロゴパネル、次いでバスタブに浸かる
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