otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

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レスラー(2008年製作の映画)

4.2

 プロレスラーの凄みは相手がどんな技を仕掛けて来ても受け止めて凌いで、相手にも技を決めさせるところにあるのだという。そんな技の応酬の末に決め所、その日の勝ち負けは予定通りなわけなんだろうが、鉄条網にス>>続きを読む

午後の遺言状(1995年製作の映画)

4.0

 杉浦春子、人生濃縮の夏休みである。しかし、濃すぎてひとりでは賄いきれず別荘管理の音羽、昔の同僚朝霧を始め老若男女総動員である。番外として大工のろくべえが棺の釘打ち石で代打出演するが、あー、これが麿赤>>続きを読む

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)

4.1

 英語教育が'45年に再開したなら、その頃の中学生はほぼ30歳。彼らの大半が結婚し子も儲けた時分だろう。「江分利満」を「エブリマン」と読み解いて、ああ自分の事か?と思わずに居られただろうか。そして、氏>>続きを読む

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(2007年製作の映画)

3.7

 つい合衆国を率いているのは大統領だと思ってしまうのだが、一下院議員が大統領も二の足を踏む実効性のあるアフガン介入に奔走するという。これは越権行為ではないのか。さらに、チーム・チャーリーが秘密作戦とい>>続きを読む

ハリエット(2019年製作の映画)

3.9

 伝記映画なので創作を交えまいとしたものだろうが、映画制作者とすれば夫ジョンのその後が気になるのが人情ではあるまいか。しかし、ハリエットがジョンの再婚を知ってのちの事を伝記作家にも誰にも打ち明けなかっ>>続きを読む

すぎ去りし日の…(1970年製作の映画)

3.9

 煮え切らない男の三角関係に死がケリをつけてくれるが、どうやら望みの落とし前にはしてもらえそうにない。妻レアを嫌ったわけではなく、ロミーと割ない間柄と落ちて1年、ところがどうもこの男、元の鞘に未練いっ>>続きを読む

サブウェイ(1984年製作の映画)

3.7

 ンだこりゃ?パリじゃオペラ座も地下鉄もよけいな穴だらけ?
 その昔は定員1名だった地下がどうだい。住所不定悪党などナンボ養ってるやら。トンマ鉄警にドラムスティックのジャン、奇人、怪力、刺激も振動も寝
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男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976年製作の映画)

4.1

 満男は生まれついて寅叔父さんの写し鏡のような役回りを負ってしまったらしい、顔まで似てるなんて。
 すると、小学校に入った初日、さっそくあの寅さんが叔父さんというので笑われてしまう。それには社長まで全
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.3

 「ファーザー・クリスマス」と軍曹が英軍の大中少佐を前に宣う。所長大尉になりすましたクレージーなヨッパライ軍曹の猿芝居でも、それに続けて営倉暮らしを解除してくれるのならもっけの幸いだ。出てけ、といって>>続きを読む

ガリー(2019年製作の映画)

3.7

 寿命の短さを競うような荒っぽい日々も刑務所送りで断ち切れる。しかし、その先、更生の難しさに音を上げて元の暮らしに戻るのか、3人組の兄貴分グレッグのように孤軍奮闘を忍ぶのか。
 フーテン3人組のニッキ
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揺れる大地(1948年製作の映画)

4.3

 若しくは「われらの海」。そのむかし、数寄屋橋で「われらの海」として見染めたそれは今では10チャンネルの「揺れる大地」に身をやつしていた。
 周期数百秒の帯域で固体地球が振動し続けている事は"常時地球
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吹けば飛ぶよな男だが(1968年製作の映画)

4.0

 吹けば飛ぶよに見えて、実際吹かれて飛んでくよな事しかしないなべである。組内ではシノギ下手で末席にチンとした轟(一家)の犬塚弘を大兄貴と見上げる、誰の盃ももらえないなべであるが、魔子をネタにスケベ映画>>続きを読む

突入せよ!「あさま山荘」事件(2002年製作の映画)

4.0

 佐々淳行の印象は土方歳三のようなものに近かったのだが。それは措くとして、1975年、佐々にはCBEという大英帝国勲章コマンダー・ランクが授けられていた。「イギリスのために重要な業績を上げた外国人」と>>続きを読む

ハナ肇の一発大冒険(1968年製作の映画)

3.6

 思いつく限り、あらゆるネタと雰囲気を撮り揃えましたという感じだが、さすがに地に足の着いた塩梅で、宇宙人に怪獣、スパイも黒い霧も化け物も出てこない。しかし、ダイヤ何百億だの、ハワイを差し置いてサントロ>>続きを読む

春の鐘(1985年製作の映画)

-

 無駄に長いようでいて、ブツ切りにすれば夜の一戦のおつまみに。ともかくこの映画以降、奈良盆地はラブホ激戦。薄墨の夕間暮れ桃色バブルの花盛りに大和し麗し。

 ゴージャスに三田佳子、呆れて去った男への恨
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.0

 大統領と金部長が差し向い「あのころはよかった」と日本語で唱和するのが妙にわだかまる。「あのころ」とは、ふたりが同期で過ごした士官学校の第2期生時代、'46年からの事だろう。朝鮮戦争も分断も民主政府の>>続きを読む

霧の旗(1965年製作の映画)

4.0

 桐子と大塚弁護士、場末な酒場で女と客の装いのはるか奥では互いを蛇蝎のように感じてるだろうに。

 弁護士の愛人新珠が二股掛けた第二の男、川津。これが殺されて、新珠、第一容疑者に目されるが、別のホンボ
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星屑の町(2020年製作の映画)

3.8

 死ぬまで、口パクでもステージで。のつもりの、旅を枕のGS(ジーチャン・サウンズ)がワケ有り娘の飛び入りで人生の岐路に。いまさらどうせぇと?
 若さに引っ張られて老残を乱すのか、能年ショックで噴出
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おちをつけなんせ(2019年製作の映画)

3.8

 遠野に根っこを伸ばした能年が妖怪や世間を引退して去った祖母ちゃんの吸収分解に苦心するが根っこの好みじゃ仕方ない。そうでなくても怒りあふれる時代だなあ。世界はますます大きく開けるのに自分の根っこは遠野>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.3

 いつかパリを訪ね当てたハンターが、写真のその地所で十字に並んだ小石と小さな皿を見るだろう。棲むものの絶えたパリの入日から夜明けまで。その小塚のかたわらを去る時再びここに流れ着くことがないとはまだ知ら>>続きを読む

否定と肯定(2016年製作の映画)

4.0

 2013年改訂以前の英国の名誉棄損裁判は、はじまりは「紳士の試金石」という受け止めに代表されるようなもので、名誉を汚そうという悪党には決闘による死の代わりに多額の訴訟賠償費用を負わせたうえで卑怯な噓>>続きを読む

コズモポリス(2012年製作の映画)

3.9

 AIに頼めば少しは分かりやすくしてくれるか?
 「自由」であろうと賢く獰猛に世渡りしてきたものの、案外一番不自由そうな社会のダッチロールのお蔭で失速間際。ちなみにそいつの今は無きテールウイングには「
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フェンス(2016年製作の映画)

4.2

 もの事はなかなか思うようにいかない。「我が家」というように庭付き一戸建てを構えて、もの固く清掃局の仕事にも前向きに取り組み、細君に二人の息子をもうけていても、夫トロイの半生は大嵐の水浸しだ。

 1
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賭博師ボブ(1955年製作の映画)

4.0

 大博徒のボブ。ツキが落ちた今だから狙う山はドンと8億。今夜は2万の負けだから向こう4万日、何百年でも負けられる。しかし、生涯すべてのツキを注ぎ込んでもカジノ大金庫を陥落できるか?
 ノワールな'55
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アーニャは、きっと来る(2020年製作の映画)

4.1

 収容所に送られる間際の駅頭で、隙をついて幼い娘アーニャを見ず知らずの人に預け、父ベンジャミンも姿をくらます。それが何年前なのか、戦争が終わった夏、すっかり大人びたアーニャが妙にさばさばした感じで父親>>続きを読む

それでも恋するバルセロナ(2008年製作の映画)

3.7

 中沢新一とウディ・アレン、端無くもバルセロナを印象付けるのに似たような男の姿を提示してくる。
 中沢が「秘数3、バルセロナ」で語る、裏側の哲学味はとっくに忘れてしまったが、その哲学性に手足頭とあそこ
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スモーク(1995年製作の映画)

4.1

 昼日中から煙草屋、とは名ばかリほぼ雑貨屋でのらくらしているようでは碌なもんじゃない。加えてご禁制キューバから葉巻まで仕入れて、犯罪行為+毒を常食するパー助どもだ。お蔭でお気楽な雰囲気が結構ではある。>>続きを読む

愛の讃歌(1967年製作の映画)

4.3

 癪に障るが、年寄りは若い者のためにある。とでも思うしかあるまい。

 取舵一杯に取れば渡し船だって黙っていても太平洋に出ていける室津から面舵切って本土へ、一日も休めず二十往復する若き舵手兼甲板員兼機
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なつかしい風来坊(1966年製作の映画)

4.3

 寅次郎が若尾文子の湯浴みにあらぬ事を想像したばつの悪さからおいちゃんに「なに考えてんだ」と絡むと「おめえと同じことよ」と返され、結果一層ばつの悪い思いをする。しかし、ここが寅次郎の得な性分でわだかま>>続きを読む

大怪獣東京に現わる(1998年製作の映画)

3.9

 おもしろいことに大怪獣も東京もでてこない。代打として桃井かおりと福井県三国温泉が出てくるので何の謂れかと思うんだが、最後彼女や友だちの一家が美浜原発でお祭り騒ぎの末死んでしまうという運びで何だこりゃ>>続きを読む

新・蘭の女/ブルームービー・ブルー(1992年製作の映画)

3.9

 ふたりでナニする前に盛り上がっちゃおう、みたいなつもりで見ると後でカノ女の反りの合わない部分が分かってきたりして、脳みそに回す血流を惜しんだために切られてしまうなんて。
 まむしドリンク追加みたいな
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九ちゃんのでっかい夢(1967年製作の映画)

3.8

 こう監督につきまとわられちゃあアドリブもきかねえぜという感じ?横浜といえば裕次郎にエースの錠だろなんて時代ももう終わりなのか?浅草の劇場もまた下り坂で横浜に宿替えかと思ったら、実際、中村川の奥、三吉>>続きを読む

風と女と旅鴉(1958年製作の映画)

4.3

 「おめえ、幾つになったんだ」
 たったいま背後を狙った相手は隙も無く、水辺に屈んだなりから浅瀬に走り込みすでに抜刀して向き合って来る。しかし力が抜けたように洩らした言葉はそれだ。一見して錦之助の賞金
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グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

3.8

 なぜか豹変した教授が刺激的な授業に挑み始める。文学を愛し、性と酒と薬で自分を開放し新境地に立ち向かうほか癌が脳に転移したような馬鹿な条件が幾つか、これに賛同できないものはC評価。おもしろいには違いな>>続きを読む

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)

3.9

 ひさびさ、「男のロマン、女の不満」なんてことを思い出してしまった。
 そりゃあ不満だろう持参金を塩田に投資した上がりだから、お家再興と武家の面体に関わる始末のための活動費は全て瑤泉院の個人財産で賄っ
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

 「きみの鳥」は「うたえる」というのが幾分呪文のように聞こえる。「僕の歌を聞くことはない」で終わるそれは誰を引き留める文句だろうと想像し給え。で、「その歌はどう始まるの?」と切り返される事に「僕」はま>>続きを読む