otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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波の塔(1960年製作の映画)

3.8

 政治ブローカ南原のアクのなさ、むしろさわやかな左翼崩れが保守政治と官僚組織の腐敗に身を挺した贈賄を仕掛ける、みたいな雰囲気ではないか?それでも、南原の後ろ暗さに一歩退き、純愛に心が開けなかった有馬が>>続きを読む

ミケランジェロ・プロジェクト(2013年製作の映画)

3.8

 ここだけのはなしである。'44年初頭にはヒトラー排除をやむなしと念じていたロンメルが、連合軍のフランス反攻に押されて後退するかたわらで目撃したのは、総統の美術コレクション疎開であった。もとより軍人で>>続きを読む

他人の顔(1966年製作の映画)

4.0

 「男の顔は履歴書」だなんて、安藤昇や伊丹十三ならともかく、技術担当常務「わたし」には立派な技術経歴書があるはずだ。もっとも、それを消し飛ばす過失で「わたし」は自分の顔を顔でなくしてしまい、もう経歴書>>続きを読む

クロエ(2009年製作の映画)

3.7

 娼婦クロエが何をもって人生これまでとしたか、あれだけの事実でわかったとさせていいのか?クロエはキャサリンに願いを問われ、キスを求めるが、母親のような相手で、しかも常にクロエに対して娼婦という立場を忘>>続きを読む

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)

4.2

 隣家さえ見つけ難い広い農地と樹叢が繰り返す丘また谷。そんなアメリカのハートランドから夫と息子、娘を農業祭に送り出せば、メリルは無人境での四日間、渡米20年目に選んだはじめての私は私のもの。ヒマかい?>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.3

 長生きの秘訣がときに死んでみて命を休ませることだとしても、知ってるヤツがどんどん亡くなってたら生き返る気もしなくなるだろう。ところが、かと思いきや旧友ザーリェの後追いで死んだ"ゴッドファーザー>>続きを読む

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.1

 ピアノの精がヒトに生まれついてしまったような不自由と違和感に苛立つのかと想像したら、性同一性障害があるなら精不同一性障害もありかと。誰も知らないAdaの悩みはどこまで拗れどう解決するだろう?
 もの
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まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

4.3

 半世紀くらい前にみたテレビのロードショーでは天使の羽でも生えてそうなプラムピック王の入院志願まででプッツリ途切れていて、反戦色べったりな感じだった。

 なにを軽く見たのか、ほんとの最後は「狂気」の
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どろ犬(1964年製作の映画)

4.1

 刑事に徹すれば家族が逃げる。刑事訴訟法が改まれば刑事の流儀が乱される。親告罪を盾に強姦事件を金で買う企業の重役とそれを唆す弁護士、しかし、みな合法で、泣くのは親告を阻まれた被害者ばかリ。そのうえ刑事>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

4.1

 文化が違うとタイトルもこんなに違って来る。オリジナルのギリシャ語も英語もそれを「犬歯」としているが、日本人はどこから思いついての「籠」なのか。焦点の女はまだ若いから「乙女」、塀、檻、匣の中より乙女っ>>続きを読む

夏物語(1996年製作の映画)

3.9

 結局、作曲家らしくレコーダーおたくというわけか、それとも三角関係を一方的に清算する口実でレコーダーに乗っかったのか?高等遊民的身の丈的な二人を遠ざける汽船に何故かせいせいする。そんな港湾労働の日常が>>続きを読む

空腹(2019年製作の映画)

3.9

 なんとなく食べ物を分け合って仲良くなったストリート爺孫もどきな二人の拾った500ルピー+α有効活用法。
 本来なら、ふたりシャワーを浴びて、古着の貸衣装を借りて、タンドリーチキンをひとつづつで打ち止
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痴漢電車 下着検札(1984年製作の映画)

3.6

 満州某も黒真珠の置き引き被害に遭って爆殺ぐらいじゃ死にきれない。それを鉄警にも頼らず半世紀掛けて恨み骨髄の皇姑屯まで黒真珠を呼び戻すという。

 息の長い呪力だが、それが日本では、痴漢電車で怪しい探
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アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

4.0

 探検家、冒険家、商売人に山師と、功名と儲けに目が眩んだ連中が地球中を荒らしまわってもどこからも生きたアンモナイト発見の報が届かない。ライム・レジスを始め各地の特定の「古い地層」だけでザクザク出てくる>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.0

 スェーデンは中立国だがロシアは地続き、中立を強いられるほどの有事懸念があるはずだが?
 同国民トマスは日頃気にも留めずに、俺に任せろ、な態度をとっていたかもしれない。それで、頼れる上司とか強い父ちゃ
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不倫期限(2010年製作の映画)

3.9

 ものは考えようで、こっそりやってるから不倫も楽しいんじゃないだろうか?不倫の二人のその傍に不意に奥さんが乗り込んできたら、押取り刀で無くたってこれは肝が冷えるだろう。娘の歯列矯正の説明だけのはずが、>>続きを読む

キャッチ22(1970年製作の映画)

4.0

 この話のおもしろいのは連隊の厄介者ヨサリアン大尉が上官からもイライラされながら、なぜか任務から外されない事。ご当人も正気でないアピールを努力してるのに、さっさと外してしまえばお互い好都合なのに、であ>>続きを読む

日本列島(1965年製作の映画)

4.0

 専門家が見ればニセ札と分かる水準のものが大量に出回っていたら、みんな心配で買い物もできなくなるだろう、これが通商破壊になる。ところが、専門家が本物をニセ札と間違えるような精巧品があったらどうだ。
 
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

 800席って言ってもいきなりNYCの真ん中でクセ者マイケルを相方に釣ってきてカーヴァーの芝居だなんて。プレヴュー公演なんてハプニング続きだし芝居のよさなんか霞むばっかり。役者が悪目立ちして話題をさら>>続きを読む

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.0

 退屈なくらい静かな夜を壊さないよう、みな気を使っているのか?ここは、NYCでもワイオミング、テキサスでもない。オールズモビルがまだ生きている製造業の国ミシガン。堅実に働いていつもの時間に帰宅すれば家>>続きを読む

ウィッシュ・ルーム(2019年製作の映画)

4.0

 レストランや体験型施設の営業、オーダーメイドホテルでメロウな一夜を、なんてどうだろう。ところが消費に真っ先に走ってしまうのが人情か?第一号が酒瓶と云う辺り、以下、ヨッパライ頭の考えそうな事というわけ>>続きを読む

アイデンティティー(2003年製作の映画)

4.0

 はて?キラー息子ティミーと共に炎に消えたジニーはすると何に相当するのだろう。殺人鬼を宿した子どもの頃のマルコムにも手に掛けられない誰かがジニーであるなら、マルコムはフロリダの楽土、オレンジ畑に母親の>>続きを読む

太陽を抱く女(1964年製作の映画)

3.6

 誰がなにを抱いたとな?

 終わってみればヒロイン?真理明美が家政婦で入った代々木上原の家のみんながそれぞれ夢か希望か何かを抱きとめた格好なんだが、肝心の真理はテレビ通販ショーかな?飛び入りモデルの
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スプリー(2020年製作の映画)

4.1

 おもしろい事に小学生の多くが将来ユーチューバーになりたいと言い出しているそうだ。ちょっと前までお菓子屋さんとか野球選手とか具体的な仕事がわかる話しを子どもでもできていたのにユーチューバーではただ自営>>続きを読む

ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.1

 新米外交官㊙現場教程之一、色仕掛け。などと読んでは興ざめか?とはいえ、この退屈な地中海の向こう岸で年老いた国家フランスが伸ばす新芽一本を翻弄する熟女の正体不明だなんて気持ちよくあるまい。

 仕掛け
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小さなスナック(1968年製作の映画)

3.9

 奈々と弘のためにパープル・シャドウズが新曲を披露してくれるという。この奈々が実はひとの妻で、彼女の一家には命綱だという事なら「15で年老いた」マルグリットのラ・マン記が思い出される。
 Mが倍は年上
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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

4.0

 死刑を待ちながらジョージがアンジェラとの事を反芻するようだ。そうすることで殺したんじゃないアリスの事を胸底に塗り込め、将来あるアンジェラを庇い彼女との関係を口外しないよう努める心の歯止めとするのだろ>>続きを読む

チェイシング・エイミー(1997年製作の映画)

4.2

 ひとめぼれなんだ、と言って押しかけて来る男がいる。何の脈絡もない通り魔がいきなり切り出してくる言葉の暴力には違いない。こんな手合いを追っ払うならレズだよと示してやりゃあ、たいがい悪態の二つ三つ吐いて>>続きを読む

夏をゆく人々(2014年製作の映画)

4.3

 ラクダなんぞを連れて来ておかみさんからは出てけと云われるヴォルフガング。ドイツ人らしい響きで、トスカーナの山中、はちみつ採りで女ばかりの家族6人を率いているのが不思議な感じだが、流れ者の雄が養蜂家族>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.1

 さて、SDGsなためには何がまず改革されるべきだろう。イーサン演じる実は人生にも信仰にもくたびれ切った牧師エルンストの場合、「豊かな暮らし」を唱える教団の傘下で合衆国最古級教会「第一改革派教会」の看>>続きを読む

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)

4.0

 いそうでいないのが神様なら、いないだろうと思っていたのに会ってしまったなんてのが死神かもしれない。「自己視」なんて、自分自身と出会ってしまうと間近の死が避けられないという。そんな死神のような「自分」>>続きを読む

秘密と嘘(1996年製作の映画)

4.1

 たまにはこういう、男が小じっかりした話に接するとほっとする。細君がかかえる辛い事情も姉貴の嵌まった困難もこうすればどうにかなるだからそうしなよ、といえた問題ではない。どちらも20何年にわたる厄介事だ>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.2

 もともと堅気には見えなかったコズモだが、まさかそんな前があろうとは。
 二晩で5人を斃し、二派のギャングから賞金首とされてるはずなのに、いかにもついでの事といわんばかりだ。これは監督が肩透かしを食わ
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パリの灯は遠く(1976年製作の映画)

4.1

 ナチス占領下のパリで商売に弾みがつくなんてよほどの嫌われ者だろうが、A.ドロンが演じるとそれも様になってしまうからなおさら癪にさわる。しかし、彼はこの手の役が似合っている。それどころか、こんな物語の>>続きを読む

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.0

 カメラが道端で立っているとベンが道の向こうからやって来て、ハトに豆鉄砲でも食らわせているわけである。ホゥという感じでそいつにくっ付いていくとあれこれ起こるわけである。
 このベンが色黒の白人なのか色
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.0

 黒タイとツラ付きを見ればどの筋のものかは知れるものの、あれじゃ知れ過ぎだろう。マドンナの巨根が中国女のウェイトレスにチップで税金をと、和気あいあい朝食会の意味不確定井戸端会議野郎どものダベリを聞かさ>>続きを読む