otomisanさんの映画レビュー・感想・評価

otomisan

otomisan

映画(1067)
ドラマ(8)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

交渉人(1998年製作の映画)

4.0

 横領と殺人の罪を着せられて警察の面汚しとされたローマン氏が一か八か、彼が第一容疑者と目す内務調査局長を人質とし執務室に立て籠り、わざわざ遠くの他人ながら腕利きらしい交渉人を名指しして自身の潔白と局長>>続きを読む

着ながし奉行(1981年製作の映画)

4.0

 尾州西尾の夜は大繁盛。盛り過ぎて町奉行が四月に一人あたまが変になってもう三人も辞めていった。夜の西尾のお堀の外、お上の支配の埒外「堀外」で何が起きてる?

 なんてことが御公儀に知れると大変だ。国許
>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

 むかしから女が花なら男は蝶々でこころは移ろいやすい。たとえば経済が逼迫すれば働きに出にゃあなぁ、となり、こころの内に育てていた何かを閉じるのもやぶさかじゃない。なかなか趣味が合う気が合う大学生同士の>>続きを読む

我が家は楽し(1951年製作の映画)

4.0

 お酒が配給から自由販売になってやれ嬉しと思ったら今度は家族の出費がかさみ出す。次女は修学旅行で関西へ、息子は名野手らしいグローブをとせがむ。これにはおちおち酔っぱらってもいられない。おまけに酔っ払い>>続きを読む

女の水鏡(1951年製作の映画)

2.0

 松本清張以前の贈賄者サイドのあれこれ、舟橋聖一による社長に追及の手が伸びる前夜から控訴断念に至るまで。
 そんな渦中で、愛を求める社長とこころ揺れる愛人、証拠隠匿を幇助する部下と検事への色仕掛けを拒
>>続きを読む

暴動島根刑務所(1975年製作の映画)

4.0

 国民主権を知らんのか、新憲法を知らんのかボケがぁ、っと言うのは松方らしくないので俺が言ってしまう。
 身ィもこころも空っぽなムショ暮らしだから何から何までお上頼み、ブタ飼うくらいでなんの文句があるん
>>続きを読む

ミラクル・ニール!(2015年製作の映画)

4.0

 全能は大変だ。と言っても悪さをするには最高、どいつもこいつも悪くなるだけなので。ところが、みんなにいいように計らおうとすると政府のばらまき行政のように変な具合に結実する。南極のアパートは監獄によさそ>>続きを読む

冒険者たち(1967年製作の映画)

4.1

 こっちは今わの際だってのにロベールのうそつき野郎が嬉しがらせを抜かす。

 レティシャがどんな女かロベールより知っているとは言わないが、少なくともあの孤独なユダヤ女は俺を選びはしなかった。ロベールが
>>続きを読む

山河あり(1962年製作の映画)

4.0

 「国破れて山河あり」杜甫は続けて家族と離別する辛さに何の慰めがあろうか、と語る。
 大正期、高峰の生国日本は夫・髙廣と暮らす事に寛容でなく、ならばとふたり移住したハワイで刻苦の20年、日本は今また大
>>続きを読む

永遠の人(1961年製作の映画)

4.4

 なんというか、これは20世紀人、小清水家・仲代のこころの断面の数々というか。
 仲代本人だけとも言えない、物語を牽引する高峰にせよ、その父・加藤嘉、元の恋人・佐田、小清水家先代・永田靖、そして、夫婦
>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

3.9

 フランキーおじさんの敬天ポーズに三島由紀夫も冥土で笑うだろう。ついでに未だUFOの正体が解明されず、核戦争も起きずな21世紀に何を思うかな?
 小説を出した頃は朝鮮での使用が却下され(知られてなかっ
>>続きを読む

ロクな人生(2014年製作の映画)

3.8

 旅行記であなたに貢献したいわたし。なわけだったんだが、「Welcomeコザ顔」で東京に戻っていくだけでおつりがくるくらいコザに貢献しちゃったろう。所属旅行誌も大評判、取材突撃部部長のわたし、もう記事>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

 秘数9を奉じるホルガの民の前回の祭りは1929年。その年、大恐慌が起こるのは9月、直前の夏はまだ景気のよさそうなアメリカで一旗揚げようなんて向きもボチボチいただろう。つまり誰が不意にいなくなってもさ>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.1

 死別一回、離婚一回。男運が悪いわけでもあろうが、それ以上に自分の運を男任せにしたくない女35歳ペトラ、フォン・カントが服飾デザインで頭角を現して3年でもう大物。その間、アシスタントのマレーネを顎で使>>続きを読む

深夜カフェのピエール(1991年製作の映画)

4.1

 ハムレットになるためにどれほど恥をかかにゃあならないんだ?しかし、誰がハムレットにしてくれと頼んだバカヤロー、と思ったかどうか。
 ハムレットは縁遠くとも街娼役は食うため、ねぐらのため、恥も外聞もあ
>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

4.2

 男と女。俺は男だからそう呼ぶのだが、女なら、女と男と言うだろうが、どっちでもねえよ、という人は何と言うだろう?単に二人とでも云うだろうか?
 ともあれ、その二人があってやっと子どももできるわけだ。第
>>続きを読む

アビエイター(2004年製作の映画)

4.0

 「粗にして野だが卑ではない」
 連邦議会の公聴会に大戦での軍事支出を濫費した廉で召喚されたハワード・ヒューズ、その正念場で廉を咎にすり替えようとする聴聞者の議員に対して彼が取った徹底抗戦の態度に感じ
>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.1

 恋は言葉じゃなく. . . なんて、ね。二人だけの物語がダンスで触れ合う手と身体で通い合うんだなぁ。日本人ならサザンのメロディに合わせてそいつがピンとくるわけよ。野暮天の酢キャベツ喰いどもにゃ千年早>>続きを読む

アウトフィット(2022年製作の映画)

4.0

 「テイラー」と聞けばスパイで裏切者、そいつがシカゴでアウトフィットになってるならヤバい話に決まってる。
 と思い込んで見始めると、そのテイラー氏は英国人?で、ますます「もぐら」臭くなって、やってくる
>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.1

 モナという娘については身分証の類はまるでないそうで、ならば「モナ」という名も本当かどうか、ただ、気に入ってるならそうなんだろう。
 気に入っているなら、捨てた親に付けられた名でもいいのだろうか?嫌い
>>続きを読む

子供の眼(1956年製作の映画)

4.1

 1956年の修くん、戦争がなかったらなぁ。
 と云う映画ではないのだが、おそらく戦後生まれであろう修くんではあるものの、もし戦争が無かったら、母ちゃんは死ななかったかもしれないし、父ちゃんも新母ちゃ
>>続きを読む

カルメン純情す(1952年製作の映画)

4.2

 一年前意気揚々と里帰りしたおきんちゃん、もといカルメンであったが、その芸術家魂は相棒、朱実の女剣劇への転向により大いに揺らぎ、今またカルメン自身、フランス帰りの前衛芸術家に秘めた恋を寄せるに至って更>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.1

 気が付けば犬居勢はおろかアメリカの軍門にまで降って、いま霧を割って現れるのは蜘蛛巣城址。その戦後も終わったと告げられて、むかし「アジアの盟主」とされた予言の正しさもいっときの事、すべて悪い夢だったと>>続きを読む

フル・モンティ(1997年製作の映画)

4.1

 そういえば日本でも電線やマンホールのふた、果ては何かのボルトナットまで抜き取って盗まれるという。ただ、それは取られる側からすれば盗まれるのであって、持ってく側からすればおまんまのネタの仕入れだったり>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.1

 こんな政府のことだから、いづれ「PLAN 75」から「The Plan」という、国庫に一文も入れられないだの、国に世話を掛けっぱなしのムダ飯喰を一掃する包括的プランに移行するのは目に見えている。ナチ>>続きを読む

結婚期(1954年製作の映画)

3.5

 日比谷の東宝からほんの数ブロック、当時は有楽町だった東京都は映画「生きる」の好評にいたくおカンムリであった。
 どこぞの田舎町の振りをしてるが、あれは東京都への当てこすりだ。現にあの総務課長も助役も
>>続きを読む

野性の葦【HDリマスター版】(1994年製作の映画)

4.1

 高校生四人、女が一人であとは男、これでどんな人間関係が成り立ってゆくだろう。それを左右する、とまで言わないが彩るのはその現場がフランス南部、パリとは歴史的な確執を下地に残していそうなトゥールズ近傍の>>続きを読む

宮澤賢治 -その愛-(1996年製作の映画)

3.7

 賢治の後ろめたそうな感じが一家を不幸に引き摺りこむようで息苦しい。実際、賢治はあの通り親不孝を自らに課すように不摂生に励んで死に急いでしまう。
 考えるまでもない、賢治は必要もないのに劣悪な生活環境
>>続きを読む

デリカテッセン(1991年製作の映画)

4.0

 むかしむかし、うまい肉と言えばクジラと決まっていたが、それは牛なんて滅多にゃ食えなかったし豚はさっぱりうまくなかったから。なんで不味いかと言えばろくなエサを呉れてないから。アメリカじゃトーモロコシな>>続きを読む

ハワーズ・エンド(1992年製作の映画)

4.1

 原作者フォスターとは、この物語では高等遊民的シュレーゲル家に属する格好だ。すると、落ち着き払った様子のマーガレットも矯激なヘレンもフォスターの分身のようなものだろうか。
 現世のフォスターひとりでは
>>続きを読む

サマータイムマシン・ブルース(2005年製作の映画)

4.0

 未来が過去に干渉するというなら甲本瑛太が「田村」に改姓すると言い出すに至ることこそ大干渉の成果だろう。一方でパラドックスが起きないように人生最大級に頭を回転させても、逆に「ヴィダルサスーン」的になん>>続きを読む

秋日和(1960年製作の映画)

4.3

 ひとり居となる母親を慮って娘は結婚を先延ばしに捉える。その娘ももう24だそうで、周囲の者がざわめきだす。すなわち、アヤ子君(娘)は秋子さん(母)が大学の寮友三輪に嫁いだ齢よりもう上にいってるんだ、と>>続きを読む

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.0

 その、三悪人がかの秋月党の野郎どもなら山名勢は聖戦士とでもなるのか?
 なにしろ戦国時代だから、隣国秋月を打ち破る事の理非は訊ねようもないが、負けた秋月はもう史書を編む余地などない。だから三船以下三
>>続きを読む

Naked Singularity(原題)(2020年製作の映画)

4.0

 アメリカに限らないだろうが司法の世界の一部には「特異点」があって、それは国選弁護人なんかに頼らざるを得ない容疑者たちには「収監」と呼ばれている。
 司法というブラックホールに嵌って、いくら無実を叫ん
>>続きを読む

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)

4.5

 元を糺せばコワルスキーがSFへの戻りを急いでいたからなんだが、死ぬほど気の急く用事、それとも相手がいたのか?気付け薬と与太話のついでにケチな賭けを始めて、まさかそれで死ぬ気で急ぐワケもあるまい?
 
>>続きを読む

明日はない(1939年製作の映画)

4.0

 言葉は受取り様である。「明日はない」と聞かされては夜の闇に消えたエヴリーヌの辿る先は大方知れている。しかし、息子と昔の恋人を共に偽って手放したこの夜の明くる日を"lendemain"と告げるだろうか>>続きを読む

>|