朱音さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

パッチ・オブ・フォグ −偽りの友人−(2015年製作の映画)

3.3

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著名なベストセラー作家があるきっかけで人物と知り合い、交流を重ねてゆくうちに実はそいつが自分の熱烈なファンであり、とんでもない妄執に憑りつかれたストーカーまがいの行動によって、自らの立場や家族、果ては>>続きを読む

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ(2015年製作の映画)

2.2

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宮藤官九郎さんの作品はTVドラマをいくつか観た程度で、映画は過去にいくつかの作品で監督をされているのを知ってはいたが、私にとっては本作がクドカン映画の初鑑賞となる。
やはり特徴的なのは過剰にハイテンシ
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ユージュアル・ネイバー/マッド・マザー 生贄の少年(2013年製作の映画)

2.6

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中核となっているアイディアはシンプルでありながら、面白いと感じさせるものだ。
サマンサ・モートン演じる母親のキャサリンの子供たちに対する態度の不可解さが、後半明らかにされる真実によってああなるほど、と
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.8

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ラミ・マレックの渾身の演技!
細心の考証による驚愕の再現度、威風堂々たるカリスマ性でもってロックスターの半生を見事に演じきってみせた。
先ず、これだけでこの映画を観る価値は充分にあると思う。本当に素晴
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暁に祈れ(2017年製作の映画)

4.3

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イギリス人ボクサーのビリー・ムーアは人生の再帰を掛けて単身タイへと渡るが、恐らくはコミュニケーションもままならない、不衛生で貧しい生活環境に馴染めず、ボクサーとしての芽も出ない中でフラストレーションを>>続きを読む

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)

4.1

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「その街のこども」というタイトルがすべてを集約している。
2人の男女を演じた森山未來と佐藤江梨子は子供のころ実際に兵庫県神戸市にて震災を体験している。森山は神戸市東灘区の出身で10歳のときに自宅にて被
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ユリゴコロ(2017年製作の映画)

2.4

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自己の精神的基盤を成すにあたっての拠り所とは、意識的にも無意識的にも自己の肯定および否定感を左右するための準拠であり、群生的社会への適合と不可分であると私は思う。
そこが不確定であるという事は、当人に
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モンスターズ/地球外生命体(2010年製作の映画)

3.8

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50万ドルという予算で、撮影当初はPOV形式で制作する予定であったことなどから、本作は所謂モンスター・パニック映画の中でも、極力「それ」を見せない方向のコンセプトの作品である。
直接的にモンスターを描
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彷徨える河(2015年製作の映画)

4.0

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アマゾン河を遡り、ジャングルという小宇宙を時間を越えて彷徨い歩く本作は、先住民族のシャーマンの神話を辿り、失われゆく彼らの文明、その精神性や規律、魂の在り方といった独自のイズムを、我々がもつ近代西洋思>>続きを読む

幸福の罪(2011年製作の映画)

4.0

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幾重もの綾が交差してゆく時、想像もしていなかった異様なものが露わになり戦慄を覚える。
このセンシティブでユニークな脚本に私の心は釘付けにされてしまった。

ボートに乗るひとりの女性、どこか寂し気な俯い
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湿地(2006年製作の映画)

3.8

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この物語がアイスランドという国、およびレイキャビクという街の現実を、どこまで的確に表しているのかは分からない。
だからこれはあくまでこの映画によって表現されていたひとつの「小さな閉じた世界」の物語とし
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ウェア 破滅(2013年製作の映画)

2.6

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モンスター・ホラーの古典中の古典「狼男伝説」を現代風にアレンジした本作。
狼男にまつわる設定を一新し、人間が狼に変身するのではなく遺伝性の珍しい病気で、その諸症状が「伝説の狼男」の特徴に近似していると
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キョンシー/リゴル・モルティス 死後硬直(2013年製作の映画)

2.4

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いわゆるリブートと思いきや全くそうではなかった。例えるなら西部劇、もといクリント・イーストウッドにおける「許されざる者」や「グラン・トリノ」のような性質をもった作品で、かつてサモ・ハン・キンポー製作の>>続きを読む

フッテージ デス・スパイラル(2015年製作の映画)

2.3

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酷く退屈で予想を裏切らない凡庸な続編。
一連の事件は邪神ブグールという存在によるものだった。という謂わばネタバレ状態から始まる物語である以上、前作のような半サスペンス半ホラーという訳にはいかず、のっけ
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ジュピター(2014年製作の映画)

2.6

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たしかに、お金がかかった美麗なヴィジュアルや、スピード感溢れるアクロバティックなアクション描写はそれなりに見応えがある。
特に夜の都市シカゴでの空中逃亡戦は素晴らしかった。「マトリックス」から大幅に進
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猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

4.0

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先ずはっきり言ってしまうと、この作品にはツッコミどころが多数存在する。
ものすごいテンポ感でグイグイ進んでゆく物語はどこか性急にも感じられるだろう。
だがそれも本作が実現しようとしている事に対する戦略
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ワイルド7(2011年製作の映画)

1.0

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一体何がしたかったのだろう?
少しも感心出来ない作品だった。

警察やSATでは対処出来ないような凶悪犯を超法規的権限をもって射殺する事の出来る組織。
荒唐無稽な設定を活かすにあたって、それをアリだと
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屍憶 SHIOKU(2015年製作の映画)

2.9

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日本と台湾の合作で、数多くのJホラ―作品に携わってきた一瀬隆重をプロデューサーに迎えた本作。
Jホラー作品の系譜に連なる恐怖演出や、ジメジメとした陰湿な空気感、そこに台湾の分化や慣習などのエキゾチック
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GODZILLA 星を喰う者(2018年製作の映画)

3.6

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率直に言うとめちゃくちゃ面白かった。
が、一般的に評価が低いとされる理由は明白で、それは本作がいわゆる怪獣映画では全くないからだ。

怪獣という存在を概念や象徴として描き、対峙する人類と異星人類たちそ
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ミュージアム 序章(2016年製作の映画)

2.8

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タイトルに序章とある通り、巴亮介の漫画原作を実写映画化した「ミュージアム」の前日譚にあたる本作は、本編公開前の謂わばプロモーションを目的として制作された。
個人的には本編よりも遥かに面白く、かつ良く出
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009年製作の映画)

3.2

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バチェラー・パーティーとは結婚式を目前に控えた者が、その独身最後の夜を同性の友達同士で集まって騒いで楽しむ宴である。

本作の見るからにボンクラそうな男4人組が企てたのはベガスでとことんはっちゃけ、ハ
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テッド(2012年製作の映画)

2.6

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良くも悪くも典型的なハリウッド・コメディ映画で新味は感じられなかった。
ただ肝心のテッドの愛くるしい造形や見事な動き、そして下劣で俗っぽいキャラクターは観ていて非常に心地の良いもので、大人になりきれな
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十三人の刺客(2010年製作の映画)

4.3

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本作のレビューを投稿するのは初めてであるが、4度目の鑑賞になる。何度観ても面白いし、興奮する。

三幕構成で描かれる筋立ての、特に序盤から中盤終わりまでのスマートさ、テンポ感の良さはもう完璧に近いほど
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コープスパーティー Book of Shadows(2016年製作の映画)

2.1

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映画としてのつくりは前作よりだいぶ向上したと言える。
前作の生き残りである直美とあゆみにはちゃんとドラマが感じられるし、ある意味やっとキャラクターとして形になったと思う。
演じる生駒里奈と前田希美にも
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コープスパーティー(2015年製作の映画)

2.1

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あまり好きな言い方ではないが、B級C級といったテイストを楽しめる映画ファンであるなら本作はちょっとしたティーンネイジ・スプラッタームービーとしてそれなりに楽しめる作品であると思う。
話は良く纏まってい
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テルマ(2017年製作の映画)

4.7

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繊細な感受性が暴力的なまでの鮮やかさでもって画面の中に炸裂している。
異能の力をファクターとしているが、本作で描かれるのは少女の自由意志の目覚めと葛藤、そして自立である。

冒頭の薄氷の上を歩く父娘の
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ザ・レイド GOKUDO(2013年製作の映画)

3.7

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アクション映画の旨味をギュッと凝縮したようなシンプル・イズ・ベストを極めた前作から、コンセプトが一転してストーリーに重きを置いた本作。
街を二分する巨大組織同士の抗争に、裏で糸を引く新興組織、そしてマ
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ザ・レイド(2011年製作の映画)

3.9

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インドネシア発、低予算で製作されたソリッドなバイオレンス・アクションの傑作。

ヤクザマンションにSWAT隊が突入するという極めてシンプルなプロット、低予算を逆手に取った限定的なスペースで多彩なアクシ
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デトロイト(2017年製作の映画)

3.9

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面白い構造の映画であると思った。

映画の前半では第一次大戦前後、南部から北部へのアフリカ系アメリカ人の大移動から、車産業の中心地であったデトロイトにおける人種間の緊張した状況を、冒頭にアニメーション
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ラブレス(2017年製作の映画)

4.0

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離婚寸前の冷え切った夫婦と、そんな両親に見捨てられた子供が失踪し、行方不明になるというこの物語を通じて、アンドレイ・スビャギンツェフ監督は、利己保身と他者への無関心が、やがてはコミュニティと、そして自>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.6

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恋をするという事はこんなにも困難なものなのか。

他者、とりわけ男性との接触を極度に避けて生きてきたマーリア。
作中明言はされていないが、彼女のパーソナリティについては、食事の際、テーブルに落ちたパン
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レジェンド 狂気の美学(2015年製作の映画)

3.1

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1950年代から60年代にかけてイーストエンド・オブ・ロンドンを支配していた実在する双子のギャング、クレイ兄弟のアンビバレントな絆と確執を描いた作品。
双子の兄レジナルド(レジ―)と弟ロナルド(ロン)
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MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

2.3

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超巨大な古代鮫メガロドンとジェイソン・ステイサムと対決する映画。
その点においてジョン・タートルトーブ監督はこの作品に対する観客の期待をある程度満たしてくれたと言える。
メガロドンの表現はとても良かっ
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

2.9

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原作者の小野不由美は本作「残穢」にて実話怪談趣味を下敷きに、そのルーツを辿る膨大なエピソードを高い構築力で紡いでいる。
その土地に纏わる忌まわしい歴史を紐解いてゆく過程において、無関係に見えた出来事が
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

4.0

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ワン・シチュエーション映画の見本のような、素晴らしく洗練された傑作。

トム・ハーディ演じるアイヴァン・ロック、大手ゼネコンで大規模な施工事業の現場責任者を務める優秀な技術者である彼は、明日に控えた大
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