otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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ドリームランド(2019年製作の映画)

4.2

 1955年、三十路も間近なフィービー・エバンスが語りだす20年音沙汰なしな兄の話が、語られる経緯も分からないまま続いてゆく。姿も見せず、人殺しの兄から取り残されて物語を終えるフィービー、当の兄の物語>>続きを読む

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.9

 学校に制服があるのは学友としての一体感を演出し、個々の生徒の背負う文化やその家庭の社会的位置、経済状態などを覆い隠してカーストも階級も外形上は生み出させまいとする配慮にもなっている。
 それでも学校
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君のためなら千回でも(2007年製作の映画)

4.0

 ものごころの付き方なんて子どもそれぞれで、置かれたところ、親のようすや事情によっても具合が変わってくるもんだ。そこが親の背中を見て育つという所以だが、アミールも父親のムスリムらしからぬ暮らしぶりとい>>続きを読む

女優(1947年製作の映画)

3.7

 山田五十鈴には黒髪、黒紋付が似合う。松井須磨子でノーラとはいえ白髪頭の五十鈴顔、この五十鈴顔も野良から上がったばかりな風から始まって研修生正子の颯爽としたまではいいのだが、いまひとつ須磨子とノーラの>>続きを読む

鷲は舞いおりた(1976年製作の映画)

4.0

 気を付けないといけないのはドイツには議会もなく、ナチスにはヒトラーの下知を評定する仕組みもなく、ヒトラーが思いついた秘策は達成されなければならない事だ。
 きのうムッソリーニを生還させたなら明日はチ
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ウルフズ・コール(2019年製作の映画)

3.6

 フランス艦のソナーは艦内「事情」もよく聞こえるようだ。豪州がドイツからフランスに製造を乗り換えたのが原子力推進を念頭に置いたためだとしても、乗員がこの映画を見たらボイコットしたくなったかもしれない。>>続きを読む

ウナ・セラ・ディ東京(1965年製作の映画)

4.0

 なにしろミルバのイタリア語であるから、この意味深遠な語感のトーキョーが、元は「東京たそがれ」というものであって、なるほど、鰐淵と園井の始まるや忽ち遠ざかっていく恋愛のたそがれ感を、アアこれが、ある青>>続きを読む

寒い国から帰ったスパイ(1965年製作の映画)

4.0

 生きようか死のうか、冷戦下の東西を分ける壁の上でひとりぼっち。とっさの判断を迫られたリーマスは先に逝ったナンシーのかたわらで死ぬ事を望む。咄嗟とは言え、それはリーマスが生きた39年を清算する判断であ>>続きを読む

無理心中日本の夏(1967年製作の映画)

3.9

 うつろな男と生きものまる出し女が屍を乗り越えてファイトで"一発"かますまで。そのあと安らかに一服喫いつけて権力?体制側?に投降するのか「アンチ」の偶像かなんかで名を残すのか。時代が時代だしどっちでも>>続きを読む

トスカの接吻(1984年製作の映画)

4.0

 ヴェルディの館でなんで「トスカ」なんだと思ったら話中、実際に「トスカ」が始まってしまう。歌姫トスカをサラ・スクデーリで、対する悪役スカルピア警視総監はロカーポ。接吻に替えてナイフを繰り出しロカーポの>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

4.0

 過去がない、とはワケありという事。午前4時のヘルシンキで往く当てもなくついでに記憶まで失くしてしまい、そのワケはお預けという次第。

 自分が誰だか知らなくても身についた習性は変わらないわけで、この
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ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

4.2

 夜の闇に紛れて犬も手懐けてひっそり馬を盗み出すウルザナらの動きは荒事を厭わないアパッチには不似合いだ。幽閉同然な居留地を抜け出して目指すのは米墨国境、追っ手を引き離すなら先ず気付かれない事だ。アパッ>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

4.0

 フィンランドとスウェーデンが仲良く作った映画から30年後、今度はNATOに加盟したいという。むかしはちょうどバルト三国が相次いで主権を宣言した時分で、怨敵ソ連のペレストロイカも始まりから何年も過ぎて>>続きを読む

裏切り者(2000年製作の映画)

4.1

 ホアキン・フェニックスの酷薄ささえよく調った悪人面にはどこか、あるいは、悪党風だからこそかもしれない、除け者、はぐれ者の辛さがよく映える。こたびは地下鉄電車の保守整備会社、看板こそ堅気だが、そこの営>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.1

 ヒモ男アキヲを結わい付けた茉莉子の臍帯が断たれて、ようやっとアキヲも自立できるのかもしれない。
 一方、それを男運とは言いたくないのだが、十七で茉莉子がめぐり逢ったのがアキヲでなかったら、とつい思っ
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チワワちゃん(2018年製作の映画)

4.0

 チワワちゃんのおイタ以外実現無理なスイッチオンでアッて間に600万スチィール。これでみんなの人生が狂うかと思うかな?
 考えなくても一人あたま100万そこそこ三日もあれば使い切るのが当たり前。しかし
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プライド 運命の瞬間(1998年製作の映画)

-

 「判官びいき」があるように「東条ぎらい」もまたあるのだろう。その東条が、東京裁判の判事のひとりでありながらその在り方に疑いを持ち、東条を始め被告らの無罪を主張したパル判事を紹介するはずの映画を乗っ取>>続きを読む

途切れない電話/Call Waiting(2020年製作の映画)

4.1

 どういう家庭なんだろう。アパートでシングルマザーに兄妹はやっと6歳と3歳?職業は救急電話の受付。いつもならベビーシッターも託児所も使えるのだろうが、コロナのロックダウンの下でさらに緊急要請でなければ>>続きを読む

白い炎(1958年製作の映画)

3.8

 ちゃぶ台返しが見られる映画も珍しいだろう。戦争前くらい古いものならありそうな気もするが、占領も「戦後」も終わって主演男優も非戦闘員な雰囲気の時代も終わって、ちゃぶ台返しありな男が復権したんだろうか?>>続きを読む

この空のある限り(1964年製作の映画)

4.0

 生き別れとなった母親に会いたいとはどんな心境だろう。あるいは、どこかで自分と会う事なく暮らしているその人の、未だ現にいるかもしれない、いなくなる間際かも知れない、という。そんな母親の不在、同時に自分>>続きを読む

(1959年製作の映画)

4.0

 戦争から十何年も経ったのに元艦長、笠智衆のファンクラブは盛んだ。沖縄に出撃して、その乗組員について婿殿、谷口から殊更無駄死にと言い切られたというなら坊ノ岬沖海戦の参加艦だろう。そののちに提督となった>>続きを読む

110番街交差点(1972年製作の映画)

4.2

 実は警察もマフィアも黒人ギャングもみんな、なあなあな関係だったんだそうな。ところが、そんな黒い蜜月関係が一介の素人強盗団による白黒ギャング皆殺しが切っ掛けだったかのようにして揺らぎだす。

 金持ち
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さよならぼくたちのようちえん(2011年製作の映画)

4.0

 余命幾許という友だちをお見舞いに園児5人がこっそり家出するという。たぶん小学生くらいなら「家出」の恰好なんだろうが幼稚園児では「園出」となって、ニヒルでフロアレディに転職したい満島ひかり先生にも大迷>>続きを読む

「お電話ありがとうございます。」(2017年製作の映画)

4.0

 銀行のコールセンターで一番働いてるのは誰だろう?
 それはキーボード担当のダグ。保留音、実は手仕事だったんだ、ごくろうさま。

 158,967人目、発音の難しいShek氏は250万$掠め取られても
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フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

4.2

 チッタ本人が嘆いている通り、子どもから大人への端境期での人生初事件、ときっぱり展開すれば結構な方で、実はおあずけ中、未遂状態継続中、欲求不満てんこ盛りといった感じであろう。
 15歳にもなってまだ半
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.0

 秘密基地を構えるのは男の習性と思っていたら、こ奴らただ者ではない。名前からしてハダシ(グアムよりゴッホ的タヒチ。ワイキキより鯨波、瀬波の濱)にビート板(サイエンティフィックに浮きまくる?)にブルーハ>>続きを読む

モ’・ベター・ブルース(1990年製作の映画)

4.2

 デンゼルの天才を闇を抱えたスパイクが食い潰してゆくような成り行きをどう食い止めるのか。天才トランぺッターは一度もレコーディングへ臨むに至らず、ブルックリンから世界に踏み出す事もなく、アメリカの歴史の>>続きを読む

がんばれ!盤嶽(1960年製作の映画)

3.9

 裕次郎、雄三だと宇宙人的、等もちょっと、という人でも、こちら、桂樹=盤嶽なら、と頷けまいか。とは言え埼玉県久喜市栗橋の田舎にあり、名門ながら貧乏剣術道場で師範代から下男まで喜んで一手に引き受ける人の>>続きを読む

ポッポー!(2019年製作の映画)

4.0

 時計の精?目覚ましの精?現代的消費文化の波に洗われ勤勉性もゆらぎ勝ち。クイズで当てた賞金がレンジになり、電動肉切りカッターになり、次はパソコンをと思った途端まいどの時報でポカしてお払い箱。のんびりの>>続きを読む

ブロークン(2008年製作の映画)

3.4

 自分の分身を発見してこれを殺したジーナだが交通事故でどうやらその事実を忘れてしまったらしい。自分の分身に怯える事自体が妄想性の病気、カプグラ症候群であるというなら、自宅にいて殺されていた分身とはどこ>>続きを読む

竜馬の妻とその夫と愛人(2002年製作の映画)

3.7

 竜馬ファンなら事実はどうあれ、こと暗殺の下手人を捌くとなれば、暗殺者の情念と決心、道理と迷い、さらに悔悟から立志、また落魄から活人と向き合って、そのとき何が、それから何が起きたのか、ある事ない事、暗>>続きを読む

我等の生涯の最良の年(1946年製作の映画)

3.9

 アメリカの独り勝ちのような戦争だったが、本当に勝ったのは米軍以外なら戦争成金たちだけかもしれない。そんな成金風が搭乗手続きに持ち込む航空貨物のゴルフ道具一式、こいつに追い立てられて帰還兵フレッド空軍>>続きを読む

透明人間(2019年製作の映画)

3.8

 透明スーツを着ればやりたい放題。刃物を持てば喉笛を掻っ切るのも平気になるらしいが、そんな妙技と凶行にも動じない図太い神経の持ち主に身体変工してくれるシステムまで込みなら誰でも即席諜報員、某機関垂涎の>>続きを読む

サラリーマン手帳 夢を失わず(1961年製作の映画)

3.4

 和田誠に「夢を失わず」なんて見せられたら、どこのどいつが何を夢見たって?と思ってしまう。ところが出てきた唐変木はずぼらで金欠、押しまくりと仕事そっちのけなのは植木等風だが、山でイノシシでも撃っていそ>>続きを読む

アサインメント(1997年製作の映画)

3.9

 戦争にはルールがあるし、軍にもモットーがある。だから、作戦では友軍を撃たないための慎重さが求められるし仲間を見捨てない事も尊ばれる。そんな軍人の価値観を返上してルール無用の最凶テロリストに成りすまし>>続きを読む

ハスラー(1961年製作の映画)

4.3

 負け犬ポールがイヌで負けて一匹狼で消えるまで。

 女一人見殺しにして、プール賭博にまつろう男たちの非情さに向けて、泣き言を怒りに、怒りを気魄にしてふたたび王者ファッツに挑む。賭場の空気を伝える名場
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