otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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リトル・ニキータ(1988年製作の映画)

3.5

 パパとママはロシアのスパイ?いかにもジュブナイル級な設えで当のスパイ夫婦もアメリカよいとこ、いやいやながら潜伏してきた風だったりして、10年前の「テレフォン」の催眠術で有無を言わさず自爆に走らされる>>続きを読む

大当り三色娘(1957年製作の映画)

3.4

 赤青黄色で信号機かと思ったら実際に交差点で出会い頭事故、いずみと達怡が出来上がってしまうので可笑しい。いや自動車事故だから笑っちゃいけない。しかし、それで達怡が担ぎ込まれたのが築5年の厚生年金病院で>>続きを読む

8月の家族たち(2013年製作の映画)

4.1

 オクラホマ州オーセージ郡の夏。郡都ポーハスカのある日の14時37分、晴れ、雲量0、気温は摂氏42度。日本ではこの件ひとつでドラマが作れるだろう。
 そんな酷暑の地になぜ人が入植したのだろう、先住民を
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純白の夜(1951年製作の映画)

-

 木暮美千代のツラが愛だか恋だか抑圧気味な性欲絡みな不満だか知れんが、紳士の前で上流の体裁を取り繕う下での複雑な心理描写のためにブヨブヨするのが気持ち悪い。さらに、それに負けない年増ぶりが三島原作の読>>続きを読む

黒い画集 ある遭難(1961年製作の映画)

3.9

 おまえ俺の女房とできてんな。といわれて共に三大キレットのひとつを目指すか?その前に最も身近な山仲間で上司でもある人の細君を寝取るか?
 全然平気そうなヤツなら逆に小細工されて崖から落っことされるのが
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ミッション(1986年製作の映画)

4.1

 討伐軍の銃撃に倒れるデ・ニーロ神父が身をよじって見つめる先では非戦のアイアンズ神父が弾雨に怯みもせずに教会を後にする。デ・ニーロ神父はそのとき奇跡が起こる事を望んだろう。信徒らを率いた神父が皆と共に>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

4.1

 ハーパーの身に起きている事に恐怖せよといわれても、第三者には先ず、事の発端であるジェームズとの別れ話の始まりが除られているようなところが不審だ。
 そこが監督の作為なのは承知だが、終わりのひとつ前で
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カモとねぎ(1968年製作の映画)

4.0

 カモもただでは葱なんか背負わない。その背負わない葱をカモに背負わせるのがサギ師の腕の見せ所。此度の鴨葱団の大一番は石鹸会社。このカモ、工場廃液は垂れ流すわベーグンのナパームで儲けるわの自称アウシュビ>>続きを読む

黒の超特急(1964年製作の映画)

4.0

 善人はお呼びでない。田宮からして堅気風のばくち打ちという柄で落ちぶれ株屋から転じて郷里岡山の俄か不動産屋。同類の臭いに儲けごころが悶えたのかデベロッパー加東の身辺、腹中なぞ確かめもしないのだろう、土>>続きを読む

ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス(2020年製作の映画)

3.9

 合衆国でのことだが、遺体の写真を撮ったのは肖像画より時間を要さず費用も安く、とはいえ辺境の入植者には一生に一度の散財というくらいの高額ではあった時分、撮影の機会を得られないまま亡くなった身内、とりわ>>続きを読む

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

4.1

 金鉱王の婿に来い。それを真に受けてあんな緑の魔境にやって来たオルメイヤー。娶った王女は金鉱王を目指す山師リンガード船長の養女でマレー人、そういえば女というだけで名前も聞いてなかった。
 緑のモノが死
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囚われの女(2000年製作の映画)

4.0

 偏見かも知れないがフランス男なら岡惚れした娘をつけ回すぐらい朝飯前かとも思うが、これがどうして、ベントレーに座乗したシモンの無表情、底意の知れない空気を纏って始まると新手の「コレクター」によるプルー>>続きを読む

共犯者(1958年製作の映画)

3.9

 殺人強盗が後ろめたいのかと思えば共犯者の消息が知れず神経衰弱気味な根上、新聞広告と手紙の遣り取りで商工特報なるでっち上げ会社の調査員を募り、福岡を根城に高崎在住の元共犯者の身辺を探らせる。
 考えて
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.9

 監督ももう卆壽、なにを叫ぶと思ったら、巻末、13の若者から譲られた雄鶏の「マッチョ」が「朝だぞ」と怒鳴る。年寄りなら無駄に早起きすんなとけしかける様で笑わされた。しかし、ときは1980年、マイロの御>>続きを読む

フィルム時代の愛(2015年製作の映画)

4.1

 結果的に、面白い。

 廃病院と1988年五輪の競技場。いかにもフィルム映画時代と訴える撮影現場だが、そこで起きる「愛」を巡っての映画製作上の意見の対立が説明もないまま発展して殺人事件に絡んでゆくら
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弾丸ランナー(1996年製作の映画)

3.8

 映画は当たり前な人生なんか見せてくれない。うまくいかなくて当たり前なら、うまく死に花咲かせましょうよ、と思い通りにいかない男三人に普通じゃない破滅街道まっしぐらをお見舞いする。
 まっしぐらついでに
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鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.9

 超高純度鉄は生き物の体によく馴染むそうで犬っころのごとく結構、だが鉄男の鉄は永年のヒトと鉄とのお付き合いでお払い箱になったあばずれ鉄。二十世紀末間近になってやっと付喪神が取り付いたような若い暴力鉄だ>>続きを読む

ストーカー(2002年製作の映画)

4.1

 DPEプリントがプライバシー丸出しだと気付かなかった、というよりもみんな同じような家族写真を普通に出しているに違いない、みんなで出してりゃ怖くないだけの事、担当者だってきっともううんざり、誰がそれを>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.1

 荒っぽいのは信条?ところががさつで独善的な男のこころに神様と娘が同居している。その神様とは会った事もないはずなのに恐れ入るのはどういうことか?一方、娘にも今はおいそれと会うわけにいかない。親に相談も>>続きを読む

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

3.8

 所得が倍増したら物価は何倍増?税額は?なんて考えるようならこの映画はお呼びでない。サラリー倍増しに高速度の欲望がメラメラするような輩が求められる。
 この高速度というやつは、かねてより馬で駆ける貴族
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マンガ肉と僕 Kyoto Elegy(2014年製作の映画)

3.7

 女の目は男の何を見るためにあるのだろう。それを寄生し易さを測るのだとすると、代返を断らない、隣り合わせを断らない、居候さえ断らない、脅迫にも応じるなどなど。
 オスなんて強ければいいかというとそう単
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五番町夕霧楼(1963年製作の映画)

4.3

 からだが二つあればふた親と妹らにも会えたろう。三つあればおかあはん等にも挨拶できたろう。でも幾つからだがあっても正順にはもう会えない、だからこのからだは捨ててしまおう。捨てるなら正順が嫌った京で歪ん>>続きを読む

黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年製作の映画)

4.0

 900万も人がいるのに誰も「俺」に見覚えがない。
 だから、秘め事を続けるには好都合なんだが、殺人事件の不在証明となるとどうも不都合だ。やっと思いだした新大久保でのご近所さん小林氏は生憎の秘め事中で
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十三人の刺客(1963年製作の映画)

4.1

 なかなか小気味よいのが中仙道下松での斉韶候通せん坊の件である。鉄砲隊を繰り出しての阻止に倅夫婦を奪われた牧野采女も鞘の勝ちを収めたと言ってもまあいいだろう。
 ならば、それで発砲を命じることができた
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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.0

 魂ひとつに身体もひとつでは我を持て余してしまう。そんな思いで30年、多くの願いを殺し続けてもう限界。
 夜の鏡、疾うに若くなくなった自分を映しながら、心の底にたまった自らの死屍累々たるを感じて、生き
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タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)

4.0

 タミー・フェイの瞳を守るのは付け睫毛、彼女を見る人がいる限りこの衛兵が列を解くことはない。その外堀として永遠に消えないアイラインと眉。出城のように神の愛を説く口周りには黒い縁取りがありました。
 死
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パン屋のビリー(2014年製作の映画)

3.8

 近所のアライグマに見せてやりたい。一緒にハクビシン、タヌキ、ネズミ、イタチ、マムシ、屋根裏の名無し、一年ご無沙汰のイノシシ、今年初お目見えのキツネにも、どこのうちのか知らないがネコたちにも、いつか来>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

4.1

 野球とは縁を切ったはずの男、レイが球界から縁を切られたジョーを呼んでくる。
 そのためにすべて自腹を切って農場の一角をつぶし球場にしてしまう。彼とその家族には死んだはずのジョーが見えるし、謎めいたお
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百万粒の涙(2015年製作の映画)

4.1

 ボルボ760GLEに乗る北仏リール人。30年もそれに乗り続け暖房も効かず、雨漏りもホイールキャップも直さずといつから決めたのだろう。
 フランス中一日以内でどこにでもたどり着けるのに、何日かけて嫌わ
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幕末(1970年製作の映画)

-

・坂本龍馬が22にして二日酔いのごとくむさくるしい。
・後藤象二郎が50歳三船敏郎にしか見えない。
・英国旗のデザインが出鱈目である。10秒足らずの事には念を入れない所存か?
・近藤「まんじゅうや」切
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.7

 「梅切らぬバカ」に先立つのが「桜切るバカ」梅は切らなくても当の梅はへっちゃらだが、桜は切れば菌に侵されやすく芳しくない。で、こちらはどんな「桜」を切ってしまう、それとも切ってしまったんだろう。切られ>>続きを読む

血と海(1965年製作の映画)

3.9

 和泉雅子の血の海じゃと?じじいの心臓もヌォーっとおどりだそうというもんじゃ。と、まあこんな感じ。出演最高齢の東野英治郎、実は58でオレより若い紋造じい。いとこで海女頭のトマばあさんが急におっ死んで、>>続きを読む

東京画(1985年製作の映画)

3.8

 「東京」をキーワードに小津映画のなにかを83年的に解明しようという?それとも小津の現場こそ東京と感じて小津好みな芝居やセットの雰囲気が町中に溢れていた事を30年後の東京探訪で証明したかったのか?とこ>>続きを読む

ブワナ・トシの歌(1965年製作の映画)

4.0

 T大学地質研究所の人々の夢はでっかく膨らんでいった。地球が生まれ出た頃の秘密を解くカギを求めて、まだ誰も知らない東アフリカの奥へ乗り込んでいく。渥美清のこの前置きを聞いて、思い出すのが手塚治虫の「ジ>>続きを読む

カラビニエ(1963年製作の映画)

3.8

 頭に十字ネジが2本、これでヒンケル総統を思い出されては王様も形無しだ。しかし、王たるもの、頓馬な独裁者と違って喜劇王風情のおちゃらけに翻弄されはしない。ビシッとネジ、ではなく徽章の十字の天地水平を定>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.3

 戦時経済と言っても、石油は自給できるし電力の開発も供給も支障なし。戦争のおかげで原爆も作れるほど人材にも恵まれ、鉱産資源も農産も南北米州挙げて体制を組める今、何の憂いもない。つまり米本国は戦争景気で>>続きを読む