otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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レインマン(1988年製作の映画)

4.2

 いかにダスティン・ホフマンといえども役が自閉症者とあっては演じるほどにこちらの度量が試されるような具合で落ち着かない。まして300万ドルのおまけ付きなわけでもなし。
 だが、そこここに現れるダスティ
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燃える平原児(1960年製作の映画)

4.1

 ケネディ、ジョンソン、ニクソン、彼らもこれを聞いただろうか。プレスリーによるカイオア族・白人混血の男の最期の言葉「いつか偏見のない時代が来るはずだ」これこそ、同時代の三氏で導けと託された世界だ。>>続きを読む

シザーハンズ(1990年製作の映画)

4.0

 むかしむかし、ざりがにを見たことのない町の事でございます。
 広場に現れたざりがにを見た人々は、名前は、どこから来たかと尋ねてもこたえないざりがにに「何者だろう」と興味津々。そのうちにハサミを持って
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

4.1

 日本では「おかあさんといっしょ」なんてのがあるが、おかあさんが一緒に出ることはない。ところがこちら「お隣さんといっしょ」にはホントのお隣さんのようなおじさんが出てくる。親と親族を飛び越して接する相手>>続きを読む

帰れない二人(2018年製作の映画)

4.0

 昔の二人には確かに危険な輝きがあった。土地の顔役の御用聞き、強面連の束ね役で名の知れたビンとその相方のシャオ。ビンがひとたび「関羽様」をお連れすればどんな鉄面皮野郎も不逞を通せない。しかし、時代の移>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.3

 観衆の目に触れない所で映画4つ5つ分ぐらいの物語が起きていると思えばいいのだろう。
 たとえば、健二が生国を捨て凪沙となった経緯、一果が言葉を封じ椅子を投げて敵意を示すようになった経緯、これらは話の
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地下鉄のオーディション(2019年製作の映画)

3.4

 いま気が付いた。ソウル地下鉄車が採用した握り棒のカーブはダンスシーンの助けになっている。
 結構なのはそこまで。彼女のスマホからは彼女の一人ダンスにあっけにとられた乗客の目を丸くする様子が写っていた
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ブレスレス(1983年製作の映画)

4.3

 「なってねぇな」とジムは呟いた?きっとそうに違いない。フランス野郎の頭ん中はどうなってるのか?あんなザマで駆け出したって一ブロックも行けやしない。それで「サイテー」だと、そりゃあそうだ。女もサイテー>>続きを読む

ワン・デイ 23年のラブストーリー(2011年製作の映画)

3.9

 詩を賦すのであれドラマを描くのであれ、それはエマのこころの世界の反映である。そこに立ち入る人物がその場にふさわしいかどうかエマが慎重になるのは当然である。近づけては遠ざけを繰り返して23年、デクスタ>>続きを読む

CASSHERN(2004年製作の映画)

4.1

 どことなく説教染みた感じで。独特な白黒ざらざら、写真を切り張ったような、荒みも顕わな絵作りや世紀的停滞を響かせるスチームパンク的蒼古感、これらの断片に次ぐ断片のラッシュが強烈に苛立たし気な印象を高揚>>続きを読む

Ribbon(2021年製作の映画)

4.0

 田舎の引き籠り老人にも余命幾許もないのにと歯噛みさせたコロナの3年。では、挽回の余地たっぷりな若者はどうしてたか?
 孫世代にはピンとくるまい。彼らにはこののち年寄りの数倍、十数倍の時間とそれをさら
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霧の波止場(1938年製作の映画)

4.0

 ミッシェル・モルガンのあれが17歳とはとても思えない大人な風情が脱走兵ジャンのくたびれた様子を凌駕してしまい、この先どう転べばこの二人が対等になれるのか。ミッシェルに一目ぼれとおどけたように告げるジ>>続きを読む

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.1

 世界一幸せなフィンランドのママは最高の家族と一緒にこんなに輝いてます。なんて調子でネットに配信しているが、実際にママを幸せにしてくれるのは目指せチャンピオン、体操美少女のティンヤだけ。弟のほうはまだ>>続きを読む

マリリンとアインシュタイン(1985年製作の映画)

4.1

 アインシュタイン似、モンロー似、ディマジオ似ていない、マッカーシー似?ワル見せ?似せてはいるが当人ですとも言っていない上に、4人とも互いに出会った相手を必ずしも誰と正しくあるいは詳しく認識していない>>続きを読む

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.2

 πはトラを招き寄せて「僕は、ただ挨拶がしたかった。」という。ET相手ならその心持ちひとつで十分だろうが、父親なら二度とそんな軽率で早とちりな真似をさせたくあるまい。例え息子の人が変わってしまおうとヤ>>続きを読む

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.1

 "Cool hand Luke"の時代なら手っ取り早く縦型の棺桶、独房に放り込むなり、痛めつけるなり、所内で手の施しようがあったのだろうが、それから十数年後、世間の何がどう変わったのか、人道配慮なの>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

4.0

 その頓知気ぶりが心配なくらいだが、そこがそれ、彼のいる人間界も程よく、生息数もそこそこ?魚種的には日本の近海は豊富にさかながいるんだそうだが、そんな自然界も彼の天然自然に適合しているようだ。そのてん>>続きを読む

狼と豚と人間(1964年製作の映画)

3.9

 同じ痛みを分かち合えることが仲間の証しならともだちの数も相当減るだろう。しかし、痛みのもっと向こう側、いのちが掛かったヤマにぶち当たってもともだちでいられるだろうか。ともだちだけじゃない、身内なんて>>続きを読む

誇り高き挑戦(1962年製作の映画)

3.7

 日米安保更新2年目。「所得倍増」で政治から気を逸らされて働きバチ化されつつある日本人を嗤って痛罵する丹波哲郎は戦時以来の特務機関員で今じゃ武器密輸と寝返り強奪プランナー、二重スパイ的闇バイトでダブル>>続きを読む

メイヘム 殺人晩餐会(2017年製作の映画)

4.0

 「メイヘム」なんて若者言葉にしても間抜け臭いが、調べりゃ簡単。「mayhem」とは『「他の人に対する身体的な害の暴力行為」という意味で、アングロフランス語のmaihem(13世紀)から派生し、古フラ>>続きを読む

ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

4.0

 悪魔は人からなんと認識されようと頓着しない。そりゃそうだ、狩られるのは人の方だもんで。では信じないまま狩られるのと信じながら悪魔を恐れながら狩られるのとでは悪魔にとっての旨味がなんぼか違うんだろうか>>続きを読む

イット・カムズ・アット・ナイト(2017年製作の映画)

4.1

 ヒトとイヌの共通感染症というだけで十分意地が悪い。「それ」が潜む闇への番人としての相棒を最初から罷免されてしまった格好だ。しかし、無駄吠えと不服従のスタンレーでは到底ものの役には立たないだろう。
 
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ヒンデンブルグ(1975年製作の映画)

4.1

 「ヒンデンブルグ」の全長は「大和」とほぼ同じ。ところが体重は「大和」の6万トンに対して僅か242トン。この体重の多くは全長に渡って詰まった20万立米の水素ガスを保全するために費やされ、運賃400ドル>>続きを読む

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.2

 死期を悟ったジェニーが最後の止まり木にフォレストを選んだのが愛ゆえか経済力ゆえかはともかく、鳥のように飛び続ける夢に疲れ切った挙句であろうとは想像できる。闘病で困窮し暮らしが荒む前に信頼性の高い友人>>続きを読む

ラストマン・スタンディング(1996年製作の映画)

3.7

 もともと陸の孤島のジェリコの街が禁酒法のおかげで密輸組織の根城に。さらに対立ギャングの進出で大ゲバルト、住民はみんな逃げだして残ったのはギャング傘下の酒場と女郎屋(ホテルという)に唯一自由経営の葬儀>>続きを読む

まわり道(1974年製作の映画)

3.8

 歯に物が挟まってるというか、頭にもやがかかってるというか。南のはずれだというのに寒々、雪の岩峰までまわり道して北辺の自宅に舞い戻るような予感で終わるのがおもしろいというかつまらないというか。あそこま>>続きを読む

シックス・センス(1999年製作の映画)

4.0

 鋭敏な観衆は早くからウィリス医師が冒頭、ヴィンセント君との一件で死亡しており、以降ほぼ全編で幽霊状態だった事に気づいていた模様だ。すると、コール君が幽霊医師だけに「死者が見える」と告白したものなら、>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

4.0

 ネッド・ライフルもヘンリー・フールも架空の人物と思ったら、「トラスト」の世界に生きていた。マシューはネッドの「人と宇宙」に育まれ、マリアもまたネッドを糸口にマシューの理解に踏み込もうとしている。蓮っ>>続きを読む

マスク(1984年製作の映画)

4.1

 持ち前の才気を梃子に辛かろうハンデキャップを克服して自身の立場を高め、さらに、困った事あれこれな母親や周囲の荒くれ風バイク団までこころを支え、支えられしてきたロッキーなのに。あれが実話の実話たるとこ>>続きを読む

有難や三度笠(1961年製作の映画)

3.7

 くすぐり満載が楽しいナンセンス股旅物。1961年当時の「社会問題」を江戸末期にそっくり置きなおして現代風、歌える旅鴉「いただきの守太郎」にきれいさっぱり片付けてもらうという寸法だ。それに対し、ほんの>>続きを読む

地獄(2009年製作の映画)

4.0

 病気になるほどの芸術家で映画祭3冠のクルーゾーともなれば、その病気力でとんでもない映画が生まれるとでも思ったのだろう。また、そこで資金上限なしなんて申し出が来りゃああれもこれもと試したくもなるのだろ>>続きを読む

夜の最前線 東京㊙️地帯(1971年製作の映画)

4.0

 東京という器も四半世紀前は戦火にさらされた欠け茶碗。そこに住む人も善悪の境を取っ払った闇塗れだ。それが復興から成長へ踏み出し行政と学校の後押しで金の卵たちを引き取るようになれば、街の様子も焼け跡なん>>続きを読む

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年製作の映画)

4.0

 日本の雑木林ならあの丘の向こうはすぐ住宅地だ。ところが、ブレア村では7日歩いてもどこにもたどり着けない。さらに、この迷宮を夜な夜な何者かが訪れる。これについての撮影隊3人の憶測がまことに印象希薄なも>>続きを読む

一等女房と三等亭主(1953年製作の映画)

3.7

 轟と伊藤、なるほどの一等、三等ぶりだがこれをアハハで済ましては置くまじというのがこの映画。収入10倍、知名度何万倍な細君に頭が上がらないのはそりゃあそうだろうが、伊藤の旦那は三等亭主でもなぜか社長の>>続きを読む

グッド・シェパード(2006年製作の映画)

4.1

 スパイであることについて覚悟を促される事があるように思う。もとより、死をもって心の証を立てた「愛国者」の息子で、アセクシャルとさえ見える落ち着きぶりのエドワードの事、そうそうにその覚悟で戦渦の英国に>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

4.1

 有性生殖の仕組みを得て、性分化して生じたオスは既にメスから異性として生まれている。従って、オスで産まれるとはそれ自体、「二度目の生まれ」となっているのである。人生行路で女の踏み石となるべく生きる男に>>続きを読む